VDA6.3:2023(第4版)が新たに発行されています。自動車欧州顧客との取引に欠かせないVDA6.3ですが、2016年版で対応して企業にとっては、不安な改訂ではないでしょうか?
今回の記事は、VDA6.3:2023版への改定の主な変更点の要約を解説いたします。
P1 | ポテンシャル分析 |
P2 | プロジェクトマネジメント |
P3 | 製品及びプロセス開発の計画 |
P4 | 製品及びプロセス開発の実施 |
P5 | サプライヤー管理 |
P6 | 生産プロセス分析 |
P7 | 顧客ケア・顧客満足度とサービス |
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目次
VDA6.3:2023への改定がなぜ行われたのか
多くの企業にとって、2023年版への移行は決してうれしいものではなかったはずです(笑)。今まで必死に対応してきた2016年版。その変更により厳しい内容へ変更されたらまた構築対応が必要になりますよね!
しかし品質規格というのは、その時代にあった要求を行わないと時代に合わないため、無駄な規格とまでは言いませんが、不十分な規格になってしまいます。
特に自動車産業への導入が加速しているAIなどの技術は、きちんと管理された状態であることは必須です。この内容については、VDA6.3:2016版ではさらっと流していた内容ですが、今回の2023年版では「目玉」と言っていい追加要求となっています。
つまり、その時代に合わせるための改定を行ったというのが根本的な改訂目的といえます。
次に、具体的な変更点について見ていきましょう。
VDA6.3:2023(第4版:改訂版)の主要な変更点
VDA6.3の2016年版(第3版)から2023年版(第4版)への主な変更点は以下の通りです。
※独自の所見ですので参考まで。
1:ソフトウェア関連事項の追加
2023年版(第4版)では、ソフトウェア関連の内容が追加されています。2016年版(第3版)ではソフトウェアに関する要求が少なかったものの、改訂版ではかなり追加されています。
ソフトウェアを含まない製品であれば無視できるものの、該当企業になるとそうもいかない内容が含まれています。
これもAIの進歩などで自動車関連企業にも大きな影響があると判断されての改訂となったと思います。
2:コンテンツの調和
VDAメソッドのAutomotive SPICE®やVDA MLAとの調和を図るための内容調整が行われています。
特に、MLAとの調和があるので、より質問内容との整合がとりやすくなりよかったと思います。
3:購買活動に関する要件の追加
P3とP4のセクションに購買活動に関する新たな要件が追加されています。
「購買活動について厳しくなった?」と思われがちですが、IATF16949を取得している企業であれば普通に対応している内容なので気にする必要はありません。
4:リモート監査の実施に関する注意事項の追加
リモートでの監査実施に関する具体的な注意点が追加されました。パンデミックによりリモート監査を行っている企業も多いですし、リモート監査の利点も大きいです。
しかしデメリットもあります。監査の原則は、現場で確認することなので、リモートでは全てを確認することはできません。なので、今回の改定により注意事項などが追加されています。
5:章の削除と変更
第4章「監査プロセス」と第8章「プロセス監査サービス」が削除され、用語集が上位レベルのVDA QMCオンライン用語集に移行されました。
ようするに、ISO19011(監査手法について)とサービス(運輸・物流)については、それぞれ別の内容で担保できるので、VDA6.3の中でわざわざ実施する必要はないということですね!
6:アスタリスク付き質問の再割当
一部の特別に重要な質問(アスタリスク*でマークされたもの)が再割当されました。
2016年版(第3版)と2023年版(第4版)のアスタリスク(スターマーク)の数(18個)の変更はありませんが、再割り当てが行われています。
7:質問の再配分による追加
全体の質問数が、58から59へ変更となっています。1問増えたところで変わっていませんが、質問文がわかりやすくなっているかな~というのが印象的です。
※第3版(改定前)はわかりずらかった・・・
8:ポテンシャル分析時の質問数の変更
ポテンシャル分析での質問数が36から35へ変更となっています。1個減っていますが、企業にとって大きな影響はありません。
まとめ:VDA6.3:2023は「ソフトウェアを持つ製品」だけ大きく影響
まとめると、大きな変更点は「ソフトウェア開発」の部分です。
すなわち、それ以外のメーカーさんであればあまり気にする必要はなく、むしろ表現などもわかりやすくなっているので「ラッキー!」くらいに思っておけばOKです。
改訂から1年が経過されているので、そろそろ顧客からも「監査は2023年版」といわれることも多くなるはずです。
しっかり要求事項を確認して対応するようにしましょう!
それではまた!
【ここがポイント】
・質問票のNo.とIATF16949の条項No.が対比してわかる
・IATF16949の条文検索をする必要がなく直ぐ探せる
・各質問内容の要約がわかる
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