IATF16949の第6章「計画」は、第4章で把握した課題・リスクをもとに、リスクと機会への取組み、品質目標とその達成計画、変更の計画を定める章です。
IATF16949ではここに、リスク分析、予防処置、緊急事態対応計画(BCP)といった自動車業界特有の要求が上乗せされます。「計画が他章と整合し、運用に反映されているか」が問われる章であり、計画書を作っただけで現場が動いていないと、審査・顧客監査で必ず指摘されます。
このページでは、第6章の全体像(6.1.1〜6.3)と各条項の要点、ISO9001との違い、審査・顧客監査で実際に見られるポイントまでを、自動車部品メーカーでの監査経験をもとに整理しました。
各条項の詳細解説記事への入口としてご活用ください。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 6.1 6.1.1 6.1.2 |
リスク及び機会への取組み | ○ | ● | ○ | |
| 6.1.2.1 | リスク分析 | ○ | ● | ||
| 6.1.2.2 | 予防処置 | ○ | |||
| 6.1.2.3 | 緊急事態対応計画 | ○ | ● | ||
| 6.2 6.2.1 6.2.2 |
品質目標及びそれを達成するための計画策定 | ○ | ○ | ||
| 6.2.2.1 | 品質目標及びそれを達成するための計画策定-補足 | ○ | ● | ||
| 6.3 | 変更の計画 | ○ | ○ |
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第6章は「リスク及び機会への取組み」「品質目標及びそれを達成するための計画策定」「変更の計画」で構成されます。このうち6.1.2.1、6.1.2.2、6.1.2.3、6.2.2.1がIATF16949でISO9001に上乗せされた固有要求です。
特にリスク分析(6.1.2.1)と緊急事態対応計画=BCP(6.1.2.3)は、ISO9001だけを運用してきた組織が新たに構築を求められる箇所です。まずは全条項の位置づけを俯瞰してください。
| 条項 | 題目 | 区分 | 一言で言うと |
|---|---|---|---|
| 6.1.1 | リスク及び機会への取組み | ISO共通 | リスク・機会を決定する |
| 6.1.2 | リスク及び機会への取組み | ISO共通 | 取組みを計画し有効性を評価する |
| 6.1.2.1 | リスク分析 | IATF固有 | リコール・工程等のリスクを分析する |
| 6.1.2.2 | 予防処置 | IATF固有 | 未然防止の取組みを行う |
| 6.1.2.3 | 緊急事態対応計画 | IATF固有 | 供給途絶等に備えるBCP |
| 6.2.1 | 品質目標及びそれを達成するための計画策定 | ISO共通 | 品質目標を設定する |
| 6.2.2 | 品質目標及びそれを達成するための計画策定 | ISO共通 | 達成のための計画を立てる |
| 6.2.2.1 | 品質目標及びそれを達成するための計画策定-補足 | IATF固有 | 顧客要求まで展開した品質目標 |
| 6.3 | 変更の計画 | ISO共通 | QMSの変更を計画的に行う |
※IATF16949の運用には、ISO9001の要求事項の運用が前提(必須)です。第6章も6.1.1・6.1.2・6.2.1・6.2.2・6.3というISO9001のベース要求の上に、IATF固有要求(6.1.2.1〜6.1.2.3・6.2.2.1)が積み上がっている構造であることを意識してください。
各条項について「要求の意図」と「監査で見られる点」を1〜2行で示します。詳しい構築方法・記載例は各詳細記事をご覧ください。
要求の意図
第4章の課題を踏まえてリスク及び機会を決定し、取り組みを計画し、その有効性を評価すること。
監査で見られる点
リスクが第4章の課題と整合しているか、取組みが第8章以降の運用に反映されているか。リスク一覧を作っただけで対策・評価が回っていない、という指摘が頻出します。
リスク及び機会は抽象論で終わりやすく、評価基準を決めて具体的な対応策まで落とし込めるかが重要。機会も含めた整理は〔リスク及び機会検討表(計画込み)サンプル〕で進められます。
要求の意図
リコールや製造工程など、過去の経験も踏まえたリスク分析を行うこと。
監査で見られる点
リスク分析にリコール・市場不具合・工程の実績が反映されているか。PFMEAとの連動が説明できるか。
工程FMEAは検討が形式化しやすく、故障モード・影響・原因を体系的に押さえて重要リスクを見落とさないかが要点。工程FMEAの抜け漏れ確認は〔工程FMEA点検チェックリスト〕で進められます。
※審査・顧客監査でも厳しく見れれるのは、断然工程FMEAです!!
