【IATF16949攻略】9.1.1.2:統計的ツールの特定の要求事項徹底解説!

IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定の要求事項は、統計管理手法として多くの企業でXbarR管理図などが使用されていますが、IATF16949ではその統計手法をどのように特定しているのかまで要求しています。

今回の記事は、IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定の要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。


この記事を書いた人

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年齢:40代
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Hiroaki.M

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第9章:パフォーマンス評価の「要求事項リスト」はこちら
ISO・IATF 9章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善
条項 題目 ISO
9001
重要記録 IATF
16949
重要記録
9.1
9.1.1
一般(監視・測定・分析及び評価)
9.1.1.1 製造工程の監視及び測定(SPC)
9.1.1.2 統計的ツールの特定
9.1.1.3 統計概念の適用
9.1.2 顧客満足
9.1.2.1 顧客満足-補足
9.1.3 分析及び評価
9.1.3.1 優先順位付け
9.2.1
9.2.2
内部監査
9.2.2.1 内部監査プログラム
9.2.2.2 品質マネジメントシステム監査
9.2.2.3 製造工程監査
9.2.2.4 製品監査
9.3.1 一般(マネジメントレビュー)
9.3.1.1 マネジメントレビュー-補足
9.3.2 マネジメントレビューへのインプット
9.3.2.1 マネジメントレビューへのインプット-補足
9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット
9.3.3.1 マネジメントレビューからのアウトプット-補足

当サイトの情報提供スタンスについて

当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています

規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。

記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。

IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定の意味

製造業における基本的な考え方として超重要なのが「統計」です。統計について詳しい人の多くは理数系の大学を卒業した一部の方が多いかもしれませんが、多くの方が統計については非常に苦手な分野ではないでしょうか?

しかしIATF16949を運用するにあたり、「統計が苦手」とは言っていられないのが本要求事項です。

IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定の意図は、統計ツールをプロジェクト遂行段階(APQP段階)で特定し、且つそれらの結果をFMEA(設計FMEA・工程FMEA)そしてコントロールプランで特定することを要求しています。

そのため、統計ツールの特定のルール化及び、9.1.1.3:統計概念の適用とリンクさせたうえでの社内に徹底された統計的ツールの運用が求められます。

SPC管理規定の作成が必須!

IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定の要求事項では、統計的ツールについて理解し、それらをどの工程にどのように使うのかをルール化する必要があります。

それがSPC規定です。

この規定がないと審査や監査はもちろん、統計的ツールをAPQP段階で特定する根拠として非常に苦労してしまいますし、生産現場での運用も大変です。また「どの工程で統計的ツールを使用するのか」を特定することができなくなってしまいます。

特定された統計的ツールの例

ライン 工程名 特殊特性 統計ツール 目的 最低確認数
A 成型外観検査 XbarR管理図 ばらつき調査 N=5
B 基板検査 パレート図 不良の累積曲線管理 不良全数カウント
C 圧入高さ検査 XbarR管理図 ばらつき調査 N=5
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?

ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!

※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。

FMEAとコントロールプランに特定された統計ツールを明記!

IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定の要求事項では、以下のようなことが大事です。

①FMEAの中で統計ツールを特定する方法

IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定の要求事項の中に「FMEAのような」などと記載されている場合は、FMEAの中で何らかの対応していないと審査や監査で説明するのが大変です。

なので、是が非でもFMEAの中で統計ツールを特定してください。

この特定された統計ツールの主な記載場所は、「取られた処置の完了日」という欄に、使用した統計ツールや量産移行後の監視ツールを記入するのがおすすめです。

例えば、推奨処置の検証内容として工程能力指数の調査を実施し、その数値から「Cpk=1.85となり、十分満足するということを確認した(資料名も併せて記入)」などを記入しておくとよいでしょう。

量産移行後は、「XbarR管理図で管理する」といったような記述があるとさらにGood。

②コントロールプランの中で統計ツールを特定する方法

コントロールプランとあるので、こちらにも統計ツールの特定結果を記載する必要があります。記載場所は、「管理方法」の欄です。この欄には、以下のような内容を記述することが重要です。

