【IATF16949攻略】8.3.5.2:製造工程設計からのアウトプットの要求事項徹底解説!

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項では、インプットに対しての妥当性確認・検証について、自動車産業顧客の要求を満たす結果を得るための管理をすることを意図しています。

今回の記事は、IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの意味と構築ポイントについて解説します。


この記事の実務解説
QMS認証パートナー
専属コンサルタント

H.Minamino

製造業25年・自動車業界15年以上の実務経験

IATF16949・ISO9001・VDA6.3を、現場で使える形に落とし込む視点で解説しています。

規格要求事項の解釈だけでなく、審査で説明できる規定づくり、現場で使える帳票、内部監査・顧客監査への対応まで、実務で迷いやすいポイントを中心に整理しています。

専門領域
IATF16949・ISO9001・VDA6.3
得意分野
規定・帳票・監査対応の実務化
支援内容
教材提供・メール相談・個別コンサル

「この解釈でよいのか」「自社の規定や帳票にどう反映すればよいのか」と迷った場合は、QMS認証パートナーの教材・相談メニューもご活用ください。


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第8章:運用(8.1~8.3.6.1)についての「要求事項リスト」はこちら
ISO・IATF 8章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善

※8.1項~8.3.6.1項は主に、①営業プロセス②製品設計プロセス③工程設計プロセスが関係します。

条項 題目 ISO
9001
重要
帳票
IATF
16949
重要
帳票
8.1 運用の計画及び管理
8.1.1 運用の計画及び管理-補足
8.1.2 機密保持
8.2.1 顧客とのコミュニケーション
8.2.1.1 顧客とのコミュニケーション-補足
8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
8.2.2.1 製品及びサービスに関する要求事項の明確化-補足
8.2.3.1 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
8.2.3.1.1 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー補足
8.2.3.1.2 顧客指定の特殊特性
8.2.3.1.3 組織の製造フィージビリティ
8.2.3.2 題目無(レビュー結果の保持ルール)
8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
8.3.1 製品及びサービスの設計・開発
8.3.1.1 製品及びサービスの設計・開発-補足
8.3.2 設計・開発の計画
8.3.2.1 設計・開発の計画-補足
8.3.2.2 製品設計の技能
8.3.2.3 組込みソフトウェアを持つ製品の開発
8.3.3 設計・開発へのインプット
8.3.3.1 製品設計へのインプット
8.3.3.2 製造工程設計へのインプット
8.3.3.3 特殊特性
8.3.4 設計・開発の管理
8.3.4.1 監視
8.3.4.2 設計・開発の妥当性確認
8.3.4.3 試作プログラム
8.3.4.4. 製品承認プロセス
8.3.5 設計・開発からのアウトプット
8.3.5.1 設計・開発からのアウトプット-補足
8.3.5.2 製造工程設計からのアウトプット
8.3.6 設計・開発の変更
8.3.6.1 設計・開発の変更-補足

当サイトの情報提供スタンスについて

当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています

規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。

記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項解説

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットでは、組織は、製造工程設計からのアウトプットを、製造工程設計へのインプットと対比した検証ができるように文書化する要求をしています。

インプットとアウトプットの対比なので、製造工程設計プロセスのタートル図:タートルチャートが必要です。

【IATF16949攻略】8.3.5.2:製造工程設計からのアウトプットの要求事項徹底解説!①

次に、各要求事項について見ていきましょう。

a)仕様書や図面

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項でいう仕様書や図面なので、これは製造工程における工程設計仕様書及び工程図面を意図しています。特に、金型図面や自動機開発などがあればその図面・治工具設計があればそれらの図面などもが該当します。製品検査においては、「検査仕様書・検査規格書」なども該当します。

何をアウトプットすべきかは、プロジェクト管理規定・プロジェクト管理表などで管理項目を決めておくことが必要です。

b)製品や製造工程における特殊特性

製品設計段階では、顧客指定の特殊特性および製品設計者指定の特殊特性がありましたが、製造工程設計段階では、工程設計者指定の特殊特性がアウトプットされます。PFMEAによって抽出された特殊特性は、特殊特性管理一覧などにより展開される必要があります。

