ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の意味は、設計開発段階の詳細プロセスの管理に関する要求です。プロジェクト計画で定めた達成すべき目標に対しての結果の管理・対応を行いましょう。
今回の記事は、ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の意味と構築ポイントを解説します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.1項~8.3.6.1項は主に、①営業プロセス②製品設計プロセス③工程設計プロセスが関係します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
8.1 | 運用の計画及び管理 | 〇 | 〇 |
8.1.1 | 運用の計画及び管理-補足 | 〇 | |
8.1.2 | 機密保持 | 〇 | |
8.2.1 | 顧客とのコミュニケーション | 〇 | 〇 |
8.2.1.1 | 顧客とのコミュニケーション-補足 | 〇 | |
8.2.2 | 製品及びサービスに関する要求事項の明確化 | 〇 | 〇 |
8.2.2.1 | 製品及びサービスに関する要求事項の明確化-補足 | 〇 | |
8.2.3.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー | 〇 | 〇 |
8.2.3.1.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー補足 | 〇 | |
8.2.3.1.2 | 顧客指定の特殊特性 | 〇 | |
8.2.3.1.3 | 組織の製造フィージビリティ | 〇 | |
8.2.3.2 | 題目無(レビュー結果の保持ルール) | 〇 | 〇 |
8.2.4 | 製品及びサービスに関する要求事項の変更 | 〇 | 〇 |
8.3.1 | 製品及びサービスの設計・開発 | 〇 | 〇 |
8.3.1.1 | 製品及びサービスの設計・開発-補足 | 〇 | |
8.3.2 | 設計・開発の計画 | 〇 | 〇 |
8.3.2.1 | 設計・開発の計画-補足 | 〇 | |
8.3.2.2 | 製品設計の技能 | 〇 | |
8.3.2.3 | 組込みソフトウェアを持つ製品の開発 | 〇 | |
8.3.3 | 設計・開発へのインプット | 〇 | 〇 |
8.3.3.1 | 製品設計へのインプット | 〇 | |
8.3.3.2 | 製造工程設計へのインプット | 〇 | |
8.3.3.3 | 特殊特性 | 〇 | |
8.3.4 | 設計・開発の管理 | 〇 | 〇 |
8.3.4.1 | 監視 | 〇 | |
8.3.4.2 | 設計・開発の妥当性確認 | 〇 | |
8.3.4.3 | 試作プログラム | 〇 | |
8.3.4.4. | 製品承認プロセス | 〇 | |
8.3.5 | 設計・開発からのアウトプット | 〇 | 〇 |
8.3.5.1 | 設計・開発からのアウトプット-補足 | 〇 | |
8.3.5.2 | 製造工程設計からのアウトプット | 〇 | |
8.3.6 | 設計・開発の変更 | 〇 | 〇 |
8.3.6.1 | 設計・開発の変更-補足 | 〇 |
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目次
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の意図
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の要求事項の意図は、プロジェクト計画(ISO9001:8.3.2項の設計開発の計画)による細かな計画例えば製造業の場合、検証内容や信頼性試験計画などの詳細計画についての管理を行うことを意図しています。
それらを管理することで、DR(デザインレビュー)の中できちんとレビューすれば本要求事項の妥当性を主張することができるので、是非実施してください。
次に要求事項の内容と構築ポイントについて見ていきましょう。
a)目標を定める
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の要求事項には、以下のように記載されています。
DRを開催する際に、インプット内容が正しく達成できているかは移行判断基準になります。
そのため、製品目標・製造目標の二つの観点から目標値の設定が不可欠です。
主な目標例
目標項目 | 内容例 |
要求仕様値 | 性能・スペックをマージン込みで達成できていること。 |
信頼性試験目標 | 例えば、-40℃から100℃のドリフト試験を10サイクル行って性能を満たすことなど。 |
コスト目標 | 利益率〇〇%以上など。 |
製造目標 | 工程能力・生産タクトなど。 |
これの例を基に、自社が求める管理項目を決め、目標を満たしている証拠となる文書・データを準備しましょう。
b)レビュー=DRの実施
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の要求事項には、以下のように記載されています。
これはDRの実施が要求です。
DRを実施するために必要なインプット・アウトプットを明確にし、それらが確実にDRにインプットされることが重要です。
特に、信頼性に関わる内容をしっかりインプットすることで有効なDRを行うことに着目し、自社の基準や該当する規格に合わせてインプットしてください。
c)検証活動を効果的に行う
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の要求事項には、以下のように記載されています。
この検証活動とは、「客観的証拠を提示できることで要求事項を満たすことを証明する」ことを意味します。
つまり、要求事項を満たすことができるデータ取得活動を言うので、量産試作・信頼性試験などを行うことがそれらに該当します。
その際は、客観的証拠が必要になるのでデータを残すようにしましょう。
d)顧客との検証活動も必要に応じて行う
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の要求事項には、以下のように記載されています。
様々な信頼性試験はもとより、必要に応じて顧客へサンプルを提供して検証を行う場合もあり得ます。
一般的にTP(Test-Production)、PP(Pre-Production:量産試作)、MP(Mass Production:量産)など様々なフェーズで顧客へサンプルを提出することがあるので、それらのタイミングは妥当性活動の一部といえます。
e)問題が起きたら処置をとる
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の要求事項には、以下のように記載されています。
検証活動や妥当確認活動中には、様々な問題に出くわします。
例えば「信頼性試験結果が思うような値が得られない」、「量産試作を行ったが生産タクトが予定より悪い」など十分起き得ます。
それらの問題は量産前に解決させないと量産後つまり、顧客に出荷されたあと容易に改善することは難しいです。
そのため、発見した問題は計画を立てて取り組む必要があります。
f)これらの活動についての文書化した情報を保持する。
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の要求事項には、以下のように記載されています。
これらは、DR開催における各節目での議事録や検証活動・妥当性確認活動、それらに問題があれば対処した記録などを文書化した情報として保持する必要があります。
これらの記録は、審査や監査で必ず確認されるので準備してください。
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理はどこに記載すればいい?
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の内容は、基本的な管理内容をプロジェクト管理規定に記載し、細かい内容は製品設計業務規定を作成し社内ルールの統一化が必要になります。
②どのような技術ルールに基づくのか
③設計開発の結果つまり、アウトプットは何か
上記3つは最低限必要になるので、ISO9001構築段階でしっかり作成するようにしてください。
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理:まとめ
ISO9001:8.3.4項の設計開発の管理の要求事項における規格解釈はいかがでしたでしょうか?
設計開発を行う企業(主に製造業)では当たり前のことかもしれませんが、特に抜けが無いよう要求しているのが本条項です。
DR(デザインレビュー)の概念がない企業にとってはかなり構築が大変だと思うので、下記のプロジェクト管理帳票をうまく活用し、自社に合った形にカスタマイズすることをおすすめします。
忘れがちな法令・規制要求事項などは特に注意しましょう!
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