IATF16949の第6章「計画」は、第4章で把握した課題・リスクをもとに、リスクと機会への取組み、品質目標とその達成計画、変更の計画を定める章です。

IATF16949ではここに、リスク分析、予防処置、緊急事態対応計画(BCP)といった自動車業界特有の要求が上乗せされます。「計画が他章と整合し、運用に反映されているか」が問われる章であり、計画書を作っただけで現場が動いていないと、審査・顧客監査で必ず指摘されます。

このページでは、第6章の全体像(6.1.1〜6.3)と各条項の要点、ISO9001との違い、審査・顧客監査で実際に見られるポイントまでを、自動車部品メーカーでの監査経験をもとに整理しました。

各条項の詳細解説記事への入口としてご活用ください。


この記事を書いた人

所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
得意:工場品質改善・プロジェクトマネジメント
目標:ちょっとの相談でも頼りにされるコンサルタント
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Hiroaki.M

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第6章:計画についての「要求事項リスト」はこちら
ISO・IATF 6章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善
条項 題目 ISO
9001
重要
帳票
IATF
16949
重要
帳票
6.1
6.1.1
6.1.2
リスク及び機会への取組み  
6.1.2.1 リスク分析
6.1.2.2 予防処置  
6.1.2.3 緊急事態対応計画
6.2
6.2.1
6.2.2
品質目標及びそれを達成するための計画策定  
6.2.2.1 品質目標及びそれを達成するための計画策定-補足
6.3 変更の計画  

当サイトの情報提供スタンスについて

当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています

規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。

記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。

第6章「計画」の全体像(6.1.1〜6.3の構造)

第6章は「リスク及び機会への取組み」「品質目標及びそれを達成するための計画策定」「変更の計画」で構成されます。このうち6.1.2.1、6.1.2.2、6.1.2.3、6.2.2.1がIATF16949でISO9001に上乗せされた固有要求です。

特にリスク分析(6.1.2.1)と緊急事態対応計画=BCP(6.1.2.3)は、ISO9001だけを運用してきた組織が新たに構築を求められる箇所です。まずは全条項の位置づけを俯瞰してください。

条項 題目 区分 一言で言うと
6.1.1 リスク及び機会への取組み ISO共通 リスク・機会を決定する
6.1.2 リスク及び機会への取組み ISO共通 取組みを計画し有効性を評価する
6.1.2.1 リスク分析 IATF固有 リコール・工程等のリスクを分析する
6.1.2.2 予防処置 IATF固有 未然防止の取組みを行う
6.1.2.3 緊急事態対応計画 IATF固有 供給途絶等に備えるBCP
6.2.1 品質目標及びそれを達成するための計画策定 ISO共通 品質目標を設定する
6.2.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 ISO共通 達成のための計画を立てる
6.2.2.1 品質目標及びそれを達成するための計画策定-補足 IATF固有 顧客要求まで展開した品質目標
6.3 変更の計画 ISO共通 QMSの変更を計画的に行う

※IATF16949の運用には、ISO9001の要求事項の運用が前提(必須)です。第6章も6.1.1・6.1.2・6.2.1・6.2.2・6.3というISO9001のベース要求の上に、IATF固有要求(6.1.2.1〜6.1.2.3・6.2.2.1)が積み上がっている構造であることを意識してください。

第6章各条項の要点と詳細解説記事

各条項について「要求の意図」と「監査で見られる点」を1〜2行で示します。詳しい構築方法・記載例は各詳細記事をご覧ください。

6.1.1/6.1.2リスク及び機会への取組み

要求の意図
第4章の課題を踏まえてリスク及び機会を決定し、取り組みを計画し、その有効性を評価すること。

監査で見られる点
リスクが第4章の課題と整合しているか、取組みが第8章以降の運用に反映されているか。リスク一覧を作っただけで対策・評価が回っていない、という指摘が頻出します。

リスク及び機会は抽象論で終わりやすく、評価基準を決めて具体的な対応策まで落とし込めるかが重要。機会も含めた整理は〔リスク及び機会検討表(計画込み)サンプル〕で進められます。

6.1.2.1リスク分析

要求の意図
リコールや製造工程など、過去の経験も踏まえたリスク分析を行うこと。

監査で見られる点
リスク分析にリコール・市場不具合・工程の実績が反映されているか。PFMEAとの連動が説明できるか。

工程FMEAは検討が形式化しやすく、故障モード・影響・原因を体系的に押さえて重要リスクを見落とさないかが要点。工程FMEAの抜け漏れ確認は〔工程FMEA点検チェックリスト〕で進められます。
※審査・顧客監査でも厳しく見れれるのは、断然工程FMEAです!!

