
ISO9001:2015の8.5.5「引渡し後の活動」では、製品やサービスを顧客に引き渡した後に必要となる活動を組織が明確にし、実施することを求めています。例えば、保証、保守、リサイクル、廃棄、使用上のサポートなどが該当します。
これらは製品やサービスの性質、法規制、顧客との契約内容などを考慮して決定される必要があります。目的は、引渡し後も顧客満足や適合性を確実に維持することであり、組織は適切な資源やプロセスを整備し、顧客との信頼関係を継続的に確保することが求められます。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
得意:工場品質改善・プロジェクトマネジメント
目標:ちょっとの相談でも頼りにされるコンサルタント
※難解な規格を簡単に解説がモットー!
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.5項~8.7.2項は主に、①製造プロセス②生産管理プロセス③品質管理プロセスが関係します。
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 8.5 8.5.1 |
製造及びサービス提供 | 〇 | ● | 〇注記 | |
| 8.5.1.1 | コントロールプラン | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.2 | 標準作業-作業者指示書及び目視標準 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.3 | 作業の段取り替え検証 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.4 | シャットダウン後の検証 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.5 | TPM | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.6 | 生産治工具並びに製造・試験・検査の治工具及び設備の運用管理 | 〇 | |||
| 8.5.1.7 | 生産計画 | 〇 | ● | ||
| 8.5.2 | 識別及びトレーサビリティ | 〇 | ● | 〇注記 | |
| 8.5.2.1 | 識別及びトレーサビリティ-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.3 | 顧客又は外部提供者の所有物 | 〇 | 〇 | ||
| 8.5.4 | 保存 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.5.4.1 | 保存-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.5 | 引き渡し後の活動 | 〇 | 〇 | ||
| 8.5.5.1 | サービスからの情報のフィードバック | 〇 | |||
| 8.5.5.2 | 顧客とのサービス契約 | 〇 | |||
| 8.5.6 | 変更の管理 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.5.6.1 | 変更の管理-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.6.1.1 | 工程管理の一時的変更 | 〇 | |||
| 8.6 | 製品及びサービスのリリース | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.6.1 | 製品及びサービスのリリース-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.6.2 | レイアウト検査及び機能試験 | 〇 | ● | ||
| 8.6.3 | 外観品目 | 〇 | ● | ||
| 8.6.4 | 外部から提供される製品及びサービスの検証および受入れ | 〇 | ● | ||
| 8.6.5 | 法令・規制への適合 | 〇 | |||
| 8.6.6 | 合否判定基準 | 〇 | |||
| 8.7 8.7.1 |
不適合なアウトプットの管理 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.7.1.1 | 特別採用に対する顧客の正式許可 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.2 | 不適合製品の管理-顧客規定のプロセス | 〇 | |||
| 8.7.1.3 | 疑わしい製品の管理 | 〇 | |||
| 8.7.1.4 | 手直し製品の管理 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.5 | 修理製品の管理 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.6 | 顧客への通知 | 〇 | |||
| 8.7.1.7 | 不適合製品の廃棄 | 〇 | ● | ||
| 8.7.2 | (不適合製品関連の記録保持) | 〇 | 〇 |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
この記事の目次
ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動の意味
ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動の意味は、製品及びサービスに関連する引渡し後の活動に関する要求事項特に、法令規制要求事項及び顧客要求事項などに対応することを意図しています。
製品の引き渡し後つまり、出荷後の要求とは、顧客からのクレームや修理・故障対応ときにはリコール対応なども挙げられます。
それらに対応した組織づくりが求められるため、出荷後の対応について契約書や品質保証協定書などをしっかり確認するようにしましょう。
a)法令規制要求事項の対応
ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動の要求事項の対応において、組織は顧客要求のみならず法令規制要求事項に従わなくてはなりません。特に、法令規制要求事項を無視した品質トラブルは多く、場合によってはリコール問題に発展する場合も多いです。
