【VDA6.5攻略】製品監査とは?IATF16949(9.2.2.4)対応の進め方を実務者が解説

ドイツ系OEMの顧客監査で「製品監査はVDA6.5に基づいて実施してください」と求められ、戸惑っていませんか。IATF16949では製品監査の実施が義務づけられているものの、その具体的なやり方までは規格本体に書かれていません。

その「具体的な手引書」の代表格がVDA6.5(製品監査)です。

本記事では、IATF認証プロジェクトリーダーとして社内QMSを構築し、二者監査・VDA6.3プロセス監査を実際に運用してきた実務者の視点から、VDA6.5の基本・IATF16949 9.2.2.4との関係・VDA6.3との違い・2020年第3版の改訂点、そして監査プログラム策定から実施・評価・是正までの進め方を、現場で腹落ちする形で解説します。


この記事の実務解説
QMS認証パートナー
専属コンサルタント

H.Minamino

製造業25年・自動車業界15年以上の実務経験

IATF16949・ISO9001・VDA6.3を、現場で使える形に落とし込む視点で解説しています。

規格要求事項の解釈だけでなく、審査で説明できる規定づくり、現場で使える帳票、内部監査・顧客監査への対応まで、実務で迷いやすいポイントを中心に整理しています。特に多くの企業様が知りたい「審査機関・顧客はどこを見るのか」の勘所も徹底解説していますので、是非ご活用ください。

専門領域
IATF16949・ISO9001・VDA6.3。初期段階の構築から認証後まですべて対応可能。
得意分野
規定・帳票・監査対応の実務化。大企業・中小企業問わず支援実績多数。
支援内容
教材提供・メール相談・個別コンサル。特に24時間対応可能なメール相談がおすすめ。

「この解釈でよいのか」「自社の規定や帳票にどう反映すればよいのか」と迷った場合は、QMS認証パートナーの教材・相談メニューもご活用ください。ご用途に合わせて提案させていただきます。


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VDA6.3規格題目一覧
P1 ポテンシャル分析
P2 プロジェクトマネジメント
P3 製品及びプロセス開発の計画
P4 製品及びプロセス開発の実施
P5 サプライヤー管理
P6 生産プロセス分析
P7 顧客ケア・顧客満足度とサービス

この記事の目次

VDA6.5(製品監査)とは?まず押さえる基本

VDA6.5を一言でいえば、完成した製品(または梱包された個々の部品)を抜き取りで検査し、品質要求を満たしているかを確認する「製品監査」の手引書です。検査工程とは別に、出荷直前あるいは工程の各段階で「最終的にお客様の手に渡る品質になっているか」を、顧客の視点に立って改めて検証する活動だと捉えると理解しやすくなります。

製品監査の定義―「検査」ではなく「監査」

製品監査は、少数の製品・部品を抜き取って評価することで、品質保証活動の有効性そのものを判定します。ここで重要なのは、製品監査は工程内の検査の代わりにはならないという点です。日々の検査は「この製品が良品か」を判定する活動ですが、製品監査は「良品を作り続ける仕組みが機能しているか」を、製品の出来栄えという結果から逆算して確認する活動です。寸法・機能・外観だけでなく、表示・ラベル、梱包の状態まで含めて「顧客がどう受け取るか」を評価する点が、通常の出荷検査と一線を画します。

VDA6.5の位置づけ―VDA6シリーズの第5分冊

VDA6.5は、ドイツ自動車工業会(VDA:Verband der Automobilindustrie)が発行する監査規格群「VDA6」シリーズの一冊です。VDA6は複数の分冊で構成され、監査の対象ごとに枝番が分かれています。プロセスの回り方を診るVDA6.3(プロセス監査)に対し、VDA6.5は完成した製品そのものを診る製品監査を担当します。ドイツ系の完成車メーカーを中心に、サプライヤーへVDA6.5に準拠した製品監査の実施を求めるのが一般的です。VDAシリーズ全体やプロセス監査との関係を整理したい方は、VDA6.3の要求事項とノウハウをまとめたハブページも参考にしてください。

何のために行うのか―品質保証の有効性確認

製品監査の目的は、製品という「結果」を通じて、品質保証の有効性と生産工程の品質能力を確認することにあります。図面や仕様書どおりに作れているかはもちろん、近年は「仕様書だけでは表現しきれない、最終顧客の期待」をサプライヤー自身が読み取り、製品に織り込めているかも問われます。だからこそ製品監査は、単なる適合チェックではなく、自社の品質保証システムが本当に顧客満足につながっているかを映し出す鏡として機能します。

