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IATF16949のコアツールとは何?超重要な理由をわかりやすく解説!

IATF16949の審査や、自動車に必要な部品の開発・製造の過程で「コアツール」という専門用語がたびたび出てくることがあります。あまり聞き馴染みのない言葉ですが、IATF16949を導入するうえで重要な存在です。今回の記事はコアツールとは何か、そしてコアツールの重要性について詳しく解説します。

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【教材】 No.2-001 コアツール学習教材
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【教材】 No.7-003 認証プロジェクト計画書_学習教材
【教材】 No.7-004 教育推進体制チェック表_学習教材

IATF16949で求められる「コアツール」とは?

コアツールとは品質管理、および改善のために使用される5つの視点をまとめた技法の総称です。このコアツールを用いて、部品を開発・製造するうえでの運用方法が確立されているかどうかを判断します。

5つのコアツール

No. 略称 日本語
1 APQP 先行製品品質計画
2 FMEA 故障モードと影響解析
3 MSA 計測システム解析
4 SPC 統計的工程管理
5 PPAP 生産部品承認プロセス

IATF16949のコアツール5項目

コアツールとは、自動車の製造に特化した品質マネジメント管理システムであるIATF16949の要求項目にも多く含まれています。コアツールの運用状況は、IATF16949の審査時に必ず審査員から詳細なチェックが入るほど、重要な品質管理方法です。

部品の企画→設計→開発→試作→量産試作→量産までの、それぞれの段階でコアツールの5つの視点を使用します。適切にコアツールを使用することで、クオリティの高い部品生産が可能になる重要な手法なので、IATF16949の取得を目指す企業様は必須です!!

次にコアツールの5項目について、詳しく説明していきます。

①APQP(先行製品品質計画)

コアツールとは何?という点の1つ目は、APQPです。

APQPは、「Advanced Product Quality Planning」を省略したものであり「Product=製品」、「Planning=計画」とあるように、部品を製造するための一連のながれのようなイメージです。

APQPの具体的な流れ

IATFのコアツールとは_APQP①

自動車関連製品を設計・製造・販売するためには、部品を生産するうえで必要な技術・品質・製造・営業の分野から人材を確保する必要があります。

APQPも同じように、技術・品質・製造・営業に関する人材をバランス良く揃えることが求められており、例えばある一部のプロセスの人材がプロでその他がしょぼいメンバーしか揃っていない場合なんかは、審査時に指摘が入ることがあります(※極端な例です)。

IATF16949の要求項目には、APQPに則って結成する部品のプロジェクトチームは、技術・品質・製造・営業の各分野から人材を選出し、編成することが求められているため、メンバーが偏らないようにプロジェクトチームを編成する必要があります。

具体的なAPQPのイメージとしては、ISO9001取得企業であれば必ずある「品質保証体系図」です。

これをコアツールであるAPQPに置き換えて各要求事項を網羅した形に変更することで対応可能です。

IATFのコアツールとは_APQP②

特に重要な具体的な要求事項は下記になりますので、合わせて確認してみましょう!

【帳票:教材】 No.81_プロジェクト計画書
【帳票:教材】 No.8321-2_プロジェクト管理表
【規定:教材】 No.8111_プロジェクト管理規定

②FMEA(故障モードと影響解析)

コアツールとは何?という点の2つ目は、FMEAです。

FMEAは、「Failure Mode and Effects Analysis」を省略したものであり「Failure=失敗」、「Analysis=分析」とあることから、過去の不備を見直す内容のように感じますが、実際は前もって部品が故障するリスクを予測することで対策を考えることを指します。

IATFのコアツールとは_FMEA①

FMEAをうまく活用することにより、不良品の製造を防ぎ、費用を軽減することが可能です。

またFMEAは2つの種類に分かれており、部品の設計図に必要な寸法・材質・条件の選定などで起こりうるリスクの分析を行う設計FMEA(デザインFMEA=D-FMEA)と部品の製造に必要な方法、作業中のミスなど、現場で起こりうるリスクの分析を行う工程FMEA(プロセスFMEA=P-FMEA)に分けられます。