そのため、組織の事業に関わる業界の要求事項などは順守することが求められます。
b)リスクへの対応
ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動の要求事項の中の「望ましくない結果」とは、リスクのことです。
ISO9001:6.1項のリスク及び機会で抽出された市場における製品及びサービスに関連して起こりうるリスクにおける対応が求められるのが本要求事項です。
リスク及び機会で整理するISO9001の考え方
ISO9001では、組織の目的達成に影響を与えるリスク及び機会を特定し、適切な対応を計画することが求められます。単にリスクを洗い出すだけでなく、機会も含めて整理することで、マネジメントシステムの有効性を高めることができます。日常業務と結び付けて考えることが重要です。
一方で、抽象的な議論にとどまり、具体的な対応策まで落とし込めないケースも少なくありません。そのため、評価基準や対応方法を整理したうえで運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、リスク及び機会の管理方法をまとめた資料を参考にする方法もあります。
c)保証期間への対応ルールを定める
ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動の要求事項でいうところの「耐用期間」とは、いわゆる保証期間のことです。特に無償修理期間については必ず定めるようにしてください。例えば、1年、3年などの無償修理期間を定めておかないと、市場に出た後に数年たった後も無償で対応することになっています。
一般的なルールを定めておき、顧客から渡される契約書と相違がある場合は、交渉する必要があります。また、それらの根拠となるデータが求められる場合もあり、製造業での慣習としては信頼性試験データなどが該当します。
d)顧客要求事項
顧客要求事項とは、技術仕様書や契約書・品質保証協定書などが該当します。それらには、メンテナンス対応や無償保証期間時の対応、瑕疵担保責任などの様々な顧客要求が記載されています。
何も読まずに契約書にサインする企業様が多いこと多いこと(笑)。契約書をよく読み、「十分対応できるか」を必ず社内で協議してからサインするようにしましょう。
e)顧客からのフィードバックはクレームだけではない!
顧客からのフィードバックされる情報とは「苦情」という考え方をされる企業が多いと思いますが、実は「賞賛」も該当します。大手企業によっては、品質レベルが高い企業に表彰する企業もあるため、それらも顧客からのフィードバックと考え、社内に展開するようにしましょう。
規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?
ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!
※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。
ISO9001:8.5.5項の引渡し後の活動はどこに記載すればいい?

ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動の要求事項のルール化は、営業管理規定に書くのがおすすめです。
営業管理規定には、顧客との窓口業務だけではなく、市場に出た後の対応を書くことでインプット・アウトプットを明確にすることが可能です。
また、営業管理規定にリンクした各要求事項への対応は、詳細の規定を作成することもおすすめです。組織の大きさや製品の種類・流通量を加味して作成してみることもいいですね!
一般的な規定の作り方
| 記載内容 | 規定名/ルールなど |
| 契約関連 | 営業管理規定 |
| 苦情関連 | 苦情処理管理規定 |
| サービス関連 | サービス業務規定 |
| 耐用期間 | 納入仕様書 |
| 補償対応 | 営業管理規定 |
ISO9001・ISO14001構築でつまずきやすい点
ISO9001やISO14001は、「何を決めるべきか」「どう見える化するか」といった判断事項が多く、構築の初期段階で迷いやすい規格です。要求事項は理解できても、実際の規定や帳票をどう整えるかで手が止まってしまうケースも少なくありません。
そのため、実務で使われている規定や帳票の考え方を参考にしながら、自社のペースで整理していくことが重要になります。
ISO9001:8.5.5に関するFAQ
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
引渡し後の活動とは、製品やサービスが顧客に納品された後に行う必要がある対応を指します。これは、アフターサービス、メンテナンス、修理、製品保証など、顧客満足を維持するための重要な活動です。組織は顧客との約束や契約に基づいて、必要な対応を計画する必要があります。
組織は、法規制の要求、製品の性質、顧客の期待、そして不具合対応のリスクなどを考慮する必要があります。また、明確な連絡窓口の設定や、製品のライフサイクルを見据えた対応も計画に含める必要があります。
顧客対応の手順書を作成し、問い合わせや苦情を迅速に処理する仕組みを整えます。さらに、顧客フィードバックを記録し、分析することで、改善活動にもつなげることが重要です。顧客満足度調査や、定期的なフォローアップも有効な方法です。
ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動:まとめ

ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?
製品やサービスは、市場における対応をきちんと考慮して取り組まないと、引き渡し後に大きなトラブルが発生してしまうことになりかねません。また、顧客に対して大損害を与えることにも繋がります。そのようなことが一度でも起きると大きな信頼喪失になってしまいます。
近年は、品質不正による様々な対応で企業存続の危機に追い込まれている企業が多いです。そういったことが起きないように、ISO9001:8.5.5の引渡し後の活動の要求事項にしっかりと対応するようにしましょう!
それではまた!









