VDA6.3監査は、自動車産業における品質管理の金字塔です。この記事では、VDA6.3の基本、監査プロセス、高評価を得るための準備方法、監査時のポイントについて詳しく解説します。
文書管理、是正措置の有効性、従業員の意識向上など、監査員が注目する重要な要素を明らかにし、実際の監査で役立つアドバイスを提供します。
このガイドを通じて、VDA6.3監査に自信を持って臨み、高評価を目指しましょう。
| P1 | ポテンシャル分析 |
| P2 | プロジェクトマネジメント |
| P3 | 製品及びプロセス開発の計画 |
| P4 | 製品及びプロセス開発の実施 |
| P5 | サプライヤー管理 |
| P6 | 生産プロセス分析 |
| P7 | 顧客ケア・顧客満足度とサービス |
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【ここがポイント】
①VDA6.3の独特な規格表現をわかりやすく解説！
②一つずつ端的に解説しているので理解が簡単！
③IATF16949要求事項とリンクしてわかる！
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目次
VDA6.3とは何？
VDA6.3は、VDAはドイツ自動車工業会（Verband der Automobilindustrieのドイツ語の頭文字の単純な略語です。）によって開発された品質管理システムの監査規格です。
この規格は、自動車産業のサプライヤーに対するプロセス指向の監査を実施するためのフレームワークを提供します。
VDA6.3は、製品の設計から生産、供給に至るまでのプロセス全体をカバーし、品質管理システムの有効性を評価することを目的としています。
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VDA6.3の要求事項の流れ
VDA6.3は、プロセス領域に焦点を当ているのが特徴であり、各プロセスでは以下の内容が整った状態であるを確認します。
P2：プロジェクトマネジメント
⇒プロジェクトの計画、実行、監視に関するプロセス。
P3,P4：開発プロセス
⇒製品設計や開発プロセスの品質管理。
P5：サプライヤーマネジメント
⇒供給業者の選定、評価、および管理。
P6：製造プロセス
⇒量産およびそれに付随する各プロセスの管理。
P7：顧客サポートおよびサービス
⇒顧客へのアフターサービスおよびサポート。
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VDA6.3の適用範囲
VDA6.3規格は、主に自動車産業のサプライチェーン内の品質管理に適用され、仕入先監査を想定して作られています。
この規格による監査は、自動車メーカーとそのサプライヤー間の品質基準の一貫性を保証し、製品の信頼性と安全性を高めることを目的としています。
VDA6.3に準拠することで、企業はプロセスの効率化、不具合の削減、顧客満足度の向上を図ることができます。
VDA6.3監査のプロセスはどのように監査をするのか
VDA6.3監査のプロセスは、厳格な品質管理と製造プロセスの改善を目指しており、ISO19011の監査手法に基づいて実施されます。
このプロセスは、自動車産業におけるサプライヤーの能力と品質管理システムの有効性を評価するために設計されています。IATF16949と比較して、VDA6.3は特にプロセス指向の監査に焦点を当て、より詳細な評価を行うことで知られています。
以下は、VDA6.3監査の一般的なプロセス（ISO19011に基づく）を構成する主要な段階です。VDA6.3監査員は、以下のように監査を実施します。
この監査の流れを把握することで、監査対策がスムーズにできるのでおすすめです！
監査の準備段階
| ステップ | 監査員のアクション | サプライヤーアクション |
| 監査計画の作成 | 監査対象となるプロセスや部門を特定し、監査スケジュールを策定します。この段階では、監査チームの構成や監査に必要な資料の準備も行われます。 | 【受領】 ・監査実施案内書 ・VDA6.3の質問表 |
