
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の要求事項の意味は、顧客からのクレームに対する解析・報告プロセスの構築を意図しています。
今回の記事は、IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 10.1 | 一般(改善) | ○ | ○ | ||
| 10.2.1 10.2.2 |
不適合及び是正処置 | ○ | ● | ○ | |
| 10.2.3 | 問題解決 | ○ | ● | ||
| 10.2.4 | ポカヨケ | ○ | |||
| 10.2.5 | 補償管理システム | ○ | ● | ||
| 10.2.6 | 顧客苦情及び市場不具合の試験・分析 | ○ | ● | ||
| 10.3 | 継続的改善 | ○ | ● | ○ | |
| 10.3.1 | 継続的改善-補足 | ○ | ● |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
この記事の目次
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の意味
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の要求事項の意味は、顧客からのクレームに対する解析・報告プロセスの構築を意図しています。ISO9001の中では、8.5.5項:引き渡し後の活動に集約されていますが、IATF16949では具体的な対応をルール化することを求めているのが特徴です。
また本要求事項の対応には、10.2項:是正処置及び、10.2.3項:問題解決の要求事項を網羅していなければならないので、構築には注意が必要です。
次に、要求事項について細かく見ていきましょう。
顧客苦情は「顧客固有の依頼書」の形で通達が来る
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の要求事項で述べられている回収された部品とは、顧客受入検査/工程内・市場・ディーラーなどからの回収された部品を全て含むことを意図しています。
これらの通達は、顧客からの「品質不良連絡書」などの正式な形での通知がされますので、このような通達があった場合、クレームと認識したということになります。
これは、品質目標(パフォーマンスについての分析及び評価:9.1.3項)に対しても大きく関係するので、クレーム管理台帳などでしっかり管理してください。品質保証プロセスなどでは、顧客クレーム件数などをKPI指標にする企業がほとんどです。その件数の裏付けが「クレーム管理台帳」となります。
顧客苦情プロセスの構築が必須
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の要求事項では、10.2項:是正処置及び、10.2.3項:問題解決の要求事項を網羅した市場クレーム解析プロセスフロー及び、市場クレーム解析報告書における原因と対策が必須です。

ポイントは、10.2.5項:補償管理システムとも連動するため、漏れが無いようにしてください。
市場クレーム対応におけるNTFプロセスの考え方
市場クレームが発生した場合、是正対応だけでなく、補償プロセスを含めた一連の対応をどのように管理するかが重要になります。IATF16949では、NTF発動時に自社としてどのような試験や評価を行い、顧客要求にどこまで対応するのかを明確にしておくことが求められます。
顧客から追加要求が出た場合に備え、試験レベルの変更や対応内容を段階的に整理し、NTFプロセスとして管理できる状態にしておくことが重要になります。こうしたNTFプロセスの整理を進める方法の一つとして、対応内容や判断結果を記録・管理するための帳票や管理の考え方を参考にする方法もあります。
顧客苦情の結果は「顧客及び組織」で情報共有!
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の要求事項では、以下のようなことが大事です。
◎試験分析結果→クレーム報告書で顧客へ伝達。
◎組織内のクレーム情報共有は、クレーム台帳や過去トラ集そして「FMEA」への落とし込みが重要です。

顧客クレームの情報伝達を組織の中で行ったうえで、FMEAの変更要否検討結果が工程まで伝達される仕組みが必要です。クレーム解析報告書の中でFMEA及びそれに紐づくコントロールプランまで確認することを忘れないでください!
私自身の仕入先監査の中でもFMEAの確認をしていないメーカーさんはとても多いです。これらを実施していないと不適合を出しているので、絶対に注意してください。
市場クレームを分析・是正する際に整理しておきたい視点
市場クレームや顧客苦情への対応では、一時的な対処だけでなく、不具合の履歴管理から原因分析、是正処置の効果確認までを一連のプロセスとして整理しておくことが重要になります。IATF16949では、試験や分析の結果を踏まえ、真の原因に基づいた対策が取られているかが重視されます。
そのため、クレーム内容を体系的に整理し、原因と対策のつながりを明確にしておくことが求められます。こうした整理を進める方法の一つとして、クレーム内容の分析から是正処置までの流れを記録・確認できる形でまとめた資料を参考にする方法もあります。
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析はどこに記載すればいい?
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の要求事項は、市場クレーム管理規定などを作成し対応する必要があります。この規定には、10.2.5項の補償管理システム及び10.2.6項の顧客苦情処理をまとめて作成してください。
また、是正と問題解決の要求事項の内容も忘れずに、市場クレームプロセスフローを作成して対応するようにしましょう。
規格対応で不安・悩むポイント
ISO9001やIATF16949、VDA6.3といった規格対応では、「どこから手を付ければよいか分からない」「社内だけで判断を進めることに不安がある」と感じるケースが少なくありません。
品質マネジメントの構築は、一度に完成させる必要はなく、考え方やサンプルを参考にしながら、少しずつ自社に合った形へ整えていくことも可能です。
IATF16949:10.2.6に関するFAQ
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
IATF16949:10.2.6項では、顧客からのクレームや市場での不具合に対して、回収された部品を含めた試験や分析を行うことが求められます。このプロセスでは、問題の原因を特定し、再発防止策を講じることが重要です。クレームに対する迅速かつ正確な対応が企業の信頼性を高めるため、詳細なプロセスの構築が推奨されます。
市場クレームの管理方法では、クレーム台帳やFMEA(故障モード影響解析)への情報反映が重要です。また、顧客と組織内での情報共有が不可欠であり、試験結果や分析結果はクレーム報告書を通じて顧客に伝達されます。組織内でもクレーム情報を共有し、FMEAやコントロールプランの見直しを行うことが求められます。
はい、IATF16949:10.2.6項の顧客苦情プロセスを構築する際には、10.2項の是正処置や10.2.3項の問題解決要求事項と連携させることが必要です。また、10.2.5項の補償管理システムとも連動させ、クレームの発生から再発防止までを包括的に管理する仕組みを整えることが重要です。
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析:まとめ
IATF16949:10.2.6項の顧客苦情及び市場不具合の試験・分析の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?本要求事項は、自社出荷後の対応となるので、顧客に直接影響するところがミソです。
つまり、審査及び顧客監査でじっくり見られることから、規定及び帳票そして実施記録を準備するようにしてください。
それではまた!
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