
ISO9001:6.1項「リスク及び機会への取組み」は、品質マネジメントシステムを計画する段階で、組織が直面するリスクを特定し、その影響を考慮したうえで、適切な取組みを計画・実施することを求める要求事項です。本項の特徴は、単にリスクを回避するだけでなく、リスクを機会(チャンス)として捉え、組織の改善や成長につなげる視点が求められている点にあります。
従来のISO9001では、予防処置として個別に扱われていた考え方が、6.1項では品質マネジメントシステム全体の計画に組み込まれています。そのため、形式的なリスク一覧の作成にとどまってしまうと、「実際の運用と結び付いていない」として、監査や審査で指摘を受けやすい項目でもあります。
本記事では、ISO9001:6.1項「リスク及び機会への取組み」について、規格が求める本来の意図を整理しながら、現場で無理なく運用できる構築ポイントを分かりやすく解説します。

当サイトは、品質マネジメントシステムの普及を目的に、難解になりがちな規格要求を、できるだけ分かりやすく解説しています。実務の中で「少し確認したい」「判断に迷う」といった場面で、参考にしていただける情報提供を目指しています。
※本記事の内容は、実際の現場支援経験をもとに整理しています。
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 6.1 6.1.1 6.1.2 |
リスク及び機会への取組み | ○ | ● | ○ | |
| 6.1.2.1 | リスク分析 | ○ | ● | ||
| 6.1.2.2 | 予防処置 | ○ | |||
| 6.1.2.3 | 緊急事態対応計画 | ○ | ● | ||
| 6.2 6.2.1 6.2.2 |
品質目標及びそれを達成するための計画策定 | ○ | ○ | ||
| 6.2.2.1 | 品質目標及びそれを達成するための計画策定-補足 | ○ | ● | ||
| 6.3 | 変更の計画 | ○ | ○ |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
この記事の目次
ISO9001:6.1項のリスク及び機会への取組みの意図

ISO9001:6.1項のリスク及び機会への取組みは、品質マネジメントシステム構築時のみならず、内部監査・顧客監査そして審査会社における認証・更新審査において必ず確認されるポイントです。
また品質方針・品質目標を立てる際も「リスク」をきちんととらえることで、「機会」を得ることに繋がります。
ここで重要なのが、リスクと機会についての言葉の意味をきちんと理解しておきましょう。
リスクとは、将来起こる不確定な事象とその影響つまり、「悪い事が起こる可能性」の事。
②機会
機会とは、目的を達成するためのチャンスの事。
ISO9001:6.1項において重要なのは、リスクを単なるマイナス要因として捉えるのではなく、状況次第ではチャンス(機会)に転換できるものとして検討することです。そのうえで、取組みの必要性を判断し、品質マネジメントシステムの計画に適切に組み込むことが求められます。
例えば、世界的なIC不足という事象は、本来であれば生産停止につながる大きなリスクです。しかし、IC不足が発生する前の段階で、長期的な在庫確保を計画・実行できていればどうでしょうか。
この場合、「IC不足による生産リスク」は、「安定供給を実現し、競合他社より優位に立てる機会」へと転換される可能性があります。
このように、リスクと機会を一体として捉え、品質マネジメントシステムの計画段階から戦略的に取り込むことが、ISO9001:6.1項の本質です。次章では、これらを効果的に計画へ落とし込むための具体的な構築ポイントについて解説します。
外部・内部の課題とのリンクを考慮する

