こんにちは、ISO9001・IATF16949取得を目指す皆さん。今日の話題は「ISO19011」についてです。監査の手法、その意義、そしてこれがなぜあなたの企業にとって重要なのかを解説していきます。ISO19011について知ることは、質の高いマネジメントシステムを運用するための鍵となるのです!
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目次
ISO19011とは?
ISO19011は、あらゆる種類のマネジメントシステムの監査に関する指針を提供する国際規格です。この規格は、ISO 9001やISO 27001などの他のマネジメントシステム規格と同様に、附属書SLに準拠していますおり、附属書SLは、すべてのマネジメントシステム規格に一貫した形式と内容を持たせるための枠組みとなっています。
これにより各規格は、共通の基本要素、統一された用語と定義、そして同じコアテキストを共有することができます。この一貫性により、複数のマネジメントシステムを同時に運用している組織は、より効率的に監査を行うことができ、マネジメントシステムの統合や運用が容易になります。
ISO19011は、これらのシステムを監査する際の基準として、適切かつ効果的な指導を提供してくれています。
そもそも監査とは何?
品質監査における「監査」とは、組織の品質管理システムやプロセスが特定の基準や要件を満たしているかを評価するための独立した、系統的な検証プロセスです。このプロセスは、組織が設定した品質目標を達成しているかどうかを確認し、必要に応じて改善策を提案することを目的としています。
品質監査には主に以下の要素が含まれます。
①準備と計画:監査の範囲、目的、基準を定義し、監査計画を作成します。
②文書のレビュー:品質管理システムの文書や記録を検証し、システムが適切に文書化され、運用されているかを確認します。
③現場での検証:実際の作業現場やプロセスを観察し、従業員へのインタビューを通じて、実際の運用が品質基準に準拠しているかを評価します。
④報告とフィードバック:監査の結果を報告し、必要に応じて改善策や推奨事項を提供します。
⑤フォローアップ:改善策が実施されたか、またその効果があったかを確認するためのフォローアップ監査が行われることもあります。
品質監査は、組織が品質基準や顧客の要求を満たしているかどうかを定期的に評価し、継続的な改善を促進するために重要な役割を果たします。
監査の原則とISO19011
ISO19011は、監査の原則に基づいています。これらの原則は監査の品質と効果を確保するために不可欠で、以下の7つから成り立っています。
①高潔さ:監査員は常に誠実で、専門的な行動をとる必要がある。
②公正な報告:監査員は真実と公平を保証し、偏りのない結果を提供する。
③専門家としての正当な注意:監査員は、自身の専門知識とスキルを適用して合理的な判断を下す。
④機密保持:監査員は情報を適切に管理し、情報の機密性を保護する。
⑤独立性:監査員は客観的であり、監査活動は予測された結果に影響を受けることがないようにする。
⑥証拠に基づくアプローチ:監査は信頼性のある、関連性のある、そして目的に適した証拠に基づいて行われます。
⑦リスクに基づくアプローチ:監査はリスクと機会に注目し、その結果がシステムの効果を最大化することを確保します。
これらの原則は、ISO19011における監査の手法の基盤を形成しています。これらを理解し、適用することで、監査の質を高め、効果的な結果を生み出すことができます。
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ISO19011に基づく監査の必要性
では、なぜISO9001やIATF16949の運用において、ISO19011に基づく監査が不可欠なのでしょうか?それは、これらの規格は品質管理システム(QMS)としての役割を果たし、その適用は企業の業績向上に寄与するからです。
ISO19011に基づく監査は、システムの有効性を評価し、必要な改善を特定するための手法となります。ISO19011に基づく監査は、ISO 9001やIATF16949の要求事項が適切に満たされているかを評価します。
これにより、企業は顧客の期待を超える品質を提供する能力を証明することができまた、企業は監査を通じて、プロセスの改善点を特定し、業績をさらに向上させることが可能となります。
監査における客観的証拠とは何?
品質監査における「客観的証拠」とは、監査対象のプロセス、システム、または製品の品質に関する情報であり、監査基準に基づいて評価されるものです。
この証拠は、監査中に収集され、組織の品質管理システムが特定の基準や要件を満たしているかどうかを判断するために使用されます。
客観的証拠には以下のようなものが含まれます。
①文書記録:品質マニュアル、手順書、作業指示書、品質記録など、文書化された手順や方針の証拠。
②データとレポート:品質検査、試験結果、監査報告、性能データ、製品不良レポートなどのデータ。
③物理的証拠:製品サンプル、製造設備、測定ツール、製品の状態など、物理的な要素に関する証拠。
④観察:監査中の作業現場の観察から得られる証拠。これには、プロセスの実行方法や作業環境の状態が含まれます。
⑤インタビューの結果:従業員や管理者へのインタビューから得られる情報。これにより、実際の作業手順や意識、理解度などが明らかになります。
客観的証拠は、監査の信頼性と正確性を高めるために重要です。これらの証拠を通じて、監査人は組織の品質管理システムが規定された要件に適合しているかどうかを公正に評価することができます。また、客観的証拠は、監査結果に基づいて改善策を策定する際の重要な基盤となります。
監査の判定を適合・不適合です出す!
