【IATF16949攻略】9.1.1.1:製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項徹底解説!

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項では、製造工程の新規立ち上げの調査から量産移行後の監視・分析・評価といった一連らの流れの対応を、SPCを用いて対応することを求めた超重要な要求事項です。

今回の記事は、IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。


この記事の実務解説
QMS認証パートナー
専属コンサルタント

南野 弘明

製造業25年・自動車業界15年以上の実務経験

IATF16949・ISO9001・VDA6.3を、現場で使える形に落とし込む視点で解説しています。

規格要求事項の解釈だけでなく、審査で説明できる規定づくり、現場で使える帳票、内部監査・顧客監査への対応まで、実務で迷いやすいポイントを中心に整理しています。特に多くの企業様が知りたい「審査機関・顧客はどこを見るのか」の勘所も徹底解説していますので、是非ご活用ください。

専門領域
IATF16949・ISO9001・VDA6.3。初期段階の構築から認証後まですべて対応可能。
得意分野
規定・帳票・監査対応の実務化。大企業・中小企業問わず支援実績多数。
支援内容
教材提供・メール相談・個別コンサル。特に24時間対応可能なメール相談がおすすめ。

「この解釈でよいのか」「自社の規定や帳票にどう反映すればよいのか」と迷った場合は、QMS認証パートナーの教材・相談メニューもご活用ください。ご用途に合わせて提案させていただきます。


相談メニューを見る

第9章:パフォーマンス評価の「要求事項リスト」はこちら
ISO・IATF 9章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況 〇 〇
第5章 リーダーシップ 〇 〇
第6章 計画 〇 〇
第7章 支援 〇 〇
第8章 運用 〇 〇
第9章 パフォーマンス評価 〇 〇
第10章 改善 〇 〇
条項 題目 ISO
9001
重要記録 IATF
16949
重要記録
9.1
9.1.1
一般(監視・測定・分析及び評価) ○ ○
9.1.1.1 製造工程の監視及び測定(SPC) ○
9.1.1.2 統計的ツールの特定 ○
9.1.1.3 統計概念の適用 ○
9.1.2 顧客満足 ○ ● ○
9.1.2.1 顧客満足-補足 ○ ●
9.1.3 分析及び評価 ○ ○
9.1.3.1 優先順位付け ○
9.2.1
9.2.2
内部監査 ○ ○
9.2.2.1 内部監査プログラム ○ ●
9.2.2.2 品質マネジメントシステム監査 ○ ●
9.2.2.3 製造工程監査 ○ ●
9.2.2.4 製品監査 ○ ●
9.3.1 一般(マネジメントレビュー) ○ ○
9.3.1.1 マネジメントレビュー-補足 ○
9.3.2 マネジメントレビューへのインプット ○ ● ○
9.3.2.1 マネジメントレビューへのインプット-補足 ○ ●
9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット ○ ○
9.3.3.1 マネジメントレビューからのアウトプット-補足 ○
A: 当サイトの情報提供スタンスについて

当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。

規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。

記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。

B: IATF16949で必要な規定25本・帳票82様式の一覧

「自社に足りない文書は、どれか」——その答えを出すための一覧です。章別に規定と帳票をすべて並べ、審査で指摘されやすい5領域と、手戻りの少ない作成順序まで解説しています。

⇒ 有料級:詳細記事はこちら

C: 有料記事42本を読み放題|審査での答え方を公開

審査で差がつくのは、規格の知識量ではなく、自社の運用を説明できるかどうかです。部門別の想定問答30選、コアツールの実務、負荷軽減の具体策——42本すべてが、パスワード1つで読み放題。記事は随時追加され、追加分も追加料金はかかりません。

⇒ 有料記事一覧はこちら

D: 現地・オンライン・メールコンサルの違いと選び方

「この解釈で合っているか」を確認したいのか、「何から手をつけるか」を決めたいのか。課題の性質によって、選ぶべきコンサルの形態は変わります。3形態の費用と特性を比較し、自社に合う選び方を整理しました。

⇒ 記事の詳細はこちら

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)は超重要!