IATF16949(9.2.2.4)における製品監査の位置づけ

「製品監査はそもそもなぜ必要なのか」を理解するには、IATF16949の要求事項に立ち返るのが近道です。VDA6.5は、このIATF16949の要求を満たすための「具体的な実施方法の一つ」として位置づけられます。

9.2.2.4は「客先要求どおりに実施」と定めるだけ

IATF16949:2016の9.2.2.4(製品監査)は、製品監査を実施することを求めていますが、その具体的な進め方までは規定していません。「顧客の要求どおりに実施する」とされているため、どのような手法で製品監査を行うかはOEM(顧客)の判断に委ねられています。そして、ドイツ系OEMがその手法を指定する場合、ほぼ確実にVDA6.5への準拠が求められます。

なお、IATF条文そのものの解釈・構築ポイント(製品監査員の力量や臨時監査の考え方など)は、別記事のIATF16949 9.2.2.4:製品監査の要求事項で詳しく解説していますので、条文ベースで押さえたい方はそちらをご覧ください。本記事はあくまで「VDA6.5という手法そのもの」に焦点を当てます。

内部監査はチェックリストを回すだけでなく、計画の立て方や結果のまとめ方で改善につながるかが変わります。必要な帳票・記録の考え方は〔内部監査6点セット〕で整理できます。

内部監査の三本柱の一角を担う

IATF16949の内部監査は、QMS監査・製造工程監査・製品監査の三本柱で構成されます。この三つを年間の内部監査プログラムの中で漏れなく計画・実施し、結果をマネジメントレビューへインプットする流れが求められます。製品監査はそのうちの一本であり、QMS監査が「仕組みの適合性」を、製造工程監査が「工程の機能」を診るのに対し、製品監査は「製品の出来栄え」という結果から品質システム全体を検証する役割を担います。内部監査全体の位置づけを掴みたい方は、IATF16949における内部監査がなぜ重要なのか、およびISO9001側の土台である9.2.1/9.2.2内部監査の要求事項もあわせて確認すると理解が立体的になります。

OEM別の温度差を理解しておく

製品監査の要求度合いは、顧客によって大きく異なります。たとえばフォルクスワーゲングループは、量産製品に対して12か月ごとにVDA6.5に基づく製品監査を実施するようサプライヤーへ求めています。一方で、製品監査に特段の要求を示さないOEMもあり、その場合はサプライヤー自身が製品監査の進め方を定めることになります。つまり実務では、「どの顧客が、どの製品に、どの頻度で、どの規格に基づく製品監査を求めているか」を顧客固有要求事項(CSR)として一覧化し、抜けのない監査プログラムへ落とし込むことが第一歩になります。

VDA6.3(プロセス監査)とVDA6.5(製品監査)の違い

【VDA6.5攻略】製品監査とは?IATF16949(9.2.2.4)対応の進め方を実務者が解説①

実務でもっとも混同されやすいのが、VDA6.3とVDA6.5の使い分けです。どちらも「VDAの監査規格」であり、ドイツ系OEMの顧客監査で登場するため、ひとくくりに語られがちですが、見ている対象がまったく異なります。

見る対象が違う―プロセスか、製品か

VDA6.3は「プロセスが要求どおりに回っているか」を、引き合い・受注から設計、量産準備、製造、出荷、市場対応まで一連の流れとして評価します。これに対しVDA6.5は「完成した製品そのものが、図面・仕様・顧客要求に適合しているか」を、出来上がった結果から検証します。たとえるなら、VDA6.3は「料理人の手順と厨房の管理状態」を診る監査、VDA6.5は「出来上がった一皿そのもの」を客の立場で味見する監査です。両者は補完関係にあり、どちらか一方では品質システムの全体像を保証できません。VDA6.3の全体像やIATF16949との関係は、VDA6.3とIATF16949の違いと構築ポイントで詳しく解説しています。

混同しやすいポイントと使い分け

比較項目 VDA6.3(プロセス監査) VDA6.5(製品監査)
監査対象 プロセス・工程の管理状態 完成品・梱包部品そのもの
主な問い 「正しく作る仕組みが回っているか」 「結果として要求を満たせているか」
評価の起点 工程・手順・記録 製品の実測・機能・外観・表示・梱包
代表的な構成 質問表(全58項目/P2〜P7等) 監査プログラム・監査計画・実施・評価
IATFでの対応 9.2.2.3製造工程監査の手法として参照 9.2.2.4製品監査の手法として参照
典型的な要求元 ドイツ系OEM(プロセス能力の確認) ドイツ系OEM(出荷品質の確認)

