品質管理が鍵を握る製造業において、ISO9001やIATF16949の取得を目指す貴社に向けて、今回は「抜き取り検査」について詳しく解説します。
抜き取り検査は、製品品質を保証する上で欠かせない工程です。この記事を通じて、抜き取り検査の全貌とその実施方法を理解し、より良い品質管理につなげていただければ幸いです。
【人気商品ベスト5】
🥇:【教材】ISO9001+IATF16949のWebサイトの記事の電子書籍@PDF版
🥈:【教材】VDA6.3:第4版_規格徹底解説!全プロセス完全網羅版
🥉:【まとめ買い】IATF16949用:内部監査必須帳票6点セット
🎖:【帳票】No.71511-1_GageR&R解析ツール
🎖:【帳票】No.6123_緊急事態対応計画一覧表
目次
抜取検査がなぜ製造業で大事なのか
製造業において「抜き取り検査」は、生産ラインから一部を抽出して品質を検査する方法です。全数検査が現実的でない場合、抜き取り検査は必須のプロセスとなります。
「合格」か「不合格」かを判断するための基準を設け、製品の特性を評価するのが一般的です。この検査は、問題が発生した場合に早期に対策を立てることができ、品質管理を保つ重要な役割を果たします。
抜取検査の国際規格と日本の規格とは?
抜き取り検査の規格は、国際的にはISO2859シリーズがあり、日本ではJIS Z 9015がそれに対応します。
これらの規格は、サンプルサイズ、判定基準、ロットサイズの決定方法など、抜き取り検査を実施する上での通常の基準を提供します。
また、検査の目的や製品の特性、製造状況などを考慮した適切な検査水準を選択するためのガイダンスも提供しています。
次に、日本の製造業でよく耳にする「JIS Z 9015」とは何かを見ていきましょう。
よく耳にするJISZ9015とは何?検査の種類とは?
JISZ9015は、抜き取り検査の方法を定めた日本の規格です。
サンプル数や検査水準の選択、合格判定基準の設定方法などを詳細に定めています。この規格を理解し、適切に活用することで、製造業での品質管理を効率的かつ正確に行うことが可能となります。
次に、抜き取り検査で用いられる検査方式について見ていきましょう。
規準型抜き取り検査
規準型抜き取り検査は、製品や部品の一部をランダムに選び出し、そのサンプルに対して検査を行う方法です。
【どんな時に使う?】
この手法は、全数検査が難しい場合やコスト削減が求められる場合に適用されます。
【どのように評価する?】
検査結果に基づいて、ロット全体の品質を判断し、基準に合格するかどうかを評価します。規準型抜き取り検査には、抜き取り数や合格・不合格の基準が事前に設定されており、品質管理の効率を高めるとともに、不良品の発生を抑える効果があります。
調整型抜き取り検査
調整型抜き取り検査は、製品や部品の品質を評価するための柔軟な検査手法で、検査結果に応じて検査基準やサンプルサイズを調整する仕組みです。
【どんな時に使う?】
この方式では、初期の検査で不良が多く発見された場合、サンプルサイズを増やす、または基準を厳しくすることで、品質リスクを低減させたい場合に使用します。
【どのように緩和する?】
一方で、良好な結果が続く場合には、サンプルサイズや基準を緩和し、検査負担を軽減します。調整型抜き取り検査は、品質管理の効率を高めつつ、品質保証を維持するために使用されます。
選別型抜き取り検査
選別型抜き取り検査は、大量生産された製品の品質を評価するために用いられる検査手法の一つです。
【どんな時に使う?】
この方法では、全ての製品を検査するのではなく、一定のロットからサンプルを抜き取り、そのサンプルの品質を評価することで、ロット全体の品質を推定したいときに使います。
【どのように評価する?】
選別型抜き取り検査では、不良品が発見された場合、ロット全体を精査して不良品を取り除くか、ロット全体を不合格と判断します。この検査は、コストや時間を削減しつつ、品質の維持を図るために効果的です。
ただし、サンプルの選び方や数によって、検査結果の信頼性が左右されるため、適切なサンプリング計画が重要です。
連続生産型抜き取り検査
連続生産型抜き取り検査は、製品が生産ラインを流れていく中で、ランダムに一定の割合で製品を抜き取り、品質検査を行う方法です。
【どんな時に使う?】
この手法は、全数検査が難しい大量生産に適しており、生産の進行を止めずに品質を管理することができます。
【どのように評価する?】
抜き取ったサンプルの品質が基準を満たしていれば、生産ライン全体の品質も一定以上と判断されますが、基準を満たさない場合は、工程に問題があると考えられ、原因の特定と対応が求められます。
抜き取り検査は、コストや時間の節約にも寄与し、製品の品質保証を効率的に行うために広く利用されています。
ロットサイズと抜き取り検査