【IATF16949攻略】9.1.1.1:製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項徹底解説!11

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)では、製造工程における監視・測定・分析・評価を行う際に、SPC(Statistical Process Control):統計的工程管理の手法を用いて実施することを意図しています。これは、IATF16949のコアツールの1つとして広く知られており、審査・監査で重点的に見られることが必須です。

本要求事項は、非常に多くの要求事項と関連しており、きちんと理解して実施しないと別の要求事項でも不適合になる可能性があるため注意が必要です。

この手法をうまく活用するために欠かせないのが、監視・測定・分析・評価の流れです。

本要求事項は「有料版記事」で詳しく解説中

①SPCを用いて「工程を監視・測定」する

SPCを利用することで、工程の監視を行うことができます。例えばXbarR管理図を使用すれば、そのプロット状況から工程の異常予兆を確認することができます。

②SPCを用いて「工程を分析」する

SPCを利用し、工程が統計的に管理状態(安定状態)にあるかを分析します。

不安定な状態(プロットによる異常予兆・工程能力指数の悪化・管理線越え)などが現れた場合、それらの原因を追究することが求められます。

IATF:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)①

上記事例のように、「異常」なのか「注意して監視する」のかはたまた、「安定状態」にあるのかを明確に決め、現場担当者に教育を実施する必要があります。

関連要求事項

③SPCを用いて「工程改善」を行う

②の結果より、工程改善を実施するか否かを決定し取り組みます。ここで重要なのが、無暗に対策を実施しないことです。例えば、XbarR管理図における管理線越えの場合と、プロットによる予兆とでは対策を実施する意味が大きく異なります。

▶管理線越え:異常
▶プロットによる予兆:改善への取り組み

これらの意味を理解してSPCを実施しないと、不要な対策に取り組むことになるので、SPC管理規定にしっかりと対応方法を明記することがポイントです。

異常の処置と改善とではまったく労力が異なる為、これらが曖昧であると審査・監査で指摘されることがよくあります。

新規製造工程は「SPC調査」必須!

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項で大事なのが、IATF16949:8.3.5.2項の製造工程設計からのアウトプットです。この要求事項に記載されているのが「工程能力調査」についてです。つまり、工程設計段階で必ず工程能力が調査されるいわゆるCp・Cpk・Ppk・Cmkなどの調査が行われるとともに、管理図で傾向分析も行われるでしょう。また、IATF16949:8.3.3.3項の特殊特性では、特殊特性の監視戦略すなわち、SPCの対応計画も要求しています。

IATF:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)②

そのSPC計画に基づき、コントロールプランでSPC手法(例えばXbarR管理図など)を記載しておくことが求められます。製造工程によっては工程能力を調査できない場合もあるので、その時は代替方法を定め適合を証明できればOK。

例えば、「OK/NG判断をN=125個調査し、全てOKであれば合格」などがあげられます。

PPAP提出後の量産でも維持できているか監視する

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項では、PPAP(部品承認プロセス)提出の際の資料についても一部関係しており、その中で下図No.11では初期工程能力調査があるので、工程能力調査結果を提出することが求められます。

これらは、No.7のコントロールプランで指定された工程能力調査対象工程の工程能力調査結果を提出することになりますので、工程設計段階においてFMEA・コントロールプランで、どの工程がSPC対象工程なのか、なぜ監視する必要があるのかを明確に決定するようにしてください。

IATF:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)③

また、上図No.17の顧客固有要求事項への適合記録では、SQM(仕入先品質マニュアル)で指定された工程能力調査方法が記載されていることが多いので、見逃しの無いように実施してください。

コントロールプランに管理手法を記述しよう!

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項でいう測定手法とは、データを取得する測定機器などです。例えば、マイクロメータやノギス、目視確認などがあげられます。抜取計画とは、取得サンプルのN数です。XbarR管理図作成のために始業・終業毎にN=5などが該当します。

合否判定基準は、品質特性としての規格であり例えば、寸法であれば300±1mmなどの範囲に入っていれば合格となるので、それら合格基準もコントロールプランに記載及び、XbarR管理図にも記載する必要があります。その記録は工程管理帳票例えば、工程チェックリストなどにその記録を記載し合否判定を行うことを意図しています。

関連要求事項

【IATF16949重要要求事項攻略】
コントロールプランは「どの項目をどの粒度で書くか」と工程フロー・管理特性との整合が要点。記載の抜け漏れ確認は〔QC工程図(コントロールプラン)チェックリス〕で進めると、チェックされた適合記録として使用できるようになります!

