IATF取得を目指す企業にとって、内部監査とマネジメントレビューは成功の鍵を握る重要なプロセスです。これらのステップがしっかりと実施されているかどうかが、最終審査の結果を大きく左右します。
特に、審査で厳しく見られるポイントに対しては、万全の対策を講じることが必要です。
この記事では、12ヶ月〜17ヶ月目の審査合格に向けて必須となる内部監査やマネジメントレビューの実施方法と、審査準備において重要なポイントについて詳しく解説します。
しっかりと対策を行い、認証取得を確実なものにしましょう!
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解(公式に認められたものではない)となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
目次
内部監査:IATF審査に向けた最後の砦
IATF認証取得の最終段階で重要な役割を果たすのが、内部監査です。
内部監査は、組織全体の品質管理体制が規格に適合しているかどうかを確認するためのプロセスであり、これを通じて、製品やプロセスに潜む潜在的なリスクや問題点を洗い出し、改善策を講じることができます。
内部監査は単なる形式的な手続きではなく、実際の運用状況を厳密にチェックし、品質管理システムの有効性を確保するための重要なツールと考えましょう。
この段階での徹底した監査が、最終審査において良好な結果をもたらす鍵となりますので、審査で見られるポイントを踏まえ次に解説します。
内部監査員の力量要件は全て満たすこと!
内部監査を効果的に実施するためには、監査員が適切な力量を持っていることが不可欠です。
監査員は、IATFの要求事項や品質管理システムに対する深い理解と、適切な監査手法を習得している必要があります。
監査員の力量要件を満たすためには、定期的なトレーニングや教育が必要であり、特に初めて監査を担当する場合は、実践的な経験を積むことが求められます。
また、監査員が独立して公平に監査を行える体制を整えることも重要です。これにより、内部監査の信頼性と精度が向上し、真の改善点を見つけ出すことが可能になります。
IATFの監査員に求められる力量は非常に高いレベルです。その要件を満たしているかどうかは、単に外部機関の監査員資格を取得したで終わらずに、段階的にレベルアップを目指すよう設定された計画と評価表があることが求められます。将来のニーズをきちんと捉えていないと指摘になる可能性があるので要注意!
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関連要求事項
監査管理規程/必要帳票はしっかり準備!
内部監査を円滑かつ効果的に実施するためには、監査管理規程と必要な帳票の準備が欠かせません。
監査管理規程は、内部監査の進め方や手順を詳細に定めたものであり、これに従って監査を実施することで、統一された基準の下での監査が可能となります。
また、監査結果を適切に記録し、後日参照できるようにするための帳票類もあらかじめ準備しておくことが重要です。これらの帳票には、監査チェックリストや指摘事項の記録、改善計画のフォーマットなどが含まれます。
これらの書類を事前に準備しておくことで、監査中の混乱を避け、迅速かつ効率的に監査を進めることができます。
全てのプロセスを必ず内部監査する!
内部監査では、組織内の全てのプロセスを対象とすることが求められます。
これは、製造工程や品質管理システムだけでなく、サプライチェーン管理、物流、顧客対応など、組織全体の運営に関わるすべてのプロセスが含まれることを意味します。
全てのプロセスを網羅することで、組織全体の運用状況を把握し、どこに改善の余地があるかを明確にすることができます。
また、各プロセス間の連携や相互作用も監査の対象とし、品質管理システム全体が適切に機能しているかを確認します。これにより、全社的な品質向上が実現し、認証取得に向けた準備が整います。
二交代制を採用している組織では、朝と夜の両方のシフトで内部監査を実施することが非常に重要です。
異なるシフトでは、作業者や運用方法、発生する課題が異なる場合があります。そのため、片方のシフトだけを監査するのではなく、両方のシフトでの業務を監査し、それぞれのシフトで発生し得る問題を確認する必要があります。
これにより、全てのシフトがIATFの要求事項に適合していることを確保でき、品質管理システムが24時間体制で適切に運用されていることを証明することが可能になります。
内部監査の実施
