
製造現場で作業の基準となる「作業標準書」、そして具体的な手順を記した「作業手順書」。これらが何であるのか、またはどう異なるのかを明確に理解することは品質の向上や業務の効率化に重要な役割を果たします。
しかし、これらの違いについては意外と混乱している方も多いのではないでしょうか。
今回は「作業標準書」と「作業手順書」の違いを詳しく解説します。それぞれの作成ポイントやISO9001、IATF16949との関連性についても触れていきます。
目次
作業標準書とは何?
まず最初に「作業標準書」について解説します。
作業標準書とは、製造工程での作業を標準化するための重要なツールの一つです。
これは、現場の作業者が作業内容を統一的かつ安全に進行するためのルール、基準を設ける文書です。
企業が製品の品質を管理し、一貫した品質を保証するためには、この作業標準書が極めて重要となります。
作業標準書の作成時には、作業者が仕事を正確かつ効率的に行えるよう、作業手順、必要な時間、標準化された作業内容、そして作業場所や使用する設備・部品に至るまでの詳細を具体的に記載します。
これにより、作業の状況を把握しやすくなり、事例やデータに基づく改善が可能になります。
作業手順書とは何?
次に、「作業手順書」について説明します。
作業手順書は、具体的な作業手順や順序、操作の詳細を記載した文書です。
これは、作業者が正確かつ安全に作業を行うためのマニュアルのようなものであり、新人教育や技術の共有に非常に有用です。
作業手順書の作成時には、操作のステップ、必要な時間、作業の順序、使用する設備やツール、そして注意事項などを具体的に記載します。
また、よりわかりやすくするために、写真や動画を追加することもあります。
作業標準書と作業手順書の最も異なる点は?
ここで、「作業標準書」と「作業手順書」の違いを理解しましょう。
大きな違いは、「標準」を示すか「手順」を示すかにあります。
作業標準書は作業の"基準"を示し、統一性や一貫性を持つことを目指す文書です。一方、作業手順書は作業の"具体的な手順"を示し、作業の流れや具体的な方法を理解することを目的とした文書です。
作業標準書と作業手順書は、互いに補完し合う関係にあります。作業標準書により一貫した作業内容を確保し、作業手順書によりその具体的な運用方法を伝達するのです。
作業標準書の作成ポイント
作業標準書の作成時に重要なことは、作業の目的、必要な時間、使用する部品や設備、そして作業員の安全に関する項目を明確に記載することです。
それぞれの項目は、作業の効率化や品質の維持、作業員の安全を確保するために不可欠です。
また、作業標準書を活用するためには、現場の作業員が理解しやすい形で整理され、常に更新されることが重要です。
現場のフィードバックをもとに改善を繰り返し、より使いやすい文書を作成しましょう。
作業手順書の作成ポイント
作業手順書を作成する際のポイントは、各作業の具体的な手順、必要な時間、使用する設備やツール、そして注意事項を詳細に記載することです。
作業者が作業をスムーズに進行させるためには、これらの情報が具体的であることが必要です。また、視覚的な素材(写真や動画など)を用いることで、より理解を深めることができます。
作業手順書も作業標準書同様、常に現場のフィードバックを元に改善し、最新の情報を反映することが重要です。
IATF16949とISO9001との関連性
「作業標準書」と「作業手順書」は、IATF16949とISO9001と密接に関連しています。IATF16949とISO9001は、ともに品質管理体系の国際規格であり、企業が製品品質を向上させるための枠組みを提供します。
作業標準書と作業手順書は、これらの品質管理体系を実現するための重要な手段となります。
具体的には、作業標準書はISO9001やIATF16949における「品質方針」や「品質目標」を現場レベルで実現するための基準を設けます。
また、作業手順書は「作業手順」や「作業方法」を明確にし、誤解を防ぐことで品質を確保します。
関連記事
まとめ
この記事では、「作業標準書」と「作業手順書」の違いと、それぞれの作成ポイント、さらにはISO9001とIATF16949との関連性について説明しました。
これらの文書は、製品品質の向上、作業効率の改善、そして作業者の安全確保に必要不可欠なツールです。
作業標準書は、一貫した作業を確保するための基準を設け、作業手順書は、その具体的な運用方法を示します。これらはIATF16949やISO9001の規格を実現し、製造業の現場で品質管理と業務の効率化を進めるための重要な道具となります。
現場での具体的な運用と共に、これらの文書を活用し、品質改善や効率化を進めていきましょう。今後も質の高い製品を提供し続けるために、一人ひとりが自身の役割を理解し、これらのツールを活用することが大切です。
コンサルタント不要!社内構築を目指すサービス展開中