品質管理の英語フレーズ集|検査・是正処置から顧客監査まで【実務者解説】

品質管理・品質保証の現場で英語が必要になる場面はどんな時でしょうか。まず、自社の品質保証部門で英語が求められる典型的な場面を整理しておきましょう。場面が分かれば、覚えるべきフレーズの優先順位も見えてきます。

  • 海外OEM(顧客)による第二者監査・顧客監査の対応
  • ドイツ系OEM・Tier1からのVDA6.3プロセス監査
  • 海外拠点・海外マザー工場とのグローバル品質会議
  • 海外の仕入先(サプライヤー)監査や是正処置の依頼
  • 不適合発生時の8D・是正処置レポートのやり取り

ポイントは、これらの多くが「監査・審査」という緊張感の高い場面に集中していることです。だからこそ、日常会話よりも先に監査で使う定型表現を押さえると効率的です。

なお、初対面の挨拶や日常会話レベルの基礎フレーズは〔品質管理で英会話:超初級レベル1のフレーズ100選〕にまとめているので、基礎から固めたい方はそちらも合わせてご覧ください。


この記事の実務解説
QMS認証パートナー
専属コンサルタント

H.Minamino

製造業25年・自動車業界15年以上の実務経験

IATF16949・ISO9001・VDA6.3を、現場で使える形に落とし込む視点で解説しています。

規格要求事項の解釈だけでなく、審査で説明できる規定づくり、現場で使える帳票、内部監査・顧客監査への対応まで、実務で迷いやすいポイントを中心に整理しています。

専門領域
IATF16949・ISO9001・VDA6.3
得意分野
規定・帳票・監査対応の実務化
支援内容
教材提供・メール相談・個別コンサル

「この解釈でよいのか」「自社の規定や帳票にどう反映すればよいのか」と迷った場合は、QMS認証パートナーの教材・相談メニューもご活用ください。


相談メニューを見る

検査・測定で使う英語フレーズ

検査・測定は品質管理の出発点です。寸法・特殊特性・規格(公差)に関する表現は、監査中に記録を説明する場面でもそのまま使えます。

  • Have you completed the first article inspection?
    初物検査は完了しましたか?
  • Please measure this dimension with a calibrated gauge.
    この寸法を校正済みのゲージで測定してください。
  • Is this measurement within the specification?
    この測定値は規格(公差)内ですか?
  • The result is within the acceptable range.
    結果は許容範囲内です。
  • This part is out of tolerance.
    この部品は公差外です。
  • We need to recheck the special characteristics.
    特殊特性を再確認する必要があります。
  • Please record the measured values in the control plan.
    測定値をコントロールプランに記録してください。

「初物検査」はfirst article inspection(FAI)、「公差」はtolerance、「規格・仕様」はspecification(spec)が定番です。CC/SC/KCといった特殊特性はspecial characteristicsと言い、監査でも頻出します。

「規格内に入っている」はwithin tolerance / within spec、外れていればout of tolerance / out of specと表現すると、監査員にも一発で伝わりますので覚えておきましょう。

データ記録・トレーサビリティで使う英語フレーズ

記録の正確さとトレーサビリティは、監査で必ず確認される領域です。ここの英語が出てこないと、せっかく管理ができていても説明で損をします。

  • Please make sure all data is properly recorded.
    すべてのデータが正しく記録されていることを確認してください。
  • Have you entered the inspection results into the system?
    検査結果をシステムに入力しましたか?
  • This record must be retained for the period defined in our procedure.
    この記録は手順書で定めた期間、保管する必要があります。
  • We can trace this lot back to the raw material.
    このロットは原材料まで遡及(トレース)できます。
  • Please attach the traceability label to each box.
    各箱にトレーサビリティラベルを貼ってください。
  • The data shows a clear trend.
    データは明確な傾向を示しています。

「記録を保管する」はretain(retention period=保管期間)、「遡及できる」はtrace back to ~、「トレーサビリティ」はそのままtraceabilityで通じます。

