
今回はIATF16949:5.1.1.1の企業責任の規格解釈、構築ポイントについて解説いたします。
皆さんの会社では、会社の中で企業責任方針を定め、社会及び環境問題に対して取り組む活動は行われていますか?
今後自動車業界では、電気自動車が加速していく新たな市場となり、世界中で大きな期待を背負うこととなります。
また政府からも期待されていくでしょう。
つまり、自動車業界全体で企業責任は大きくなっていきます。
今回の記事は、IATF16949:5.1.1.1の企業責任の規格解釈、構築ポイントについてわかりやすく解説いたします。

条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
5.1.1 | 一般(リーダーシップ) | ○ | ○ |
5.1.1.1 | 企業責任 | ○ | |
5.1.1.2 | プロセスの有効性及び効率 | ○ | |
5.1.1.3 | プロセスオーナー | ○ | |
5.1.2 | 顧客重視 | ○ | ○ |
5.2.1 | 品質方針の確立 | ○ | ○ |
5.2.2 | 品質方針の伝達 | ○ | ○ |
5.3 | 組織の役割・責任及び権限 | ○ | ○ |
5.3.1 | 組織の役割・責任及び権限ー補足 | ○ | |
5.3.2 | 製品要求事項及び是正処置に対する責任及び権限 | ○ |
目次
IATF16949:5.1.1.1の企業責任の規格解釈
この要求事項の意図は、自動車産業という大きな市場で、社会及び環境問題に対してサプライチェーンを通じて企業毎に責任をもって社会活動に取り組むことを意図しています。
例えば日本でも問題になったデータ不正も多々あります。
曙ブレーキ工業問題、日野自動車排出ガス不正問題など上げればきりがありません。
自動車用ブレーキの顧客向け定期検査において「不適切な行為」があったと発表した。トヨタ自動車や日産自動車など国内の自動車メーカー10社に供給していたもので、不正な検査データは11万件を超える。
日野自動車の不正について、トヨタ自動車はこうコメントする。「トヨタグループにとって法令順守(コンプライアンス)は経営の根幹。今回、日野自動車が信頼を損なう行為をしたことは遺憾だ。
これら企業は、日本のトップメーカーでありながら不正を行い、日本の自動車産業の信頼を失うような行為を行っています。
データ改ざんなどの不正行為を行うというのは、企業倫理に大きな欠落があり大問題です。
例え不正を行ったのが仕入先だとしても、企業責任としては不正を行った企業だけではなく、取引していた会社にも問題があります。
そういった不正に繋がる行為の一つに、仕入先との贈賄(賄賂ともいう)などもあり、IATF16949:5.1.1.1項の企業責任では、贈賄防止について条文中で明確に記載されているのが特徴です。
では、どのようにこの要求事項に対応すべきか構築ポイントを次に解説します。
企業責任方針を作成する
IATF16949:5.1.1.1項の企業責任の要求事項にある通り、企業責任方針を定め実施しなくてはなりません。
何らかの形で要求事項が社内にきちんと展開され認識されていないと、不適合になってしまいます。
最低限書くべきことは、条文の中に以下のように記載されていますので、それらの構築が必要になります。
上記の3つを最低限取り込み、自社の企業責任方針をきちんと作成しましょう。次にそれぞれの意味について解説します。
①贈賄防止方針
企業の中では、賄賂を受け取り不正を行うことができる部門は多いです。
例えば取締役や会計部、購買部や品質管理部(仕入先との関係がある場合)など、何らかの関係で賄賂受け取れる部門は多いです。
そういった部門の中でも特に購買部の賄賂の問題は多く、仕入先との蜜月な関係がある場合は注意が必要です。
贈賄防止方針をきちんと定め、贈賄を行った者に対して厳しく処罰する仕組みを構築することは、企業責任として重要なことです。
仕入先と公正な取引を行うことは、従業員が安心して働く上でも大事なことなので、贈賄防止方針・CSR調達方針などを定め、運用するようにしましょう。
私が調べてよかったCSR調達方針は以下の企業が参考になると思います。
参考サイト:三菱ケミカルホールディングス_CSR調達方針
②従業員行動規範
従業員行動規範を定めることは、企業成長において非常に重要な基盤となるのできちんと定めましょう。
一定の基準をきちんと定めることは、従業員とともに自社が目指す事業戦略や方針を進める中で、どのような行動をとるべきかの全社統一を図る重要な基準です。
取り込むべき従業員行動規範のイメージを下記に記載しますが、企業の文化・形態によって異なるため、自社にあった形で記載することをおすすめします。
(2)労働:強制労働・児童労働・差別の廃止
(3)環境:環境にやさしい技術を推進する活動
(4)反社:反社会的勢力との繋がりを防止
(5)贈賄:汚職の防止
③倫理的上申方針(内部告発方針)
企業体質がよい会社は、倫理的上申方針(上司へ報告)を定め、話しやすい環境を整えている会社が多いです。
例えば、パワハラ防止アンケートや従業員満足度調査などが倫理的上申方針として実証できる仕組みの一つと捉えることができます。
大事なことは、上申者が躊躇するこなく上申できる仕組みです。
規則だけ作って上申できない仕組みは、IATF16949の推進を行う中で弊害です。
①②③の内容をきちんと理解し、組織内で責任者をきちんと定め、必要に応じて権限移譲ができる仕組みを構築する必要があります。
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IATF16949:5.1.1.1_企業責任の対応はどこに記載すればいい?
IATF16949:5.1.1.1項の企業責任の対応は、前述の通り最低限の3つの内容が書かれ、きちんと取り組まれていることが大事です。
多くの企業では、コンプライアンス方針(法令遵守。特に企業活動において社会規範に反することなく,公正・公平に業務遂行する為の企業内の方針)が定められている場合があるので、そういった方針があれば、そのルールブックに記載すればOKです。
ない場合は、品質マニュアルの条文の下に取り組みを記載したり、必要に応じてHPに記載するなど書き方は色々です。
企業責任といった部分をどこに書いているかが分かれば、品質マニュアル内の5.1.1.1の条文の下に記載されている箇所を明記するとよいでしょう。
IATF16949:5.1.1.1の企業責任:まとめ
IATF16949:5.1.1.1項の企業責任の規格解釈および構築ポイントは如何でしたでしょうか?
自動車産業は市場が大きく、多くの企業が参入したいといった思いが強い業界です。
つまり、拡大していく自動車産業は、社会との密接なつながりがあり、環境を配慮した高品質で安心して乗れる乗り物としてお客様に利用いただく必要がある業界と言えます。
その為には、自動車産業に関わる企業の責任は、サプライチェーンを通じてきちんと管理された状態にあることが望ましいです。
今回の要求事項である「企業責任」について、社内できちんと定め行動することが非常に重要です。
それではまた!
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