ISO9001:4.4.1項の品質マネジメントシステム及びそのプロセスでは、ISO9001の規格に従いプロセスを確立し、そのプロセスの相互作用を示すことを要求しているのが特徴です。
もちろんそれらはPDCAサイクルを回しながら改善活動を行うようにしましょう。
今回はISO9001:4.4.1項の品質マネジメントシステム及びそのプロセスの規格解釈、構築ポイントについて解説いたします。
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目次
ISO9001:4.4.1項の品質マネジメントシステム及びそのプロセスの規格の意図
ISO9001:4.4.1項の品質マネジメントシステム及びそのプロセスの要求事項は、プロセスの確立とその相互作用が分かる文書化した情報についての実施・維持・管理・有効性を確認した上での改善を要求しています。
4.4.1項の要求事項の資料は、ISO9001の審査を受ける際やIATF16949の審査そして、内部監査でも必ず必要になる資料なのでしっかりと作り上げることがポイントです。
本要求事項で必要となる文書化した資料は大きく分けて3つです。
これらは、品質マネジメントシステムを運用する上で最重要資料となり、構築初期に土台を作り内部監査前までに確立した状態にすることが求められます。
次に、それらの文書化した資料の意味と構築ポイントについて見ていきましょう。
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4.4.1:プロセス連関図(プロセスマトリクス)を作る
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスの冒頭では、以下のように記載されています。
この記述に対応する方法が「プロセス連関図(プロセスマトリクス)」です。プロセスマトリクスの作成はノウハウがあり、まずは考え方を理解する必要があります。
いきなり「プロセス?」といわれてもわからない方も多いと思います。プロセスとは、ISO9000で以下のように記述されています。
つまり、インプットとアウトプットが必要です。
ISO9001(IATF16949含む)のプロセスを考えるときの大枠として、大きく分けて3つのプロセスを考えてみましょう。
①ISO9001のマネジメントプロセスは「経営層」がポイント
経営者をはじめとする、企業の運営に関わるプロセスが「マネジメントプロセス」です。
関連する部門としては総務部やISO事務局などの部門が主体として、企業の運営や品質マネジメントシステムに関わっている企業が多いと思います。
それらのプロセスをマネジメントプロセスと考えると理解しやすいです。それらに付随するプロセスとしては「内部監査プロセス」などがあげられます。
中小企業であれば、マネジメントプロセスと内部監査プロセスの二つがあれば十分です。
②ISO9001の製品実現プロセスは「製品ができるまでの流れ」がポイント
「製品実現プロセス」とは、顧客の要求から製品を顧客に納品するまでのプロセスのことを指します。
製造業であれば一般的に以下のような部門を経由して製品が作られていると思います。
顧客→営業→製品設計→工程設計→購買→製造→生産管理→顧客
これらの一連のプロセスを製品実現プロセスといいます。
③ISO9001の支援プロセスは「援助部門」がポイント
「支援プロセス」とは、製品実現を助けるプロセスや製品実現プロセスに何らかのインプットを行うようなプロセスをいいます。
例えば、計測機器の管理や顧客クレーム、法令規制要求情報など製品実現プロセスを支援する情報やデータ、資源を提供することが支援プロセスの役割です。
前述したマネジメントプロセスや内部監査プロセス更には、品質保証部門が担う品質保証プロセスなどもそれらに該当します。
これらのプロセスと部門、規格の要求事項を「マトリクス」で表したものがプロセス連関図(プロセスマトリクス)というものです。
④プロセス連関図例
プロセス連関図の事例が上図になります。
横軸には「プロセス」縦軸には「該当する部門及び規格要求事項(条項のみでOK)」が記載されます。
▶プロセスに対する主管部門を「●」で表したのが上部のマトリクス。
▶要求事項に対する主管プロセスを「●」で表したのが下部のマトリクスです。
▶要求事項に対する関連プロセスは「〇」で表すことが一般的で、全要求事項に対してこのマトリクス表を作成することが求められます。
内部監査を実施する前に必ず完成させておくことがポイントです。
4.4.1:タートル図(タートルチャート)を作る
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのa)では、以下のように記載されています。
前述したように、ISO9001・IATF16949ともにプロセスアプローチが重要です。各プロセスを確立し、プロセスの相互作用を表すことができるのがタートル図(タートルチャート)です。
タートル図は、あらゆる場面ででてきます。多くの企業様を監査していますが、タートル図(タートルチャート)上手く作成できている企業は少ないです。
次にタートル図の作成方法について解説します。
①タートル図真ん中は「仕事」を書く
タートル図の真ん中の話が、ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスの話全体の事を意味しています。
タートル図の真ん中には、そのプロセスが持つ仕事を書きます。例えば、購買プロセスであれば、①部材購入、②納期管理、③仕入先監査、④受入検査などの業務を担うことが多いですよね!