また、その特殊特性の記号は、各書類に明記される必要があるので、漏れがないように記載しましょう。

【IATF16949攻略】8.3.5.2:製造工程設計からのアウトプットの要求事項徹底解説!②

特殊特性は選定基準と「FMEA・コントロールプランとのひも付け」が重要。重要特性の根拠と管理の連動は〔コントロールプラン&特殊特性特定表〕で整理できます。

c)工程変数の特定

IATF:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項でいう「工程変数の特定」の意味は、製品に影響する工程パラメーターを特定することを意図しています。例えば圧力・温度・湿度など製品に影響する工程パラメータを特定する必要があります。特定結果は、作業標準書・検査規格書・コントロールプランなどにもれなく記載することが重要です。

コントロールプランは「どの項目をどの粒度で書くか」と工程フロー・管理特性との整合が要点。記載の抜け漏れ確認は〔QC工程図(コントロールプラン)チェックリス〕で進められます。

d)工程能力調査済みの設備・治工具・測定機器のリスト

IATF:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項で特に重要な内容なので漏れがないようにしてください!この要求事項は、量産移行後に管理される設備・治工具・測定機器を特定し、IATF:8.5.1.6項の生産治工具並びに製造、試験、検査の治工具及び設備の運用管理で管理される項目となるのでとても重要です。

また、単純にリストだけ準備するのではなく、工程能力調査が行われた結果が提出できるリストが必要です。検証記録はマストなので、リスト内のものすべて工程能力調査を実施してください。

e)工程フローとフロアマップ

これは、IATF:7.1.3.1項の工場・施設及び設備の計画に沿った工程設計の記録が必要です。特に新設備を導入するようなプロジェクトでは、必須要求になるので必ず実施してください。

・既存工程に新設備を導入した流れ図
・新設備までの材料の流れ
・新設備の工程占有率

など、7.1.3.1項に基づきしっかり確認を行ってください。

施設・設備・治具は新設/変更時にリスクを事前検討できるかが要点。計画段階の検討項目と管理方法は〔工場・施設・設備計画検討書〕で整理できます。

f)生産能力の調査結果

この意味は、IATF:8.2.3.1.3項の組織の製造フィージビリティの生産能力分析結果が正しいことが検証された結果を意図しています。例えば、Run@Rateなどを実施して確実に生産できる証拠を準備することになります。

Run@Rateとは?
生産能力分析で検討したあるいは、決められた時間内に連続生産して期待したアウトプットが出せているかどうかを判断するトライアル生産のことを意味します。欧州自動車顧客の場合、頻繁に出てくる単語なので覚えておきましょう。
Run@Rateとは?IATF/VDA6.3で求められる量産能力確認テストを解説

g)製造工程のFMEA

【IATF16949攻略】8.3.5.2:製造工程設計からのアウトプットの要求事項徹底解説!③

完成された工程FMEA(P-FMEA)をアウトプットにする必要があります。特に、PFMEAの予防処置欄で高リスク事象の数値が下がっていることを確実にすることが求められるので注意してください。審査・監査で指摘されやすい内容です。

関連記事

h)保全計画及び指示書を引き渡す

この内容は、IATF:8.5.1.5項のTPMで規定した保全計画が必要です。量産移行後の管理項目となるので、しっかり準備しましょう。特に、摩耗や劣化などを考慮された保全計画でないと指摘になるので要注意!

【帳票:教材】No.8515_設備・保全管理表

i)2つのコントロールプラン

IATF:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項では、量産試作段階のコントロールプラン・量産段階のコントロールプラン二つが該当します。どちらが必要なのかは、DR3及びDR4またはDR5の段階で異なるので、フェーズごとに内容を明確にしましょう。