ISO9001:6.1項「リスク及び機会への取組み」の要求事項を理解するうえで、前提として押さえておくべき重要なポイントがあります。
リスク及び機会への取組みでは、まず組織内部の状況(内部要因)と、顧客・法令・規制当局などを含む外部の状況(外部要因)を正しく理解することが求められます。そのうえで、これらの状況から想定されるリスクを抽出し、同時に機会を特定していく必要があります。
そのため、6.1項を新たにゼロから考えるのではなく、既に他の要求事項で検討・整理されている内容を活用し、相互にリンクさせて構築することが重要です。これにより、無理のない形で実効性のあるリスク及び機会への取組みが可能になります。
具体的な抽出方法については、次に示す関連する要求事項を参考にしてみてください。
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リスクと機会を抽出する表を作成
ISO9001:6.1項「リスク及び機会への取組み」では、リスクと機会を感覚的に判断するのではなく、整理された形で抽出し、検討できる状態にすることが重要です。そのためには、リスクと機会を一覧で把握できる表を作成し、計画的に管理する仕組みを整える必要があります。
①意図した結果の意味
ISO9001:6.1項a)に記載されている「意図した結果」とは、品質方針および品質目標を確実に達成することを意味しています。つまり、リスク及び機会への取組みは、最終的に品質方針・品質目標の実現につながっている必要があります。
一方で、組織を取り巻くリスクには、大きなものから小さなものまでさまざまなレベルが存在します。理想的には、すべてのリスクに対応することが望ましいものの、実際には費用や人員、時間といった経営資源には限りがあります。
そのため、すべてを一律に取り組むのではなく、組織として優先的に対応すべきと判断したリスクや機会のみを選定し、品質方針や品質目標へ反映させることが重要です。これにより、品質マネジメントシステムが実態に即した、効果的な運用につながります。
②悪い影響と良い影響を考える
ISO9001では、リスクを単なるマイナス要因として捉えるのではなく、状況次第ではチャンス(機会)に転換できるものとして考えることが求められています。つまり、リスクに対して「悪い影響だけで終わるのか」「良い影響につなげられる可能性はないか」を検討することが重要です。
この考え方は、ISO9001:6.1項に記載されている注記1および注記2に示されており、リスクと機会を一体として捉えることの重要性を示しています。
例えば、新製品の開発や新たな分野への進出は、多くの場合リスクを伴います。しかし一方で、市場に受け入れられれば、新たな顧客の獲得や競争優位性の確立につながり、業界内でトップ企業になれる可能性も秘めています。
このように、リスク及び機会を検討する際には、悪い影響と良い影響の両面を整理し、リスク低減や改善活動につなげていくことが重要です。その積み重ねが、品質マネジメントシステムの有効性を高め、組織の持続的な発展につながります。
規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?
ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!
※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。
リスクと機会への取組計画と実績の監視を行う

ISO9001:6.1項のリスク及び機会への取組みの要求事項では、以下のようなことが大事です。
この意図は、6.1.1で抽出されたリスクと機会について実際に取り組むと決めたことを計画し、実行し、その成果を評価することを要求しています。
「実際に取り組んだ結果の評価」とはトップマネジメントが最終評価をすることを意図しているので、9.3.2項のマネジメントレビューのインプットにすることが重要です。
これらを考慮すると下記画像のように「リスクと機会検討表」と「リスクと機会運用表」の二つが重要となるので、それらを自社に合わせた形で帳票に落とし込むようにしましょう。
①リスクと機会への取り組み帳票作成方法

ISO9001:6.1項のリスク及び機会への取組み帳票は、ISO9001取得への大事な帳票の一つです。
要求事項がリンクしている内容があるので、帳票作成時に抜けがでることがあります。それを回避するために、以下のように要求事項とのリンクを帳票に書き込んでしまうことがポイントです。
計画表は、リスク評価の結果から計画を立て実行する必要がある内容を抽出して、リスク及び機会運用表でPDCAを評価します。
②リスク評価は重要!
リスクと機会の抽出ができたら「何を取り組むべきか」について自社の判断基準が無いと取り組むべきかどうかがわかりません。それらを分かりやすくするためにリスク評価を実施し取り組む必要があります。
その際の検討方法は千差万別ですが、考え方として以下のように考えると計画作成しやすくなるのでおすすめです。
リスク大×チャンス中=取り組むか検討
・・・
リスク小×チャンス大=必ず取り組む
③結果と評価のまとめは必ずマネジメントレビューのインプットへ

