
ISO9001:4.1の組織及びその状況の理解の規格解釈、構築ポイントについて解説いたします。
皆さんの会社では、外部・内部の課題を基に戦略的に事業運営を行っていますか?
また、その事業運営をする中で、品質マネジメントシステムの意図した結果を生み出したかどうかの監視(情報や変化)についてレビューを行っていますか?
これらは品質向上とともに企業存続における重要な要求事項なので、きちんと管理しましょう!

条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
4.1 | 組織及びその状況の理解 | ○ | ○ |
4.2 | 利害関係者のニーズ及び期待の理解 | ○ | ○ |
4.3 | 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 | ○ | ○ |
4.3.1 | 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定-補足 | ○ | |
4.3.2 | 顧客固有要求事項 | ○ | |
4.4(4.4.1) | 品質マネジメントシステム及びそのプロセス | ○ | ○ |
4.4.1.1 | 製品及びプロセスの適合 | ○ | |
4.4.1.2 | 製品安全 | ○ | |
4.4.2 | 題目なし(文書管理要求) | ○ | ○ |
目次
ISO9001:4.1の組織及びその状況の理解の規格解釈
この要求事項の意味は、会社が組織の状況をきちんと理解し、外部及び内部の課題を明確にすることで、どのような組織的な活動を行っていくのかといことを明確にすること意図しています。
会社外部の状況が変化することで自社に影響することを事前に察知できる仕組みがあれば、会社への影響を未然に防ぐことができるつまり、対策が打てるようになります。
また会社内部の課題を明確にすることで、将来に向けた方策も打ちやすいですよね!
つまり、外部・内部の課題を明確にすることで、あらゆる変化に対応できる組織を作る=企業品質につながる仕組みを作る必要があるということです。
ここで大事なのは、ISO9001が何を追及させようとしているかというと「顧客満足」です。
内部・外部の課題を明確にし、それらに対してきちんと対応することで、顧客へ影響しないように未然に防ぐ企業努力に期待しているということです。
ただし、この要求事項はやればやるほど深みにはまり、レベルが高すぎることをやってしまい品質マネジメントシステムの運用ができなくなる原因の一つになり得る要求事項であることも忘れてはいけません。
では、どのようにこの要求事項に対応すべきか構築ポイントを次に解説します。
全ての課題を抽出する必要は無い!
この要求事項の読み解き方について、多くの企業が勘違いされています。なぜ勘違いをしてしまうというと、要求事項に以下のように書かれていることが原因です。
「明確にしなければならない」と書いてあるので多くの企業が全て抽出する必要があると解釈してしまいます。
ただし、ここで大事なことは一つです。それが「意図した結果」です。
この意図した結果の意味は、「品質保証を確実に行い、顧客を満足させる意図した結果」という意味です。
つまり、それらに強く影響する外部及び内部の課題を抽出することが目的で合って、影響度が少ないことは明確に示す必要はありません。
ここを間違えると非常に大変な作業となり、ISO9001の構築が厳しくなってしまうので解釈を間違えないようにすることが大事です。
では、次に具体的に抽出すべき課題を見ていきましょう。
外部の課題抽出のやり方
企業活動の中で外部変化が起きると自社に影響を与える可能性があることは、大きなくくりで考えると限定的です。
外部の状況を理解するといのは、自社の品質マネジメントシステムの変更を余儀なくされる内容が含まれるので、きちんと抽出し、明確にすることが求められます。
外部の状況を的確にとらえ課題を抽出することで、品質低下を避けるつまり、顧客への影響を低減させる未然防止に繋がることが大事です。
そこで「ISO9001:4.1の組織及びその状況の理解」を見ると、注記2に以下のように書かれています。
この条文を上手く活用し、自社が考える外部課題を大きなくくりでリスト化し、あわよくば対策があれば対策も記入しておくことで要求事項への対応ができます。ここが重要な構築ポイントになるので、しっかり覚えておきましょう!
内部の課題抽出のやり方
内部状況をきちんと理解し、事前に対策が打てれば製品・サービスへの影響も極力抑えることが可能になります。内部の状況については、日常的に見ている状況なので比較的抽出は容易です。
「ISO9001:4.1の組織及びその状況の理解」を見ると、注記3に以下のように書かれているので、それらに基づき課題を抽出すことで対応が容易になります。
この注記の状況を活用することで、自社の考える内部課題をリスト化することで対応可能です。特に、品質保証や顧客へ影響する内部課題をリスト化することに注力することが構築の大事なポイントとなります。
リストを作成したらレビューを行う
内部・外部の状況を確認し課題を抽出することで、本要求は対応可能です。しかし、多くの企業が「作って終り」となり、品質マネジメントシステムの中に上手く導入できていません。
そこでおすすめなのが毎年更新する仕組みを導入することです。年度末に本年度の内部・外部の課題リストの取組結果を確認し、来期に向けて更新を行うこで質マネジメントシステムに上手く導入することが可能です
「ISO9001:4.1の組織及びその状況の理解」を見ると、条文には以下のような内容が書かれています。
ここで大事なことは、「監視してレビューする」ことです。
この要求事項のレビューに対応する為、年度末に確認した結果を記入して、トップマネジメントにコメントを貰うことで対応可能です。
また、トップマネジメントは来期に向けた新たな指示を出すことで、PDCAサイクルが回る仕組みになり、審査の際も指摘されることはありません。
品質マネジメントシステムの意図した結果を達成するために、年度末の見直し(レビュー)が行われる仕組みの構築で容易に対応できるので、是非取り組んでみてください。
トップマネジメントが最終的なレビュー結果を記入すれば完璧ですので、下記のようなコメントをもらうようにしましょう。
ISO9001:4.1の組織及びその状況の理解の内容はどこに記載すればいい?
ISO9001:4.1の組織及びその状況の理解の理解の取組については、品質マニュアルの条文の下に、以下のような記述を記入しておくことで対応可能です。
このように記入しておくと、内部・外部の状況把握と課題の抽出からの最終的なレビューまで繋がるので、きちんとPDCAが回る仕組みが構築できることになります。
ISO9001:4.1の組織及びその状況:まとめ
ISO9001:4.1の組織及びその状況の規格解釈および構築ポイントは如何でしたでしょうか?
内部・外部の状況を理解し、組織の事業成長・未然防止を行うことで、企業が成長を続けることができる仕組みを構築することが求められています。
特に、意図した結果について解釈に対する間違いが非常に多いため、負担に繋がる要求事項となることが多いです。
要求事項をきちんと読み解き、売り上げ拡大・品質向上に繋がることができる経営的な話となっているので、是非維持・監視を続けていってくださいね!
それではまた!
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