IATF:10.2.5項の補償管理システムの要求事項の意味は、保証期間内の有償・無償の補償システム及び、再現しない不具合(NTF)についての対応プロセスの構築を意図しています。
今回の記事は、IATF:10.2.5項の補償管理システムの要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
10.1 | 一般(改善) | ○ | ○ |
10.2.1 10.2.2 |
不適合及び是正処置 | ○ | ○ |
10.2.3 | 問題解決 | ○ | |
10.2.4 | ポカヨケ | ○ | |
10.2.5 | 補償管理システム | ○ | |
10.2.6 | 顧客苦情及び市場不具合の試験・分析 | ○ | |
10.3 | 継続的改善 | ○ | ○ |
10.3.1 | 継続的改善-補足 | ○ |
目次
IATF:10.2.5項の補償管理システムの意味
IATF:10.2.5項の補償管理システムの要求事項の意味は、保証期間内の有償・無償の補償システム及び、再現しない不具合(NTF)についての対応プロセスの構築を意図しています。
この要求事項は、IATFの自動車産業顧客における顧客固有要求事項(4.3.2項)の集約ともいえる超重要要求事項の一つです。
近年増大するリコール問題や市場に出た後顕在化した問題に対して、OEM・Tire1・Tire2以降における責任分担や費用負担などが発生することがあります。
その際に補償管理プロセスを発動し対応することが求められるのが、本要求事項の重要ポイントです。
また、クレームによっては再現しない不具合ということもよくあります。
それらの対応についても補償管理システムの一部として対応することが求められているので、本要求事項は「自社を守る」という意味でも非常に重要な要求事項といえます。
次に、IATF:10.2.5項の補償管理システムの要求事項について詳しく見ていきましょう。
補償管理システムの第一は「顧客との契約」にあり!
IATF:10.2.5項の補償管理システムの要求事項については、以下のようなことが大事です。
補償管理プロセスの要求事項があることから、本要求事項等を踏まえて顧客クレーム対応を含めた「市場クレーム管理規定」「苦情処理管理規定」などを作成することが重要です。
本要求事項は、10.2.6:顧客苦情及び市場不具合の試験・分析とも関連する規定なので、しっかり作成しましょう。
その際に、補償ということばの意味をしっかり理解して作成する必要があります。
①補償とは?
自動車産業顧客に与えた損害を「お金」などで補う場合に使う言い方。保証期間内の補償などで使います。
②保証とは?
確かに問題ないという「確信」をもって請け負うときに使う言い方。無償保証期間〇年などは、自社がトラブルがないことを確信を持っているからこそ設けているはずですよね!
③保障とは?
あるべき状態を保護し守ることを表す言い方。「国家の安全を保障するために・・・」と政治家の方が言うときがありますよね!
特に、「保証期間内の補償」の内容をルール化すること。
これらは顧客と取り交わす契約書が該当するので、特段の要求が顧客から無い場合の対応方法をルール化しておくとよいでしょう。
\IATF対応!市場クレーム解析に関する帳票販売中/
内容 | 販売中帳票 |
市場クレーム解析フローを用い、各要求事項との関連性が理解できる事例付き。 ※解析・変更など完全網羅 |
市場クレーム解析プロセスフロー |
市場クレーム解析帳票を用いて、10.2.6項の内容を完全網羅!8Dレポートも別紙あり! ※クレームからの変更も対応可能。 |
クレーム解析報告書 |
NTFプロセス構築が10.2.5項の目玉!
IATF:10.2.5項の補償管理システムの要求事項については、以下のようなことが大事です。
本要求事項は超重要です!
自動車産業顧客特に、欧州自動車顧客と取引する場合は必ず確認されるポイントなので、しっかり理解し構築する必要があります。
これは何を言っているかというと、「再現しない不具合の場合の対応プロセス」をどのように考えているかということ。
保証期間・保証期間外でも顧客からクレームが来たら何らかの対応をしなくては顧客の信頼を失ってしまいます。そのために多くの企業は、品質保証部を設置しているはず!
その時の考え方として、以下のよう仕組みを構築しておくとよいでしょう。
大事なポイントは、無償なのか有償なのかそして、どのような試験を実施するかです。
これらの対応が、市場クレームに関する規定内できちんと定義されていることが審査・顧客監査で見られるポイントになるので十分注意してください。
特に、VDA6.3の監査方式を要求する顧客に対しては要注意です。
\NTFプロセスVDA6.3対応でも超重要!/
内容 | 販売中帳票とサービス |
NTFプロセスの基本フローとともに、有償・無償試験との紐づけ構築ができる! | NTFプロセス管理表 |
VDA6.3対応相談が可能なサービス | VDA6.3の新サービスはこちら |
補償管理プロセス要求は「契約書」をよく読む!