【IATF16949攻略】8.3.5.2:製造工程設計からのアウトプットの要求事項徹底解説!④

j)標準作業及び作業指示書

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項でいう標準作業に必要な書類などは、図面・検査指示書・コントロールプラン・製造仕様書・技術要求書に基づく作業標準書などを意図しています。この要求事項は、IATF:8.5.1.2項の標準作業-作業指示書及び目視標準に基づき作成されたものを意図しているので、要求事項をリンクさせながら確認してください。

k)合否判定基準

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項はISO9001:8.5.1項の製造及びサービス提供の管理のf)で定義された合否判定基準を意図しています。特殊工程(ようするに破壊試験が必要な工程)は、定期的な確認が必要になるので、このような工程の工程承認つまり合否判定基準が必要になります。

l)品質、信頼性、保全性及び測定性に対するデータ

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項に対応した結果として「品質・信頼性・測定性などのデータ」が必要になります。これらの結果が必要な理由は、製品設計・工程設計が正しく実施されたかの判断基準はもとより、量産移行後の監視・管理のためにも重要なデータとなるためです。IATF:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定とも強い関連要求事項でもあり、逸脱があった場合に設計段階への遡った調査の際にも活用可能になります。

ISO9001・IATF16949・VDA6.3は、条文の理解と「自社業務への落とし込み」は別物です。文書化や運用判断で生じる迷いを、内部監査・仕入先監査の抱負な実務経験をもつ立場から個別に整理することが可能です!
〔初回メール相談はこちら〕

m)ポカヨケの特性及び検証の結果

これは、工程FMEAからのアウトプットに該当し、IATF16949:10.2.4項のポカヨケの要求事項が参考になります。そのため、PFMEA内でポカヨケが必要と判断した場合は、記号を付与しておくことが重要です。

本要求事項は「有料版記事」で詳しく解説中

n)製品/製造工程の不適合の迅速な検出、フィードバック及び修正の方法

【IATF16949攻略】8.3.5.2:製造工程設計からのアウトプットの要求事項徹底解説!⑤

量産移行後に工程内で不適合が発生した場合、迅速な処置が求められます。そのため、製造工程設計者は、不適合の処置が迅速に行われる上申プロセスを含むフィードバックプロセスの設計も求められます。手順・責任を含め、コントロールプランに記載するとよいでしょう。

コントロールプランの記載場所は、一番右側の処置計画欄です。ここに処置方法と責任者を記載しておけば本要求事項の対応が可能です。

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットは、どこに記載すればいい?

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項は、プロジェクト管理規定にアウトプット項目を決め記載するとよいでしょう。アウトプットな細かなルールなどは、製造工程設計監理規定などを作成し対応することが求められます。

例えば、FMEA管理規定、特殊特性管理規定、PPAP管理規定などもそれに該当します。

「規定作成をどこから手を付ければいいか分からない」とお悩みの企業様必見!規格対応も、考え方やサンプルを参考に少しずつ整えられます。実務の規定〔IATF16949の規定サンプル〕で確認できます。

IATF16949:8.3.5.2に関するFAQ

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規格対応でよく聞かれる悩み:FAQ

ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といったお客様の声は少なくありません。

また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。

【IATF16949:FAQ】

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットに関する具体的な内容は何ですか?

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットには、仕様書や図面、製品および工程の特殊特性、工程インプット変数の特定などが含まれます。これらの項目は、製造プロセスを最適化し、顧客の要求を満たすための重要な要素です。また、検証や保全計画、コントロールプランなども適切に文書化し管理される必要があります。これらはプロジェクト管理規定の中で言及するのがポイントです!

製造工程設計のアウトプットにFMEAは必要ですか?

はい、製造工程設計のアウトプットにはFMEA(Failure Mode and Effects Analysis)が必要です。特に、製造プロセスにおける潜在的なリスクを特定し、そのリスクを低減するための対策を明確にするために、PFMEAの予防措置が重要です。このFMEAの結果は、監査や審査でもよくチェックされる項目ですので、慎重に作成し管理することが求められます。

IATF16949の製造工程設計からのアウトプットはどのように文書化すれば良いですか?

製造工程設計からのアウトプットは、プロジェクト管理規定や工程設計監理規定に基づいて文書化することが推奨されます。また、特定のアウトプット項目に関しては、FMEA管理規定や特殊特性管理規定、PPAP管理規定などに従って詳細を記載していく企業様が多いです。これにより、プロジェクトの進行中やDR(Design Review)の段階でのレビューが円滑に行われるようになります。

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプット:まとめ

IATF:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプット⑥

IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットの要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?製造工程設計の要求は、自動車産業顧客に対応した管理が求められるため、非常に高度になっています。

アウトプット項目が何かを定め、それらがDRで完全にレビューされる仕組みづくりが必要です。

それではまた!

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