新春企画のお知らせ

【IATF16949攻略】8.3.3.3:特殊特性の要求事項徹底解説!

IATF:8.3.3.3項の特殊特性の要求事項では、部門横断的アプローチを用いて特殊特性を特定し、それらを展開・管理する仕組みの構築を意図しています。

今回の記事は、IATF:8.3.3.3項の特殊特性の意味と構築ポイントについて解説します。


この記事を書いた人

品質マネジメントシステム普及の応援が目的のサイトです!「難解な規格を簡単に解説」をモットーに、「ちょっと相談したい」ときに頼りになるコンサルタントを目指しています!まずはお気軽にご連絡ください★

ご利用方法・告知・注意点など

・当サイトの内容は、あくまでも個人の見解です。そのため、保証するものではございません。
・各規格の原文はありません。また、規格番号や題目なども当社の解釈です。
・各規格については、規格公式サイトを必ず確認してください。
・メールコンサルティングは空きが少しあります(2024年12月現在)。この機会に「ちょっと相談」してみませんか?1週間の無料サービス期間を是非ご利用ください。
サービスのお問い合わせはこちら

2025年:新企画始動告知!
メールコンサルティング初回契約:初月50%以上割引
サービス詳細はこちら

・オンラインコンサル/現地コンサルの空き状況について

【現在の空き状況:2025年1月現在】
・平日:6時間以上ご利用で月1回のみ
・夜間:19:30-21:00でご相談承ります
・土日:少々空きあります
オンライン会議システムを利用したコンサル詳細はこちら

第8章:運用についての「要求事項リスト」
ISO・IATF 8章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善

※8.1項~8.3.6.1項は主に、①営業プロセス②製品設計プロセス③工程設計プロセスが関係します。

条項 題目 ISO9001 IATF
8.1 運用の計画及び管理
8.1.1 運用の計画及び管理-補足
8.1.2 機密保持
8.2.1 顧客とのコミュニケーション
8.2.1.1 顧客とのコミュニケーション-補足
8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
8.2.2.1 製品及びサービスに関する要求事項の明確化-補足
8.2.3.1 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
8.2.3.1.1 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー補足
8.2.3.1.2 顧客指定の特殊特性
8.2.3.1.3 組織の製造フィージビリティ
8.2.3.2 題目無(レビュー結果の保持ルール)
8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
8.3.1 製品及びサービスの設計・開発
8.3.1.1 製品及びサービスの設計・開発-補足
8.3.2 設計・開発の計画
8.3.2.1 設計・開発の計画-補足
8.3.2.2 製品設計の技能
8.3.2.3 組込みソフトウェアを持つ製品の開発
8.3.3 設計・開発へのインプット
8.3.3.1 製品設計へのインプット
8.3.3.2 製造工程設計へのインプット
8.3.3.3 特殊特性
8.3.4 設計・開発の管理
8.3.4.1 監視
8.3.4.2 設計・開発の妥当性確認
8.3.4.3 試作プログラム
8.3.4.4. 製品承認プロセス
8.3.5 設計・開発からのアウトプット
8.3.5.1 設計・開発からのアウトプット-補足
8.3.5.2 製造工程設計からのアウトプット
8.3.6 設計・開発の変更
8.3.6.1 設計・開発の変更-補足
おすすめ!構築・学習支援に最適教材
【教材】 No.1-001 QMSノウハウ_学習教材
【教材】 No.2-001 コアツール_学習教材
【教材】 No.7-001 内部監査概説_学習教材

IATF:8.3.3.3項の特殊特性の意味

IATF:8.3.3.3項の特殊特性の要求事項は、自動車産業における非常に重要な要求事項です。自動車産業とは、人の命に大きく関係する産業であり、きちんとした管理を行わないと大問題になる可能性を秘めています。

その管理の観点で考えると守るべきルールに基づき、各企業が共通した考えを持って管理することが非常に重要なのは容易に想像できますよね?

その一つの考え方が特殊特性です。

①特殊特性とは何?

【超重要】特殊特性
特殊特性とは、製品が設計や規格を外れた場合に、安全性や法令遵守、顧客との接続性、または製品の性能や外観に深刻な影響を与える可能性のある重要な要素を指します。

つまり、顧客からの要求や自動車産業規格・自社で必要と判断した重要な特性を特殊特性として特別な管理が必要になります。

②特殊特性はどうやって特定するの?

特殊特性を特定する際の重要なポイントは6つです。下記の観点で特殊特性を指定し、管理することが特殊特性の特定プロセスには重要です。

【超重要】特殊特性の特定
①顧客が指定してきた特性(8.2.3.1.2参照
②FMEAでハイリスクと特定されたパラメーター
③製品安全性に強く影響する特性
④法令・規制要求事項に強く影響する特性
⑤環境物質の中でも重点管理が必要な項目
⑥工程能力指数が、自社管理レベルより高い要求をされたパラメータ

③特殊特性の特定から管理はどうすればいい?