それらの仕事を真ん中に書きます。
②タートル図の左上は「プロセスに必要な資源」を書く
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのd)では、以下のように記載されています。
購買プロセスをうまく機能するためには様々な資源が必要です。例えば、受発注業務に欠かせないパソコンであったり、受発注システムなども購買プロセスに必要な資源です。
購買プロセスに必要な資源を抽出して左上に記入しましょう。
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③タートル図左中央は、「Input情報・物」を書く
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのa)では、以下のように記載されています。
購買プロセスには様々な情報・物が入っていきます。例えば、生産のオーダー票や購入部品などが購買プロセスには入ってきます。それらの情報や物を左中央に記入します。
どんな情報や物が入ってくるのかを抽出して記入しましょう。
④タートル図左下は「プロセスに必要な手順・方法」を書く
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのc)では、以下のように記載されています。
購買プロセスには、受発注業務や受入検査などの作業が存在します。その作業を行う上で必要な手順書や規定が存在していますよね!それらの作業が落とし込まれている手順書や規定を書くのが左下です。
どんな作業手順書や規定が購買プロセスにあるのかを調べて記入しましょう。
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⑤タートル図左上は、「必要な人の力量」を書く
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのe)では、以下のように記載されています。
購買プロセスには、その業務に必要な人員がいるはずです。例えば、受発注業務担当者や受入検査人員など力量評価された方々が従事されていると思います。
購買プロセスに必要な人員特に、特別な資格保持者や役職者は明確に記載することが重要です。
例えば「資格認定された受入検査員」「フォークリフト資格保持人員」などが該当します。
どんな人員がそのプロセスに必要なのかを考え記入しましょう。
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⑥タートル図右中央は「プロセスからのOutput情報・物」を書く
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのa)では、以下のように記載されています。
購買プロセスへInputされた情報を基に仕事が行われ、そのアウトプットとして「成果物」が出てきます。その成果物が右中央に記入されます。
例えば、生産オーダー票に基づき受発注システムで部品を発注しないといけないと分かったら、仕入先に購入伝票を発行しますよね!
また、受入検査を実施したのであれば「検査に合格した部品」がアウトプットとして出てきます。これらが右中央に書かれます。
各プロセスInputとOutputは、プロセスアプローチの中でも最重要事項なので、しっかり確認し記載するようにしましょう。
⑦タートル図右下は「パフォーマンス指標」を書く
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのc)では、以下のように記載されています。
購買プロセスが上手く機能していることの評価指標(有効性レ)を記入するのが右下です。
プロセスの出来栄え評価する「KPI指標(パフォーマンス指標)」は、通常プロセスを構成する各部門や各部署の「品質目標」や、「監視項目(効率指標)」を書くのがポイントです。
品質マネジメントシステムを運用する上で重要なのが、全プロセスの本欄記載欄の要素が、マネジメントレビューでのインプット項目になっていなくてはならないことです。
また、ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのg)では、以下のように記載されています。
プロセスで評価したことをマネジメントレビューにインプットすることで、意図した目標を達成できない場合は、必要な変更を行うことが求められます。
例えば、受入検査合格率95%がKPI指標として記載したのであれば、合格率90%では未達です。その為には、様々な対策が求められ、必要に応じて手順の変更や場合によっては目標値変更も行う必要が出てきます。
その為、1回/年のマネジメントレビューで目標値の適切性の検討や、月一の会議などで目標値の監視を行うことが求められます。
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⑧どのプロセスからInputし、Outputするのかを書く
ここで重要ポイントが、ただタートル図を作っても一般従業員には理解されない文書になってしまいます。
そこで大事なのが、インプット情報・物がどのプロセスから入って、成果物をどのプロセスに渡すのかを書いておくことです。
これを書いておくことでタートル図は非常にわかりやすく、プロセスの相互作用がすぐにわかるようになるので便利です。
ISO9001:4.4.1項の品質マネジメントシステム及びそのプロセスで大事なことは、プロセスを表す「タートル図」です。タートル図は、審査で確認されるポイントであり、内部監査・顧客監査でも必要書類として確認されるポイントです。IATF16949は作り変え必須!簡単にまとめられるテクニック満載の帳票を格安でご提供いたします!