記録が「ちゃんと」できていることを伝えるときは、properlyaccuratelyを添えるとプロフェッショナルな印象になります。品質管理でよく使う英単語の一覧は〔品質管理部門がよく使う単語まとめ〕も参考にしてください。

工程・設備管理/メンテナンスで使う英語フレーズ

工程パラメータや設備の保全・校正は、IATF16949でもVDA6.3でも厳しく見られるポイントです。

  • Please perform the preventive maintenance as scheduled.
    予防保全を予定通り実施してください。
  • Is the calibration of this gauge still valid?
    このゲージの校正は有効期限内ですか?
  • This equipment is overdue for maintenance.
    この設備はメンテナンス期限を過ぎています。
  • Please follow the work instruction for the changeover.
    段取り替えは作業手順書に従ってください。
  • We need to verify the process parameters.
    工程パラメータを検証する必要があります。
  • The machine is down for repair.
    その設備は修理のため停止しています。

「予防保全」はpreventive maintenance、「校正」はcalibration、「校正が有効である」はthe calibration is valid、期限切れはoverdue / expiredです。

「段取り替え」はchangeover、「作業手順書」はwork instruction(SOP=standard operating procedure)と覚えておくと、監査中に「この工程は手順書通りに運用しています」と即答できます。

不適合・異常発生時に使う英語フレーズ

不適合や異常は、英語で正確に状況を伝えられるかどうかが流出防止のスピードを左右します。「報告」「設備トラブル」「是正処置」の3場面に分けて押さえましょう。

一般的な異常・不適合の報告

  • A nonconformity has been found in this lot.
    このロットで不適合が見つかりました。
  • The defect rate has increased this week.
    今週は不良率が上がっています。
  • We have detected a deviation from the standard.
    規格からの逸脱を検出しました。
  • Please segregate the nonconforming parts.
    不適合品を隔離してください。
  • The parts have been put on hold.
    部品は保留(ホールド)にしました。

「不適合」はnonconformity、「不適合品」はnonconforming parts、「逸脱」はdeviationが標準語です。不適合品を「隔離する」はsegregate、「保留にする」はput on holdで、現場の流出防止の文脈で頻繁に使います。

設備・装置のトラブル

  • The equipment is not functioning properly.
    設備が正しく動作していません。
  • There may be an issue with the sensor.
    センサに問題があるかもしれません。
  • The process is out of control.
    工程が管理状態を外れています。
  • We stopped the line to contain the problem.
    流出を防ぐためラインを止めました。

「トラブル」はtroubleより、幅広く問題を指すissueが無難です。SPCの文脈で「工程が管理外」はout of control、逆に管理状態にあるならunder control / in controlと表現します。

是正処置・8D対応

  • We have implemented a containment action.
    応急処置(流出防止)を実施しました。
  • What is the root cause of this problem?
    この問題の真因は何ですか?
  • We are conducting a root cause analysis.
    真因解析を実施しています。
  • A corrective action has been taken.
    是正処置を取りました。
  • Please submit the 8D report by Friday.
    8Dレポートを金曜までに提出してください。
  • We will verify the effectiveness of the corrective action.
    是正処置の有効性を検証します。
  • This is a horizontal deployment to similar processes.
    これは類似工程への水平展開です。

ここは用語の使い分けが要注意です。

containment(応急処置・流出防止)→correction(修正)→corrective action(是正処置)→preventive action(予防処置)は、IATF16949の世界では明確に別物として扱われます。

「真因」はroot cause、「有効性の検証」はeffectiveness verification、「水平展開(横展)」はhorizontal deploymentです。是正処置そのものの考え方は〔【ISO9001攻略】10.2(10.2.1/10.2.2):不適合及び是正処置の要求事項徹底解説!〕で詳しく解説しています。

顧客監査・第二者監査・審査対応で使う英語フレーズ【最重要】

ここがこの記事の山場です。海外OEMの顧客監査・第二者監査では、英語で「聞かれたことに、要求事項に沿って、過不足なく答える」ことが求められます。準備からクロージングまで、流れに沿ってフレーズを押さえましょう。

