IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発の意図は、自動車製品及びサービス供給者に対して、QMS規格の底上げを意図しています。
今回の記事は、IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発の要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。
重要:【規定】No.8401_購買管理規定:IATF版はこちら
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.4項~8.4.3.1項は主に、購買プロセスが関係します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
8.4 8.4.1 |
一般(外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理) | ○ | ○ |
8.4.1.1 | 一般(外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理)-補足 | ○ | |
8.4.1.2 | 供給者選定プロセス | ○ | |
8.4.1.3 | 顧客指定の供給者 | ○ | |
8.4.2 | 管理の方式及び程度 | ○ | ○ |
8.4.2.1 | 管理の方式及び程度-補足 | ○ | |
8.4.2.2 | 法令・規制要求事項 | ○ | |
8.4.2.3 | 供給者の品質マネジメントシステム開発 | ○ | |
8.4.2.3.1 | 自動車製品に関係するソフトウェア又は組込みソフトウェアをもつ製品 | ○ | |
8.4.2.4 | 供給者の監視 | ○ | |
8.4.2.4.1 | 第二者監査 | ○ | |
8.4.2.5 | 供給者の開発 | ○ | |
8.4.3 | 外部提供者に対する情報 | ○ | ○ |
8.4.3.1 | 外部提供者に対する情報-補足 | ○ |
目次
IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発の最終目標は「IATF取得」
IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発の意図は、サプライチェーン全体の自動車産業QMSの底上げです。
日本の多くの自動車産業に従事する企業は、ISO9001を取得していると思いますが、IATFでは、最終目標をIATF所得としていることがポイントです。
また、この要求事項で大事なことは、顧客によって正式承認されている場合を除いて、サプライチェンの最低限のQMSレベルをISO9001認証となっています。
つまり、供給者(仕入先)と取引をするための重要条件に、QMSレベルを考慮した結果が求められます。
QMS開発レベルは「リスクベース」で考える
IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発の要求事項には、以下のようなことが大事です。
リスクベースの考え方を用いるとは、納品される部品の重要度によてQMS開発レベルを決定することを意味しています。
製品の心臓部に使われる部品と副資材に使われるようなものでは、品質要求レベルも大きく異なるはずです。
そのため、リスクベースの考え方を用いて仕入先(供給者)毎にQMSレベルの到達目標を決定することが可能です。
供給者とQMS開発レベルの合意が取れない場合は?
IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発の要求事項は、最終目標をIATFとしていいるので、前述によるリスクベースで考えたを踏まえてQMS開発レベルを供給者に要求しなくてはなりません。
しかし供給者によっては「自動車産業顧客の割合が低く、IATF取得予定がない」や「QMS取得費用に問題があり、取得を考えていない」といった仕入先もあると思います。
そういった場合は、「自社」でリスクマネジメントすることが求められられます。
一例としたアクションとして、第二者監査の頻度を上げてIATFの構築を手助けしたり、受入検査のパフォーマンス確認量(受入検査数)を増加させたりなど、合意が取れない場合のアクション方法を決定し購買管理規定に記載しておくことが重要です。
これは前述したISO9001を取得していないサプライヤーを採用する場合のアクションとしても可能です。
ただし、構築のポイントとして、ISO9001を取得していない企業との取引は行わないことを推奨しています。
ISO9001を最低限取得していない企業との取引は、基本的なQMSが理解できていないため、構築レベルに達することはほぼありません。
そのため、「最低限車載部品には使用しない」などのルール化をし、購買管理規定に記載しておくことをおすすめします。
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【IATF16949対応要求事項】
8.4.1.3:顧客指定の供給者
8.4.2.3:供給者のQMS開発計画
8.4.2.4:供給者の監視結果
8.4.2.4.1:第二者監査結果
IATF:8.4.2.3に関するFAQ
IATFのメールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
IATFを取得していない供給者とも取引は可能ですが、その場合はリスク管理が重要です。リスクに応じた第二者監査の実施や、受入検査の強化など、供給者のパフォーマンスを確認するための措置を講じる必要があります。また、供給者が最低限ISO9001を取得していることを求めているので、ISO9001も取得していない企業との取引がある場合、厳しいリスク管理を行わなければなりません。
ISO9001を取得している供給者に対しては、リスクベースのアプローチに基づいて、必要に応じてIATFの取得を目標とすることが求められます。重要部品を供給する場合や顧客の要求に基づいて、QMSレベルの向上が必要なケースがあります。
供給者がIATFの取得に難色を示す場合、自社でリスク管理を強化する必要があります。例えば、監査の頻度を増やす、受入検査を厳しくするなどの対応が考えられます。また、供給者との合意が得られない場合は、購買管理規定にその対応策を明記することが重要です。
⇒【規定】No.8401_購買管理規定:IATF版
IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発:まとめ
IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発の要求事項の規格解釈はいかがでしたか?
IATF:8.4.2.3項の供給者の品質マネジメントシステム開発の要求事項では、サプリチェーンを通じて、供給者にQMS開発を要求することが求められます。
どの供給者に対してどこまでのQMS認証が求められるかはあくまでも「リスクベースの考え方」で決定されます。
その決定方法は、購買管理規定明記することまた、供給者に要求しても合意が取れない場合は、自社でリスクに対しての対応が必要になります。
そのルールも購買管理規定に記載するようにしましょう。
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