ISO9001を取得するうえで必ず関わる機関が、ISO9001事務局と呼ばれる機関です。ISO9001の更新に関連した業務を担っており、取得には欠かせない存在です。今回の記事では、ISO9001事務局が行っている仕事の内容や役割について詳しく解説していきます。
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解(公式に認められたものではない)となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
目次
「ISO9001に関連する業務を受け持つ部署」が事務局
ISO9001事務局とは、ISO9001を取得した組織内で、ISO9001の更新や運用に関する業務を担当する部署を指します。この事務局は、組織の品質管理指針であるマネジメントシステムの構築や維持を補助し、ISO9001の要求に沿って組織が適合できるように調整する役割を担っている大事な仕事となります。
さらに、ISO9001取得を検討している組織が、取得に向けて必要な準備を進める際にも事務局が設置されることがあります。場合によっては、ISO9001関連の業務を外注し、その外注先のスタッフが事務局メンバーとして組み込まれるケースもあります。
事務局は、ISO9001の運用と更新を効果的に進めるために重要な役割を果たしているため各社の求人情報にも「ISO9001事務局担当者募集」などが掲載されているのもそのためです。
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ISO9001事務局は必須ではなくなった
2008年版まではISO9001の責任者を配置する義務がありましたが、現在は廃止されています。またISO9001の責任者を本業と合わせて兼任しているケースも多く、ISO9001事務局を配置していなくてもISO9001を取得することはできます。
ただし製品やサービスを展開するうえで、組織の中では業務における責任権限は明確に定められ、組織内で管理する範囲をそれぞれ分担しておく必要があります。
ISO9001事務局を必ず設置していなくても、ISO9001に必要とされる業務があるため、ISO9001事務局を設置しない場合は、ISO9001に関連する業務に対応する従業員が必要になることを考慮しておきましょう。
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ISO事務局の主な仕事
主な仕事①:審査に必要な書類の準備、外部審査時の対応
ISO9001事務局の主な役割の一つは、外部審査時の対応や書類の準備です。ISO9001の取得後、組織は3年ごとに更新審査を受ける必要がありますが、それに加えて、1年目と2年目には運用しているマネジメントシステムの部分的な確認を行う定期審査も実施されます。
3年目には、認証更新のための審査を行い、認証期間の有効期限を管理します。この審査の過程では、事務局が審査に必要な書類を作成し、準備する役割を担います。また、外部審査の際には審査員とのやり取りを行い、審査に必要な情報やデータを提供することで、審査が円滑に進むよう対応するのも事務局の重要な任務です。
これらの作業を通じて、組織がISO9001の要求事項に適合し続けていることを確認し、認証を維持するサポートを行います。
主な仕事②:内部監査の計画と実施
内部監査は、ISO9001の運用状況を確認し、組織の品質マネジメントシステムが適切に機能しているかを評価する重要なプロセスです。ISO9001事務局は、この内部監査の計画と実施を担当し、組織全体のマネジメントシステムを客観的な視点で審査します。
内部監査は、実務を直接担当する従業員の視点ではなく、ISO9001事務局としての独立した立場から行われることが求められます。これにより、組織内で見落とされがちな問題点や改善すべき箇所を発見し、品質向上に貢献します。
さらに、監査結果に基づいて改善策を提案し、組織の品質マネジメントシステムの継続的な改善をサポートします。定期的な内部監査は、ISO9001の基準に沿った運用を維持するために不可欠です。
主な仕事③:手順書の作成と各部署への配布
ISO9001の運用において、業務の標準化や一貫性を保つために手順書の作成は欠かせません。ISO9001事務局の役割として、各部署が業務を効率的に実施できるよう、業務手順を記載したマニュアルの作成と配布を行います。
これにより、組織全体で統一されたプロセスを実施し、品質管理の向上に貢献します。また、手順に変更があった場合は、事務局がその内容を改正し、各部署に最新の手順書を再配布します。
この更新作業も非常に重要で、業務の変化や改善に対応し、常に最新の基準に基づいて業務が行われるよう管理します。手順書の管理は、業務の効率化や品質の安定化を図るだけでなく、外部審査時にも適切な管理を証明する重要な役割を担います。
主な仕事④:組織の目標実現に向けた計画の管理
ISO9001事務局は、組織の品質目標や環境保護に関する目標が達成されるように、計画の進捗を管理する役割も担っています。具体的には、品質の維持・向上、環境法規制の遵守などの目標に対して、進捗状況を監視し、必要に応じて改善策を提案します。
計画がうまく進まない場合には、関係部門と連携し、問題の解決策を見つけ出すことが求められます。多くの場合、総務部や管理部がこの業務を担当し、事務局が全体の管理を統括する役割を担います。
また、計画に対する評価を定期的に行い、目標が達成されているか、または更なる改善が必要かを判断します。これにより、組織全体の品質や環境への取り組みが強化され、ISO9001の基準に適合し続けることが保証されます。
主な仕事⑤:組織への情報共有や教育などの取り仕切り
ISO9001事務局は、組織内での情報共有や従業員の教育にも大きな役割を果たします。たとえば、環境に関する新しい規制が導入された場合や、品質方針に変更が生じた場合には、迅速に各部署にその情報を共有することが求められます。
これにより、組織全体が最新の規制や方針に適合して業務を遂行することができます。また、従業員の教育や研修を計画・実施することで、従業員が必要な知識を身に付け、品質管理に貢献できる体制を整えることも事務局の重要な仕事です。
さらに、人事評価や品質監査においても、事務局は関与することが多く、各部署が一体となって組織の目標達成に向けた活動を進められるようサポートします。
【補足】ISO事務局の「管理責任者」の役割とは?
ISO事務局の「管理責任者」は、組織の品質マネジメントシステムの運用や維持を統括する役割を担います。具体的には、ISO9001の基準に適合した品質管理体制を構築し、その実行を監視します。管理責任者は、内部監査の計画や実施、外部審査対応、改善策の実行など、ISO9001の要求事項が組織全体で徹底されるよう指導・管理します。
また、トップマネジメントとの連携を図り、経営目標と品質目標の整合性を保ちながら、ISO9001の継続的改善を促進する役割も担います。このように、管理責任者は、品質マネジメントの中心的な存在として、組織の信頼性向上と効率的な運営をサポートします。
ISO9001事務局の仕事:まとめ
ISO9001を導入するにあたって、ISO9001事務局がなくても導入は可能であるものの、ISO9001が本来受け持つ業務を本業の業務と平行して受け持つことが求められます。
ISO9001事務局を設置している場合には、内部監査を何度も経験することによって、チェックするポイントがしっかりと把握できるようになり、より精度の高い監査が実施できるようになるという利点があります。
メリット・デメリットをよく確認したうえで、ISO9001事務局が必要かどうかを検討してください。もしISO9001事務局を設置する場合は、管理部門との責任の所在についてよく確認し、双方の管理範囲をきちんと把握しておきましょう。
この記事がISO9001の導入を考えている企業や組織の皆様にとって、参考になる記事であれば幸いです。
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