ロットサイズとは、製品が一括で生産、取り扱い、または検査される単位を指します。具体的には、一度に生産される製品の数量、一度に出荷や配送される製品の数量、または一度に検査される製品の数量が該当します。
このロットサイズは、製造プロセス全体の最適化や在庫管理、品質管理に直接影響を与えるため、製造業において重要な意思決定要素の一つです。
適切なロットサイズの設定により、生産の効率性を高め、在庫の適正管理を行い、品質管理の精度を向上させることができます。したがって、ロットサイズの決定は、製造業の運営において非常に重要な意味を持ちます。
ロットサイズが抜き取り検査に与える影響
抜き取り検査では、ロットサイズが抜取数と合格判定数の決定に直接影響を与えます。
【ロットサイズが大きいとどうなる?】
ロットサイズが大きくなると、そのロットから抜き取る検査対象の製品数(抜取数)も増えます。これは、大規模なロットであれば、より多くのサンプルを検査することで、全体の品質を正確に評価する必要があるからです。
【ロットサイズが小さいとどうなる?】
一方で、ロットサイズが小さい場合、抜取数は減少します。これは、小規模なロットでは限られた数の製品しかないため、抜取数を増やすと全数検査に近づき、コストや時間が増大するリスクがあるためです。
抜取数の適切な設定が必要となり、ロットサイズの決定は品質管理の効率性にも大きく影響を与えます。その為、生産高いからロットサイズをきちんと考えておかないと、検査工数が跳ね上がってしまいます!
ロットサイズが生産効率に与える影響
ロットサイズの決定は、製造コスト、在庫管理、納期管理、品質管理など多くの要素を考慮して行われます。
【ロットサイズが大きいとどうなる?】
例えば、大きなロットサイズを選択すると、生産効率が向上する一方で、在庫管理の負担が増加し、在庫リスクも高まります。また、ロットサイズが大きい場合、不良品が発生した際にその影響が大きくなり、大量の不良品が生産されるリスクもあります。
【ロットサイズの決定ポイントとは?】
そのため、製品の特性、製造プロセス、需要の変動、市場の状況などを総合的に考慮し、適切なロットサイズを設定することが重要です。ロットサイズの適切な決定は、製品の品質維持と製造効率のバランスを取るために不可欠であり、製造業全体の運営に大きな影響を及ぼします。
AQL(合格品質水準)はどのように選択するの?
AQL(Acceptable Quality Level、合格品質水準)は、品質管理において、ロット内の不良品の割合が許容できる最大の水準を示す指標です。
AQLは、サンプリング検査において、抜き取ったサンプルの中に一定数以上の不良品が含まれている場合、そのロット全体を不合格と判定する基準となります。
AQLの値は、製品の種類や使用目的、そして顧客の品質に対する期待に基づいて決定されます。
AQLの選択①:製品の重要度
AQLの選択においては、まず製品の重要度が考慮されます。例えば、安全性が重視される医療機器や航空機部品などの場合、非常に低い不良率が求められます。そのため、AQL値も厳格に設定され、より少ない不良率が許容されることになります。一方、一般消費財など、使用によるリスクが低い製品では、AQL値が高めに設定されることがあり、ある程度の不良品が許容される場合もあります。
AQLの選択②:使用目的・顧客の期待
また、AQLの選択には、製品の使用目的や顧客の期待も重要な要素となります。製品の品質に対する顧客の要求が高ければ、より厳しいAQL値を設定し、不良品が発生する可能性を最小限に抑えます。このように、AQLを適切に設定することで、製品の品質と製造コストのバランスを取り、顧客満足度を維持しながら効率的な生産を実現することが可能です。
AQLは品質管理の重要なツールであり、企業の品質方針や顧客ニーズに応じて慎重に選択・設定されることが求められます。
検査水準の選択と意味
検査水準の選択は、抜き取り検査の対象となるサンプルのサイズを決定し、製品の品質を確保するために重要な要素です。
製品の重要性や顧客の期待、製造プロセスに影響を与える要素を考慮して、適切な検査水準を選択することで、検査の効率と正確性をバランスよく保つことができます。
なみ検査・きつい検査・ゆるい検査の意味と使い方
検査水準には「なみ検査」「きつい検査」「ゆるい検査」の3つのレベルがあります。これらは製品の品質状況やリスクに応じて調整されます。
- なみ検査(Normal Inspection):
通常の品質管理を行う水準で、製品の品質が安定している場合に適用されます。 - きつい検査(Tightened Inspection):
品質問題が発生した場合やリスクが高まった場合に行う厳格な検査で、より多くのサンプルを抜き取り、不良品の発見確率を上げます。 - ゆるい検査(Reduced Inspection):