監査前の事前準備

  • Please make sure all documents are up to date.
    すべての文書が最新版であることを確認してください。
  • Let's review the previous audit findings before the audit.
    監査前に前回の指摘事項を見直しましょう。
  • We need to prepare the evidence for each requirement.
    各要求事項のエビデンスを準備する必要があります。
  • Please confirm the audit schedule with the customer.
    顧客と監査スケジュールを確認してください。

「指摘事項」はfinding(s)、「エビデンス(客観的証拠)」はevidence / objective evidence、「要求事項」はrequirementです。

前回の指摘(previous findings)のクローズ状況は監査の冒頭で必ず確認されるので、英語でも即答できるようにしておきます。

監査中のオープニング・受け答え

  • Thank you for visiting our plant today.
    本日は当工場へお越しいただきありがとうございます。
  • Could you please clarify your question?
    ご質問の意図を明確にしていただけますか?
  • Let me confirm with the responsible person.
    担当者に確認させてください。
  • I will show you the related record.
    関連する記録をお見せします。
  • That is a good point. We will look into it.
    ご指摘の通りです。確認いたします。

監査では「即答できない=悪」ではありません。質問の意図が不明なときはCould you clarify ~?で確認し、確証がないときはLet me confirm with the responsible person.と一拍置くのが正解です。沈黙を埋めようと曖昧に答えると、かえって追及を招きます。

書類・記録・トレーサビリティの説明

  • This document is the latest revision.
    この文書は最新の改訂版です。
  • All records are maintained according to our procedure.
    すべての記録は手順書に従って保管されています。
  • This is controlled under our document control system.
    これは文書管理システムで管理されています。
  • We can show the traceability from incoming inspection to shipment.
    受入検査から出荷までのトレーサビリティをお示しできます。
  • This evidence demonstrates that the process is under control.
    このエビデンスは工程が管理状態にあることを示しています。

「最新版」はlatest revision / current version、「文書管理」はdocument control。記録を見せるときは「手順書に従って(according to our procedure)」を添えると、仕組みで管理していることが伝わります。

指摘(finding)への応答

  • We acknowledge this finding.
    この指摘を真摯に受け止めます。
  • We will issue a corrective action plan.
    是正処置計画を発行します。
  • We will provide the corrective action within the agreed timeframe.
    合意した期限内に是正処置を提出します。
  • Corrective actions have already been taken for this issue.
    この件についてはすでに是正処置済みです。
  • Could you specify which requirement this finding refers to?
    この指摘がどの要求事項に対するものか特定いただけますか?

指摘を受けたら、まずacknowledge(受け止める)し、corrective action plan(是正処置計画)timeframe(期限)をセットで返すのが基本形です。

納得できない指摘には感情的に反論せず、どの要求事項に基づく指摘か(which requirement)を冷静に確認すると、議論が建設的になります。

クロージングミーティング

  • Thank you for your valuable feedback.
    貴重なご指摘ありがとうございました。
  • We will submit the action plan by the due date.
    期限までに処置計画を提出します。
  • Is there anything else you would like to review?
    他にご確認になりたい点はありますか?

クロージングでは、指摘の件数・内容と提出期限(due date)を双方で確認します。最後に感謝を述べ、次のアクション(action planの提出)を自分の言葉で確認すると、監査官の心証も良くなります。

VDA6.3プロセス監査で出る英語フレーズ・用語

ドイツ系OEMのVDA6.3は、IATF16949のシステム監査とは視点が異なるプロセス監査です。固有の用語が英語・ドイツ語混じりで飛んでくるため、事前に押さえておくと落ち着いて対応できます。

  • VDA 6.3 is a process audit, not a system audit.
    VDA6.3はシステム監査ではなくプロセス監査です。
  • Could you explain this process using a turtle diagram?
    このプロセスをタートル図で説明いただけますか?
  • What are the inputs and outputs of this process?
    このプロセスのインプットとアウトプットは何ですか?
  • How do you ensure the process capability?
    工程能力をどのように確保していますか?
  • This question relates to process element P6.
    この質問はプロセス要素P6(製造)に関するものです。
  • The score is downgraded due to a special characteristic.
    特殊特性のため、この質問の評点はダウングレードされます。