品質マネジメントシステム監査
品質マネジメントシステム(QMS)の監査は、IATF認証取得に向けた内部監査の中心的な役割を果たします。
QMS監査では、組織がIATFの要求事項に沿った品質管理体制を構築し、それが効果的に運用されているかを評価します。具体的には、品質方針や目標の設定、顧客要求事項の反映、継続的改善の取り組みなどが対象となります。
QMS監査を通じて、組織の全体的な品質管理能力を確認し、必要な改善を行うことで、審査に向けた準備をさらに強化します。
製造工程監査の実施
製造工程監査は、実際の製品製造プロセスがIATFの基準に適合しているかを確認するための重要な内部監査です。
製造工程監査では、製造現場での作業手順、設備の管理、製品の品質チェックなど、具体的な工程を詳細に監査します。
この監査により、製造プロセスが計画通りに進行し、安定した品質の製品が生産されていることを確認します。
特に、作業手順の遵守や設備の保守状況、異常発生時の対応策などが適切に行われているかを重点的に監査することで、製造工程における品質リスクを最小限に抑えることができます。
IATFの審査の中で製造工程監査を実施された際によく指摘されるのが、FMEAとQC工程図がリンクしていないことや、客観的に見てもリスクとして考えられるのにFMEAに入っていない。また、特殊特性工程の記号識別及び、従業員への教育記録(特別な検証:MSA結果など)など様々。
QMS監査よりも製造工程監査を徹底して行うようにすることが大事なので、時間をかけてもいいのでしっかりやるようにしてくださいね!
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帳票:No.9222_QMS内部監査チェックリスト【IATF版】
関連要求事項
【IATF攻略】9.2.2.3:製造工程監査の要求事項徹底解説!
製品監査の実施
製品監査は、最終製品がIATFの要求事項および顧客の仕様に適合しているかを確認するために実施されます。
製品監査では、製品の寸法精度、機能性、外観など、顧客が求める品質基準に対して製品が適合しているかを検査します。また、製品が設計通りに製造されているか、製造工程での管理が適切に行われているかも確認します。
この監査を通じて、顧客に提供する製品の品質が保証されていることを確認し、認証取得に向けた信頼性を確保します。製品監査の結果に基づいて、必要な是正措置を迅速に講じることで、最終審査におけるリスクを最小限に抑えることが可能です。
製品監査を実施して客観的に問題がないと判断できるチェックリストを必ず準備してください!これはきちんと点数付けできる仕組みにすることが肝です。製品監査は「実施方法」でも指摘になりやすい要求事項なので、しっかり準備性しましょう!
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内部監査での指摘・改善事項に対する処置
IATF認証取得を目指す企業にとって、内部監査で指摘された事項への迅速な対応は非常に重要です。
内部監査は、企業の品質管理システムや製造プロセスに潜む問題点を事前に洗い出し、外部審査に備えるための貴重な機会です。
指摘事項や改善が必要なポイントを見逃すことなく、審査前に全ての是正措置を完了させることで、最終審査でのリスクを大幅に減らすことができます。
また、改善事項については、具体的な計画が策定されていることが求められ、これによって審査時に未完了の課題があっても、審査員に適切な対応が示せるようになります。
審査前までに必ず是正は完了させる
内部監査で指摘された事項に対する是正措置は、審査前に必ず完了させることが求められます。
是正措置とは、発見された問題の原因を特定し、その原因を取り除くための具体的なアクションを指します。例えば、製造プロセスでの不備が指摘された場合、その不備を解消するための手順変更や教育訓練が必要です。
是正措置が完了していることを確認し、その結果を文書化しておくことで、審査時にスムーズに説明することができます。これにより、審査員に対して、企業が問題に対して迅速かつ効果的に対応していることを示すことができ、審査の通過がより確実になります。
IATFでは、単に「問題に対する是正をした」では要求事項を理解して取り組まれているとは判断されません。なぜなら、関連要求事項:【IATF攻略】10.2.3:問題解決の要求事項徹底解説!で解説している「手法」があるからです。これに基づき取り組まれていないと不適合と判断されるので注意してくださいね!
