
自動車業界で品質管理の基準とされるIATF16949を理解し、効果的に活用するためには、その中心的要素であるFMEA(Failure Mode and Effects Analysis)について深く理解することが重要です。本記事では、IATF16949を取得を考えている企業の皆さんに向け、FMEAが何であり、なぜIATF16949で重要なのかを親しみやすく解説します。
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FMEAとは何か?
FMEAとは、製品やプロセスにおける潜在的な失敗モードを特定し、その影響を評価するための体系的な手法です。具体的には、失敗が発生した際の影響、その原因、及び発生確率を評価し、リスクを把握・緩和するのが目的です。
この手法は、自動車業界を含む多くの分野で使われていますが、特にIATF16949においては重要な役割を果たしています。
なぜなら、FMEAは企業が製品の品質を向上させるための重要な道具であり、その使用はIATF16949の要求事項として明示されているからです。
IATF16949でFMEAが重要な理由
IATF16949は、自動車業界の品質管理システムの国際規格であり、その中でFMEAは章6.1.2.1と6.1.2.2で取り上げられています。この規格が求める品質管理の根幹をなすのがFMEAの手法です。
その理由は、FMEAが企業にリスク管理の視点を提供し、製品の設計から製造、運用、保守に至るまでの全過程で品質問題を予防するための手段を提供するからです。
このように、FMEAは企業がIATF16949の要求を満たすために必要なツールなのです。
FMEAが要求していること
IATF 16949は、自動車産業の品質マネジメントシステムのための国際標準で、自動車製造業者とそのサプライチェーンが高品質の製品を製造し続けることを確保するために設計されています。
この標準は、特にリスク管理のためのプロセスを強調しており、その一部として、FMEA(Failure Modes and Effects Analysis:異常モード影響分析)の使用が求められています。
具体的には、IATF 16949におけるFMEAは次のことを求めています:
- リスク識別:新しい製品やプロセスの設計と開発の早い段階で、潜在的な異常モード(故障の原因となる可能性のある事象や状態)を特定します。
- 影響分析:各異常モードが製品やプロセスの機能や性能にどのような影響を与えるかを評価します。
- リスク評価:識別された各異常モードのリスクレベルを定量的に評価します。通常は、故障の発生頻度、故障が検出されない可能性、そして故障が引き起こす可能性のある影響の深刻さ、の3つの要素を考慮します。
- リスク緩和:リスクの高い異常モードに対して、そのリスクを軽減するための行動計画を作成します。これは、設計の改善、プロセスの変更、またはより良い品質管理手順の導入などを含むことがあります。
- ドキュメンテーションとレビュー: FMEAの結果と行動計画は文書化され、定期的にレビューと更新が行われます。これにより、新たなリスクが発見された場合や状況が変化した場合に、FMEAを適応的に更新することができます。
以上のプロセスを通じて、FMEAは潜在的な問題を早期に特定し、それらの問題が顧客に影響を及ぼす前に対策を講じることを可能にします。これは、品質の高い製品を一貫して提供し、顧客満足度を向上させるために重要であり、結果的には企業の競争力を強化します。
また、FMEAは単なる問題解決ツール以上のもので、その適用は組織全体の品質文化を向上させる役割も果たします。
FMEAの分析ポイント
FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)は、製品やプロセスで発生可能な故障モード(失敗の種類)を特定し、その影響と重大度を評価し、そのリスクを軽減するための方法を見つけ出すための手法です。
FMEAは通常、以下の項目を含むスプレッドシートまたはフォームで作成されます.。
機能:対象となる製品やプロセスの主要な機能をリストします。
失敗モード:機能がどのように失敗する可能性があるかをリストします。
失敗影響:それぞれの失敗モードが発生した場合、製品、プロセス、エンドユーザーにどのような影響があるかを説明します。
重大度:それぞれの失敗影響の重大度を評価します。通常、数値スケール(例えば1から10)が使われます。
発生頻度:それぞれの失敗モードがどれくらいの頻度で発生するかを評価します。これも通常、数値スケールが使われます。
検出可能性:現在のコントロールが失敗を検出する可能性を評価します。これも数値スケールで評価されます。
リスク優先度数(RPN):重大度、発生頻度、検出可能性を掛け合わせて得られる数値。これにより、どの失敗モードを優先的に対処すべきかを決定します。
推奨されるアクション: RPNが高い失敗モードに対するリスク軽減アクションを推奨します。
FMEAの作成ポイント
FMEAを作成する際のポイントは以下の通りです。
チームワーク: FMEAは多様な視点からの入力が必要です。設計者、エンジニア、製造担当者、品質管理者など、関連するすべてのステークホルダーを含むチームで行うべきです。
詳細さ: FMEAは詳細にするほど有効です。可能な限り多くの失敗モードを考慮に入れ、それらの影響と重大度を詳細に評価することが重要です。
数値評価:重大度、発生頻度、検出可能性を数値化することで、リスクを客観的に比較し優先順位をつけることが可能になります。これはリスク優先度数(RPN)の計算にも使われます。
リスク軽減アクション: RPNが高い失敗モードに対する具体的なアクションを考えることが重要です。これらのアクションは、設計の改善、製造プロセスの改良、検査手順の強化など、多様な形を取ることができます。
継続的なプロセス: FMEAは一度作成したら終わり、というものではありません。新たなデータが得られたり、プロセスや製品が変更されたりした場合には、FMEAを更新することが重要です。
以上のようなポイントを考慮しながら、FMEAを作成していくことで、製品やプロセスのリスクを効果的に管理し、品質を維持・向上させることが可能となります。
まとめ
IATF16949の規格を理解し、適用するためには、FMEAの理解が欠かせません。FMEAは、製品やプロセスの潜在的な失敗を事前に特定し、それらのリスクを評価・管理するための重要な手法です。
IATF16949でのFMEAの重要性は、そのリスク管理の視点と、製品の全ライフサイクルにわたる品質問題の予防能力によるものです。FMEAを適切に活用することで、企業は自動車製品の品質を向上させ、IATF16949の要求事項を満たすことが可能となります。
以上が、IATF16949とFMEAについての基本的な解説となります。この記事が、皆さんのIATF16949取得への道のりに少しでもお役に立てれば幸いです。