ISO9001認証の一時停止や取り消しは、企業にとって大きな問題となるはずですが、それは同時に組織の強化と品質向上のチャンスとも言えます。
本記事では、認証が一時停止または取り消される主な理由と、そのような状況を避けるための予防策、さらには認証を取り戻すための具体的なステップを解説します。
ISO9001の認証を維持し、品質管理システムを強化することの重要性を、具体的な対策と共に紹介していきます。
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解(公式に認められたものではない)となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
目次
ISO9001認証とは?
ISO9001認証は、世界的に認知された品質マネジメントシステム(QMS)の規格であり、この規格の主な目的は、組織が一貫して顧客および関連する規制要求事項を満たす製品やサービスを提供できるようにすることにあります。
ISO9001の基本原則
ISO9001の基本原則には、顧客焦点、リーダーシップ、人材への関与、プロセスアプローチ、改善、事実に基づく意思決定、および関係管理が含まれます。
これらの原則は、組織がその業務を最適化し、顧客満足度を高めるための強固な基盤を提供します。
ISO9001認証のメリット
ISO9001認証を取得することで、組織はその品質管理プロセスが国際的なベストプラクティスに沿っていることを証明できます。
これは、顧客との信頼関係を強化し、新規および既存の市場へのアクセスを改善するのに役立ちまた、内部運営の効率化により、コスト削減と運営の効率化が期待できます。
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ISO9001認証の一時停止・取り消しとは?
ISO9001認証の一時停止と取り消しは、認証機関によって認証維持の要件が満たされていないと判断された場合に発生する処置ですが、その性質と影響には大きな違いがあります。
一時停止
一時停止は、認証された組織がISO9001の要件を一時的に満たしていない、または監査で指摘された不適合事項を指定期間内に是正できない場合に発生します。
この状況は一般的に一時的であり、組織が特定の問題を解決し、適合性を再確認できれば、認証は再び有効となります。
一時停止期間中、組織はISO9001認証を宣伝する権利を失いますが、この状態は解決可能であり、完全な認証取り消しには至りません。
取り消し
一方で、認証の取り消しは、組織が重大な違反を犯したり、一時停止状態からの回復が見られない場合に発生します。
これには、ISO9001の基準に対する長期的な非適合や、認証機関の要求に対する無反応などが含まれます。取り消しは、組織がISO9001の基準を実質的に満たしていないと認識されるため、再認証を受けるためには新たな監査プロセスを完全にやり直す必要があります。
一時停止と取り消しが発生する一般的な条件には、内部の品質管理プロセスの重大な不適合、顧客からの重大なクレーム、法令・規制違反、監査での繰り返し発見される不適合などがあります。
組織は、これらの状況を避け、ISO9001認証の価値を維持するために、継続的な内部監査と品質管理プロセスの改善に努める必要があります。
一時停止・取り消しの主な理由TOP3
ISO9001認証の一時停止や取り消しは、企業にとって大きな影響を及ぼすため、これらの状況を避けることが重要です。
以下では、一時停止と取り消しの主な理由をTOP3で紹介し、特に自動車業界における最近の不正事例にも触れていきます。
一時停止理由:TOP3
順位 | 理由 |
監査での不適合事項の未解決 | 監査で指摘された不適合事項に対して、指定された期間内に適切な是正措置を講じない場合、認証が一時停止される可能性があります。 |
品質管理システムの運用不備 | ISO9001の要求する品質管理システムの継続的な運用がなされていない、または運用が不十分である場合に一時停止されることがあります。 |
重要な顧客クレームの増加 | 顧客からの重大なクレームが増加し、それに対する効果的な対策が講じられていない場合、一時停止の原因となることがあります。 |
認証取り消し理由:TOP3
順位 | 理由 |
長期間の非適合の継続 | 一時停止状態から改善が見られず、長期間にわたってISO9001の基準に適合していない場合、認証が取り消されることがあります。 |
