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IATF16949 規定

FTAとFMEAとは何?違い・使い方詳しく解説

自動車業界のみならず、製造業に従事さえている方であれば一度は耳にしたことがあるFTAとFMEA。これらのツールは使用方法が難しく、ほとんどは顧客要望があるから対応しているといったメーカーさんが多いと思います。

しかしこの二つのツールは、使い方は難しくなく、使用方法を理解すれば品質向上に大きく貢献するツールとなっておりますので、是非その使い方の違いについてご理解いただければ幸いです。


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FTAとは何か?その概念と用途を解説

FTA(フォールトツリーアナリシス:故障の木解析)は、システムやプロセスが失敗する原因を分析し、理解するための技術です。この分析方法は、主にリスク分析やシステム安全性評価に使われます。

FTAの主な目的は、失敗が発生する可能性のある特定のシナリオ(トップイベント)を特定し、その原因となる要素(フォールト)をロジックツリー形式で視覚化することです。

FTAは、以下のようなシチュエーションで特に有用です。

  • システムやプロセスの故障原因分析
  • 確率論を用いたリスク評価
  • ミッションクリティカルシステムの設計とテスト
  • フォールトモデルの作成
  • ソフトウェアの安全性確保

FTAは、一見すると複雑そうですが、じっくりと見ていくと、各フォールトがどのように組み合わさってトップイベントが発生するかを理解するための素晴らしい道具であることがわかります。

FTAの基本的なステップ

FTAを効果的に行うためには、以下のステップが含まれます。

  1. トップイベントの特定:これはシステムやプロセスが失敗する特定のシナリオを指します。
  2. フォールトツリーの作成:トップイベントから逆算して、それが発生するための条件やシーケンスをロジックツリーとして描きます。
  3. フォールトセットの特定:トップイベントを引き起こす可能性のある、各組み合わせのフォールトを特定します。
  4. 失敗モードの分析:それぞれのフォールトが発生する理由を調査します。このステップでは、故障確率、故障影響度、故障発生頻度などを評価します。
  5. リスクの評価:システム全体のリスクを評価し、最も問題となるリスクを特定します。この評価は一般的にリスク優先度番号(RPN)を使用して行われます。

FMEAとは何か?その概念と用途を解説

FTAとFMEAとは何?違い・使い方詳しく解説①

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:失敗モード及び効果分析)は、製品やプロセスの設計や運用中に潜在的な問題を特定し、それらを予防するための分析手法です。

FMEAは、FTAと同様にリスク管理や品質管理の一部として用いられますが、その目的は失敗モード(何が間違っているのか)、その影響(その失敗が何を引き起こすのか)、およびその原因(なぜその失敗が起こるのか)を特定することにあります。

FMEAの主な用途は次のとおりです:

  • プロダクトライフサイクル全体での失敗の予防
  • フェイルセーフ設計の改善
  • リリアビリティエンジニアリングの推進
  • 設計プロセスの強化
  • テストプランの最適化

FMEAの基本的なステップ

FTAとFMEAとは何?違い・使い方詳しく解説②

FMEAの実施には以下のステップが含まれます。

  1. プロセスフローチャートの作成:対象となるプロセスを視覚的に表現します。
  2. 失敗モードの特定:各ステップで何が間違える可能性があるかを考えます。
  3. 失敗の影響の特定:各失敗モードが引き起こす可能性のある結果を考えます。
  4. 失敗の原因の特定:失敗モードが発生する原因を探求します。
  5. リスクの評価:故障確率、故障影響度、故障発生頻度に基づき、リスク優先度番号(RPN)を計算します。
  6. 改善計画の作成:高RPNの失敗モードに対するアクションプランを作成します。

FTAとFMEAの違い

FTAとFMEAは両方ともリスクを評価し、失敗を理解するための強力なツールですが、それぞれ異なる方法でこれを行います。

FTAはシステムのトップレベルから考え、特定のトップイベントが発生するためのシーケンス分析を行い、それが発生するためのフォールトセットを特定します。

対してFMEAは、個々のコンポーネントやプロセスのレベルで考え、可能な失敗モードを特定し、その影響と原因を評価します。

FTAは、一般的には、より広範で複雑なシステムのリスク評価に用いられます。特に、確率的リスク評価や原因と結果の分析を必要とする複雑なシステムには適しています。

一方、FMEAは製品設計や製造プロセスの早期段階で、潜在的な問題を特定し、予防保全を促進するために使用されます。FMEAは、故障確率、故障影響度、故障発生頻度といった要素を考慮して、リスクを定量化します。

FTAとFMEAの効果的な使い方

FTAとFMEAとは何?違い・使い方詳しく解説③

FTAとFMEAを効果的に使うためには、それぞれのツールがどのような状況で最も有効かを理解することが重要です。

FTAは、以下のようなシチュエーションで特に有用です。

  • 系統的分析が必要な複雑なシステム
  • 大規模なプロジェクトのリスク管理
  • ソフトウェアの安全性確保
  • トップイベントが発生するシーケンスを理解する必要がある場合

一方、FMEAは以下のような状況で特に有効です。

  • 新製品の開発初期段階
  • プロセス改善
  • フェイルセーフシステムの設計
  • 耐久性テストのプランニング

FTAとFMEAを組み合わせることで、システムのリスクを総合的に理解し、リスク最小化のための戦略を策定することが可能になります。

6.1.2.1 工程FMEAチャックリスト

ISO9001とIATF16949との関連性

ISO9001やIATF16949のような品質管理システムは、製造業における品質保証のためのフレームワークを提供します。これらのシステムは、組織が顧客の要件を満たし、製品の品質を改善するためのプロセスを確立することを助けます。

FTAとFMEAは、ISO9001やIATF16949の中でも特に重要な役割を果たします。

FTAは、システム全体のリスク評価を支援し、FMEAは製品の設計と製造プロセスにおける潜在的な問題を特定します。FTAとFMEAを組み合わせることで、組織はシステムやプロセスのリスクをより完全に理解し、リスク最小化のための戦略を策定できます。

このように、FTAとFMEAはISO9001やIATF16949と密接に関連しており、これらのシステムの効果的な実装と運用を支援します。これらのツールを使ってリスクを管理することで、組織は製品の品質を改善し、顧客満足度を高めることが可能となります。

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