改善事項は計画があればOK
内部監査で指摘された改善事項に関しては、審査前にすべてを完了させることが理想ですが、時間やリソースの制約から全てを解決するのが難しい場合もあります。
そのような場合、具体的な改善計画が策定されていれば審査で認められることが一般的です。
改善計画には、問題の背景、改善目標、具体的なアクションステップ、そして完了予定日などが含まれます。この計画を審査員に提示することで、企業が問題に対して責任を持って取り組んでいる姿勢を示し、審査通過の可能性を高めることができます。
計画の進捗状況についても定期的に確認し、必要に応じて見直しや調整を行うことが重要です。
内部監査クローズミーティングのまとめ資料は必須!
内部監査が完了した後には、クローズミーティングを行い、監査結果のまとめを行います。
このクローズミーティングでは、監査で指摘された事項や是正・改善の状況、さらに今後の対応策について、関係者全員が確認し合うことが重要です。
クローズミーティングの内容をしっかりと文書化し、まとめ資料を作成することで、監査結果が確実に共有され、必要なアクションが漏れなく実施されるようになります。
このまとめ資料は、後続の監査や外部審査においても重要な参考資料となり、審査準備を進める上での基盤を提供します。
まとめ資料には、具体的な指摘事項とその対応状況、是正措置の進捗、未解決の課題や今後の計画などを詳細に記載することで、全社的な品質管理の向上を図ることができます。
内部監査の結果は、IATF第1段階の審査でしっかり見られる資料です。内部監査の適格性のみならず、その是正まで確認されます。そのまとめ資料として、内部監査報告書がとても重要になるので、きちんと準備するようにしてくださいね!
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マネジメントレビューの実施:IATF認証取得に向けた経営層の役割
IATF認証取得のプロセスにおいて、マネジメントレビューは極めて重要な役割を果たします。
マネジメントレビューは、企業の品質マネジメントシステム(QMS)の有効性を経営層が確認し、必要な改善策を指示するための機会です。
全てのプロセスに対してマネジメントレビューを実施することで、各プロセスのパフォーマンスを評価し、組織全体の品質管理体制を強化することが可能です。
このレビューを通じて、経営層が品質管理に直接関与し、認証取得に向けた組織全体の方向性を統一することができます。
全てのプロセスに対してマネジメントレビューを実施
マネジメントレビューは、品質マネジメントシステムの全体的な有効性を評価するために、全てのプロセスを対象に実施する必要があります。
これには、製造工程、品質管理、顧客対応、物流など、組織全体に関わるすべてのプロセスが含まれます。
各プロセスのパフォーマンスデータを収集・分析し、その結果を経営層に報告することで、問題点や改善が必要な領域を明確にします。
さらに、各プロセス間の連携状況や相互作用も評価することで、組織全体が統合された品質管理体制を持っているかを確認できます。
これにより、経営層は全社的な品質目標を達成するための具体的な指示を出すことができているかが見られます。
マネジメントレビューからのアウトプットはしっかりまとめる!
マネジメントレビューの結果として得られるアウトプットは、品質管理体制の改善や目標達成に向けた重要な指針となります。
レビューから得られたアウトプットをしっかりと文書化し、全社的に共有することが重要です。
このアウトプットには、改善が必要な領域、達成された成果、次のステップに向けた具体的な行動計画などが含まれます。また、これらのアウトプットをもとに、各プロセスの責任者が具体的なアクションを取るための基礎を提供します。
しっかりとした文書化と共有が行われ、組織全体が一丸となってIATF認証取得に向けた改善活動に取り組むことが可能かどうかが審査で見られるポイントです。
トップマネジメントからの是正要求は審査前までに完了させる
マネジメントレビューの結果として、トップマネジメントから是正要求が出されることがあります。
これらの是正要求は、品質管理体制の改善や、特定のプロセスのパフォーマンス向上を目指すものであり、認証取得に向けた重要なステップとなります。
これらの要求は、審査前までに必ず完了させることが求められます。
是正要求が残ったままでは、審査時に問題として指摘される可能性が高くなり、認証取得が遅れる原因となります。
是正措置の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じてリソースを追加するなど、全社的に迅速かつ確実に対応することで、審査を無事に通過し、IATF認証を取得するための準備を整えることができます。
IATFでは、マネジメントレビューの要求事項が追加されています。その内容が一つでも抜けていると不適合です。必ず抜けが起きない仕組みを帳票で構築してください!また、その帳票内ではトップマネジメントからのコメントと、是正結果までまとめられる帳票に仕上げるようようにしましょう!