工程異常発生時の処置プロセスは超重要!

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の対応として、「工程チェックリストにデータ記入→XbarR管理図にプロット→管理線越え発見」といった場合、どのような対応をする必要があるのかを明確にルール化する必要があります。

下記は管理線越えや注意予兆が発生した場合の処置事例(上申含む)を表していますので参考にしていただき、SPC管理規定に管理ルールの詳細を記載しましょう。

IATF:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)⑤

本要求事項は、「誰に責任と権限があるのか」という点も関係するので、対応責任者を明確にするために業務・職位分掌表に対応責任と権限を明確に記載しましょう。

関連記事

トラブルを含む異常・変更・改善に関わるイベントは「記録」を残す!

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項の対応として、変更や修理といったイベント後に製品特性が変化するといったことも十分ありえるので、そのときに素早い行動をとれるようにする仕組み構築に対しての要求もあります。そのため、それらのイベントについて記録を残すことが求められています。

記録を残すシートは、工程チェックリストや修理記録表でOK。ただし、SPC結果記録帳票と全てがリンクした形にしなくてはならないので注意してください。具体的には、以下のように紐づけをしましょう。

IATF:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)⑥

統計的に不安定なら品質是正を発動させる!

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)にて工程管理上で統計的に不安定つまり、工程能力指数の低下が発生している可能性があります。例えば、顧客から特殊特性のCpk1.67以上の要求があり、それが保てなくなった場合、工程が不安定な状態に陥っている可能性があるため、調査及び品質是正を行う必要があります。

この対応は、ISO9001:8.7.1項の不適合なアウトプットの管理に基づき異常品質改善が求められます。

この記録は、異常品質改善対策書などで明確に対応処置記録を残し、必要に応じてFMEA・コントロールプランの改定を行うことも求められます。

IATF:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)⑧

顧客によっては、SPC実施工程の工程能力の変動(低下)の際は、顧客へ連絡するようにSQMに記載されていることもあります。その場合は、品質是正結果を要求されますのでしっかりと記録に残すようにしてください。

【この解釈で、審査・監査に通るのか?】
——記事を読んでも、最後に残るのはこの一問だと思います。
構築段階・内部監査・仕入先監査(VDA6.3)・認証後の運用でお困りのクライアント様の多数お手伝いさせた実体験からお答えします。契約は不要、1質問から可能です!
▶1質問だけ送ってみる:詳細の確認はこちら

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)はどこに記載すればいい?

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項の対応は、SPC管理規定を必ず作成してください。これがないと審査・監査で苦労するばかりでなく、審査が通らない可能性が高いです。これには、以下の内容最低限とし、漏れなく記載するようにしましょう。

超重要!SPC管理規定に最低限記載すること
①工程毎の監視手法(QC七つ道具など)
②工程分析の方法(分解調査など企業による)
③工程能力・工程能力指数調査方法
④特殊特性・一般工程・特殊工程のCpk値
⑤Cpk値の個別対応
⑥XbarR管理図の異常・注意の考え
⑦異常シグナル(管理選超えの対応)
⑧異常発生時の処置(品質是正)
⑨出来事の記録方法
⑩付表:SPC管理教育資料

IATF16949:楽々構築リスト

販売中:教材・サンプル 区分 ISO9001 IATF16949
IATF16949:規定ノウハウ集 規定 × 〇
IATF16949:基礎から応用教材特集 テキスト × 〇
IATF16949:オンラインメール相談プラン コンサル × 〇

IATF16949:9.1.1.1に関するFAQ

【注目】お知らせ
規格対応で迷ったら、メールで確認できますFAQで一般的な考え方を確認できますが、自社の規定・帳票・審査対応へどう反映するかは、会社ごとに判断が変わる場合があります。
解釈
この要求事項の考え方でよいか確認したい
反映
規定・帳票にどう落とし込むか相談したい
審査
審査指摘や回答方針に不安がある

個別事情がある場合は、メールコンサルで実務目線の確認ができます。

メールコンサルを見る

SPCの導入直後、工程に適用したが異常が頻発していることがわかりました。このような場合、どのように対応すればよいでしょうか?