6.1.2.2予防処置

要求の意図
起こり得る不適合を未然に防ぐための予防処置を決定し、実施すること。

監査で見られる点
是正処置(10.2)との違いを理解し、予防的な取組みの記録があるか。

6.1.2.3緊急事態対応計画(BCP)

要求の意図
自然災害・設備故障・労働力不足・サプライヤー破綻・サイバー攻撃など、供給に影響する緊急事態に備える計画を策定し、定期的に試験・見直しすること。

監査で見られる点
緊急事態のリストが網羅的か、計画が定期的に試験・レビューされているか。計画はあるが一度作って放置、というのが不適合になりやすい代表例です。

6.1.2.3では緊急事態のリスク洗い出しから優先順位付け、対応手順・顧客通知・定期見直しまでが問われます。形だけのBCPは審査でも緊急時でも機能しません。重要工程からの一連の整備は 〔緊急事態対応計画表(BCP表)サンプル〕を用いて整理できます。

6.2.1/6.2.2品質目標及びそれを達成するための計画策定

要求の意図
品質方針に整合した品質目標を、関連する部門・階層・プロセスに設定し、達成のための計画(誰が・何を・いつまでに・どう評価するか)を立てること。

監査で見られる点
品質目標が測定可能で、達成計画と進捗の記録が一貫しているか。

品質方針は抽象的になりやすく、具体的な品質目標まで連動して展開できていないケースが多いです。方針から目標への展開は〔品質方針・品質目標シート〕で整理できます。

6.2.2.1品質目標及びそれを達成するための計画策定-補足

要求の意図
品質目標を、顧客要求事項を考慮して関連するプロセス・階層に展開すること。

監査で見られる点
品質目標が顧客要求(CSR含む)まで展開され、現場レベルの目標とつながっているか。

6.3変更の計画

要求の意図
QMSの変更が必要な場合、その目的・影響・資源・責任を考慮して計画的に行うこと。

監査で見られる点

変更が場当たり的でなく、影響評価を経て計画的に実施・記録されているか。

ISO9001第6章との違い(IATF固有の上乗せ)

ISO9001の第6章は「6.1リスク及び機会/6.2品質目標/6.3変更の計画」とシンプルですが、IATF16949では自動車業界特有の要求が上乗せされます。ISO9001だけ運用していた組織がIATF移行時に新たに構築を迫られるのが、リスク分析(6.1.2.1)と緊急事態対応計画=BCP(6.1.2.3)です。

観点 ISO9001 IATF16949(上乗せ)
リスク リスク及び機会の決定 6.1.2.1リコール等を踏まえたリスク分析
未然防止 取組みの一部 6.1.2.2予防処置の明確な要求
事業継続 規定なし 6.1.2.3緊急事態対応計画(BCP)
品質目標 関連部門・階層へ展開 6.2.2.1顧客要求まで展開した品質目標

移行・構築の際は、既存のISO9001のリスク・品質目標の枠組みに、リコール等を踏まえたリスク分析供給途絶に備える緊急事態対応計画(BCP)を確実に接続できているかを必ず確認してください。

よくある質問(FAQ)

規格対応でよく聞かれる悩み

ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。

また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。

IATF16949の第6章にはどんな要求事項がありますか?

6.1(リスク及び機会への取組み:6.1.1・6.1.2・6.1.2.1〜6.1.2.3)、6.2(品質目標及びそれを達成するための計画策定:6.2.1・6.2.2・6.2.2.1)、6.3(変更の計画)で構成されます。このうち6.1.2.1〜6.1.2.3・6.2.2.1がIATF固有の上乗せ要求です。

ISO9001の第6章と何が違いますか?

ISO9001はリスク及び機会・品質目標・変更の計画のみですが、IATF16949ではリスク分析(6.1.2.1)、予防処置(6.1.2.2)、緊急事態対応計画=BCP(6.1.2.3)、品質目標の補足(6.2.2.1)が追加されます。

緊急事態対応計画(6.1.2.3)では何を備えればよいですか?

自然災害、設備故障、ユーティリティの停止、労働力不足、サプライヤーの破綻、サイバー攻撃など、供給に影響する緊急事態を想定し、対応計画を策定します。計画は定期的に試験・見直しを行うことが求められます。

リスク分析(6.1.2.1)は何を分析すればよいですか?

過去のリコールや市場不具合、製造工程のリスクなどを踏まえて分析します。PFMEAなどのコアツールと連動させて運用すると一貫性が保てます。

品質目標(6.2)はどのように設定すればよいですか?

品質方針に整合させ、関連する部門・階層・プロセスに測定可能な形で設定します。IATFでは6.2.2.1により、顧客要求事項まで考慮して展開することが求められます。

まとめ

IATF16949の第6章「計画」は、第4章の課題・リスクを起点に、リスクへの取組み・品質目標・変更を計画し、それを運用へつなげる章です。

ISO9001のベース要求(6.1.1・6.1.2・6.2・6.3)の上に、IATF固有要求(リスク分析、予防処置、緊急事態対応計画=BCP、品質目標の補足)が積み上がっている構造を意識し、特に緊急事態対応計画の定期的な試験・見直しと、品質目標の達成プロセスの記録の一貫性を確立することが、審査・顧客監査を安定して通過する鍵になります。

各条項の具体的な構築方法は、本ページからリンクする詳細記事をご確認ください。

第6章の構築・運用でお困りの方へ

「リスク分析とPFMEAをどう連動させればよいかわからない」「緊急事態対応計画(BCP)の試験・見直しの仕組みが作れていない」「品質目標が現場まで展開できていない」——

第6章は、計画を“作る”だけでなく“運用・記録につなげる”ことが必要で、つまずきやすい章です。当サイトでは、現場の監査経験をもとに、現状とのギャップを埋めるメールコンサルティングを提供しています。

第6章:IATFの記事一覧
【IATF16949攻略】6.1.2.1:リスク分析の要求事項徹底解説!
【IATF16949攻略】6.1.2.2:予防処置の要求事項徹底解説!
【IATF16949攻略】6.1.2.3:緊急事態対応計画の要求事項徹底解説!
【IATF16949攻略】6.2.2.1:品質目標及びそれを達成するための計画策定-補足の要求事項徹底解説!