
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項では、IATF16949の要求事項を内部監査することだけを要求しているのではなく、暦3年以内に全要求事項+顧客固有要求事項もサンプリング監査を行うことを意図しています。
今回の記事は、IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項の意味と構築ポイントについて解説いたします。

条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
9.1 9.1.1 |
一般(監視・測定・分析及び評価) | ○ | ○ |
9.1.1.1 | 製造工程の監視及び測定(SPC) | ○ | |
9.1.1.2 | 統計的ツールの特定 | ○ | |
9.1.1.3 | 統計概念の適用 | ○ | |
9.1.2 | 顧客満足 | ○ | ○ |
9.1.2.1 | 顧客満足-補足 | ○ | |
9.1.3 | 分析及び評価 | ○ | ○ |
9.1.3.1 | 優先順位付け | ○ | |
9.2.1 9.2.2 |
内部監査 | ○ | ○ |
9.2.2.1 | 内部監査プログラム | ○ | |
9.2.2.2 | 品質マネジメントシステム監査 | ○ | |
9.2.2.3 | 製造工程監査 | ○ | |
9.2.2.4 | 製品監査 | ○ | |
9.3.1 | 一般(マネジメントレビュー) | ○ | ○ |
9.3.1.1 | マネジメントレビュー-補足 | ○ | |
9.3.2 | マネジメントレビューへのインプット | ○ | ○ |
9.3.2.1 | マネジメントレビューへのインプット-補足 | ○ | |
9.3.3 | マネジメントレビューからのアウトプット | ○ | ○ |
9.3.3.1 | マネジメントレビューからのアウトプット-補足 | ○ |
目次
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査のポイント
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項では、IATF16949の要求事項を内部監査することだけを要求しているのではなく、暦3年以内に全プロセス+全要求事項+顧客固有要求事項もサンプリング監査を行うことを意図しています。
また、初回登録審査前には全プロセスのQMS監査が終わっており且つ、全是正が完了した証拠となる結果が求められるので注意してください。
次に、IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項について細かく見ていきましょう。
①QMS内部監査は「プロセスアプローチ」で実施する
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項には、以下のように記載されています。
本要求事項のポイントは、プロセスアプローチを用いてQMS規格への適合を検証する内部監査を実施しなくてはなりません。
ここで重要なのが、「プロセスアプローチ」という言葉です。
プロセスの相互作用を確認しながら監査を実施するため、内部監査員はISO19011の監査手法をきちんと理解しておかなければなりません。
その他に、品質マネジメントシステム監査を実施する内部監査員は、力量認定された監査員が実施することも併せて要求されています。
品質マネジメントシステムのプロセスを3年間で監査する必要があるので、内部監査計画は短期内部監査計画と中期内部監査計画の二つを作成する企業もあります。
重要ノウハウ!
大企業以外は、毎年一回全プロセスを監査するようにすることをおすすめしています。
なぜなら、3年間で行うことには「理由」を問われるのと、1年間に1回必ずやるルールにしておけば、余計な仕事が減ることもその理由です。
下記はQMS監査計画の事例になるので、1回/年の計画を立てるようにしてください。
②QMS監査で「顧客固有要求事項」をサンプリング監査する
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項には、以下のように記載されています。
ISO9001の内部監査では、顧客固有要求事項を監査基準に入れていない企業も多いかもしれませんが、IATF16949では、顧客固有要求事項を監査基準に入れていない場合は不適合です。
また顧客固有要求事項は、IATF16949:4.3.2項の顧客固有要求事項の対応が必須です。
この帳票がQMS監査のインプットになっていることを確認されるので、しっかり対応しましょう。
\顧客固有要求事項抽出方法がわかる/
③3年間ですべてのプロセスを監査すればOK
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項には、以下のように記載されています。
前述したように、暦3年間ですべてのプロセスを監査すればOKです。ただし、中小企業であれば、最低1年に1回で全プロセスを監査するようにした方が無難です。
また、監査の頻度は、内部・外部のパフォーマンスやリスク・重大性・顧客への影響度によって決定する仕組みの構築も必要です。
これらは、ISO9001:9.2.1及び9.2.2項の内部監査で対応できているはずなので、構築上で困ることはないでしょう。
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査はどこに記載すればいい?
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項の対応は、監査管理規定を作成することが求められます。
9.2.2.1項の内部監査プログラムの中で、その仕組みを構築されているはずなので、QMS監査に関する準備から完了までを明文化するようにしてください。
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査:まとめ
IATF16949:9.2.2.2項の品質マネジメントシステム監査の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?
本要求事項は、IATF16949の要求事項を内部監査することだけを要求しているのではなく、暦3年以内に全プロセス+全要求事項+顧客固有要求事項もサンプリング監査を行うことを意図しています。
ISO9001よりもより明確な要求事項且つ、非常に重要な要求事項となっているので、漏れの無いように対応しましょう!
それではまた!
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