FMEAは「生きた帳票」なので、書き換えるタイミングを怠ると不適合になるので注意してください

具体的なFMEAが書き換わるタイミングは以下となります。

IATFのコアツールとは_FMEA②

FMEAは、リスク分析の手法なので帳票は何でもOKと言いたいところですが、審査・監査をスムーズに終わらせるためにも以下のどちらかに準拠したフォーマットを利用してください。

①AIAG&VDA FMEAハンドブック

②FMEA第4版参照マニュアル

私のおすすめは、②の方です。

多くの企業で採用されているので、審査・監査でも確認しやすいです。②に準拠したFMEAシートを当サイトで販売しているので、是非この機会にご利用いただければ幸いです。

特に重要な具体的な要求事項は下記になりますので、合わせて確認してみましょう!

NO. 題目
6.1.2.1 リスク分析
6.1.2.2 予防処置
【帳票:教材】 No.6121-1_設計リスク分析チェックリスト
【帳票:教材】 No.6121-2_工程リスク分析チェックリスト

③MSA(計測システム解析)

コアツールとは何?という点の3つ目は、MSAです。

MSAは「Measurement System Analysis」を省略したものであり「Measurercut=計測」、「Analysis=分析」とあるように、製造した部品を測定する測定器や測定者が正しく測定できているかを確認するための手法を指します。

検証を実施する時は、部品のサンプルを測定して誤差が大きいか小さいかを調べます。この時に5つの視点から誤差の程度を判断します。

IATFのコアツールとは_MSA①

コアツール:MSA具体例

偏り 測定者1人が、サイズが10cmのサンプルを5回測定した場合、測定結果5回が10cmからどれくらいのずれが生じたかを見ます。
安全性 測定者1人が、1日に5回のサンプル測定を行います。この1週間で測定結果にどのくらいバラツキが出たかを見ます。
直線性 測定者1人が、サイズの異なるサンプルを測定したそれぞれのサイズの測定結果にどのくらいバラツキが出たかを見ます。
繰返性 偏りと同じく、測定者1人が決まった回数を測定後に、どのくらいずれが生じたかを見るのですが、繰返性では実際の部品を測定した結果で判断します。
再現性 複数の測定者が、サイズの異なるサンプルを5回測定した場合、測定結果にどのくらいバラツキが出たかを見ます。

特に絶対にマスターしておかないといけない手法の2つが、GageR&R法及びクロスタブ法です。この2つは帳票を利用すれば簡単に対応できる手法なので、必ず準備してください。

手法 内容
GageR&R法 部品のバラつきと測定者のバラつきを加味して計算していくことで判定結果を利用して合否判定を行う測定システム解析(MSA)が求める真の要求
クロスタブ法 ゲージが「人:OK/NG判定」の場合に使用されることが多く、検査者の力量判定としても非常に有効であり、審査・監査でも大活躍の手法

これらの帳票は、MSA必須帳票であり、審査・監査で必ず確認されます。これらがないと審査で必ず指摘されるので、必ず準備してください。

特に重要な具体的な要求事項は下記になりますので、合わせて確認してみましょう!

No. 題目
7.1.5.1.1 測定システム解析(MSA)
8.6.3 外観品目
【帳票:教材】 No.71511-1_GRR
【規定:教材】 No.7151_計測機器・試験所管理規定
【まとめ教材】 No.2-001_コアツール学習教材

ISO9001/IATF16949/VDA6.3
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④SPC(統計的工程管理)

コアツールとは何?という点の4つ目は、SPCです。

SPCは「Statistical Process Control」を省略したものであり「Statistical=統計」、「Control=コントロール」とあるように、部品の測定結果を統計的に分析することで、製造の安定・維持を図る手法を指します。

統計的な分析には、一般的に管理図を用いて行います。現在の運用状況が安定した状態か、不安定な状態かを、管理図に測定結果を落とし込むことで、知ることができます。この時、不安定な運用状況であると判断した場合は、不良品が出る前に対策を実施することで、安定した運用状況に向かうようします。

MSAで出した結果をもとにSPCは機能するので、SPCを正常に運用させるには、MSAも正常に運用させる必要があります。

そして絶対にSPCが必要な要求事項が「特殊特性」に関わる工程です。

IATFのコアツールとは_SPC①

特殊特性の工程でSPCを使用していない場合、不適合になるケースが多いので、必ずAPQP段階で特殊特性の戦略的監視方法を決定してください。

特殊特性の特定及びその監視戦略は、下記の要求事項で明確に示されているので、必ず実施するようにしましょう!

