ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定では、品質方針によって掲げられた内容をもとに、各プロセスに対して品質目標を策定することを求めています。
今回の記事は、ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定についての意味と構築ポイントについて解説します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
6.1 6.1.1 6.1.2 |
リスク及び機会への取組み | ○ | ○ |
6.1.2.1 | リスク分析 | ○ | |
6.1.2.2 | 予防処置 | ○ | |
6.1.2.3 | 緊急事態対応計画 | ○ | |
6.2 6.2.1 6.2.2 |
品質目標及びそれを達成するための計画策定 | ○ | ○ |
6.2.2.1 | 品質目標及びそれを達成するための計画策定-補足 | ○ | |
6.3 | 変更の計画 | ○ | ○ |
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目次
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定の意図
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定で大事なことは、5.2.1項の品質方針の確立で定められた枠組みをもとに、品質目標を確立することです。
ここで大事なことは、6.2.1項で記載されている条文の前半です。
ここでいう機能・階層とは一言でいうと「部門」「課」です。そしてプロセスといったことを考慮して品質目標の策定が必要になります。
そしてもう一つ大事なことは、品質目標を策定したらその目標に対してのPDCAサイクルを回しながらアクションを行っていくことです。
審査や顧客監査の際は、この品質目標に対してPDCAがきちんと回っているかがポイントなるので、品質目標策定及びそれを達成するためのPDCAサイクルの仕組みを構築する必要があります。
次にその構築ポイントについて解説します。
タートル図がポイント!
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定の6.2.1項には以下のように書かれています。
5.2.1項の品質方針の確立で定められた枠組みをもとに、品質目標を確立することです。
この品質方針をもとに策定された各プロセスの評価指標がタートル図に書かれていますよね?評価指標は必ず品質目標に入れるようにしましょう!
関連要求事項:5.2.1項の品質方針の確立
それ以外に組織・部門・プロセスの中で品質目標と定めるべき内容があれば追加することが必要です。
品質目標は「顧客満足追及」が肝
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定の6.2.1項には以下のように書かれています。
c)適用される要求事項を考慮に入れる。
d)製品及びサービスの適合,並びに顧客満足の向上に関連している。
b)測定可能であるというのは、必ずしも「数値目標」である必要はありませんが、可能な限り数値目標にすることがおすすめです。
例えば、「Aライン工程内不良率0.5%以下」という目標であれば対策から有効性を数値化して監視できます。
c)要求事項を考慮とは、品質マネジメントシステムに関する規格や法令・規制要求事項・顧客要求事項などを考慮して品質目標を立てることを意図しています。
d)は、製品及びサービスを提供する顧客が満足すること=顧客満足向上を考慮した目標である必要があります。
例えば、「製品販売価格UP5%」という目標だと顧客は満足しませんが、「製品価格DOWN及び利益率5%UP」であれば、顧客にもメリットが大きい目標です。
品質目に対してPDCAを回す仕組み
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定の6.2.1項には以下のように書かれています。
f)伝達する。
g)必要に応じて,更新する。
組織は,品質目標に関する文書化した情報を維持しなければならない。
品質目標を策定したら必ず伝達しましょう。
伝達手段は口頭ではなく、文書化された手段が必要です。一般的な方法としては以下のようなやり方です。
②従業員居室・現場
③携帯個人カード(社員証ケース内)
など
監視方法とは、例えば工程内不良率低減目標であれば、工程内不良率の記録をもとに毎月のデータを算出して結果を月一のマネジメントレビューなどで報告することが求められます。
関連記事:5.2.2項の品質方針の伝達
g)の必要に応じて更新するというのは、二つのタイミングがあります。
1つ目は、毎年のマネジメントレビューの結果からの見直し・更新。2つ目は、目標があまりにも高すぎた場合の変更です。
品質目標を策定した際に、明らかに高すぎる目標だったり、達成できないことがわかってしまったりすることはあります。
その際は、必要に応じて更新することが大事です。
品質目標は詳細計画が大事!
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定の6.2.2項には以下のように書かれています。
b)必要な資源
c)責任者
d)実施事項の完了時期
e)結果の評価方法
品質方針の枠組みをもとに策定された品質方針は、あくまでも「測定可能な目標」です。
その目標が与えられた部門・階層・プロセスは、達成に向けての詳細計画を立てる必要があります。
下記の画像のように、品質目標から詳細計画の立て方を参考に実施しましょう。また、その詳細計画書をもとにマネジメントレビューへのインプットにすることが重要です。
必要な資源と責任者に関しては、詳細計画の一部として記入します。
例えば治具製作費予算:50万円(担当:田中)などの記載を行うことが重要です。
また、詳細計画には実施担当を記載することはもちろん、計画遂行責任者(一般的には部門長)の方のお名前を記入しておくようにしましょう。
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定はどこに記載すればいい?
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定は規定化されている企業もありますが、品質マニュアルの中で対応されている企業もあります。
この要求事項は、文書化した情報の維持が求められているので、帳票が重要となります。
そのため、策定ルールについては、以下のように品質マニュアルに記載しておけばOKです。
②事務局より発行される品質目標を基に、各部門・階層・プロセスにおける品質目標詳細計画を策定する。
③各部門責任者は、詳細計画を策定後、経営層の承認後に目標達成に向け実施する。
④詳細計画は、各部門内で教育され、必要に応じて関連部門にも伝達しなくてはならない。
⑤品質目標に必要な資源が追加で必要な場合は、詳細計画の進捗報告会で上申しなくてはならない。
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定:まとめ
ISO9001:6.2項の品質目標及びそれを達成するための計画策定の規格解釈および構築ポイントは如何でしたでしょうか?
品質目標の策定は、5.2.1項及び5.2.2項の品質方針の確立と伝達の要求事項と非常にリンクした要求事項です。
品質目標の枠組みはトップマネジメントが作成することが多いですが、その目標についての実行は、各部門及びプロセスです。
トップマネジメントから与えられた目標を遂行するために品質目標詳細計画を立て、月一会議や年度末に行われるマネジメントレビューなどで結果のインプットを行うようにしましょう。
これらは審査や顧客監査で確認される項目なので、しっかりPDCAを回しながら進めることがポイントです。
それではまた!
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