IATF16949の第9章「パフォーマンス評価」は、QMSが意図したとおりに機能しているかを“測り、監査し、経営が見直す”章です。監視・測定・分析(9.1)、内部監査(9.2)、マネジメントレビュー(9.3)の3つで構成され、第6章で立てた計画と第8章の運用が回っているかを評価して、第10章の改善につなげる「PDCAのC(Check)」にあたります。
IATF16949ではここに、統計的手法、顧客満足の補足(製造工程パフォーマンス)、そしてシステム監査・製造工程監査・製品監査という3つの内部監査といった自動車業界特有の要求が上乗せされます。このページでは、第9章の全体像と各区分の要点、ISO9001との違い、審査・顧客監査で実際に見られるポイントまでを、自動車部品メーカーでの監査経験をもとに整理しました。
各条項の詳細解説記事への入口としてご活用ください。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
得意:工場品質改善・プロジェクトマネジメント
目標:ちょっとの相談でも頼りにされるコンサルタント
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要記録 | IATF 16949 |
重要記録 |
| 9.1 9.1.1 |
一般(監視・測定・分析及び評価) | ○ | ○ | ||
| 9.1.1.1 | 製造工程の監視及び測定(SPC) | ○ | |||
| 9.1.1.2 | 統計的ツールの特定 | ○ | |||
| 9.1.1.3 | 統計概念の適用 | ○ | |||
| 9.1.2 | 顧客満足 | ○ | ● | ○ | |
| 9.1.2.1 | 顧客満足-補足 | ○ | ● | ||
| 9.1.3 | 分析及び評価 | ○ | ○ | ||
| 9.1.3.1 | 優先順位付け | ○ | |||
| 9.2.1 9.2.2 |
内部監査 | ○ | ○ | ||
| 9.2.2.1 | 内部監査プログラム | ○ | ● | ||
| 9.2.2.2 | 品質マネジメントシステム監査 | ○ | ● | ||
| 9.2.2.3 | 製造工程監査 | ○ | ● | ||
| 9.2.2.4 | 製品監査 | ○ | ● | ||
| 9.3.1 | 一般(マネジメントレビュー) | ○ | ○ | ||
| 9.3.1.1 | マネジメントレビュー-補足 | ○ | |||
| 9.3.2 | マネジメントレビューへのインプット | ○ | ● | ○ | |
| 9.3.2.1 | マネジメントレビューへのインプット-補足 | ○ | ● | ||
| 9.3.3 | マネジメントレビューからのアウトプット | ○ | ○ | ||
| 9.3.3.1 | マネジメントレビューからのアウトプット-補足 | ○ |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
第9章は「監視、測定、分析及び評価(9.1)」「内部監査(9.2)」「マネジメントレビュー(9.3)」で構成されます。下表の太字がIATF16949でISO9001に上乗せされた固有要求です。特に内部監査(9.2.2.1〜9.2.2.4)は、IATF16949の運用力がそのまま現れる重要パートです。
| 区分 | 条項 | 題目 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 9.1 | 9.1.1 | 監視、測定、分析及び評価一般 | ISO共通 |
| 9.1 | 9.1.1.1 | 製造工程の監視及び測定 | IATF固有 |
| 9.1 | 9.1.1.2 | 統計的手法の特定 | IATF固有 |
| 9.1 | 9.1.1.3 | 統計概念の適用 | IATF固有 |
| 9.1 | 9.1.2 | 顧客満足 | ISO共通 |
| 9.1 | 9.1.2.1 | 顧客満足-補足 | IATF固有 |
| 9.1 | 9.1.3 | 分析及び評価 | ISO共通 |
| 9.1 | 9.1.3.1 | 分析及び優先順位付け | IATF固有 |
| 9.2 | 9.2.1/9.2.2 | 内部監査 | ISO共通 |
| 9.2 | 9.2.2.1 | 内部監査プログラム | IATF固有 |
| 9.2 | 9.2.2.2 | 品質マネジメントシステム監査 | IATF固有 |
| 9.2 | 9.2.2.3 | 製造工程監査 | IATF固有 |
| 9.2 | 9.2.2.4 | 製品監査 | IATF固有 |
| 9.3 | 9.3.1 | マネジメントレビュー一般 | ISO共通 |