一貫して高品質が維持されている場合に適用される緩やかな検査で、抜取数を減らし、コストと時間を節約します。
これらの検査水準は、製品の品質状況に応じて移行し、品質管理の効率と効果を最大化します。
抜取表・抜取数・合格判定数の決定方法
次に抜き取り検査において、抜取表を使用して抜取数と合格判定数を決定します。
- 抜取表の利用:
ロットサイズ、検査レベル、AQL(合格品質水準)に基づいて、抜き取り検査の計画を立てます。抜取表は、抜取数(検査する製品の数)と合格判定数(許容される不良品の上限数)を決定するための基準です。 - 抜取数の決定:
ロットサイズが大きいほど抜取数が多くなり、検査レベルが高いほど厳格な検査が行われます。品質とコストのバランスを保つために、適切な抜取数を選定します。 - 合格判定数の決定:
AQLに基づいて、不良品の許容範囲を設定し、抜取数の中で許容される不良品数を決めます。これにより、品質基準を守りつつ、コスト管理も行います。
【重要】検査方法の切り替えタイミング
検査方法の切り替えは、製品の品質状況や生産状況に基づいて行われます。例えば、品質問題が発生した場合には、きつい検査に切り替えて品質を強化し、安定した品質が維持された場合には、ゆるい検査に移行することが可能です。また、製造プロセスや製品特性が変化した際にも、適切な検査方法に見直す必要があります。
JISZ9015-1の活用
JISZ9015-1は、抜き取り検査の基準を示す規格であり、これに従うことで公正で信頼性の高い検査が実施できます。この規格を理解し、組織内で共有することが、品質管理の改善に役立ちます。また、規格に基づく検査を実施し、その効果を定期的に評価することで、品質管理の向上が図れます。
不合格品(ロット)の処理方法
不合格とされたロットについては、再検査や修正、廃棄などの処理を行う必要があります。これらの処理方法は、製品の特性や顧客の要求に応じて選択されます。適切な不合格品の処理は、品質管理の一環として重要であり、製品の信頼性を維持するために欠かせません。
以上のように、検査水準の選択、抜取表の利用、検査方法の切り替え、不合格品の処理など、各プロセスを適切に管理することで、品質管理の効率と効果を最大化することができます。
まとめ:抜き取り検査とIATF16949・ISO9001の関係
最後に、本記事を通じての学びをISO9001とIATF16949に結びつけてみましょう。
ISO9001は、組織が顧客満足度を高めるための品質管理システムを構築・運用するための基準であり、IATF16949は自動車業界向けの品質管理システムの基準です。
これらの基準は、組織が製品やサービスの品質を確保し、継続的に改善するためのフレームワークを提供します。
本記事で解説した抜き取り検査は、そのフレームワークの中で重要な役割を果たします。
製造プロセスから抽出したサンプルに基づいて品質を評価し、その結果に基づいて品質改善の取り組みを行うことで、組織はISO9001とIATF16949の要求を満たし、製品の信頼性と顧客満足度を向上させることができます。
有料コンサルタントのような顔を突き合わせてのコンサルティングがなく、Emailで24時間好きな時間に質問できるのが特徴です。また、リアルタイムでの対応が無い分、一般的なコンサルタントへ依頼するより 1/100以下のコストで済むという特徴があります。
【こんなご利用増えてます!】
①IATF16949・ISO9001取得のための契約コンサルタント以外の意見を聞いてみたい。 ②認証取得はしたけど、維持・管理が大変で相談したいことがある。 ③アドバイス事項をあとから見返せるので、メールコンサルを利用したい。 ④現地コンサルより低コストで相談したい。 ⑤VDA6.3の構築方法を相談したい。 |
【👑お問い合わせ特典👑】
ISO9001/IATF16949/VDA6.3のメールコンサルティングサービスへのお問い合わせ頂いたお客様には、1週間の無料お試し期間がございますので、十分ご納得いただいてからのご利用が可能です!
※ご利用の場合は、必ず事前にお問い合わせいただきますようお願いします。
※現地コンサルは人気のため一時的に募集を停止しております。申し訳ございません。
【弊社販売中商品のご案内】
ISO9001:関連商品一覧
【人気】構築ノウハウ書籍 | ⇒商品はこちら |
ISO9001:専用ノウハウ帳票 | ⇒商品はこちら |
IATF16949:関連商品一覧
【人気】構築ノウハウ書籍 | ⇒商品はこちら |
IATF16949:構築ノウハウ帳票 | ⇒商品はこちら |
IATF16949:コアツール帳票 | ⇒商品はこちら |
IATF16949:専用サンプル規定 | ⇒商品はこちら |
VDA6.3:関連商品一覧
【人気】構築ノウハウ書籍 | ⇒商品はこちら |
VDA6.3とIATF16949:要求事項対比表 | ⇒商品はこちら |