IATFのコアツールとは_SPC②

特に重要な具体的な要求事項は下記になりますので、合わせて確認してみましょう!

No. 題目
8.2.3.1.2 顧客指定の特殊特性
8.3.3.3 特殊特性
9.1.1.1 製造工程の監視及び測定
【帳票:教材】 No.8333_CP&SC特定表
【規定:教材】 No.6121_リスク分析管理規定

⑤PPAP(生産部品承認プロセス)

コアツールとは何?という点の5つ目は、PPAPです。

PPAPは、「Production Part Approval Process」を省略したものであり「Production =製造」、「Approval=承認」とあるように、納品予定の部品に関する情報を顧客に提出し、承認をいただく手続きを指します。

IATFのコアツールとは_PPAP①

部品を購入してもらうには、製造者と購入者の間に了承が必要不可決です。

そのためには、購入者側へ提出する書類がいくつかありますが、一般的には、購入者との取り交わし文書・FMEA・コントロールプラン・MSAの検証結果・寸法や重量などの部品に関するデータ・サンプルのSPCデータ・サンプルなどを文書として提出する必要があります。

IATFのコアツールとは_PPAP②

開発からの工程を書類にまとめ、取引の正式文書として残すことがPPAPでは求められています。顧客承認を得た証拠を得るのに重要な帳票です。

特に重要な具体的な要求事項は下記になりますので、合わせて確認してみましょう!

No. 題目
8.3.4.4 製品承認プロセス
8.5.6.1 変更の管理-補足
【帳票:教材】 No.8344-1_製品承認リスト
【まとめ教材】 No.2-001_コアツール学習教材

【おまけ】CP(コントロールプラン)

コアツールとは何?という点のおまけですが、コントロールプランがあります

コントロールプランは、部品の製造に必要な情報が記載された設計図の役割を担っており、料理でいうレシピにあたる存在です。

レシピの順番通りに作ると料理が完成するように、コントロールプランに記載された内容の順番通りに部品を製造することで、不良品を出さずに部品ができあがるように工程を導く機能を果たしています。

コントロールプランは、FMEAで分析・予測された内容を踏まえて作成されます。

IATFのコアツールとは_コントロールプラン①

そのためFMEAで内容の変更が生じた場合は、コントロールプランも必ず確認・調整する必要があります。

IATFのコアツールとは_コントロールプラン②

FMEAとコントロールプランの結びつきは、IATF16949の審査で重要な確認項目としてチェックされる箇所です。

FMEAのみ更新されてコントロールプランは前回のままになっている場合は不適合と判断されるので注意しましょう。この点を見落とさないためには、コントロールプランの帳票と合わせて変更や是正に関わる帳票をしっかり整えるところにノウハウがあります。

特に重要な具体的な要求事項は下記になりますので、合わせて確認してみましょう!

No. 題目
8.5.1.1 コントロールプラン

品質マネジメントシステムの構築に重要なのは、「要求事項に沿ったルールと記録」の2つです。サンプルを利用して構築をスムーズに進めてみませんか?構築・学習教材として是非ご利用ください!
①規定:サンプルはこちら
②帳票:サンプルはこちら

IATFで求められるコアツールとは:まとめ

IATFで求められるコアツールとは、自動車産業に置いて重要なものであり、運用が大変な技方ですが、正しく活用することができれば安定した製造環境の確保や組織としての信頼につなげることができます。

この記事がIATF16949の導入を考えている企業や組織の皆様にとって、参考になる記事であれば幸いです。

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