【IATF16949攻略】5.1.1.3:プロセスオーナーの要求事項徹底解説!

IATF16949:5.1.1.3「プロセスオーナー」は、トップマネジメントが組織のプロセス及びそのアウトプットを管理する責任を持つプロセスオーナーを特定し、そのプロセスオーナーが自らの役割を理解し、役割を実行するための力量を備えていることを求める条項です。

多くのIATF16949取得企業では部長クラスがプロセスオーナーに任命されていますが、「どのように特定・任命するか」「力量をどう証明するか」「タートル図や組織図にどう反映するか」など、実務上の判断に迷うポイントが多い条項でもあります。

本記事では、タートル図との対応、プロセスオーナー一覧表の作成方法、品質マニュアルへの記載方法、審査・内部監査での確認ポイントまで実務目線で徹底解説します。


この記事を書いた人

所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
得意:工場品質改善・プロジェクトマネジメント
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Hiroaki.M

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第5章:リーダーシップ及びコミットメント「要求事項リスト
ISO・IATF 5章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善
条項 題目 ISO
9001
重要
帳票
IATF
16949
重要
帳票
5.1.1 一般(リーダーシップ)  
5.1.1.1 企業責任  
5.1.1.2 プロセスの有効性及び効率  
5.1.1.3 プロセスオーナー
5.1.2 顧客重視  
5.2.1 品質方針の確立
5.2.2 品質方針の伝達
5.3 組織の役割・責任及び権限
5.3.1 組織の役割・責任及び権限ー補足
5.3.2 製品要求事項及び是正処置に対する責任及び権限

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当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています

規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。

記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。

この記事の目次

IATF16949 5.1.1.3プロセスオーナーの規格要求の全体像

5.1.1.3が求めている3つのポイント

5.1.1.3の要求事項は、以下の3つのポイントで構成されています。

トップマネジメントによるプロセスオーナーの特定

トップマネジメントは、組織のプロセス及びそれに関連するアウトプットを管理する責任を持つプロセスオーナーを特定しなければなりません。トップマネジメント自身が任命・特定する行為が必要であり、現場任せの人事ではなく経営判断としての任命が求められます。

プロセスオーナーが自らの役割を理解していること

プロセスオーナーは、自分が何をやるべきか——すなわち、担当プロセスの目的、インプット・アウトプット、管理指標、改善の責任——を正確に理解していなければなりません。単に名前が載っているだけでは不十分です。

プロセスオーナーが役割を実行する力量を備えていること

プロセスオーナーは、役割を実行するための力量(スキル・知識・経験)を実証できなければなりません。マネジメント能力に加え、担当プロセスに関する専門的知見や経験が求められます。

ISO9001にはない独自要求であること

ISO9001 5.3(組織の役割、責任及び権限)では責任と権限の割当てを一般的に求めていますが、「プロセスオーナー」という概念を明示的に要求してはいません。5.1.1.3はIATF16949独自の追加要求であり、各プロセスに対して明確な責任者を配置し、その力量を担保するという、より踏み込んだ体制構築が必要です。

ISO9001からIATF16949への移行を目指す企業にとって、既存の組織体制の中にプロセスオーナーの概念を取り込み、任命の仕組みと力量の証拠を整備する必要があります。

プロセスオーナーと部門長の違い

プロセスオーナーと部門長は混同されがちですが、概念的には異なります。

役割について理解しよう!

①部門長
組織図上の部門を統括する役職。人事管理や予算管理の権限を持つ。
②プロセスオーナー
特定のプロセス全体の有効性・効率・アウトプットに責任を持つ役割。

多くの企業では部門長がプロセスオーナーを兼任しますが、部門横断的なプロセス(例:APQP、変更管理など)の場合、特定の部門長ではなく専任のプロジェクトリーダーや品質保証部門の責任者がプロセスオーナーとなるケースもあります。重要なのは形式上の役職ではなく、実際にそのプロセスを管理・改善できる人物が選任されていることです。

実務的には、多くのIATF16949取得企業では部長クラスの方がプロセスオーナーとなっていることがほとんどです。部長クラスであれば、マネジメント能力、専門知識、経験、部門間調整の権限を持ち合わせているため、プロセスオーナーとして求められる力量を満たしやすいためです。

