ISO26000をご存知でしょうか?多くの企業様はISO 9001やIATFの取得を検討されていること多いのですが、併せてご注目いただきたい規格が「ISO 26000」です。
ISO 26000は、企業の社会的責任(CSR)をガイドラインとして明確に示す国際規格です。
この規格を導入することで、貴社は品質管理に留まらず、社会全体への責任を果たす企業としての信頼性を一層高めることが可能となります。今回の記事は、ISO 26000とは何かについて解説致します。
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解(公式に認められたものではない)となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
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目次
ISO26000とは?
ISO 26000は、企業や組織が社会的責任(CSR)を果たすための指針を提供する国際規格です。
2010年に制定されたこの規格は、組織がその活動が社会や環境に与える影響を考慮し、倫理的かつ持続可能な方法で事業を運営するためのガイドラインを示しています。
ISO 26000は、7つの原則と7つの中核主題を基にしており、組織が人権、労働慣行、環境、消費者問題、社会的影響などの分野で責任を果たすための具体的な行動を促進します。
この規格は、あらゆる業種や規模の組織に適用可能で、持続可能な社会への貢献を目指すものです。
ISO26000の作られた経緯とは?
ISO 26000は、企業の社会的責任(CSR)に対する国際的な関心が高まる中、企業が経済的利益だけでなく、社会や環境に対する影響を考慮し、持続可能な社会の実現に貢献することが求められるようになったことが背景にあります。
この規格は、世界中の専門家や利害関係者の協力により作成され、幅広い意見を取り入れた結果、企業がどのように社会的責任を果たすべきかを示す包括的なガイドラインとして誕生しました。
ISO26000の7つの原則を理解しよう
ISO26000の7つの原則は、組織が社会的責任を果たすための基本的な価値観と行動原則を示しています。以下にその詳細を説明します。
原則1:説明責任
説明責任とは、組織が自身の決定や活動、その結果について説明し、評価を受けることができる能力を意味します。つまり、企業は自身の活動が社会や環境に与える影響について、全てのステークホルダーに対して透明性を持つことが求められます。
原則2:透明性
透明性とは、企業が自身の決定、手続き、パフォーマンスなどを明らかにし、利害関係者が理解できるようにすることです。具体的には、企業が何をし、それがどのように組織に影響するかを公開し、信頼と信用を築くことが求められます。
原則3:倫理的行動
倫理的行動とは、企業が公正、誠実、適正な行動を行うことを意味します。これは、企業が社会的責任を果たすために最も重要な要素であり、企業の行動がステークホルダーの信頼と尊重を得るためには不可欠です。
原則4:利害関係者の利益を尊重
この原則は、企業がステークホルダーの権利を尊重し、その利益を考慮に入れることを求めています。具体的には、ステークホルダーのニーズや期待、権利などを認識し、それらを尊重することが求められます。
原則5:法規制の遵守
企業は、活動地の法律や規制を遵守することが求められます。これは、企業が社会的責任を果たすための基本的な前提であり、法規制違反は企業の信頼性を損なう可能性があります。
原則6:国際規範の尊重
企業は、国際的な社会的責任に関する規範や行動指針を尊重することが求められます。これは、企業が国際社会において社会的責任を果たすための基本的な要素であり、国際的なビジネス環境での信頼性と評価を高めるために重要です。
原則7:人権の尊重
この原則は、企業が国際的に認められた人権を尊重し、その保護と促進に努めることを求めています。これには、労働者の権利、消費者の権利、地域社会の権利などが含まれ、企業が人権侵害を防止し、人権を尊重するための具体的な行動を取ることが求められます。
これら7つの原則は、企業が社会的責任を果たすための基本的な行動指針を提供します。これらの原則を理解し、組織全体で実践することで、企業は社会と環境に対するポジティブな影響を最大化し、同時にリスクを最小化することができます。
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7つの中核主題を理解しよう
さらにISO26000は、「7つの中核主題」を提唱しています。
主題1:組織のガバナンス
組織のガバナンスは、その組織がどのように運営されているか、意思決定がどのように行われているか、説明責任と透明性が確保されているかなどを問う主題です。これは組織が社会的責任を適切に果たすための基盤となるため、ISO26000の中でも重要な位置を占めています。
主題2:人権
この主題は、組織が人権を尊重し、侵害を防止するための方針と行動を設定することを求めています。これには、従業員の労働条件、顧客や地域社会との関係、サプライチェーンなど、組織の活動全体が含まれます。
主題3:労働慣行
労働慣行は、組織が従業員とどのような関係を築くかについての主題です。これには、労働者の権利を尊重し、健康と安全を確保し、公正な労働条件を提供し、労働者が組織の決定に参加できる機会を提供することが含まれます。
主題4:環境
この主題は、組織が環境に及ぼす影響を最小限に抑えるための方針と行動を設定することを求めています。具体的には、資源の使用の最適化、廃棄物と排出物の削減、地球温暖化への対策などが含まれます。
主題5:良好な営業慣行
良好な営業慣行は、組織が公正で倫理的な商行為を行うことを目指す主題です。これには、腐敗の防止、公正な競争の促進、顧客に対する誠実なマーケティングと契約遵守が含まれます。
主題6:消費者問題
消費者問題は、組織が顧客の権利を尊重し、その利益を守ることを目指す主題です。これには、製品の安全と品質の確保、公正な価格設定と契約遵守、そして顧客のプライバシーと情報の保護が含まれます。
主題7:社会的影響
最後に、社会的影響の主題は、組織が地域社会との関係をどのように築き、その福祉にどのように貢献するかについて考えるものです。これには、地域社会の発展を支える活動、教育や文化への貢献、そして緊急事態や災害時の支援などが含まれます。
以上がISO26000の「7つの中核主題」です。これらは、組織が社会的責任を果たすために重視すべき領域を示しており、組織が総合的な視点からCSR活動を計画、実施、評価するための枠組みを提供してくれています。
ISO9001・IATFとISO26000の関連性
では、ISO9001やIATFの運用において、なぜISO26000が重要なのでしょうか?
ISO9001やIATFは品質管理に重点を置いていますが、ISO26000はその範囲を広げ、社会全体への影響を考慮します。
つまり、ISO26000を取り入れることで、企業は品質管理だけでなく、社会的責任も同時に果たすことができます。
これは、企業の信頼性と評価を向上させ、組織の持続可能性を高める効果があります。
また、ISO26000を適用することで、企業は利害関係者に対するコミュニケーションを強化し、社会的な課題に対する取り組みを明確にすることができます。
これにより、企業は自身のビジョンを共有し、ステークホルダーとの関係を強化することができます。
ISO26000:まとめ
ISO 26000は、企業の社会的責任(CSR)に関する国際規格であり、その最も特徴的な内容は、7つの原則と7つの中核主題を通じて、企業が社会や環境に対する責任を包括的に果たすことを求める点です。
これには、人権の尊重、労働慣行、環境保護、消費者問題への対応などが含まれ、ISO 26000は、具体的なガイドラインを提供し、企業が業界や規模を問わず、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
これにより、貴社のCSR活動を体系的に計画し、実行することが可能になっていただければ幸いです。
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