自動車開発は、非常に複雑で多段階のプロセスを経て行われます。新しい車両の開発は、初期の設計段階から始まり、最終的な量産車の製造に至るまで、数多くの試作車が製造されます。これらの試作車は、設計や性能、安全性などの様々な面での確認と改善のために不可欠です。
今回の記事は、自動車開発における専門用語である「段確、品確、量確」を基に、各プロセスの役割について解説します。
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解(公式に認められたものではない)となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
目次
自動車開発は大変!
自動車開発は非常に複雑で、多くのステップを経て最終的に量産車が製造されます。まず、初期段階では新しい車両のコンセプト設計が行われ、その後、詳細な設計や試作車の製造に進みます。
試作車は、新しいデザインや技術が実際の運転環境でどのように機能するかを確認するために重要です。これにより、設計の問題点や改善点が明らかになります。試作車の製造段階では、「段確」「品確」「量確」といった各ステップで異なる評価が行われます。最終的に、全ての確認が完了し、品質と性能が確保された段階で、量産車の製造に移行します。
このプロセスは、新しい車両が市場で成功するために欠かせないものであり、自動車メーカーの競争力を支える重要な要素となっています。
試作車製造のプロセス
試作車製造のプロセスは、新しい自動車が市場に出る前に行われる重要なステップです。このプロセスは主に三つの段階に分かれます。
まず、「段取り確認(段確)」では、初期の試作車が製造され、設計や組み立て方法が適切かどうかを確認します。この段階で使用される部品や金型は暫定的なもので、設計のフィードバックを基に改善が行われます。
次に、「品質確認(品確)」の段階に進みます。このステップでは、量産に使用する本型を用いて製造された部品が評価され、品質や性能が基準を満たしているかを詳細にチェックします。
最後に、「量産確認(量確)」では、実際の量産工程で使用する設備やプロセスを用いて最終確認が行われます。ここでの評価がクリアされれば、量産開始(SOP)に向けた準備が整います。
これらのステップを経ることで、最終的な量産車の品質と信頼性が確保されます。
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段確、品確、量確の詳細
段確:初期試作イベントの詳細と使用する金型の種類
段取り確認(段確)は、自動車開発プロセスにおける初期試作イベントです。この段階では、設計図や3Dモデルを基に試作車を製造し、実際の製造プロセスをシミュレーションします。使用される金型は暫定型や試作型と呼ばれ、最終的な量産型とは異なり、設計の柔軟性を持たせるために簡易な構造となっています。段確の目的は、設計や組み立て方法が実際に機能するかを確認し、必要な改善点を洗い出すことです。この段階でのフィードバックは、後続の品確や量確のステップに向けての重要な基盤となります。
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品確:品質確認のプロセスと使用する本型
品質確認(品確)は、段確の次に行われるステップで、量産に向けた準備が進む重要な段階です。このステップでは、実際に量産で使用される本型を用いて部品を製造し、その品質や性能を厳密にチェックします。品確の目的は、量産時に発生し得る問題を事前に洗い出し、品質基準を確立することです。具体的には、部品の寸法精度、素材の強度、組み立ての一貫性などが評価されます。品確を通じて得られたデータは、製品の最終的な品質保証のための重要な情報源となります。
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量確:量産確認とその後のSOP(量産開始)
量産確認(量確)は、試作車製造プロセスの最終段階であり、量産開始(SOP)に向けた最終調整が行われます。このステップでは、実際の量産ラインを使用して製造された部品や車両を評価し、量産工程全体の安定性と効率を確認します。量確では、製品が量産ラインで連続的に生産される中で、品質や性能が一貫して高いレベルで維持されるかを検証します。ここでの確認が完了すれば、正式に量産が開始され、SOP(Start of Production)に移行します。量確は、製品が市場に出る前の最終チェックポイントとして、非常に重要な役割を果たします。
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自動車開発におけるIATF16949の役割
IATF16949は、自動車業界における品質管理の国際規格であり、世界中の自動車メーカーや部品サプライヤーが採用しています。この規格は、製品の品質と信頼性を向上させるための具体的な要件を提供し、組織の品質マネジメントシステムの改善を促進します。
自動車開発プロセスにおいて、IATF16949は特に段確、品確、量確の各ステップで重要な役割を果たします。段確では、初期段階での設計や製造プロセスのリスクを評価し、問題を未然に防ぐための手法を提供します。品確の段階では、量産用の部品が規定の品質基準を満たしているかを詳細に確認するプロセスが標準化されており、これにより品質の一貫性が保たれます。量確では、実際の量産工程において品質管理の手順が厳密に適用され、生産の安定性と効率性が確保されます。
IATF16949の適用により、自動車メーカーは高品質な製品を市場に提供し、顧客満足度を向上させることが可能となります。
自動車開発は大変!:まとめ
自動車開発は複雑で多岐にわたるプロセスを経て行われます。試作車製造の各段階である段取り確認(段確)、品質確認(品確)、量産確認(量確)は、設計の実現性と製品の品質を確保するために不可欠です。
段確では初期設計の問題を洗い出し、品確では量産用の部品が品質基準を満たしているかを確認します。最終的な量確では、量産工程全体の安定性と効率を評価し、量産開始(SOP)に備えます。
さらに、IATF16949の適用により、各プロセスにおける品質管理が強化され、高品質な自動車の生産が可能となります。これらのステップと規格の適用により、自動車メーカーは市場での競争力を高め、顧客満足度の向上を実現します。
試作車製造プロセスと品質管理の徹底が、自動車開発の成功に不可欠な要素となっています。
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