管理方法の欄の記入事項
①手順書番号
②検査方法
③チェックシート名
④管理図の種類
⑤管理重要事項
⑥試験方法
⑦報告書名
など

チェックシートや管理図(P管理図、XbarR管理図など)が記載されていることがほとんどです。FMEA(設計FMEA、工程FMEA)からの管理要求やSPC規定で特定された統計的手法を記入するようにしましょう。

本要求事項は「有料版記事」で詳しく解説中

規格対応で不安・悩むポイント

ISO9001やIATF16949、VDA6.3といった規格対応では、「どこから手を付ければよいか分からない」「社内だけで判断を進めることに不安がある」と感じるケースが少なくありません。

品質マネジメントの構築は、一度に完成させる必要はなく、考え方やサンプルを参考にしながら、少しずつ自社に合った形へ整えていくことも可能です。

IATF16949:9.1.1.2に関するFAQ

規格対応でよく聞かれる悩み

ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。

また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。

SPC(統計的工程管理)で適切な統計ツールをどうやって選べば良いでしょうか?

統計ツールの選定は、製造プロセスの性質と監視したい品質特性に依存します。以下のポイントを参考にするといいと思います。

①変数データか属性データかの判断から選定
変数データ(連続データ):測定値(例:寸法、温度)
属性データ(離散データ):合否や不良率(例:合格/不合格の判定)

②適切な管理図の選択
X̅-R管理図:サンプルサイズが小さい場合の平均・範囲を管理
X̅-S管理図:サンプルサイズが大きい場合の平均・標準偏差を管理
P管理図:不良率を監視する場合
C管理図:単位あたりの不良数を監視する場合

③工程の安定性と能力指数の計算
Cp/Cpk:工程能力指数
Pp/Ppk:工程性能指数

このように、工程の種類やデータの性質に応じた管理図を選択し、SPCツールを適切に導入することで、製品の品質管理を効果的に行えます。

SPC実施後、工程が安定しているかを判断する基準は何ですか?

SPCの導入後、工程が安定しているかどうかを判断するには以下のポイントを確認します。

①管理図の安定性
・管理図上で、すべてのデータ点が管理限界内に収まっていること。
・異常パターン(例:連続した上昇・下降、管理限界への接触など)がないこと。

②能力指数の確認
・Cp(設計仕様に対する工程能力)が1.33以上であることが一般的な基準です。
・Cpk(工程の中心位置を考慮した能力)が1.33未満の場合、工程が設計仕様に対して不十分な可能性があります。

③継続的なデータ収集と改善
安定した状態でも継続的にデータを収集し、必要に応じて改善サイクルを回します。例えば、顧客クレームや内製不良の発生頻度が増えた場合、再度工程の見直しを行います。

統計的ツールの特定は、APQPのどの段階で決定する必要がありますか?

統計的ツールは、APQPのフェーズ2の段階(製品設計と開発計画)で初期的に検討され、フェーズ3の段階(工程設計と開発)で具体的に決定します。フェーズ2の段階では重要な品質特性が定義され、顧客要求に沿った分析手法(例:Cpk、X̅-R管理図)が選定されます。フェーズ3の段階では、PFMEAやコントロールプランで工程ごとの監視手法を決定します。フェーズ4の段階で実施する量産試作生産により、選定ツールの有効性を検証します。

IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定:まとめ

IATF16949:9.1.1.2項の統計的ツールの特定の要求事項の規格解釈はいかがでしたか?

IATF16949は、コアツールに関する要求事項の対応方法が超重要!SPCは、統計管理手法として多くの企業でXbarR管理図などが使用されていますが、IATFではその統計手法をどのように特定しているのかまで要求しています

特にその特定は、FMEA及びコントロールプランで特定されていることが確認されるので、抜けが無いように対応しましょう!

それではまた!

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