プロセスオーナーの責任と権限

プロセスの監視・管理

プロセスオーナーの最も基本的な責任は、担当プロセスのパフォーマンスを監視し、目標達成に向けて適切に管理することです。具体的には以下の活動が含まれます。

  • プロセスのKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に実績を確認する
  • プロセスの現状と目標とのギャップを分析する
  • プロセスに影響するリスクと機会を特定し、対応策を講じる
  • プロセスの運用状況をトップマネジメントへ報告する

5.1.1.2(プロセスの有効性及び効率)との関係では、プロセスオーナーが各プロセスの有効性と効率を評価し、その結果をマネジメントレビューへインプットする役割を担います。

改善活動の推進

プロセスオーナーは、担当プロセスにおける問題点や非効率を発見し、改善策を立案・実行する責任を負います。これには以下が含まれます。

  • 不適合やクレームの根本原因分析と是正処置の指示
  • プロセスの効率改善(ムダの排除、リードタイム短縮等)
  • 継続的改善活動(QCサークル、提案制度等)の推進
  • ベンチマーキングによるベストプラクティスの導入

アウトプットの品質保証

プロセスオーナーは、担当プロセスから生み出されるアウトプット(製品、サービス、文書等)が所定の品質基準を満たしていることを保証します。例えば、製造プロセスのオーナーであれば製品の品質、設計プロセスのオーナーであれば設計成果物の品質に最終的な責任を持ちます。

リソースの調整・確保

プロセスの効果的な運営には、適切なリソース(人員、設備、資材、予算等)が必要です。プロセスオーナーは必要なリソースを特定し、確保するための調整を行います。リソースが不足する場合は、トップマネジメントへエスカレーションし、経営判断を仰ぐ権限を持つ必要があります。

プロセスオーナーの特定・任命方法

タートル図にプロセスオーナーを明記する

タートル図

プロセスオーナーを特定する最も一般的な方法の一つが、タートル図(タートルチャート)の中央部にプロセスオーナーを明記する方法です。

タートル図は各プロセスのインプット、アウトプット、必要な資源、手順、評価指標などを一枚の図で俯瞰できるツールです。この図の中央にプロセス名とともにプロセスオーナー名(氏名・職位)を記載することで、「このプロセスの責任者は誰か」が一目で明確になります。

タートル図にプロセスオーナーを記載する場合、以下の情報を含めてください。

①プロセス名
②プロセスオーナーの氏名と職位
③インプット(何を受け取るか)
④アウトプット(何を生み出すか)
⑤必要な資源(人・設備・環境)
⑥手順・方法(規定・手順書)
⑦KPI・評価指標
⑧リスクと機会

タートル図でプロセスオーナーを明記することの利点は、プロセスの全体像と責任者が同一の文書で確認できるため、審査時にも「このプロセスは誰が管理しているか」を即座に説明できる点です。

タートル図で整理するプロセス定義の考え方

IATF16949やISO9001では、各プロセスの目的や責任、インプット・アウトプット、指標などを明確に定義することが求められます。その整理方法の一つがタートル図(タートルチャート)です。プロセスを俯瞰して可視化できるため、役割や管理項目の抜け漏れを確認しやすくなります。

一方で、どの項目をどこまで記載すべきかで迷うケースも少なくありません。そのため、プロセス定義の視点を整理したうえでタートル図を活用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、タートル図を用いたプロセス定義の進め方を分かりやすくまとめた資料を参考にする方法もあります。

組織図にプロセスオーナーを明記する

IATF16949:組織の役割・責任及び権限-補足解説

二つ目の方法は、組織図にプロセスオーナーの担当プロセスを併記する方法です。通常の組織図は部門名と役職名で構成されていますが、各部門長の横に「プロセスオーナー:〇〇プロセス」と記載することで、組織構造とプロセス管理の対応関係が明確になります。

この方法の利点は、組織図という既存の文書を活用できるため、新たな文書を作成する手間が少ない点です。また、トップマネジメントがプロセスオーナーを任命したという証拠を、組織図の承認欄(社長承認)で示すことができます。