IATF:8.3.3.3項の特殊特性の要求事項では、以下のようなことが大事です。

文書化したプロセスの要求があることからもわかるように「規定」が必要です。その規定がないと審査・監査で不適合になってしまうので、「特殊特性管理規定」のような要領書を必ず作成してください!

次に、IATF:8.3.3.3項の特殊特性の要求事項で具体的に求めている管理を解説します。

ISO9001/IATF16949/VDA6.3
QMSに関するお悩みや疑問は、ぜひお気軽にご相談ください!
✔ 無料相談で解決できる事例が多数!
✔ 教材販売や継続契約の無理な営業は一切なし!

初めてのご利用でも安心サポート。ご契約後は、経験豊富な専門コンサルタントが徹底的にサポートし、課題解決をお手伝いします。疑問の解消から認証取得、さらに運用改善まで、貴社の品質管理を強力にサポートいたします!

特殊特性に求められる重要なこと4選

IATF:8.3.3.3項の特殊特性の要求事項では、以下のようなことが大事です。

①特殊特性通知ステップと文書への展開

特殊特性で大事なことは、「いつ・だれが特定するのか」「識別記号は何か」「どの文書に書かれるのか」です。

この特定方法と記号・書かれる文書を必ず「特殊特性管理規定」などにルール化してください。下記は基本的な例になります。

指定タイミング 指定者 記号 通知文書
引き合い 顧客
8.2.3.1.2参照
製品要求仕様書
SQM
製品設計 開発担当 設計FMEA
図面
技術仕様書
工程設計 生産技術 工程FMEA
コントロールプラン
製品開発全体 製品安全担当 設計FMEA
工程FMEA

記号に関しては自社で決めてOK!ただ、他の文書で似たような記号があると「識別」の観点から指摘される可能性があるので、被らない特別な記号にした方がいいです。

各段階で特殊特性が特定され、それらの文書が次工程に流れることで確実に特殊特性が引き渡される仕組みが重要です。

また、特殊特性には重要な要素もあるので、下記3つの特性について理解しましょう!

SC特性(Safety Characteristics)

SC特性は、安全性に直結する製品やプロセスの特性を指し、これらの特性が不適切である場合、人命や環境に深刻な影響を及ぼす可能性があります。主に製品の使用中に重大な危険を防ぐために管理される特性であり、自動車業界では特に重要視されています。

例えば、エアバッグの展開性能やブレーキシステムの応答性などがSC特性に該当します。これらの特性には厳格な管理が求められ、設計段階でのリスク分析や製造段階での工程能力分析などが実施されます。

また、SC特性は法規制や顧客要求に基づいて定義されることが多く、明確なトレーサビリティと継続的なモニタリングが必要です。

CC特性(Critical Characteristics)

CC特性は、製品の機能や性能に直接影響を与える特性を指し、これらが適切に維持されない場合、製品の故障や機能低下を引き起こし、顧客満足度の低下や重大な不良につながる可能性があります。

例えば、エンジン部品の寸法精度やトランスミッションの歯車のかみ合い精度などがCC特性に該当します。CC特性は設計や製造段階で重要な管理項目として特定され、継続的な品質管理が求められます。

特に、顧客要求や製品仕様に基づく詳細な検査計画の策定が不可欠であり、不具合発生時には迅速な是正措置が必要です。

KC特性(Key Characteristics)

KC特性は、製品やプロセスのばらつきが最終製品の品質に大きく影響を与える特性を指し、この特性を管理することで、品質リスクを軽減し、製品の一貫性を保つことができます。
例えば、ネジの締付けトルクや溶接部の強度などがKC特性に該当し、KC特性は主に統計的工程管理(SPC)を活用してモニタリングされます。設計段階で特定された場合、生産プロセスでは工程能力指数(Cpk)や管理図などを活用し、ばらつきの検出や是正を行います。
また、KC特性の管理は、コスト削減や顧客満足度向上にも寄与するため、効率的な管理方法を確立することが重要です。

②特殊特性の監視戦略はMSAとSPC

特殊特性の監視戦略とは、コアツールにおけるMSAとSPCの二つの戦略が必要です。

MSA調査を実施することは必須と言えるので、特殊特性の工程は最低限1回/年のMSA計画を立てるようにしてください。

関連記事

もう一つは、SPCです。特殊特性工程での特別な監視戦略なので、以下の3つが重要です。

特殊特性監視戦略
①Cpk≧1.67(自動車業界の特殊特性管理の標準)
②XbarR管理図で監視(Cpk監視をしていることに繋がる)
③特殊特性工程従事者は、特別な資格認定にする

