
VDA6.3での対応を要求する欧州自動車顧客。その要求事項のはじめは、P2のプロジェクトマネジメントから始まります。
「プロジェクト組織を作って対応する」という文化が疎い日本では、VDA6.3の対応に苦労してしまうのがこのプロジェクトマネジメントです。
今回の記事は、VDA6.3のP2:プロジェクトマネジメントについての解説します。
P1 | ポテンシャル分析 |
P2 | プロジェクトマネジメント |
P3 | 製品及びプロセス開発の計画 |
P4 | 製品及びプロセス開発の実施 |
P5 | サプライヤー管理 |
P6 | 生産プロセス分析 |
P7 | 顧客ケア・顧客満足度とサービス |
注目 | VDA6.3構築ノウハウ教材 |
目次
VDA6.3_P2:プロジェクトマネジメントは大事!
VDA6.3で監査を行われる際は、VDA6.3の規格に基づきプロセス監査が実施されます。
この監査のスタートで多くの企業が一番最初に見るポイントとして、P2:プロジェクトマネジメントの内容を確認することがほとんど。
大企業ではなく中小企業の仕入先が困るのがこのプロジェクトマネジメントの要求事項といっても過言ではありません。
なぜなら、日本には「阿吽の呼吸」といった言葉があるように、プロジェクトでコミュニケーションを取らなくても、それぞれの専門家のコミュニケーション・上司/部下の関係などで事を済ますことが多いので、プロジェクト制を採用していない中小企業が多いためです。
そのため、VDA6.3で監査されるとわかってから要求事項を見ると「対応していない」といったことに気づき、慌ててプロジェクトを発足する企業もあるのではないでしょうか?
そんな付け焼き刃の対応ではVDA6.3監査で合格をもらうことはできません。つまり、欧州顧客と取引はできないということです。
ではどうすればいいのかという点を踏まえ、次にVDA6.3が求めるP2:プロジェクトマネジメントについて見いきましょう!
P2:プロジェクトマネジメントの仕組みを作る!
VDA6.3_P2の要求に対応するためには、プロジェクト管理の仕組みが必要です。
この仕組の構築には、プロジェクト管理に関する規定及び、コアツールのAPQPの仕組みが必要です。
顧客からの引き合いが来た時点で顧客との連絡窓口・プロジェクトリーダー・技術担当・・・など専門家が集まる「プロジェクト組織図」が形成されることが一歩目。
プロジェクトスタートからクローズまでのプロジェクトマネジメントの仕組みを作ることが求められるので、必ず規定を作成してください。
関連要求事項
P2:プロジェクトメンバーの責任とスキルを明確に!
VDA6.3で監査する顧客は、プロジェクト組織を構成する人員についての管理・スキルについてこだわります。
例えば、プロジェクトリーダーとして任命された人は本当にプロジェクトリーダーとしてふさわしいですか?
任命した人は本当に任命するだけの実力がありますか?
これらの任命プロセスはプロジェクトマネジメントの一部として管理されていなければなりません。また、プロジェクト構成員は、技術力・購買力・品質管理能力はありますか?力量認定は行われていますか?
プロジェクトメンバーの実力がないとプロジェクトが失敗することもあります。
欧州自動車メーカーは、このプロジェクト人員の実力なども確認しますのできちんと準備しましょう!
関連要求事項
P2:プロジェクトマネジメント管理ツール(帳票)必須!