偽の記録やデータの提出 | 監査プロセス中に虚偽の記録やデータが提出されたことが発覚した場合、誠実性の欠如とみなされ、認証の取り消しにつながります。 |
法令・規制違反 | ISO9001の要求事項だけでなく、関連する法規制や業界基準に違反している場合、認証の信頼性が損なわれ、取り消しの対象となります。 |
自動車業界における不正事例
最近では、自動車業界での不正が注目されています。例えば、排ガス試験のデータ改ざんや安全基準の不適合など、重要な品質基準に適合していないにも関わらず、それを隠蔽する行為が発覚しています。
これらの不正行為は、ISO9001認証の取り消しに加え、企業の信頼性とブランド価値に重大な損害を与えることになります。
認証の一時停止や取り消しを避けるためには、組織がISO9001の基準に真摯に取り組み、継続的な改善と適合性の確保に努めることが不可欠です。
特に、自動車業界のように高い公共の関心がある分野では、透明性と誠実性がさらに重要となります。
一時停止・取り消しからの復帰プロセス
ISO9001認証の一時停止や取り消しを経験した企業が認証を取り戻すための復帰プロセスは、組織が直面している特定の問題を是正し、品質管理システムの適合性を再度証明することを必要とします。
以下に、復帰プロセスの具体的なステップを紹介します。
一時停止からの復帰プロセス
ステップ | 内容 |
不適合事項の詳細な分析 | 一時停止の原因となった不適合事項を詳細に分析し、根本原因を特定します。 |
是正措置と予防措置の実施 | 根本原因に対処するための是正措置と予防措置を計画し、実施します。このプロセスには、関連する従業員への再教育やプロセスの改善が含まれる場合があります |
内部監査の実施 | 是正措置と予防措置が効果的であることを確認するために、内部監査を実施します。 |
認証機関への報告 | 実施した是正措置と予防措置、および内部監査の結果を認証機関に報告します。 |
フォローアップ監査 | 認証機関がフォローアップ監査を行い、是正措置が適切に実施され、ISO9001の要求事項に適合していることを確認します。 |
認証の復帰 | 認証機関からの承認を受けた後、認証の一時停止状態が解除されます。 |
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取り消しからの復帰プロセス
ステップ | 内容 |
新たな品質管理システムの構築 | 認証取り消し後は、しばしば品質管理システムの全面的な見直しや再構築が必要となります。 |
全社的なコミットメントの再確認 | 経営層から従業員まで、品質向上へのコミットメントを全社的に再確認します。 |
教育とトレーニング | ISO9001の要求事項に準拠した運用を保証するため、従業員に対する教育とトレーニングを実施します。 |
内部監査の実施 | 新たな品質管理システムの有効性を確認するために、内部監査を実施します。 |
認証機関による再認証監査の申請 | 全ての準備が整ったら、再認証のための監査を認証機関に申請します。 |
再認証 | 再認証監査に合格すれば、ISO9001認証を新たに取得します。 |
一時停止や取り消しの状態から復帰するプロセスは、組織にとって厳しいものになる可能性がありますが、これを機に品質管理システムの全面的な見直しと改善を行う絶好の機会と捉えることが重要です。
復帰プロセスを通じて、組織はより強固な品質基準を確立し、長期的な顧客満足と組織の持続可能性を向上させることができます。
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ISO9001認証一時停止・取り消しがなぜ起こる?:まとめ
ISO9001認証の一時停止や取り消しは、企業にとって重要な警鐘ですが、同時に品質管理システムを見直し、改善する大きな機会でもあります。
この試練を乗り越えることで、組織はより強固な基盤の上に立ち、顧客満足度を高め、市場での競争力をさらに強化するチャンスになることもあります。
品質への継続的なコミットメントと改善は、持続可能な成長への道を切り拓く鍵です。ISO9001の道を歩むことで、品質管理の新たなステージを目指しましょう!
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