4.4.1:プロセスマップを作成する
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのb)では、以下のように記載されています。
プロセスの順序を明確にし、各プロセスの相互作用を表すことができるのがプロセスマップ(プロセスフロー)です。
注意点として、プロセスマップに書くべきことは、プロセス間の相互作用を書くことが必要であり、どのプロセスから何をインプットしアウトプットするのかは書かないこと。
それらを記述するのが「タートル図(タートルチャート)」なので、混合しないように注意しましょう。
上図のように、製造業であれば製品が完成するまでの流れをフローにすることで対応可能です。
リスク及び機会と運用における取組とQMSの改善に取り組む
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスのf)h)では、以下のように記載されています。
h)これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。
この2つの要求事項は、明確な対応要求事項があるので、その要求事項をきちんと実施していればOKです。
f)項:6.1:リスク及び機会への取組
h)項:10章「改善」
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスはどこに記載すればいい?
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスは、品質マニュアルの付表として以下の3つを準備することが重要です。
②タートル図(タートルチャート)
※プロセス全てに対して1枚準備
③プロセスマップ(プロセスフロー)
この3種類は、審査会社へ提出する重要な書類なので必ず作成してください。
ISO9001やIATF16949を取得することを決めたら初期の段階で土台を作成し、運用上の中で常に追加・修正を行うことが大事です。
特に内部監査を実施する前には必ず必要になるので、期限内に作り上げるようにしましょう。
ISO9001:4.4.1に関するFAQ
ISO9001のメールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
プロセスアプローチとは、組織の活動を一連の相互に関連するプロセスとして管理し、効果的に運用する考え方です。4.4.1では、組織が成果を出すために必要なプロセスを特定し、順序や相互関係を明確にすることが求められます。プロセスごとに目標、責任者、必要なリソースを設定することが重要です。
⇒ISO9001用語:プロセスアプローチとは?要求事項と合わせて解説
はい、ISO 9001は外部委託したプロセスも品質マネジメントシステムの一部として管理することを求めています。4.4.1では、委託先のプロセスが組織の品質に影響を与える場合、その監視・評価が必要です。適切な評価基準とコミュニケーションが不可欠です。
⇒【ISO9001攻略】8.4.3:外部提供者に対する情報の要求事項徹底解説!
各プロセスにはKPIなどの評価基準を設定し、定期的にモニタリングします。4.4.1では、パフォーマンスの分析により改善の機会を特定することが求められています。結果をレビューし、必要に応じてプロセスの見直しを行い、継続的改善を推進します。
⇒【ISO9001攻略】9.1.1:監視・測定・分析及び評価の要求事項徹底解説!
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセス:まとめ
ISO9001:4.4.1の品質マネジメントシステム及びそのプロセスの規格解釈および構築ポイントは如何でしたでしょうか?
4.4.1項は品質マネジメントシステムの構築・運用に必要不可欠な重要要求事項です。構築段階で苦戦する文書化要求の一つなので、今回の記事を参考に作成してみましょう!
それではまた!
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