プロセスオーナー一覧表の作成

三つ目の方法として、プロセスオーナー一覧表を独立した文書として作成することを推奨します。一覧表は以下の項目を含めてください。審査機関によっては、経験的に提出要求がある場合もありましたのでご注意ください。

No プロセス分類 プロセス名 プロセスオーナー名 職位 力量根拠 任命日
1 COP 受注・見積 〇〇〇〇 営業部長 営業経験15年、ISO内部監査員 20XX/4/1
2 COP 製品設計 △△△△ 設計部長 設計経験20年、DFMEA教育修了 20XX/4/1
3 COP 工程設計 □□□□ 生産技術部長 生技経験18年、PFMEA教育修了 20XX/4/1
4 COP 購買 ×××× 購買部長 購買経験12年、VDA6.3監査員 20XX/4/1
5 COP 製造 ◇◇◇◇ 製造部長 製造経験22年、品質管理検定2級 20XX/4/1
6 SP 品質保証 ☆☆☆☆ 品質保証部長 品証経験16年、IATF内部監査員 20XX/4/1
7 SP 人的資源管理 ▽▽▽▽ 総務部長 人事経験10年、社労士資格 20XX/4/1

この一覧表をトップマネジメント(社長)が承認することで、「トップマネジメントがプロセスオーナーを任命・特定した証拠」として活用できます。力量根拠の欄を設けることで、5.1.1.3の「力量を備えていること」の要求にも同時に対応できます。

責任と権限で整理する組織運営の考え方

ISO9001やIATF16949では、各業務に対する責任と権限を明確にし、組織として一貫した運営ができる体制を整えることが求められます。役割分担を整理することで、判断の遅れや責任の所在不明といった問題を防ぎやすくなります。組織図だけでなく、実際の業務との対応関係を明確にすることが重要です。

一方で、形式的な分掌表にとどまり、実務と乖離してしまうケースも少なくありません。そのため、業務内容と責任範囲を具体的に整理したうえで運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、責任と権限の整理方法をまとめた資料を参考にする方法もあります。

プロセスオーナーに求められる力量

力量要件の定義(7.2項との連動)

5.1.1.3では、プロセスオーナーが役割を実行するための力量を備えていることを求めています。この力量要件は、ISO9001 7.2(力量)およびIATF16949 7.2.1(力量-補足)と連動して管理します。

プロセスオーナーに求められる力量は、一般的に以下の領域に分類されます。

①マネジメント力量

  • リーダーシップ:チームをまとめ、目標達成に向けて動機づける能力
  • 意思決定力:データに基づいて適切な判断を下す能力
  • コミュニケーション力:部門間の調整、経営層への報告を行う能力

②専門的力量

  • 担当プロセスに関する技術知識と実務経験
  • 品質管理手法(SPC、FMEA、8D、PDCA等)の理解
  • 関連する規格要求事項の知識

QMS力量

  • IATF16949の要求事項に関する基本的な理解
  • プロセスアプローチの概念の理解
  • 内部監査の基本知識
プロセスオーナーの実力は「こんなこと」も重要

①権限の保有
部門予算の配分、人員配置の決定、他部門との調整権限を持っている
②専門知識と経験の蓄積
長年の実務経験により、プロセスの特性やリスクを熟知している
③経営層との接点
マネジメントレビューや経営会議への出席により、経営判断へのインプットが可能
④部下への指示権限
プロセスの改善活動を直接指示・推進できる

スキルマップ・力量表での管理

プロセスオーナーの力量を体系的に管理するために、スキルマップ(力量表) を活用します。スキルマップでは、プロセスオーナーに求められる力量項目を一覧化し、各プロセスオーナーの現在の力量レベルを評価・記録します。

力量の評価レベルは、例えば以下の4段階で設定します。

レベル 定義
4:指導可能 他者に教育・指導できるレベル
3:自立遂行 独力で業務を遂行できるレベル
2:補助付き遂行 指導を受けながら遂行できるレベル
1:未習得 教育・訓練が必要なレベル