実務では、「顧客がVDA6.3とVDA6.5の両方を要求しているのに、社内では一括りに『VDA監査対応』として準備してしまい、製品監査の仕組みが手薄になっていた」というケースが少なくありません。三本柱のうち製品監査だけが形骸化していないか、改めて点検することをおすすめします。

VDA6.3をもっと知りたい方におすすめ

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【2020年・第3版】VDA6.5の主な改訂点

VDA6.5の現行版は、2020年3月に改訂された第3版です。第2版(2008年)からの変更点を押さえておくと、競合の辞書系ページにはない「最新版の理解」を示せます。実務上、特に影響が大きい改訂点を整理します。

製造物責任の「保護手段」という記述の削除

旧版にあった「製品監査は製造物責任(PL)の事案に対する保護手段となる」という趣旨の記述が、第3版では削除されました。理由は、製品監査は少数の抜き取りによる評価であり、統計的にそうした保証を与えられるものではない、という考え方によります。製品監査を「PL対策の切り札」のように位置づけていた組織は、目的の説明を見直す必要があります。

再認定・工程内監査との区別の明確化

第3版では、「製品監査」「工程内監査(in-process audit)」「再認定監査(リクオリフィケーション)」の区別が、より明確に整理されました。とくに、旧版で製品監査の一部のように扱われていた再認定(リクオリフィケーション)は、製品監査とは別物として分離されています。再認定は「一定期間ごとに製品・工程が当初の承認状態を維持しているかを確認する活動」であり、製品監査の目的とは異なります。社内規定で両者を混同して運用していると、顧客監査で「製品監査の頻度・対象が定義できていない」と指摘されやすいので注意が必要です。

CoP特別監査の削除と、リスクベースの監査プログラム追加

旧版にあったCoP(生産の一貫性:Conformity of Production)特別監査のセクションは、CoPの確保は独立したプロセスであるとの理由から削除されました。一方で、監査プログラムの範囲を「リスクに基づいて」設定するという考え方が加わりました。すべての製品を一律の頻度で監査するのではなく、製品の重要度・不具合実績・変更点などのリスクに応じて、対象と頻度にメリハリをつける発想です。あわせて、参照するISO規格(ISO19011・ISO9000・ISO9001)やIATF16949への参照も最新の状態へ更新されています。なお、監査の進め方そのものの土台はISO19011にあるため、監査手法(ISO19011)の基本を押さえておくと、VDA6.5の各ステップが腹落ちしやすくなります。

VDA6.5製品監査の進め方(実施手順)

【VDA6.5攻略】製品監査とは?IATF16949(9.2.2.4)対応の進め方を実務者が解説②

ここからが本記事の核心です。VDA6.5に基づく製品監査は、大きく「①監査プログラムの策定→②監査計画の作成→③監査の実施→④評価・採点と報告→⑤不適合の格付け・是正」という流れで進みます。順に見ていきましょう。

①監査プログラムの策定(リスクベースで対象と頻度を決める)

まず、年間を通じてどの製品を、いつ、どれだけの頻度で製品監査するかという「監査プログラム」を策定します。第3版の考え方に沿い、製品の重要度・過去の不具合・変更の有無といったリスクを評価し、対象と頻度にメリハリをつけます。ここで顧客固有要求(たとえば「量産品は12か月ごと」など)を必ず織り込むことが重要です。製品監査だけを単独で計画するのではなく、QMS監査・製造工程監査とあわせて年間の内部監査プログラムに統合し、漏れのない計画として文書化しておきましょう。

②監査計画の作成(対象製品と評価項目を選定)

次に、個々の監査ごとの計画を作成します。対象とする製品(または部品)を選定し、何を・どの基準で評価するかを具体的に決めます。評価項目には、図面・仕様で取り交わした寸法や機能はもちろん、外観、表示・ラベル、梱包の状態などが含まれます。評価基準は顧客要求と整合させ、判定の根拠が後から第三者にも追えるように準備しておくことがポイントです。

③監査の実施(製品を顧客の視点で検証)