これらのルールに基づき、特殊特性管理規定に明確な監視ルールを作るようにしてください。監視ルールも審査・監査で必ず確認されます。

③特殊特性は「顧客承認」が必要な場合が多い

IATF:8.3.3.3項の特殊特性③

特殊特性は、顧客の承認を得る必要があるのですが、ほとんどがPPAP(IATF:8.3.4.4項参照)の資料を提出するので、その中で承認されます。

PPAP資料の中に、「FMEA」「コントロールプラン」があることからもわかるように、①で述べた特殊特性の通知方法内に同資料が含まれていますよね!なので、この要求事項はPPAP資料提出で担保できます。

④顧客によっては「特殊特性記号」を指定してくる!

顧客によっては、顧客独自の特殊特性記号を使うように要求してくる場合があります。その場合は、変換記号表を作成しましょう。必要に応じて顧客へ提出できるようにしてください。

記号変換表の例

特殊特性項目 顧客要求記号 自社記号
顧客指定の特殊特性
8.2.3.1.2参照
設計担当者からの特殊特性
工程設計からの特殊特性
製品安全からの特殊特性

品質マネジメントシステムの構築に重要なのは、「要求事項に沿ったルールと記録」の2つです。サンプルを利用して構築をスムーズに進めてみませんか?構築・学習教材として是非ご利用ください!
①規定:サンプルはこちら
②帳票:サンプルはこちら

IATF:8.3.3.3に関するFAQ

IATFのメールコンサルティングで

メールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非「メールコンサルティングサービス」をご活用くださいね!どんな疑問についても丁重にお答えします!

【IATF16949:FAQ】

特殊特性を正しく特定するために最も重要なポイントは何ですか?

特殊特性を正しく特定するためには、部門横断的なアプローチが不可欠です。顧客要求や法令・規制要求、FMEAなどのリスク分析結果に基づいて特定し、それを適切に管理し文書化することが求められます。
これらは特殊特性とは何かという観点でプロジェクト管理規定で文書化されていることが重要です。

特殊特性の管理プロセスにはどのような文書が必要ですか?

特殊特性の管理には、コントロールプランやFMEA、標準化された作業指示書が必要です。これらの文書には、特殊特性を識別するための記号や、それに基づく管理方法が明示されていることが重要です。
特に特殊特性の漏れが発見されると高確率で指摘になるので、コントロールプランからの抜け防止専用帳票を作成して対応しましょう!

特殊特性の監視にはどのような戦略が必要ですか?

特殊特性の監視には、MSA(測定システム解析)とSPC(統計的プロセス管理)の二つのコアツールが重要です。特に、自動車業界ではCpkが1.67以上を基準とした監視が必要であり、定期的なMSAの実施も求められます。

IATF:8.3.3.3項の特殊特性:まとめ

IATF:8.3.3.3項の特殊特性②

IATF:8.3.3.3項の特殊特性の要求事項の規格解釈は、いかがでしたでしょうか?

特殊特性は、IATFを運用する上で超重要要求事項であり、細かく審査や監査で確認される内容となっています。

それゆえに、初回審査では不適合をもらいやすい項目となっているので注意が必要です。

それではまた!

新感覚のメールコンサルティングサービス
「ちょっと相談」してみませんか?

メールにて有料サポート、簡易コンサルを行うプランです。現地コンサルタントのような顔を突き合わせてのコンサルティングがなく、Emailで24時間好きな時間に質問できるのが特徴です。また、リアルタイムでの対応が無い分、一般的なコンサルタントへ依頼するより 1/100以下のコストで済むという特徴があります。1週間の無料お試し期間がございますので、十分ご納得いただいてからのご利用が可能です!

【サポート内容】
要求事項規格解釈相談OK/品質マニュアルの作成アドバイス/規定の作成アドバイス/帳票の作成アドバイス/運用/構築アドバイス/審査アドバイス/社内認証プロジェクトの進め方アドバイス/社内教育アドバイス内部監査/第二者監査アドバイス/その他気になることなんでもOKです。

品質マネジメントシステム構築・学習支援

ISO9001・IATF16949・VDA6.3対応の教材や規定・帳票サンプルで、規格の理解と実践力を効率的に強化しませんか?わかりやすい解説と具体例を豊富に盛り込んだ教材で、複雑な規格もスムーズに学習・習得可能です。さらに、経験豊富な専門コンサルタントによる「メールコンサルティング」で、認証取得・運用・維持管理の課題を徹底サポート!遠隔対応だからこそ、迅速かつ柔軟に対応できます。初めての導入から継続的改善まで、貴社の品質向上を力強くバックアップいたします。