要求の意図
起こり得る不適合を未然に防ぐための予防処置を決定し、実施すること。
監査で見られる点
是正処置(10.2)との違いを理解し、予防的な取組みの記録があるか。
要求の意図
自然災害・設備故障・労働力不足・サプライヤー破綻・サイバー攻撃など、供給に影響する緊急事態に備える計画を策定し、定期的に試験・見直しすること。
監査で見られる点
緊急事態のリストが網羅的か、計画が定期的に試験・レビューされているか。計画はあるが一度作って放置、というのが不適合になりやすい代表例です。
6.1.2.3では緊急事態のリスク洗い出しから優先順位付け、対応手順・顧客通知・定期見直しまでが問われます。形だけのBCPは審査でも緊急時でも機能しません。重要工程からの一連の整備は 〔緊急事態対応計画表(BCP表)サンプル〕を用いて整理できます。
要求の意図
品質方針に整合した品質目標を、関連する部門・階層・プロセスに設定し、達成のための計画(誰が・何を・いつまでに・どう評価するか)を立てること。
監査で見られる点
品質目標が測定可能で、達成計画と進捗の記録が一貫しているか。
品質方針は抽象的になりやすく、具体的な品質目標まで連動して展開できていないケースが多いです。方針から目標への展開は〔品質方針・品質目標シート〕で整理できます。
要求の意図
品質目標を、顧客要求事項を考慮して関連するプロセス・階層に展開すること。
監査で見られる点
品質目標が顧客要求(CSR含む)まで展開され、現場レベルの目標とつながっているか。
要求の意図
QMSの変更が必要な場合、その目的・影響・資源・責任を考慮して計画的に行うこと。
監査で見られる点
変更が場当たり的でなく、影響評価を経て計画的に実施・記録されているか。
ISO9001の第6章は「6.1リスク及び機会/6.2品質目標/6.3変更の計画」とシンプルですが、IATF16949では自動車業界特有の要求が上乗せされます。ISO9001だけ運用していた組織がIATF移行時に新たに構築を迫られるのが、リスク分析(6.1.2.1)と緊急事態対応計画=BCP(6.1.2.3)です。
| 観点 | ISO9001 | IATF16949(上乗せ) |
|---|---|---|
| リスク | リスク及び機会の決定 | 6.1.2.1リコール等を踏まえたリスク分析 |
| 未然防止 | 取組みの一部 | 6.1.2.2予防処置の明確な要求 |
| 事業継続 | 規定なし | 6.1.2.3緊急事態対応計画(BCP) |
| 品質目標 | 関連部門・階層へ展開 | 6.2.2.1顧客要求まで展開した品質目標 |
移行・構築の際は、既存のISO9001のリスク・品質目標の枠組みに、リコール等を踏まえたリスク分析と供給途絶に備える緊急事態対応計画(BCP)を確実に接続できているかを必ず確認してください。
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
6.1(リスク及び機会への取組み:6.1.1・6.1.2・6.1.2.1〜6.1.2.3)、6.2(品質目標及びそれを達成するための計画策定:6.2.1・6.2.2・6.2.2.1)、6.3(変更の計画)で構成されます。このうち6.1.2.1〜6.1.2.3・6.2.2.1がIATF固有の上乗せ要求です。
ISO9001はリスク及び機会・品質目標・変更の計画のみですが、IATF16949ではリスク分析(6.1.2.1)、予防処置(6.1.2.2)、緊急事態対応計画=BCP(6.1.2.3)、品質目標の補足(6.2.2.1)が追加されます。
自然災害、設備故障、ユーティリティの停止、労働力不足、サプライヤーの破綻、サイバー攻撃など、供給に影響する緊急事態を想定し、対応計画を策定します。計画は定期的に試験・見直しを行うことが求められます。
過去のリコールや市場不具合、製造工程のリスクなどを踏まえて分析します。PFMEAなどのコアツールと連動させて運用すると一貫性が保てます。
品質方針に整合させ、関連する部門・階層・プロセスに測定可能な形で設定します。IATFでは6.2.2.1により、顧客要求事項まで考慮して展開することが求められます。
IATF16949の第6章「計画」は、第4章の課題・リスクを起点に、リスクへの取組み・品質目標・変更を計画し、それを運用へつなげる章です。
ISO9001のベース要求(6.1.1・6.1.2・6.2・6.3)の上に、IATF固有要求(リスク分析、予防処置、緊急事態対応計画=BCP、品質目標の補足)が積み上がっている構造を意識し、特に緊急事態対応計画の定期的な試験・見直しと、品質目標の達成プロセスの記録の一貫性を確立することが、審査・顧客監査を安定して通過する鍵になります。
各条項の具体的な構築方法は、本ページからリンクする詳細記事をご確認ください。
「リスク分析とPFMEAをどう連動させればよいかわからない」「緊急事態対応計画(BCP)の試験・見直しの仕組みが作れていない」「品質目標が現場まで展開できていない」——
第6章は、計画を“作る”だけでなく“運用・記録につなげる”ことが必要で、つまずきやすい章です。当サイトでは、現場の監査経験をもとに、現状とのギャップを埋めるメールコンサルティングを提供しています。
