ISO9001第6章「計画」の要求事項を実務目線で完全解説|リスク及び機会・品質目標・変更の計画
ISO9001の第6章「計画」は、第4章で把握した課題と利害関係者のニーズをもとに、リスク及び機会への取組み(6.1)、品質目標とその達成計画(6.2)、QMSの変更の計画(6.3)を定める章です。
第6章で審査員が見ているのは、「計画が第4章・第5章と整合しているか」と「計画が第8章以降の運用に反映されているか」です。リスク一覧や品質目標を作っただけで対策・評価が回っていないと、計画が“生きていない”と判断され、指摘につながります。
このページでは、第6章の全体像(6.1〜6.3)と各条項の要点、内部監査・審査で実際に見られるポイントまでを、自動車部品メーカーでの実務経験をもとに整理しました。
各条項の詳細解説記事への入口としてご活用ください。
第6章は「リスク及び機会への取組み(6.1)」「品質目標及びそれを達成するための計画策定(6.2)」「変更の計画(6.3)」の3つで構成されます。まずは全体像を俯瞰してください。
| 条項 | 題目 | 一言で言うと |
|---|---|---|
| 6.1 | リスク及び機会への取組み | 第4章の課題からリスク・機会を決め、取り組む |
| 6.2 | 品質目標及びそれを達成するための計画策定 | 品質方針に沿った目標を立て、達成計画を作る |
| 6.3 | 変更の計画 | QMSの変更を、影響を考慮して計画的に行う |
※第6章は単独では完結しません。6.1は第4章の課題・第5章のリーダーシップを受け、6.2は品質方針(5.2)を根拠とし、いずれも第8章の運用・第9章の評価・第10章の改善へつながってはじめて機能します。
各条項について「要求の意図」と「実務・監査で見られる点」を1〜2行で示します。詳しい構築方法・記載例は各詳細記事をご覧ください。
要求の意図
第4章の課題・利害関係者のニーズを踏まえてリスク及び機会を決定し、それに対する取組みを計画し、QMSのプロセスへ統合し、有効性を評価すること。
実務・監査で見られる点
リスクが第4章の課題と整合しているか、取組みが第8章以降の運用に反映されているか。リスク一覧を作っただけで対策・評価が回っていない、という指摘が頻出します。
リスク及び機会は抽象論で終わりやすく、評価基準を決めて具体的な対応策まで落とし込めるかが重要。機会も含めた整理は〔リスク及び機会検討表(計画込み)サンプル〕で進められます。
要求の意図
品質方針によって掲げられた内容を基に、関連する部門・階層・プロセスに測定可能な品質目標を設定し、達成のための計画(誰が・何を・いつまでに・どう評価するか)を立てること。
実務・監査で見られる点
品質目標が品質方針(5.2)と整合し、測定可能で、達成計画と進捗の記録が一貫しているか。目標を立てただけで進捗管理がない、という状態になりがちです。
要求の意図
QMSの変更が必要と判断した場合、その目的・影響・資源・責任・権限を考慮して、計画的に変更を行うこと。
実務・監査で見られる点
変更が場当たり的でなく、影響評価を経て計画的に実施・記録されているか。
IATF16949の認証取得・運用には、ISO9001の要求事項の運用が前提(必須)です。自動車産業のIATF16949を目指す場合は、ISO9001の第6章に加えて、次のIATF固有要求への対応が必要になります。
→詳しくは:IATF16949第6章「計画」の要求事項ガイド(リスク分析・BCP等を含む)
内部監査・審査でつまずきやすい代表的なポイントをまとめます。第6章は、計画を「作って終わり」にして、前後の章や運用とつながっていない状態が最も指摘されやすい箇所です。
| 確認質問(監査での問いかけ) | 確認の狙い |
|---|---|
| 特定したリスク及び機会は、第4章の課題とどうつながっていますか? | 6.1。計画と組織の状況の整合確認 |
| リスクへの取組みは、第8章以降の運用にどう反映されていますか? | 6.1。計画が“生きている”かの確認 |
| 品質目標は品質方針(5.2)と整合し、測定可能ですか? | 6.2。目標と方針の整合・測定可能性の確認 |
| 品質目標の達成計画と進捗の記録は一貫していますか? | 6.2。目標管理の実効性確認 |
| QMSの変更は、影響評価を経て計画的に実施・記録していますか? | 6.3。変更の計画的実施の確認 |
第6章は、誰が・いつ・何を計画し・どう評価し・どんな記録を残すかを明文化しておくと監査対応が安定します。
といった形で、第4・5章から第8・9・10章へのつながりまで含めて記述しておくのがおすすめです。
規格対応でよく聞かれる悩み:FAQ
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といったお客様の声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
6.1(リスク及び機会への取組み)、6.2(品質目標及びそれを達成するための計画策定)、6.3(変更の計画)の3つで構成されます。第4章の課題を起点に、計画を立てる章です。
リスク一覧や品質目標を「作って終わり」にしてしまい、第4章の課題や第8章以降の運用とつながっていないケースが代表的です。審査では、計画が実際に運用へ反映され、評価されているか(“生きている”か)が見られます。
第4章で把握した外部・内部の課題と利害関係者のニーズを踏まえて、QMSに影響するリスクと機会を決定します。決定するだけでなく、取組みを計画してプロセスへ統合し、有効性を評価することが求められます。
品質方針(5.2)に整合させ、関連する部門・階層・プロセスに測定可能な形で設定することです。「誰が・何を・いつまでに・どう評価するか」を含む達成計画を立て、進捗を管理することが重要です。
ISO9001の第6章に加え、リスク分析(6.1.2.1)、予防処置(6.1.2.2)、緊急事態対応計画=BCP(6.1.2.3)、品質目標の補足=顧客要求までの展開(6.2.2.1)といったIATF固有要求への対応が必要になります。
ISO9001の第6章「計画」は、第4章の課題を起点に、リスク及び機会への取組み、品質目標とその達成計画、QMSの変更を計画する章です。第6章の肝は、計画を「作って終わり」にせず、第4章・第5章と整合させ、第8章以降の運用・第9章の評価・第10章の改善へつなげることです。
計画が“生きている”状態を記録で示せることが、審査・内部監査を安定して通過する鍵になります。各条項の具体的な構築方法は、本ページからリンクする詳細記事をご確認ください。
なお、IATF16949を目指す場合は、第6章のIATF固有要求(リスク分析・BCP等)への対応も必要です。
「リスク一覧は作ったが、課題や運用とのつながりが説明できない」「品質目標を立てたが、進捗管理が回っていない」「変更の計画をどう仕組み化すればよいかわからない」——
第6章は、計画を作ること以上に、前後の章や運用へつなげることが難しい章です。
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