【VDA6.5攻略】製品監査とは?IATF16949(9.2.2.4)対応の進め方を実務者が解説③

計画に沿って、選定した製品を実際に検証します。実測値の確認、機能・性能の試験、外観・表示・梱包の確認などを行い、「顧客がこの製品を受け取ったときに、要求どおりと感じるか」という視点で評価します。寸法・機能の検証は、IATF16949の8.6.2レイアウト検査及び機能試験の記録と密接に関係します。両者を別々に管理して二重作業になっている現場も多いので、製品監査の中でレイアウト検査・機能試験の結果を活用できるよう、記録の連携を設計しておくと効率的です。

④評価・採点と報告書

監査結果は、適合・不適合を判定し、可能であれば数値で評価できる形にまとめます。製品監査の評価を点数化しておくと、製品間・期間での比較や、品質システムの有効性の傾向把握がしやすくなります。結果は監査報告書として記録し、客観的証拠(実測データ・観察結果・写真など)とともに整理します。報告書は、監査結果をマネジメントレビューのインプットへつなげるための重要なアウトプットでもあります。

⑤不適合の格付け・是正・フィードバック

不適合が見つかった場合は、その重大度を格付けし、是正処置へつなげます。重要なのは、製品監査で発見した不適合を「その製品だけの手直し」で終わらせないことです。なぜその不適合が検査をすり抜けたのか、品質保証システムのどこに弱点があったのかまで掘り下げ、工程や仕組みの改善へフィードバックすることで、はじめて製品監査が「有効性の確認」という本来の目的を果たします。

製品監査の頻度はどう決めるか

「製品監査はどのくらいの頻度で行えばよいか」は、実務でよく受ける質問です。結論から言えば、顧客固有要求(CSR)を最優先し、それを満たしたうえでリスクに応じて設定するのが基本です。

たとえばフォルクスワーゲングループのように「量産品は12か月ごと」と頻度を指定してくる顧客がいれば、その要求を満たすことが大前提になります。顧客が頻度を指定していない場合は、製品の重要度・不具合実績・工程の安定度・変更の発生といったリスク要因を評価し、対象ごとに頻度を決めます。加えて、顧客クレームや重大な不具合が発生した際には、定例の頻度とは別に臨時の製品監査を機動的に実施できる体制を整えておくと、品質リスクを早期に封じ込められます。頻度の根拠は監査プログラムに明記し、顧客監査で問われても説明できるようにしておきましょう。

現場でつまずくポイント(実務者の視点)

最後に、実際に製品監査を運用するなかで、多くの企業がつまずきやすいポイントを、実務者の視点から共有します。ここは競合の辞書系ページにはない、現場の勘どころです。

「検査の代わり」と誤解してしまう

もっとも多い誤解が、製品監査を日々の出荷検査の延長として運用してしまうことです。前述のとおり、製品監査は工程内検査の代替ではありません。「良品を選別する活動」ではなく「良品を作り続ける仕組みが機能しているかを、製品の出来栄えから確認する活動」です。この目的を取り違えると、監査が単なる二重検査になり、是正が「製品の手直し」で止まってしまいます。

工程内監査・再認定との線引きが曖昧

第3版で区別が明確化されたにもかかわらず、社内規定では製品監査・工程内監査・再認定監査が混在したまま運用されているケースが目立ちます。それぞれ目的・対象・頻度が異なるため、規定上で明確に定義し分けておかないと、顧客監査で「どの活動が製品監査に該当するのか説明できない」という事態になりがちです。

抜き取り数・評価基準が顧客要求と噛み合わない

製品監査のサンプル数や評価基準を社内都合で決めてしまい、顧客の期待と乖離しているケースもあります。評価項目(寸法・機能・外観・表示・梱包)と判定基準は、必ず顧客要求・仕様と突き合わせて設計してください。

監査員の力量が不足している

製品監査を有効に機能させるには、製品要求・図面・該当工程を理解し、適切に評価できる監査員が必要です。IATF16949では7.2.3内部監査員の力量として、製品監査員にも力量の認定が求められています。「外部セミナーの修了証を取って監査員リストに登録して終わり」ではなく、製品・図面の理解度まで含めて力量を評価し、維持する仕組みを整えることが、製品監査の質を左右します。