プロセスオーナーには、担当プロセスの主要な力量項目でレベル3以上(自立遂行)であることが求められます。力量が不足している場合は、教育訓練計画を策定し、力量の向上を図ります。

力量評価で整理する教育訓練管理の考え方

ISO9001やIATF16949では、業務に必要な力量を明確にし、教育訓練を通じて維持・向上させることが求められます。個人ごとのスキルや目標を整理することで、組織として必要な能力とのギャップを把握しやすくなります。力量と業務内容を結び付けて管理することが重要です。

一方で、教育記録だけが残り、力量の評価や育成計画と連動していないケースも少なくありません。そのため、評価基準や育成目標を整理したうえで運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、力量評価と教育訓練管理の進め方をまとめた資料を参考にする方法もあります。

 

プロセスオーナーの教育訓練

必要な知識とスキル

プロセスオーナーとしての役割を果たすために、以下の知識・スキルを教育訓練で習得していただく必要があります。もしなかれば、審査前までには評価できる形にしてください。

品質管理の基本知識

  • QC7つ道具、新QC7つ道具の活用方法
  • PDCAサイクルの実践的な回し方
  • 統計的工程管理(SPC)の基礎

IATF16949固有の知識

  • コアツール(APQP、PPAP、FMEA、SPC、MSA)の概要
  • プロセスアプローチとタートル図の理解
  • 内部監査の基本(監査を受ける側の対応含む)

マネジメントスキル

  • 問題解決手法(8D、なぜなぜ分析、FTA等)
  • プロジェクト管理の基礎
  • リスクマネジメントの基本

教育計画と力量評価

プロセスオーナーの教育訓練は、年間教育計画に組み込んで計画的に実施してください。以下のサイクルで運用します。

  • 任命時:プロセスオーナーとしての責任・権限の説明、必要な力量の確認
  • 年次:力量評価の実施、不足項目に対する教育訓練の計画・実施
  • 変更時:プロセスオーナーの交代時は、引継ぎ教育と新任者の力量確認を実施

力量評価の結果と教育訓練の記録は、7.2項(力量)の要求に基づき文書化して保管します。

プロセスオーナー例

プロセスマップ

IATF16949の自動車産業プロセスアプローチでは、プロセスマップが基本フレームワークとなっています。タートル図は、すべてのプロセスのインプットとアウトプットが顧客に始まり顧客に終わることを表現したモデルです。プロセスは大きくCOP(顧客志向プロセス)SP(支援プロセス)MP(マネジメントプロセス)に分類されます。

各プロセスに対してプロセスオーナーを割り当てる際は、このオクトパスモデルとの対応を明確にしてください。以下は一般的な自動車部品メーカーにおけるプロセスオーナーの割当例です。

COP(顧客志向プロセス)のプロセスオーナー例

プロセス 主な活動内容 プロセスオーナー例
受注・見積 RFQ対応、フィージビリティ評価、見積作成 営業部長
製品設計 製品仕様決定、DFMEA、設計検証 設計部長
工程設計 工程フロー設計、PFMEA、コントロールプラン 生産技術部長
購買・調達 仕入先選定・評価、発注、受入検査 購買部長
製造 量産製造、工程内検査、出荷前検査 製造部長
出荷・物流 梱包、出荷、納品、物流管理 物流部長

SP(支援プロセス)のプロセスオーナー例

プロセス 主な活動内容 プロセスオーナー例
人的資源管理 採用、教育訓練、力量管理 総務部長
設備・インフラ管理 設備保全(TPM)、治工具管理、施設管理 工務部長
品質保証 内部監査、是正処置、不適合品管理 品質保証部長
文書・記録管理 文書管理システム、記録の保管・廃棄 品質管理部長
計測機器管理 MSA、校正管理 品質保証部長(兼任)

MP(マネジメントプロセス)のプロセスオーナー例

プロセス 主な活動内容 プロセスオーナー例
経営管理 事業計画、マネジメントレビュー 社長(または経営企画部長)
リスク管理 リスク分析、緊急事態対応計画 品質保証部長