| 9.3 | 9.3.1.1 | マネジメントレビュー-補足 | IATF固有 |
| 9.3 | 9.3.2 | マネジメントレビューへのインプット | ISO共通 |
| 9.3 | 9.3.2.1 | 〃-補足 | IATF固有 |
| 9.3 | 9.3.3 | マネジメントレビューからのアウトプット | ISO共通 |
| 9.3 | 9.3.3.1 | 〃-補足 | IATF固有 |
※IATF16949の運用には、ISO9001の要求事項の運用が前提(必須)です。第9章もISO9001のベース要求の上に、統計的手法・製造工程パフォーマンス・3つの内部監査・マネジメントレビューの詳細インプットなどのIATF固有要求が積み上がっている構造であることを意識してください。
要求の意図
工程能力(Cp/Cpk等)や工程パフォーマンスを監視・測定し、コントロールプランで定めた要求を満たすこと。
監査で見られる点
特殊特性工程の工程能力が把握され、基準を外れたときの処置が定められているか。
APQP・FMEA・MSAなどのコアツールは、手法を知っていても「どの場面でどこまで使うか」で迷いがち。使いどころの全体像は〔コアツール実践教材〕で整理できます。
要求の意図
適切な統計的手法を特定し(9.1.1.2)、現場担当者に統計概念を教育してデータに基づく処置を行うこと(9.1.1.3)。
監査で見られる点
現場が統計データの意味を理解し、ばらつき・傾向に基づいて処置できているか。
要求の意図
顧客満足を、顧客の声だけでなく自社の製造工程パフォーマンスでも評価すること。
監査で見られる点
出荷検査不良率・特殊特性工程のパフォーマンスなど測定可能な指標を選び、理想状態を明確にして評価(点数化)しているか。
顧客満足度は調査の実施が目的化しやすく、結果を改善に結び付けられるかが要点。確認項目と結果整理は〔顧客満足度調査表帳票〕で整理できます。
要求の意図
分析結果を比較し、是正・改善の優先順位付けに用いること。
監査で見られる点
データ分析が傾向把握と優先順位付け(重点課題の特定)につながっているか。→詳細記事:(記事作成予定)
9.1.1(一般)、9.1.2(顧客満足)、9.1.3(分析及び評価)はISO9001のベース要求です。
ISO9001の要求事項はこちら
第9章の中核です。IATF16949では、内部監査を
①品質マネジメントシステム監査
②製造工程監査
③製品監査
の3種類で実施することが求められます。当サイトが最も実務知見を持つ領域です。
要求の意図
監査対象プロセスとその状況を理解し、リスク(顧客に影響するトラブル等)を考慮した監査計画を立て、実行・見直しすること。
監査で見られる点
監査計画が都度見直されているか。プロセスの変更・追加時に新規プロセスの内部監査が行われているか。内部不適合や審査・顧客監査での不適合を受けて追加の内部監査を実施しているか。監査計画通りに進んだかではなく、見直して対応しているかが審査で確認されます。監査結果(3監査)はマネジメントレビューのインプットとしてまとめて報告すること。
内部監査はチェックリストを回すだけでなく、計画の立て方や結果のまとめ方で改善につながるかが変わります。必要な帳票・記録の考え方は〔内部監査6点セット〕で整理できます。
要求の意図
IATFの要求事項を監査するだけでなく、暦3年以内に全要求事項+顧客固有要求事項(CSR)をサンプリング監査でカバーすること。
監査で見られる点
3年で全要求事項・CSRを網羅する監査計画になっているか。カバレッジの管理表があるか。
要求の意図
実際の製造プロセスがIATF・顧客・社内の基準に適合しているかを監査すること(作業手順の遵守、設備の保守、異常時対応など)。コアツールに基づく工程監査手法(例:VDA6.3等)が用いられることもあります。
監査で見られる点
製造現場で作業手順遵守・設備保守・異常対応が確認され、工程の品質リスクが抽出・是正されているか。
要求の意図
製品が要求(寸法・機能・外観・梱包・表示等)に適合しているかを、出荷可否とは別の視点で監査すること。
監査で見られる点
製品監査の頻度・対象・判定基準が定められ、顧客要求を反映しているか。
9.2.1/9.2.2(内部監査・ISO共通)はベース要求です。
ISO9001の要求事項はこちら
要求の意図
マネジメントレビューを、少なくとも年1回(QMSの有効性を確実にする頻度)で実施すること。
監査で見られる点:レビューの頻度・参加者(トップマネジメント)・記録が適切か。
マネジメントレビューは「何をインプットし、どう意思決定へ結び付けるか」が要点。インプット項目と進め方は〔マネジメントレビュー インプット整理表〕で整理できます。