「タートル図」はturtle diagram、「インプット/アウトプット」はinput / output、「工程能力」はprocess capability。VDA6.3はP2〜P7のプロセス要素(process elements)ごとに評点し、特殊特性などの条件でダウングレード(downgrade)するルールがあります。

この採点ロジックを英語で説明できると、評価の妥当性についても監査官と対等に話せます。VDA6.3の要求事項そのものは〔【VDA6.3攻略】要求事項一覧:P2からP7までまとめて解説〕で体系的に解説しています。

品質会議・日常業務で使う一般英語フレーズ

グローバル品質会議やメールのやり取りで使う、汎用的な表現もまとめておきます。

  • Could you give us a quick update on the progress?
    進捗を簡単に共有いただけますか?
  • Let's move on to the next agenda item.
    次の議題に移りましょう。
  • I'll follow up on this action item.
    このアクションアイテムは私がフォローします。
  • Let me summarize the action items.
    アクションアイテムをまとめます。
  • Please send me the minutes after the meeting.
    会議後に議事録を送ってください。

「議題」はagenda item、「やるべき事項」はaction item、「議事録」はminutes(複数形で使う点に注意)。会議の進行役(facilitator)を任されたら、まずLet's move on to ~Let me summarize ~の2つを使えるようにしておくと、流れを自分でコントロールできます。

監査英語を「使える」に変える実務のコツ

フレーズを覚えても、いざ本番で出てこない——その壁を越えるための、実務目線のコツを4つ挙げます。

  1. 完了の確認は現在完了で。
    「もう終わった?」はDid you finish ~?よりHave you finished ~?が自然です。過去形は「昔やった?」のニュアンスになり、誤解を招きます。
  2. 「メーカー」は和製英語。
    英語ではmanufacturer(自社が作り手の場合)やsupplier(仕入先の場合)を使い分けます。
  3. 監査では聞かれたことだけ答える。
    良かれと思って多く説明すると、新たな質問の呼び水になります。簡潔さがリスクを下げます。
  4. 用語は規格の英語版に合わせる。
    nonconformity、corrective action、traceabilityなど、ISO/IATFの英語原文に出てくる語を使うと、監査官と認識がズレません。

まとめ

品質管理・品質保証で必要になる英語は、検査・記録・設備・不適合・監査・会議といった場面ごとの定型表現を押さえれば、想像以上にカバーできます。とくに自動車部品業界では、海外OEMの顧客監査・第二者監査、VDA6.3プロセス監査という緊張感の高い場面に英語が集中するため、監査対応のフレーズから優先して身につけるのが近道です。

本記事のフレーズを、自社の工程・文書名に置き換えて声に出しておくと、本番での再現性が一気に高まります。

本記事の内容を、自社の規定・帳票・教育に落とし込む!

IATF16949・ISO9001・VDA6.3は、要求事項を理解するだけでなく、現場で説明できる仕組みにすることが重要です。判断に迷う部分は個別相談で、資料を整えたい場合は教材・サンプルをご活用ください。

まず相談したい方へ
メール相談・個別コンサル監査対応、規格解釈、規定・帳票の考え方を実務目線で確認できます。


サービスを見る

自社で整備したい方はこちら学習教材、社内教育資料、規定サンプル、帳票サンプルを目的別にまとめています。


規格理解
IATF・ISO教材


社内教育
実践教材


規定作成
規定サンプル


記録整備
帳票サンプル


5大ツール
コアツール教材


VDA6.3
VDA6.3教材

品質マネジメントシステム構築・学習支援
QMS認証パートナー
ISO9001・IATF16949・VDA6.3 実務支援
規格理解で終わらせず、監査で説明できる仕組みへ。
記事で規格の考え方を理解しても、自社の規定・帳票・教育・監査対応に落とし込む段階で迷うことは少なくありません。QMS認証パートナーでは、規格解釈から仕組みづくり、社内教育、審査対応までを実務目線で支援しています。
迷ったら、実務者に相談できます
「この解釈でよいのか」「自社の帳票や規定にどう反映すればよいのか」と迷った場合は、目的に合わせて相談方法を選べます。