VDA6.3の監査では、プロジェクトマネジメントをどのように行っているかの帳票を確認します。
別に帳票である必要はないですが、なんらかのツールがないとNGです。
このプロジェクトマネジメント帳票には、主に下記のような内容が管理されていなければアウトです。
①コスト管理:プロジェクトコスト管理(人・もの・金)
②進捗管理:顧客マイルストーンに対して計画整合
③要員管理:プロジェクト組織メンバー管理
④リスク管理:プロジェクトリスク
⑤外部管理:顧客日程/仕入先日程
⑥調達管理:特に長納期品のボトルネック資源管理が重要
⑦コミュニケーション管理:連絡窓口や上申プロセスの明確化
⑧顧客要求管理:顧客要求仕様書・契約・SQMなど
⑨プロジェクト目標:Cpk1.67以上など
これらをプロジェクト管理規定に基づきマネジメントすることを要求しているのがP2です。
そのため、これらの詳細をP2では仕組みと同時に証拠込みで確認されます。
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⑦銀行振り込みの場合、振込確認後ダウンロード可能となります。
P2:顧客要求事項・法令規制のインプットの漏れはNG!
VDA6.3では、顧客固有要求事項や契約・法令規制要求事項などがプロジェクトにインプットされているかを確認することを要求しています。
P2の内容では、顧客要求がきちんとプロジェクト計画に反映されていることが重要なので、漏れがないようにしてください。必ず顧客監査で確認されますし、それらの要求がインプットされた結果(計画)が見れられます。
これは、タートル図できちんと漏れがないようにしていることを仕組み的に説明し、それがプロジェクト管理ツールにきちんとインプとされていることの説明ができるようにすればOKです。
P2:APQPに基づくDR日程とイベント管理が重要
VDA6.3の全体の要求として、大日程計画とイベントごとの詳細計画の要求があるので、P2ではこの大日程計画管理が確認されます。
この大日程計画では、顧客のマイルストーン(開発計画)と自社のDR日程の整合が取れており且つ、必要に応じて進捗を顧客に上申する仕組みがあるかが確認されるので、大日程計画(最低限DR日程がわかること)を必ず作成してください。
P2:仕入先管理はプロジェクマネジメントの一部
VDA6.3監査のP2範囲で確認されるポイントは、プロジェクトマネジメントの一部として、仕入先管理が含まれていることが重要です。
特に管理項目として、下記の内容がプロジェクト管理の一部として管理されていることを確認されるので、きちんと準備しましょう。
①購買契約のタイミング
②納品物の入荷タイミング
③第二者監査タイミング
④仕入先の開発進捗管理
これらの日程管理(監視)が行われていることが求められるので、しっかり管理しましょう。
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P2:プロジェクトマネジメントは「変更管理」が重要!
僕自身VDA6.3で監査をすることが多いのですが、その際に仕入先様のプロジェクト計画を見ると、プロジェクトの変更がプロジェクト計画に反映されていない事例が非常に多いです。
これらはP2:プロジェクトマネジメントの要求と反しているため不適合です。
プロジェクトの変更は、顧客から通達がある場合は、自社や購買先の都合により変更される場合があります。
それらのプロジェクト計画の変更は、履歴込みで管理されていないとNG。
プロジェクト日程の変更もきちんと管理するようにしてください。
P2:問題が発覚したらしっかり上申!
プロジェクトを遂行する段階で様々な問題が発覚する・顕在化することはよくあります。
そんなときは、早めに関係者に連絡・顧客に連絡する必要がありますよね!
それらはプロジェクトマネジメントの仕組みの一つとして管理されていなければなりません。
VDA6.3のP2:プロジェクトマネジメントでは、これらの仕組みを要求しているので、要求事項に基づく上申プロセスの構築が必須です。
また、監査では実際に上申された事例を確認されるので、きちんと準備しておきましょう!
VDA6.3のP2:プロジェクトマネジメント:まとめ
VDA6.3のP2:プロジェクトマネジメントについて解説はいかがでしたか?
日系企業における中小企業様では確立されていないプロジェクトマネジメントの要求事項となっているので、構築に苦労されることも多いと思います。
本要求事項は、IATF16949との要求事項の対比及び、VDA6.3のP2の要求事項をきちんと理解した上での構築が必須です。
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わかりやすい構築ノウハウがIATF16949とのリンクで理解できるので、初心者の方でも理解を深めることが可能です!
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