| 事前情報の収集 | 対象企業からに提供したVDA6.3質問表を用いた内部監査記録の確認、プロセス定義に関する資料、関連情報の収集・分析を行います。確認すべき点などは、事前に監査員は決めています。 | 【送付】 ・VDA6.3に基づく内部監査結果（報告書） ・プロセス定義資料 ・品質契約に必要な資料 |
監査の実施段階
工場に来場される監査員の人数は、2名を想定しておくとよいと思います。
VDA6.3監査員と購買担当者の方が来ることが多いのですが、ポテンシャル分析の際は設計担当者の方も来場されることがあります。
| ステップ | 監査員のアクション | サプライヤーアクション |
| 開始ミーティング | 監査開始前に企業の関係者とのミーティングを行い、監査の目的、範囲、プロセスについて説明します。 必要に応じて会社紹介なども行います。 |
【説明】 会社紹介など |
| 現地調査 監査証拠の収集 1日目 |
監査チームは現地に赴き、規定された監査項目に基づいて観察、インタビュー、記録のレビューなどを行います。プロセスの実行状況やドキュメントの遵守状況を評価します。主に会議室で行われます。 | 【質問対応】 ・概略説明 ・規定/手順の説明 ・記録の提示 |
| 現地調査 監査証拠の収集 2日目 |
1日目の情報を基に、工程・製品の監査を行います。監査中に得られた情報やデータをもとに、監査証拠を収集します。これらの証拠は、監査結果の根拠となります。 | 【質問対応】 ・コントロールプラン ・規定/手順の説明 ・記録の提示 |
| 現地調査 監査証拠の収集 3日目 ・不適合の特定 ・監査結果まとめ |
1日目、2日目に時間の関係上確認できなかった内容や、再度深く確認しておきたい内容を3日目のAMに行うことが多いです。 PMは、監査プロセス中に規格や内部基準に適合しない項目を特定し、その結果をまとめる時間が約１時間ほど設けられます。 |
【質問対応】 ・詳細資料の提示 |
監査結果の報告段階
| ステップ | 監査員のアクション | サプライヤーアクション |
| 終了ミーティング | 監査終了後、企業の関係者を集めて初期の監査結果を共有します。 不適合項目や改善の機会について議論することがあります。 |
【質疑応答】 この段階で疑問点・修正依頼・追加説明があれば必ず実施してください。 |
| フォローアップ | 不適合項目に対する是正措置や改善計画が提出された後、必要に応じてフォローアップの監査を行うことがあります。 | 【是正・改善】 概ね3か月以内の是正完了を求められることが多い。 |
VDA6.3監査は、自動車産業におけるサプライチェーン全体の品質向上とプロセスの効率化を目的としています。この厳格な監査プロセスを通じて、サプライヤーは自社の品質管理システムの有効性を証明し、主に欧州自動車産業顧客との取引を開始できるので、とても重要です。
またVDA6.3監査員は、IATF16949の監査員の方よりも厳しい方が多い（規格上そのようになってしまう）ので、被監査側（貴社）もしっかり準備していないと簡単に見抜かれてしまうので注意してください。
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VDA6.3監査で高評価を得る秘訣
VDA6.3監査で高評価を得るためには、徹底した準備が不可欠です。以下に、具体的な準備ステップ、必要なドキュメント、および関係者のトレーニングについて詳しく説明します。
規格に基づく内部監査の実施
| 重要事項 | 説明 | 補足 |
| VDA6.3の要求事項の理解 | 監査基準の全ての要求事項を詳細に理解し、それらが貴社のプロセスにどのように適用されるかを把握します。最低限IATF16949の要求が完全に組み込まれている状態。 | 【販売中】 VDA6.3構築ノウハウ：2023年の第4版（最新） |
| 監査チェックリストの作成 | VDA6.3の各セクションに対して、監査チェックリストを作成し、準備を進めます。これにより、必要なドキュメントや証拠が整っているか確認できます。 | 内部監査員の力量も確認されるので、VDA6.3監査員資格を取得することが望ましいですが、「かなり難しい」です。 |