プロセス間のインターフェース管理

プロセスオーナー制度を運用するうえで重要なのが、プロセス間のインターフェース管理です。あるプロセスのアウトプットは次のプロセスのインプットとなるため、プロセスオーナー間の情報連携と責任の境界を明確にする必要があります。

例えば、製品設計プロセスから工程設計プロセスへの移行(DR2→DR3)では、設計アウトプット(図面、仕様書、DFMEA等)の完成度と引渡し条件が明確でなければ、工程設計に支障が出ます。このインターフェースの管理責任は、両プロセスのプロセスオーナーが協議して決定し、タートル図や手順書に明記してください。

プロセス間のインターフェースで問題が発生した場合のエスカレーション先は、通常、品質保証部長または経営層となります。

品質マニュアルへの記載方法

プロセスオーナー一覧表の作成ポイント

品質マニュアルの付表として「プロセスオーナー一覧表」を作成することが、5.1.1.3への最も効率的な対応方法です。一覧表の作成にあたっては、以下のポイントに注意してください。

①トップマネジメントの承認
社長(または代表取締役)が承認する形式とし、「任命の証拠」を確保する
②力量根拠の記載
各プロセスオーナーの力量の根拠(経験年数、資格、教育歴等)を記載する
③更新管理
人事異動やプロセス変更時に速やかに更新する手順を定める
④関連文書への参照
タートル図、スキルマップ、組織図との対応を明記する

品質マニュアル記載例

 「トップマネジメントは、品質マネジメントシステムのプロセス及びそのアウトプットを管理する責任を持つプロセスオーナーを特定し、品質マニュアル付表〇〇(プロセスオーナー一覧表)に定める。

プロセスオーナーは、自らの役割を理解し、その役割を実行するための力量を備えていなければなりません。力量の評価と教育訓練は、スキルマップ(力量管理表)に基づき管理するしてください。

プロセスオーナーは、担当プロセスの有効性及び効率を監視・評価し、改善を推進する責任を持ち、プロセスオーナーの任命及び変更は、トップマネジメントの承認をもって行うことも併せて重要です。

内部監査・審査での確認ポイント

審査員が確認する5つの観点

IATF16949 5.1.1.3に関する審査では、以下の観点が重点的に確認されます。

プロセスオーナーが全ての主要プロセスに対して正式に特定されているか

プロセスオーナー一覧表、タートル図、組織図等で、各プロセスの責任者が明確に特定されているかを確認します。特定漏れ(プロセスオーナーが未定のプロセス)がないかもチェックされます。

トップマネジメントが任命・特定した証拠があるか

プロセスオーナーの任命がトップマネジメント(社長等)の承認を経ていることを示す証拠を確認します。プロセスオーナー一覧表への社長承認、辞令、議事録等が該当します。

プロセスオーナーが自らの役割を理解しているか

審査員がプロセスオーナーに直接インタビューし、「あなたの責任範囲は何か」「担当プロセスのKPIは何か」「最近の改善活動は何か」等を質問します。自分の役割を具体的に説明できることが求められます。

プロセスオーナーの力量が実証されているか

スキルマップ、力量表、教育訓練記録等で、プロセスオーナーが必要な力量を備えていることが確認できるかをチェックします。

プロセスオーナーが実際にプロセスを管理・改善しているか

形式的な任命に留まらず、プロセスオーナーが実際にKPIの監視、改善活動の推進、リソースの調整等を行っている証拠(会議議事録、改善報告書、KPI推移データ等)を確認します。

    IATF16949 5.1.1.3に関するFAQ

    規格対応でよく聞かれる悩み

    ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。

    また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。

    プロセスオーナーは部門長でなければなりませんか?

    必ずしも部門長である必要はありません。多くの組織では部門長がプロセスオーナーを兼任しますが、部門横断的なプロセスの場合は専任の責任者を置くケースもあります。重要なのは形式上の役職ではなく、実際にプロセスを管理・改善できる力量と権限を持つ人物が選任されていることです。ただし実務的には、権限・経験・知識の面から部長クラスが最も適していることがほとんどです。

    全プロセスにプロセスオーナーが必要ですか?

