IATF16949の審査で必ず確認される記録類6つについて解説

IATF16949の審査では、プロセスの出来栄えより先に「記録が揃っているか」「すぐ出せるか」が問われます。とくにISO9001を土台にした自動車QMSでは、文書(規定・手順・指示)と帳票の整合、運用の証跡、有効性確認の3点が問われます。

本記事は「IATF16949審査記録」を軸に、審査で必ず見られる記録6カテゴリーを実務目線で解説します。各章では、審査員の着眼点、版数・改訂の管理、FMEAやPPAPの整合チェックまで具体的に示し、すぐ使える帳票テンプレとルール化のコツも紹介!


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Hiroaki.M

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IATF16949構築で整理しておきたい視点

IATF16949(自動車産業のQMS)の構築や運用では、規格要求の理解だけでなく、それをどのようなルールや記録に落とし込むかが重要になります。ISO9001との違いや不足点を把握できていないと、構築途中で手が止まってしまうことも少なくありません。

まずは全体像を整理し、必要な知識や帳票の考え方を段階的に確認していくことが、無理のない対応につながります。

IATF16949審査で必ず見られる記録6選:全体マップ

本記事で扱う「6選」は、IATF16949の審査で100%といっても過言ではない、超重要用記録類となるので、絶対に審査前までに準備してくべきものとなります。その6つが以下です。

①QMS文書(規定・手順・指示・帳票)
②運用の実施記録
③内部監査/工程監査/製品監査と是正有効性
④不適合・是正処置・変更管理
⑤顧客満足とフィードバック
⑥プロセス検証(FMEA・PPAP)

です。審査では相互整合と“すぐ出せる”運用が評価軸になります。各章で帳票テンプレの使いどころ、記録保存のコツ、審査員の確認ポイントなども順に説明していきます。

では、記録類を1ずつ見ていきましょう。

記録1:QMS文書(規定・手順書・作業指示・帳票)

7.5.1.1品質文書管理台帳

IATF16949の構築では、どの要求にどの文書で対応し、どの帳票に記録するかが出発点です。これらに基づき審査では、以下の書類が体系的に確認されます。

・QMSマニュアル
・品質方針/目標
・規定
・手順書/作業指示/工程別帳票

これらの文書が一つの文書体系として矛盾なくつながっているかを見られそれに加えて、プロセス別に「すぐ出せる」ことが評価対象にもなるので注意が必要です。現場での保管場所やアクセス権、相互参照(規定→帳票→記録)の流れまで説明できる状態に整えておきましょう!

帳票&整備のコツ

実務では、①文書体系表②プロセス連関図③教育・訓練記録の3点セットが効果的です。要求事項→規定/手順→帳票→記録の対応を1枚で可視化し、改訂履歴と配布先を更新していくと構築過程で履歴のトレースができるのでおすすめ!
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記録2:実施記録(帳票に残す証跡)—記録を残すコツを追加

記録は「決めたことを実行した証拠」を一貫して示せるかが肝心です。5W1Hとロット・図番・設備IDを帳票番号で紐づけ、写真や測定データも同一IDで一体管理します。帳票ヘッダには、版数・改訂日・承認者を自動で表示しておき、旧版は必ず回収または、使用しないことを通知できる仕組みを整えておきます。

現場入力はモバイルやスキャナでタイムスタンプ付きにし、電子署名/承認でトレーサビリティを強化しておくとなおGOOD。内部監査では、空欄・時系列の矛盾・写真未添付を早期に是正させてください。変更が発生した記録は、QC工程図・FMEA・標準類の更新トリガーと連動させることも重要です。保存年限と廃棄手順も規定化し、年度ごとの棚卸しで抜け漏れを潰しましょう!

記録3:内部監査・工程監査・製品監査+是正有効性

内部監査は「計画→実施→報告→是正→有効性確認」までの一連の証跡が要です。

監査計画の頻度・範囲・独立性、監査員の力量記録、サンプリングの根拠、指摘区分、是正処置の期限管理と妥当性評価までのすべてが規定や記録で確認できなければ不適合になる可能性が極めて高いです。品質マネジメントシステム監査・工程監査・製品監査において同様です。

チェックリストは「要求事項の網羅」と「現場観察の深さ」が命。プロセス別にQMS文書と帳票を相互参照できる設計にし、指摘が出たら原因分析~再発防止策~有効性確認までを追跡できるようにしましょう!

内部監査を運用する際に迷いやすいポイント

内部監査は、単にチェックリストを回すだけではなく、監査計画の立て方や監査結果のまとめ方によって、QMS全体の改善につながるかどうかが大きく変わります。監査員の力量評価や、工程・製品まで含めた監査範囲の整理で判断に迷うケースも少なくありません。

そのため、内部監査を一連の流れとして捉え、必要な帳票や記録の考え方を整理しておくことが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、内部監査の各場面で必要となる帳票や記録の考え方をまとめた資料を参考にする方法もあります。

記録4:不適合・是正処置・変更管理の記録

不適合は「封じ込め→是正→再発防止→有効性確認」を一貫して追える証跡が必要です。不適合報告書にロット・図番・設備番号・検査結果を紐づけ、隔離の事実と再検査の結果、特採・逸脱の承認根拠まで確認できるようにしてください。特に原因分析はなぜなぜ分析や特性要因図で事実に基づいて記述し、是正策は責任者・期限・資源を明確化。完了後は再発防止の有効性を確認し、妥当性を記録します。