要求の意図
ISO9001よりも多くの項目をインプットすること。APQP(設計開発の良し悪し)、製品の適合性(重要検査結果・不良率・市場クレーム件数・変更管理の件数/内容)、納期遅れなど顧客影響事象などを含む。
監査で見られる点
各会議体でトップへ要求項目をインプットし、年1回のまとめ会議で報告されているか。納期遅れ等の顧客影響事象が是正につながっているか。
要求の意図
レビューの結果として、品質目標未達への対応や改善のアクションを決定すること。
監査で見られる点
アウトプット(決定事項)が改善(第10章)・資源配分につながり、フォローされているか。
9.3.1(一般)、9.3.2(インプット)、9.3.3(アウトプット)はISO9001のベース要求です。
ISO9001の要求事項はこちら
ISO9001の第9章は「監視測定・内部監査・マネジメントレビュー」を一般的に定めますが、IATF16949では自動車業界特有の要求が上乗せされます。
最大の違いは、内部監査が3種類(システム・工程・製品)に具体化され、3年での全要求事項・CSRカバレッジが求められる点です。
| 観点 | ISO9001 | IATF16949(上乗せ) |
|---|---|---|
| 工程監視 | 監視・測定 | 9.1.1.1〜9.1.1.3工程パフォーマンス・統計的手法 |
| 顧客満足 | 顧客の認識の監視 | 9.1.2.1製造工程パフォーマンスでも評価 |
| 内部監査 | 内部監査(1種類) | 9.2.2.1〜9.2.2.4監査プログラム+システム/工程/製品の3監査・3年カバレッジ |
| MRインプット | 規定の項目 | 9.3.2.1 APQP・製品適合性・顧客影響事象を追加 |
移行・構築の際は、既存のISO9001の評価・監査の枠組みに、統計的手法、製造工程パフォーマンスでの顧客満足評価、3つの内部監査(3年カバレッジ)、マネジメントレビューの詳細インプットを確実に接続できているかを必ず確認してください。
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
監視・測定・分析及び評価(9.1)、内部監査(9.2)、マネジメントレビュー(9.3)で構成されます。統計的手法、製造工程パフォーマンスによる顧客満足評価、システム監査・製造工程監査・製品監査の3つの内部監査、マネジメントレビューの詳細インプットなどがIATF固有の上乗せ要求です。
3種類です。①品質マネジメントシステム監査(9.2.2.2)、②製造工程監査(9.2.2.3)、③製品監査(9.2.2.4)です。それぞれ目的が異なり、内部監査プログラム(9.2.2.1)の中で計画・実施します。
9.2.2.2により、品質マネジメントシステム監査は暦3年以内に、IATF16949の全要求事項と顧客固有要求事項(CSR)をサンプリングで監査することが求められます。カバレッジを管理表で追跡しておくと審査で説明しやすくなります。
監査計画を「立てて終わり」にせず、プロセスの変更・追加や不適合の発生に応じて見直すことです。審査では、計画どおりに進んだかではなく、見直して適切に対応しているかが確認されます。
IATF16949では項目が増え、APQP(設計開発の良し悪し)、製品の適合性(重要検査結果・不良率・市場クレーム件数・変更管理の件数/内容)、納期遅れなど顧客に影響する事象などをインプットすることが求められます。
IATF16949の第9章「パフォーマンス評価」は、計画(第6章)と運用(第8章)が機能しているかを測り、監査し、経営が見直して、改善(第10章)へつなぐPDCAの要の章です。ISO9001のベース要求の上に、統計的手法、製造工程パフォーマンスによる顧客満足評価、システム監査・製造工程監査・製品監査という3つの内部監査(3年カバレッジ)、マネジメントレビューの詳細インプットといったIATF固有要求が積み上がっています。
特に、内部監査プログラムの見直しと3年カバレッジ、3監査の確実な実施、監査結果のマネジメントレビュー・是正処置への連動は、認証取得・維持の成否を大きく左右します。
各条項の具体的な構築方法は、本ページからリンクする詳細記事をご確認ください。
「内部監査プログラムをリスクベースでどう組めばよいかわからない」「3年で全要求事項+CSRをカバーする計画の作り方に自信がない」「製造工程監査・製品監査をどう実施すればよいか迷う」「マネジメントレビューのインプットが不足していると指摘された」——
第9章、とりわけ内部監査とマネジメントレビューは、認証取得・維持の成否を左右する重要プロセスです。
当サイトでは、現場の監査経験をもとに、現状とのギャップを埋めるメールコンサルティングを提供しています。