    品質マネジメントシステムに関わるプロセスについてプロセスオーナーを特定することが求められています。主要プロセス(製造、設計、購買、品質保証等)は必ず設定してください。補助的・影響の小さいプロセスは兼任やプロセスの統合も検討できます。重要なのは「誰が責任を持つのかが明確になっているか」であり、不必要に細分化する必要はありません。

    プロセスオーナーの役割はどこまで文書化すべきですか?

    少なくとも、担当プロセスの範囲、責任内容(監視・改善・アウトプット管理等)、権限の範囲(改善提案・調整・エスカレーション等)が第三者にも分かる形で整理されていることが望まれます。詳細な職務記述書でなくても、プロセスオーナー一覧表、タートル図、職務権限規定の中で明確になっていれば問題ありません。

    プロセスオーナーの力量はどう証明すればよいですか?

    スキルマップ(力量表)で求められる力量項目と現在のレベルを可視化し、教育訓練記録で力量の根拠を文書化してください。力量の根拠としては、実務経験年数、保有資格、社内外の教育訓練修了歴、内部監査員資格等が挙げられます。プロセスオーナー一覧表に力量根拠を記載する方法も有効です。

    プロセスオーナーの交代時に必要な対応は何ですか?

    プロセスオーナーの交代時は、後任者の力量評価、不足項目に対する教育訓練、引継ぎ教育の実施、プロセスオーナー一覧表の更新と社長の再承認、タートル図・関連文書のプロセスオーナー名の更新が必要です。交代に伴う引継ぎが不十分だと、プロセスの管理が一時的に空白になるリスクがあるため、計画的な引継ぎを実施してください。

    プロセスオーナーと5.3.1の責任・権限の関係は何ですか?

    5.3.1(組織の役割、責任及び権限-補足)はトップマネジメントが品質に関する責任・権限を持つ人員を任命することを求めています。プロセスオーナーの責任・権限は5.3.1で定める組織の責任体制の中に整合させる必要があります。職務権限規定で部長職の権限を定め、その中にプロセスオーナーとしての責任を含める運用が一般的です。

    プロセスマップとプロセスオーナーの関係はどうなっていますか?

    IATF16949の自動車産業プロセスアプローチでは、プロセスマップによりCOP(顧客志向プロセス)、SP(支援プロセス)、MP(マネジメントプロセス)に分類します。各プロセスに対してプロセスオーナーを割り当てることで、プロセス間の責任境界とインターフェースが明確になります。プロセスオーナー一覧表にプロセス分類(COP/SP/MP)を記載することを推奨します。

    プロセスオーナーはどのようにプロセスを監視すればよいですか?

    KPIや品質目標の達成状況、不良・クレーム・是正処置の発生状況、内部監査や日常管理での指摘事項を定期的に確認し、問題があれば改善活動につなげることがプロセスオーナーの基本的な監視方法です。監視の頻度や方法は、プロセスの重要度やリスクに応じて設定してください。

    規格対応で不安・悩むポイント

    ISO9001やIATF16949、VDA6.3といった規格対応では、「どこから手を付ければよいか分からない」「社内だけで判断を進めることに不安がある」と感じるケースが少なくありません。

    品質マネジメントの構築は、一度に完成させる必要はなく、考え方やサンプルを参考にしながら、少しずつ自社に合った形へ整えていくことも可能です。

    IATF16949 5.1.1.3プロセスオーナー:まとめ

    IATF16949 5.1.1.3は、トップマネジメントがプロセスオーナーを特定し、そのプロセスオーナーが自らの役割を理解し、力量を備えていることを求める条項です。

    構築のポイントは、タートル図・組織図・プロセスオーナー一覧表のいずれか(または複数)を活用してプロセスオーナーを明確に特定し、トップマネジメントの承認をもって「任命の証拠」を確保することです。力量の管理にはスキルマップを活用し、教育訓練記録とともに7.2項の力量要求と連動させてください。

    オクトパスモデル(COP/SP/MP)の各プロセスに対応させてプロセスオーナーを割り当てることで、プロセス間の責任境界とインターフェースが明確になり、QMS全体の管理体制が強化されます。

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