| 内部監査の実施 | VDA6.3規格に基づいた内部監査を実施し、改善の必要性がある領域を特定します。これにより、顧客監査前に問題点を是正する機会を持つことができます。 | 専用のチェックシートは顧客からもらうと便利！ |
弊社は、VDA6.3におけるメールコンサルティングサービスを展開しております！
①規格に関する疑問・質問
②構築方法の相談
③顧客監査の是正対応方法
など
多くの対応が可能となっています！是非この機会に活用してみませんか？
必要なドキュメントの準備
| 重要事項 | 説明 | 補足 |
| 品質システム文書と実施記録 | 品質マニュアル、プロセスドキュメント、作業指示書など、品質管理システムに関連するすべての文書を準備します。 | 内部監査をしながら顧客のVDA6.3の監査対応用資料を収集していくと効率的です！ |
| 過去の監査報告書の是正 | 過去の内部監査及び外部監査の報告書を準備し、それらからの学びや改善点を監査員に提示できるようにします。 ①今回のVDA6.3内部監査の記録 ②IATF16949の内部監査記録 ③IATF16949の外部審査記録 |
過去の是正についても内部監査で必ず確認し、監査員は厳しくチェックを行うのがポイント！ |
| 是正措置及び予防措置の記録 | 不適合が発見された際の是正措置や予防措置の記録を整理し、その効果を評価できるようにします。 | 顧客監査員は、是正の有効性を評価するので厳しくチェックしてくださいね！ |
関係者のトレーニング（社内教育の推進）
| 重要事項 | 説明 | 補足 |
| VDA6.3のトレーニング | 経営層から現場の従業員まで、全関係者がVDA6.3の要求事項とその意義を理解していることが重要です。必要に応じて専門のトレーニングプログラムを受講します。 | トレーニングプログラムは、コンサルタントでなくてもOK。社内にVDA6.3監査員がいることで有効性が証明できます。 |
| ロールプレイによる監査対応の練習 | 監査中の質問への回答や、ドキュメントの提示方法など、実際の監査に備えたロールプレイを行います。 | 【重要】 VDA6.3の監査は、資料を出すのが遅いと「実施していない」と評価されるので、早く出せるよう対策してください。 |
| コミュニケーションスキルの向上 | 監査員との効果的なコミュニケーションが高評価の鍵となるため、関係者は適切なコミュニケーションスキルを身につける必要があります。規格の理解については必須です！ | 【重要：販売中】 VDA6.3とIATF16949を対比させて学ぶことができるノウハウ販売 |
これらの準備ステップを実施することで、VDA6.3監査において高評価を得るための基盤を築くことができます。
監査は単に合格するためのものではなく、組織のプロセスと品質管理システムを継続的に改善し、製品の品質を向上させるための機会ととらえるとよいでしょう。
顧客監査を受けているときの高評価ポイント
監査中に高評価を得るためには、監査員が特に注目する項目に注意し、効果的なコミュニケーションと問題対応を心掛けることが重要です。
以下に、監査実施中の高評価ポイントと実際の監査で役立つアドバイスを提供します。
| No. | 項目 | 内容 |
| １ | VDA6.3の規格の理解度 | VDA6.3の質問表に関する質問をされたり説明をさせられたりしたときに、それらがきちんと理解できていることは高評価です。
特に、最低限IATF16949の要求事項は完全に理解してください。 |
| ２ | 文書管理と記録の整合性 | 監査員は、品質管理システムの文書化された手順と実際の運用が一致しているかを確認します。 適切に管理され、アクセス可能な記録は信頼性の高い監査証拠となり高評価です。 できている、できていないはその後の問題なので、しっかり準備するようにしましょう！ |
| ３ | 是正措置と予防処置の有効性 | 過去に特定された不適合を含むあらゆる不適合・異常に対して実施された是正措置や予防処置が適切であり、再発防止に有効であるかを評価された結果が即時提示できると高評価です。 |