不適合の対策で変更が伴う場合は、変更管理番号と不適合是正記録表などが紐づきが必要です。特に確認されるQC工程図・FMEA・管理計画・検査基準・作業標準への展開と変更履歴。

リスクの度合いを示すRPN・検査頻度の見直し、顧客通知の要否も判断基準を定義。期限超過・再発・流出件数などのKPIで効果をモニタリングしましょう。

記録5:顧客満足・苦情・フィードバックの記録

顧客満足は「感じ」を測るだけでなく、品質・納期・対応などの実績と結びつけて解釈することが重要です。満足度調査、苦情・不具合通報、納入実績、納期遵守率、返品率などを同一の顧客で測定し、四半期ごとにトレンド化するとよいでしょう。

改善テーマは経営会議に上げ、是正・予防の効果を翌期の指標で検証します。記録は会議体の議事録やメモまで揃えると説得力が増すのでおすすめ。

苦情処理は、苦情は受付→暫定処置→恒久対策まで一貫して追跡できる仕組みがないとNG。営業・品質・製造までを部門横断で定例化し、変更があればQC工程図・FMEA・検査基準へ速やかに反映させてください。

規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?

ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!

※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。

記録6:プロセス検証におけるコアツールの記録

プロセス検証記録は、設計・製造・検査の実施示す最重要の記録群です。

特に設計FMEA/工程FMEA、APQPの管理計画、MSA、初期流動管理記録、工程能力調査結果(Cpkなど)は特に確認される内容になっているので、確実に・漏れなく準備してください。

チェックする際のポイントとして試作~量産の各ゲート(節目)で更新されているか、改訂履歴と教育の証跡まで揃えておくと審査がスムーズになるのでおすすめ。

PPAPの18項目の提出物から自社保管資料まで漏れがないようにしましょう。提出していないということにならないように顧客固有要求事項の「PPAP:提出レベル」をしっかり確認してください。サンプル、寸法結果、工程能力、外観承認、初期管理結果などがわかります。

承認後の変更は変更管理の仕組みで追跡できるようにしてください。変更後はFMEAのRPN低減や現場の作業標準・検査記録にも落とし込まれているかも必ず確認しましょう。

PPAPで整理する製品承認プロセスの考え方

IATF16949では、量産前に製品承認プロセス(PPAP)を通じて、設計・工程・品質データの妥当性を確認することが求められます。提出資料や社内保管資料を体系的に整理することで、承認プロセスの抜け漏れを防ぎやすくなります。顧客要求と社内管理の整合を取ることが重要です。

一方で、必要書類の管理方法や仕入先への展開範囲で迷うケースも少なくありません。そのため、提出区分や管理責任を整理したうえでPPAPを運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、製品承認プロセスの進め方をまとめた資料を参考にする方法もあります。

記録不備が出たとき:メジャー/マイナーの違いと初動

メジャー(重大な不適合)は「QMSの有効性に重大な影響」「規格や法規の不履行」が疑われる状態で、マイナー(軽微な不適合)は「仕組みはあるが一部運用が不十分」な状態です。いずれでも初動は同じ。

①事実の確定(いつ・どこで・どのロット)
②要求事項と自社規定の対比
③封じ込め
④原因分析(人・設備・方法・測定・材料・環境)
⑤是正処置計画
⑥有効性確認の方法の決定と確認記録

審査対応では「事実→要求→ギャップ→原因→是正→再発防止→有効性」のストーリーで書くとスムーズです。期限や報告様式は審査機関の様式に合わせ、変更が伴う場合は必ずQC工程図・FMEA・標準類へ確実に落とこんでください。

記録保存・電子化・トレーサビリティ

記録は「保存年限・検索性・改ざん防止」が三位一体です。

まず顧客固有要求と法規を踏まえた保存年限表を作り、文書番号・工程・図番・ロット記録がすぐに取り出せるようにしましょう。ファイル名のルールとアクセス権を明確にし、改訂履歴も残すようにしてください。特に記録類は審査当日「30秒で出せる」というのが一つの基準です。廃棄は承認付きで確実に回収してください。残っていると指摘の対象になります。

電子化では、現場入力をモバイル化してことがおすすめ。紙はPDFで取り込み、原本情報(版数・承認者)を自動付与してください。クレーム発生時は「顧客→製品→ロット→原材料」まで一気に追跡できる状態へしおきましょう。

規格対応で不安・悩むポイント

ISO9001やIATF16949、VDA6.3といった規格対応では、「どこから手を付ければよいか分からない」「社内だけで判断を進めることに不安がある」と感じるケースが少なくありません。

品質マネジメントの構築は、一度に完成させる必要はなく、考え方やサンプルを参考にしながら、少しずつ自社に合った形へ整えていくことも可能です。

まとめ

IATF16949の審査で評価されるのは、記録の“揃い具合”だけでなく、要求と文書・帳票・証跡のつながりです。6つの記録(QMS文書/実施記録/各種監査/不適合・是正・変更/顧客満足/FMEA・PPAP)を相互整合させ、版数管理と即時提示を徹底しましょう。

変更は必ずQC工程図・FMEA・標準へ逆展開。電子化とトレーサビリティで「30秒で出せる」状態にすれば、指摘は激減できます。まずは文書体系表とテンプレの整備、週次の記録サンプリング監査から始めてみましょう!

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