リスクと機会の運用結果は、自社のマネジメントレビューのタイミングでトップマネジメントへインプットしてください。マネジメントレビューが月ごとであれば毎月、1回/年であればまとめ会議などでの報告が必要です。
また、トップマネジメントからの更なる要求などあれば、リスクと機会検討表へ新たに追加・更新することで滞りなく運用できるようになります。
そうすることにより、内部監査・顧客監査そして審査会社の監査の際も適合性を証明することができるようになるので、是非トライしてみてくださいね!
リスク及び機会管理用教材のご紹介
| 帳票名 | リスク及び機会管理表 | ||
|---|---|---|---|
| 納品形式 | ダウンロード | ||
| ファイル形式 | Excel:貴社にて自由にカスタマイズ可能です | ||
| 特徴 | ISO9001の難解要求をクリア!リスク及び機会検討表で、リスク管理と機会(チャンス)の明確化を徹底サポート。ISO9001構築・運用の強化に最適です。 | ||
| 詳細 | 商品詳細はこちら | ||
| 関連教材 | No.3-001_ISO9001学習教材(全章対応) | ||
ISO9001:6.1項のリスク及び機会への取組みはどこに記載すればいい?
ISO9001:6.1項のリスク及び機会への取組みについての記載は、品質マニュアルに記載することがおすすめです。
多くの企業で運用が上手く行かないといったご相談を受けますが、その原因は無駄な規定に落とし込みを図っていることです。
そうではなく、品質マニュアルに運用方法を記載し、取り組みは「帳票」で適合性を主張すればよいという考え方が重要です。
品質マニュアルへの記載例を以下に示しますので、是非参考にしてみてくださいね!
ISO9001・ISO14001構築でつまずきやすい点
ISO9001やISO14001は、「何を決めるべきか」「どう見える化するか」といった判断事項が多く、構築の初期段階で迷いやすい規格です。要求事項は理解できても、実際の規定や帳票をどう整えるかで手が止まってしまうケースも少なくありません。
そのため、実務で使われている規定や帳票の考え方を参考にしながら、自社のペースで整理していくことが重要になります。
ISO9001:6.1(6.1.1,6.1.2)に関するFAQ
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
リスクと機会の識別は、内部・外部の状況分析(SWOT分析やPEST分析)を活用するのが効果的です。プロセスごとに影響を与える要因を特定し、顧客満足や事業目標への影響を考慮することが重要です。社員の意見を取り入れ、部門横断的に検討すると見落としが減ります。
リスクの対応には「回避」「低減」「共有」「受容」の4つの戦略があります。重要度に応じて適切な戦略を選び、PDCAサイクルで改善を継続することが求められます。また、対応策は単に問題解決だけでなく、プロセスの改善や顧客満足度向上を目指すことを考慮しましょう。
⇒【ISO9001攻略】9.1.2:顧客満足の要求事項徹底解説!
機会とは、リスク回避の結果や改善活動を通じて得られるポジティブな効果です。例えば、新技術導入や市場拡大の機会がこれに該当します。これらの機会を積極的に捉え、目標達成に貢献する行動計画を策定し、進捗を定期的に評価することが求められます。
ISO9001:6.1項のリスク及び機会への取組み:まとめ
ISO9001:6.1項「リスク及び機会への取組み」の規格解釈および構築ポイントについて、いかがでしたでしょうか。
リスクは、必ずしも避けるべきものだけではなく、捉え方や対応次第では新たなチャンス(機会)につながる可能性を持っています。リスクを検討し、その中から機会を見出して行動につなげていくことは、事業の継続や成長という観点からも非常に重要な取組みです。
このような考え方を品質マネジメントシステムの中に組み込むことで、ISO9001は単なる「認証取得のための仕組み」ではなく、経営や事業活動に活かせる実践的なマネジメントツールであることが見えてきます。ISO9001の取得が「無駄ではない」と言える理由の一つが、この6.1項に表れています。
製造業に限らず、あらゆる業種において活用できる要求事項ですので、ぜひ本要求事項を基に、リスクと機会への取組みを進めてみてください。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
ISO9001:6.1項は、リスクと機会の考え方や他要求事項とのつながりが曖昧なまま運用されていると、監査・審査で指摘を受けやすい要求事項です。「このリスク整理で十分か」「品質目標と結び付いているか」不安があれば、メールによる個別コンサルで実務に即した整理を行っています。
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