| ４ | 従業員の意識とトレーニング | 従業員が規定や手順について適切に理解し、実践しているかどうかも重要な評価ポイントです。 また、定期的なトレーニングが実施されているかもチェックされます。特に特殊特性に従事する要員は、その力量評価がされていることがポイントです。 各プロセスにおける力量評価は厳しく確認されるので、必ず準備してくださいね！ |
| ５ | プロセスの監視と改善 | 監査員は、プロセスの効率性、有効性を監視し、継続的改善活動が行われているかを確認します。 是正のみではなく、継続的改善への取り組みむプロセスが構築されていることが高評価のポイントです。 |
| ６ | 円滑なコミュニケーション | 監査時に円滑なコミュニケーションができることも高評価のポイントです。 特に監査対応者は、VDA6.3の規格を理解していないとコミュニケーションがとれないので、しっかり理解するようにしてください。 |
これらのポイントに注意し、適切な準備と積極的な姿勢で監査に臨むことで、顧客からの監査を成功に導き、高評価を得ることができます。
監査は、組織の品質管理体制を客観的に評価し、改善の機会を提供する重要なプロセスです。そのため、監査をポジティブな機会ととらえると効果的な改善プロセスとなり得ます。
【超重要】VDA6.3の監査で絶対に確認される資料10選
以下の記録類は、しっかり確認されます。無いと０点となる重要書類です。質問表のなかでも重要要求事項とリンクする帳票なので、完璧にするようにしてください！
| 項目 | 内容 | 記録類 |
| APQP | プロジェクト計画とDRの記録 | プロジェクト計画書 |
| SPC | 特種特性における管理計画と結果 | コントロールプラン特殊特性特定帳票 |
| PPAP | PPAP18項目の資料一式 | PPAPリスト |
| FMEA | 設計・工程FMEAの両方（特に工程FMEA） | 工程FMEAフォーマット |
| MSA | MSA実施結果 | GageR＆R解析ツール |
| コントロールプラン | FMEAとコントロールプランの紐づいた結果 | コントロールプランフォーマット |
| 工程記録 | 工程におけるチェックシートと異常に関する処理記録やメンテ記録など | 異常品質改善対策書 |
| 仕入先監査記録 | 第二者監査の実施記録 | 仕入先監査チェックシート |
| 緊急事態対応計画 | 自社の緊急事態プロセス記録 | 緊急事態対応計画 |
| 苦情処理記録 | 苦情処理プロセスの記録 | クレーム解析報告書フォーマット |
VDA6.3監査で高評価を得る方法：まとめ
VDA6.3監査で高評価を得ることは、皆さんの組織の品質管理システムの強さと効率性を証明する絶好の機会です。
是正措置の有効性、従業員の意識、継続的な改善への取り組みを通じて、高品質な製品とサービスの提供を可能にします。
欧州顧客との取引実績は、貴社のブランド力を大きく向上させるとともに、売り上げの大幅な拡大へ繋がります。
顧客監査を積極的に受け入れ、準備と実施において示された戦略を実践することで、監査を成功に導くことができます。
皆さんの組織が市場での競争力を高め、顧客満足を最大化するための重要なステップとして、VDA6.3監査での高評価を目指しましょう！
【ここがポイント】
・質問票のNo.とIATF16949の条項No.が対比してわかる
・IATF16949の条文検索をする必要がなく直ぐ探せる
・各質問内容の要約がわかる
・おすすめ）VDA6.3監査をこれからの受ける企業様
・おすすめ）事務局/品質保証室の方
【ご購入について】
・お買い物カゴに入れて簡単決済！
・クレジットカード/銀行振込対応可能です。
・請求書/領収書発行可能です！
VDA6.3構築に大事なのが「IATF16949との関連した要求の理解」を行い、社内構築・教育を進めていくのが基本。IATF16949をしっかり構築していれば、VDA6.3の監査を受けても不合格になることはほぼ間違いなくありません。「VDA6.3第3版とIATF16949との対比表」を使えば楽々理解が可能です！