IATF:10.2.5項の補償管理システムの要求事項で多いトラブルが、顧客との契約書をよく読まずにサインしている事例です。
大手企業では少ないですが、Tier2以降の中小企業で多く見られます。
私自身多くの仕入先の監査(第二者監査:8.4.2.4.1項)を実施していますが、その際に当社要求事項(当社との契約書や品質保証協定書)の内容と対応を確認しています。
補償項目を記載しているにもかかわらずよく読んでいないでサインしているため、監査を実施していても多くの企業で不適合を出さざる得ないような状況です。
特に補償の内容は、莫大な費用請求を行うことにも繋がりますし、貴社を守るためにしっかり確認するとともに、顧客と契約する前に自社の基本コンセプトを明確にしておくことが本要求事項の重要ポイントといえます。
【帳票のポイント】
・NTFプロセスの作成ポイントが分かる
・事例付きなので簡単に理解できる
・NTFプロセス発動時の注意点がわかる
※品質保証部門の方におすすめです!
⇒苦情管理規定はこちら
【ご購入について】
・お買い物カゴに入れて簡単決済!
・クレジットカード/銀行振込対応可能です。
・請求書/領収書発行可能です!
IATF:10.2.5項の補償プロセスのポイントは、NTF(no trouble found)発動時の自社の取り組みについての構築がポイントです。顧客からNTFプロセスによるさらなる追求が来た場合、試験レベルを変更し顧客の要求に対応していくことをNTFプロセスとして管理していきましょう。当サイトでは事例付きのNTFプロセス管理表を販売しているので、NTFについて簡単理解・仕組み構築が可能です!是非この機会にご購入を検討してみてくださいね。
IATF:10.2.5に関するFAQ
IATFのメールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
IATF:10.2.5項の補償管理システムは、製品保証期間中における有償・無償の補償対応や、再現しない不具合(NTF)に対するプロセスを構築することを求めています。これは、特に自動車産業の顧客との契約に基づき、品質問題への適切な対応を確立する重要な要求事項です。
NTF(No Trouble Found)は、顧客からのクレームが発生した際、問題が再現されず、原因特定が難しい場合を指します。IATF:10.2.5項では、NTFの対応を含めた補償管理プロセスを構築し、顧客の信頼を維持することが求められています。
補償管理プロセスを構築する際のポイントは、顧客との契約内容をしっかり理解し、有償・無償の対応方法を明確にすることです。また、再現しない不具合(NTF)に対する対応策や、市場クレームの管理を規定することが重要です。特に、欧州の顧客との取引では、VDA6.3監査に対応したプロセスを整えることが求められます。
VDA6.3にも対応できる仕組みとして、以下の帳票で構築可能となるので弊社商品のご購入をおすすめさせていただいております。
⇒【まとめ買い】IATF用:社内・社外クレーム対応必須帳票5点セット
IATF:10.2.5項の補償管理システム:まとめ
IATF:10.2.5項の補償管理システムの要求事項の規格解釈はいかがでしたか?
本要求事項は、超重要な要求事項の為、きちんとした基本概念とそれのルール化をするようにしてください。
顧客との契約書は全てに目を通し、納得がいった上で契約書にサインしないと本当に大変なことになります(笑)。
当サイトでは、帳票販売だけではなく、「有料相談サービス」を展開しています。
コンサルタントではなく、品質マネジメントシステム構築の疑問質問を私自身がお答えしますので、是非ご利用いただければ幸いです!
それではまた!
IATF16949&ISO9001の構築ご支援:メールにて承ります!
A:月額20,000円のメールコンサルティングサービスには、IATF・ISO9001における品質マネジメントシステムに関する質問への回答、プロセス構築と改善のアドバイス、規格要求事項に関するご説明などが含まれます。メールでのやり取りを通じて、貴社の状況に応じた具体的なサポートを提供しいたしております。
A:基本的には月に何度でもメールで質問を送っていただいてOKです。ただし、回答には通常1〜3営業日を頂いております(多くはその日の内に回答可能です!)。やり取りの回数に制限はありませんが、1つのメールにつき明確な質問やテーマを設定していただくようお願いしております。
A:現在のサービスはメールのみの対応となっておりますが、追加料金にて電話やビデオ会議での相談も承ります。詳細については別途お問い合わせください。
※2024年現在は、メールコンサルティング以外数カ月先まで予約がいっぱいとなっております。空き次第、弊社HPでアナウンス致します。
A:はい、もちろんです。初心者の方でもわかりやすく丁寧にサポートいたします。初めての導入に必要なステップや、どのように進めていくべきかも具体的にアドバイスいたしますので、安心してご利用ください。
A:サービスの解約は、次回請求日の2週間前までにメールにてご連絡いただければ対応いたします。解約にあたって特別な手続きは必要なく、解約後は翌月から請求されません。また、一度解約しても何度でも契約できますのでご安心ください。ただし、銀行振込の場合、一度でもその月に質問されますと請求が発生しますので、あらかじめご了承ください。
『IATF 16949』はInternational Automotive Task Force(IATF)の登録商標です。当サービスはIATFの認定を受けたものではなく、独自に認証取得を支援するサービスを提供しています。
※当サービスおよび教材は、IATF16949の認証取得を支援するための情報を提供するものであり、認証取得を保証するものではありません。認証の可否は審査機関の判断によります。