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審査に向けての準備:IATF認証取得を確実にするための最終ステップ
IATF認証取得に向けた最終ステップとして、審査準備は非常に重要です。
審査に向けた準備が整っているかどうかが、認証取得の成否を大きく左右します。審査では、企業の品質管理システムがIATFの要求事項を満たしているかが厳しくチェックされるため、各プロセスにおける記録類やドキュメントがしっかりと管理されていることが求められます。
審査準備では、記録類に抜けや不足がないかを確認し、必要に応じて修正や補完を行うことで、審査当日に自信を持って対応できる体制を整えましょう。
各プロセスの記録類に要求事項の抜けがないか確認
審査に向けて、各プロセスの記録類を徹底的に確認することは必須です。
IATFの要求事項に基づいて、すべての必要な記録が揃っているか、そして内容が正確かを確認します。
特に、品質管理システムの運用記録や改善活動の成果、製品や工程に関するデータなど、審査員が注目する可能性が高い記録については、詳細にチェックする必要があります。
これにより、審査当日に不備や不足が見つかるリスクを回避し、スムーズに審査を進めることができます。また、記録の整理が行き届いていることで、必要な情報をすぐに提供でき、審査員に対して企業の信頼性をアピールすることが可能となります。
目標未達成の是正はしっかり実施
審査に臨む前に、目標未達成の項目についてはしっかりと是正措置を講じることが重要です。
目標が未達成であるということは、プロセスやシステムに何らかの問題が存在する可能性があるため、その原因を特定し、改善策を実施することが求められます。
例えば、製品の不良率が目標を超えている場合は、その原因を分析し、プロセスの見直しや設備の改善、従業員の再教育など、具体的な是正措置を講じる必要があります。
審査までにこれらの是正措置を完了させることで、審査員に対して改善活動が継続的に行われていることを示し、認証取得の可能性を高めます。
審査の際にすぐに資料が出せるように各プロセスへ教育!
審査の際には、各プロセスの担当者がスムーズに資料を提示できるよう、徹底した教育と訓練を行うことが必要です。
審査中に必要な資料がすぐに提出できない場合、審査の進行に支障をきたし、審査員に対して準備不足の印象を与えてしまう可能性があります。
そのため、各プロセスの担当者には、どの資料が必要で、どこに保管されているかを明確に伝え、迅速に対応できるように準備を整えます。
また、審査対応の際のマナーや基本的な質問への回答方法についても教育を行い、担当者が自信を持って対応できるようにすることが重要です。
審査メンバーでロールプレイを必ず実施
審査本番に向けて、審査メンバーでのロールプレイを実施することは非常に有効な準備方法です。
ロールプレイでは、実際の審査を想定し、審査員役と被審査側に分かれて模擬審査を行います。これにより、審査時に予想される質問や問題点を事前に洗い出し、実際の対応力を高めることができます。
ロールプレイを通じて、資料の提示方法や回答の仕方を確認し、どのような状況にも柔軟に対応できるよう準備を整えます。さらに、ロールプレイ後にはフィードバックを行い、改善点を共有することで、チーム全体のパフォーマンスを向上させ、審査本番に備えます。
このような事前準備を徹底することで、審査当日に自信を持って臨むことができ、IATF認証取得の成功に大きく近づくことができます。
メールコンサルティング:審査で求められるポイントを徹底サポート
IATF認証取得に向けて、審査で特に重視されるポイントを確実に抑えることが、成功への鍵となります。
この記事で紹介した内容は、審査で厳しくチェックされる項目ばかりであり、これらに対する十分な準備と対応が必要です。しかし、これをはじめて取得する企業様では完璧にこなすのは容易ではありません。
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審査前:まとめ
IATF認証取得における12ヶ月〜17ヶ月目の準備は、成功のために欠かせない重要なステップです。
内部監査の徹底、指摘事項への迅速な是正、マネジメントレビューによる経営層の関与、そして審査に向けた最終準備など、これらのプロセスが効果的に実施されることで、認証取得の可能性が大きく高まります。
しかし、これらを一人で完璧に進めるのは容易ではありません。特に審査で見られるポイントをしっかりと抑えた準備が必要です。
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