ISO 19011は、監査プログラムの管理、監査の実施、監査員の能力などに関するガイドラインを提供しており、品質監査における最終結論の判定にも役立ちます。品質監査の最終結論では、通常、「適合」、「重大な不適合」、「軽微な不適合」、「改善の機会」などの判定が行われます。ISO 19011に従ったこれらの判定の仕方について説明します。
定義 | 内容 | |
適合 | 監査対象が監査基準に完全に準拠している状態。 | 監査基準と照らし合わせた際に、要求事項が全て満たされていることが客観的証拠によって確認された場合に適合と判定されます。 |
重大な不適合 | 監査対象が監査基準の重要な要求を満たしていない状態、または品質管理システム全体の効果に重大な影響を与える状態。 | 要求事項や手順が実施されていない、または大幅に違反している場合、または発生した不適合が製品やサービスの品質に重大な影響を及ぼす可能性がある場合に重大な不適合と判定されます。 |
軽微な不適合 | 監査対象が監査基準の一部の要求を満たしていないが、全体の品質管理システムの効果には重大な影響を与えない状態。 | 小さな違反や単発の失敗が確認され、それが全体のシステムや製品の品質に重大な影響を及ぼす可能性が低い場合に軽微な不適合と判定されます。 |
改善の機会 | 監査対象が基準に適合しているが、プロセス、システム、または製品の品質を向上させる機会が存在する状態。 | 現状では基準に適合しているものの、より効率的、効果的な方法が可能である場合、またはベストプラクティスが採用されていない場合に改善の機会と判定されます。 |
これらの判定は、監査中に収集された客観的証拠に基づいて行われ、監査報告書で詳細に記述されます。ISO 19011は、これらの判定を行う際の一般的なガイドラインを提供し、監査員が公正かつ一貫した評価を行うための基準を設けています。
重要なのは、判定が客観的であること、そして組織がこれらの結果を利用してその品質管理システムを是正・改善してよりよいものにしていくことです。
監査所見の書き方
監査所見(Audit Findings)の書き方は、品質監査の成果を効果的に伝えるために非常に重要です。所見は、監査対象が監査基準にどの程度準拠しているかを示すもので、客観的証拠に基づいていなければなりません。
ISO 19011などのガイドラインに従った適切な監査所見の書き方には以下のポイントが含まれます。
監査所見の要素
- 客観的証拠:
- 客観的証拠として得られたデータ、観察結果、文書、レコード、声明などを具体的に記述します。
- 例:「品質記録レポートによれば、製品Xの不良率は過去3ヶ月で5%増加している」
- 基準に対する準拠状況:
- 監査基準や要件と客観的証拠との対比を示します。
- 例:「品質管理手順書では、不良率が2%を超えた場合には直ちに対策を講じることとされています」
- 適合または不適合の判定:
- 監査対象が基準に適合しているか、不適合であるかを明確に示します。
- 例:「この不良率の増加は、品質管理手順の要件に対する不適合を示しています」
- リスクや影響:
- 不適合が組織に与える可能性のあるリスクや影響を評価します。
- 例:「この不良率の増加は、顧客満足度の低下につながりかねません」
- 推奨事項(任意):
- 改善策や将来のリスクを避けるための提案を行うこともできます。
- 例:「不良率の原因分析と改善策の検討を推奨します」
①明確かつ具体的に
⇒曖昧な表現を避け、具体的な事実やデータに基づいて記述します。
②客観性を保持
⇒個人的な意見や推測ではなく、客観的証拠に基づいて所見を書きます。
③一貫性を保つ
⇒同じような状況に対しては、一貫した方法で所見を記述することが重要です。
④読みやすく理解しやすい
⇒専門用語の過度な使用を避け、明瞭かつ簡潔に記述します。
これらのガイドラインに従うことで、監査所見は効果的なコミュニケーションのツールとなり、組織が品質管理システムの改善策を策定する際の重要な基盤となります。
監査員に求められる「力量」とは?
監査員に求められる力量は、効果的な監査を行い、組織の品質管理システムの評価と改善に貢献するために非常に重要です。ISO 19011などのガイドラインは、監査員が持つべき能力や特性を詳細に記述しています。これらの能力や特性には以下のようなものが含まれます。
専門知識とスキル
①監査基準の理解
⇒監査対象となる基準(例えばISO 9001などの品質管理基準)に関する深い知識。
⇒監査プロセスと手法に関する専門知識。
②業界知識
⇒監査される組織の業界やセクターに関する知識。
⇒監査対象のビジネスプロセス、文化、リスクに関する理解。
個人の人間性
①客観性と公平性
⇒個人的偏見や利益相反を排除し、公正な判断を行う能力。
⇒客観的証拠に基づいて評価し、個人的な意見や感情を排除する。
②コミュニケーション能力
⇒明確かつ効果的なコミュニケーション能力。
⇒監査結果を理解しやすく伝えるための報告書作成スキル。
③倫理的行動
⇒高い倫理観とプロフェッショナリズムを持ち、信頼性と信頼を築く。
⇒機密情報の取り扱いや利益相反の状況に適切に対応する。
監査技術
①データ分析と解釈
⇒収集したデータと情報を分析し、適切な結論を導く能力。
⇒不適合の原因となる問題を特定し、適切な改善策を提案する。
②問題解決能力
⇒複雑な状況を理解し、論理的かつ創造的な解決策を見出す能力。
これらの力量を備えた監査員は、組織にとって価値ある洞察を提供し、品質管理システムの改善と組織全体の成長に貢献できます。また、監査員自身の専門性と信頼性を高めることにもつながります。
結論:ISO19011の重要性
ISO19011は、IATF16949取得を目指す企業にとって重要なツールです。
その理由は、ISO19011に基づく監査を通じて、品質管理システムが適切に運用されているか、そして改善の余地はないかを評価できるからです。
監査の手法と原則を理解し、それらを適用することで、企業は品質の向上、顧客満足度の向上、そして最終的には業績の向上を実現できると考えられています。
最後に、ISO19011を理解し、その原則に基づいた監査手法を適用することは、企業がISO9001/IATF16949を取得し、持続可能な成功を達成するための重要なステップです。
何よりも、これは組織の持続的な改善と成長を促進するための道しるべとなります。
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