内部監査での確認ポイント

製品監査を「仕組みとして」回せているかを自己点検する際の、確認観点と質問例を整理します。顧客監査・審査の前のセルフチェックにご活用ください。

確認観点 確認内容 質問例
監査プログラム リスクと顧客要求に基づき対象・頻度が設定されているか 「製品監査の対象と頻度は、どのような基準で決めていますか?」
顧客固有要求 CSR(例:12か月ごと等)が漏れなく反映されているか 「顧客が指定する製品監査の頻度・規格は一覧化されていますか?」
評価項目 寸法・機能・外観・表示・梱包まで網羅されているか 「梱包やラベルの状態は製品監査の評価対象に含まれていますか?」
区別 製品監査・工程内監査・再認定が定義し分けられているか 「再認定と製品監査は規定上どう区別されていますか?」
評価・報告 結果が数値化され、報告書として記録されているか 「製品監査の結果はどのように評価・記録していますか?」
是正・改善 不適合が仕組みの改善へフィードバックされているか 「製品監査で出た不適合は、工程改善にどうつなげていますか?」
監査員の力量 製品監査員の力量が認定・維持されているか 「製品監査員の力量はどのように認定していますか?」

よくある質問(FAQ)

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解釈
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VDA6.5とIATF16949の製品監査は、別物として両方やる必要がありますか?

別物ではありません。IATF16949の9.2.2.4は製品監査の実施を求めるだけで、具体的な手法は顧客判断に委ねられています。VDA6.5は、そのIATF要求を満たすための具体的な手引書の一つです。ドイツ系OEMがVDA6.5を指定する場合、VDA6.5に準拠して製品監査を行えば、IATF16949の製品監査要求も同時に満たせます。

VDA6.5の現行版は何版ですか?

2020年3月に改訂された第3版が現行版です。第2版(2008年)からは、製造物責任の保護手段という記述の削除、再認定・工程内監査との区別の明確化、CoP特別監査の削除、リスクベースの監査プログラムの追加などが行われています。版数を社内規定や顧客提出資料に明記する際は、念のため最新の発行状況をご確認ください。

VDA6.3(プロセス監査)とVDA6.5(製品監査)はどう違いますか?

VDA6.3はプロセス・工程が要求どおりに回っているかを評価する監査、VDA6.5は完成した製品そのものが要求を満たしているかを評価する監査です。見ている対象が「プロセス」か「製品」かが最大の違いで、両者は補完関係にあります。

製品監査の頻度はどう決めればよいですか?

顧客固有要求(CSR)を最優先します。顧客が頻度を指定していない場合は、製品の重要度・不具合実績・変更点などのリスクに応じて設定します。加えて、クレームや重大不具合の発生時に臨時の製品監査を行える体制も整えておきましょう。

製品監査では具体的に何を確認しますか?

図面・仕様で取り交わした寸法や機能だけでなく、外観、表示・ラベル、梱包の状態まで、「顧客がどう受け取るか」という視点で評価します。寸法・機能の検証は、8.6.2のレイアウト検査・機能試験の記録と連携させると効率的です。

製品監査は工程内の検査と同じですか?

いいえ。工程内検査は「個々の製品が良品か」を判定する活動ですが、製品監査は「良品を作り続ける仕組みが機能しているか」を製品の出来栄えから確認する活動です。製品監査は検査の代わりにはなりません。

製品監査員にはどんな力量が必要ですか?

製品要求・図面・該当工程を理解し、顧客要求に基づいて適切に評価できる能力が必要です。IATF16949の7.2.3に基づき、製品監査員として力量を認定し、監査員リストとして維持・更新することが求められます。

まとめ

VDA6.5は、IATF16949 9.2.2.4が求める製品監査を「具体的にどう実施するか」を示す、ドイツ自動車工業会の手引書です。プロセスを診るVDA6.3に対し、VDA6.5は完成した製品そのものを顧客の視点で検証します。現行は2020年の第3版で、再認定や工程内監査との区別が明確化され、リスクベースの監査プログラムという考え方が加わりました。

実務で押さえるべきは、以下の4つです。

  • (1)製品監査は検査の代替ではなく品質保証の有効性確認であること
  • (2)顧客固有要求を最優先しつつリスクで頻度にメリハリをつけること
  • (3)寸法・機能だけでなく表示・梱包まで顧客視点で評価すること
  • (4)不適合を製品の手直しで終わらせず仕組みの改善へつなげること

以上の4点です。

これらを監査プログラムとして文書化し、力量ある監査員が運用できれば、ドイツ系OEMの顧客監査にも自信を持って臨めます。

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IATF16949・ISO9001・VDA6.3は、要求事項を理解するだけでなく、現場で説明できる仕組みにすることが重要です。判断に迷う部分は個別相談で、資料を整えたい場合は教材・サンプルをご活用ください。

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