異常が頻発する場合、以下の点を見直す必要があります。

管理限界の設定が不適切
→初期設定で誤った管理限界を使うと、本来問題のない工程も異常と判断されることがあります。過去のデータを見直し、標準偏差に基づく適切な管理限界を設定しましょう。

特殊原因の特定と排除
→異常なポイントを特定したら、原因を「人、機械、材料、環境」の観点から分析します。なぜなぜ分析(Why-Why Analysis)などを用いて根本原因を探り、恒久的な対策を講じましょう。

工程が安定するまで試験運用を行う
→安定した工程を確立するため、試行期間を設けて管理限界を調整し、不要なアラートを最小化します。

Xbar-R管理図のデータ収集頻度を決めるのが難しいです。どのように判断すべきですか?

データ収集頻度は、工程の特性と顧客の要求に応じて決定します。次の点を参考にしましょう。

工程のばらつきが大きい場合
→リアルタイムに近い頻度でのデータ収集が必要です。重要な工程では、自動データ収集システムを導入することでタイムリーなモニタリングが可能です。

安定した工程の場合
→定期的な抜き取りで問題ありません。過去のデータ分析から「どれくらいの頻度で異常が発生するか」を判断し、収集間隔を調整します。

顧客の指定がある場合
→顧客が指定する測定頻度は必ずコントロールプランに反映します。顧客と事前に合意し、頻度の調整が可能か確認しましょう。

SPCの結果を従業員にうまく共有できず、改善活動につながりません。どうすればよいでしょうか?

SPCの効果を最大限引き出すためには、結果の共有と改善活動の促進が欠かせません。以下の施策が有効です。

視覚的な管理ツールの活用
→ライン上に管理図を表示することで、現場の従業員がリアルタイムで異常を認識できるようにします。電子モニターやホワイトボードの導入も効果的です。

定期的なフィードバック会議の実施
→現場と管理者が週次または月次でSPCの結果を振り返る場を設け、傾向分析を共有します。この際、ポジティブな事例を取り上げ、従業員のモチベーションを高めましょう。

教育と改善活動へのインセンティブ
→従業員にSPCの重要性を理解させるため、継続的な教育訓練を実施します。また、SPCを活用した改善案が出た際は、インセンティブ制度を導入し、積極的な提案を促しましょう。

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC):まとめ

IATF16949:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定(SPC)の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?本要求事項は、コアツールのSPCの要求事項です。

製造工程の新規立ち上げの調査から量産移行後の監視・分析・評価といった一連らの流れの対応を、SPCを用いて対応することを求めた超重要な要求事項です。

審査・監査特に工程監査で積極的に見られ且つ、不適合をよく貰う要求事項なので、しっかりと構築・教育されていることが必須です。

それではまた!


本記事の内容を、自社の規定・帳票・教育に落とし込む!

IATF16949・ISO9001・VDA6.3は、要求事項を理解するだけでなく、現場で説明できる仕組みにすることが重要です。判断に迷う部分は個別相談で、資料を整えたい場合は教材・サンプルをご活用ください。

まず相談したい方へ
メール相談・個別コンサル監査対応、規格解釈、規定・帳票の考え方を実務目線で確認できます。


サービスを見る

自社で整備したい方はこちら学習教材、社内教育資料、規定サンプル、帳票サンプルを目的別にまとめています。


規格理解
IATF・ISO教材


社内教育
実践教材


規定作成
規定サンプル


記録整備
帳票サンプル


5大ツール
コアツール教材


VDA6.3
VDA6.3教材

品質マネジメントシステム構築・学習支援
QMS認証パートナー
ISO9001・IATF16949・VDA6.3 実務支援
規格理解で終わらせず、監査で説明できる仕組みへ。
記事で規格の考え方を理解しても、自社の規定・帳票・教育・監査対応に落とし込む段階で迷うことは少なくありません。QMS認証パートナーでは、規格解釈から仕組みづくり、社内教育、審査対応までを実務目線で支援しています。
迷ったら、実務者に相談できます
「この解釈でよいのか」「自社の帳票や規定にどう反映すればよいのか」と迷った場合は、目的に合わせて相談方法を選べます。