今回はIATF:8.7.1.2の不適合製品の管理ー顧客規定のプロセスの規格解釈、構築ポイントについて解説いたします。多くの企業では、不適合製品の取扱い・処理についてしっかり規定化されていると思います。それらの管理とは別に、自動車産業顧客から顧客固有要求事項として特別な不適合品の管理要求がある場合があります。
IATFの要求事項である不適合製品の管理ー顧客規定のプロセスの規格解釈、構築ポイントについて解説いたします。
重要:【規定】No.8710_不適合品処理管理規定:IATF版はこちら
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
9.1 9.1.1 |
一般(監視・測定・分析及び評価) | ○ | ○ |
9.1.1.1 | 製造工程の監視及び測定(SPC) | ○ | |
9.1.1.2 | 統計的ツールの特定 | ○ | |
9.1.1.3 | 統計概念の適用 | ○ | |
9.1.2 | 顧客満足 | ○ | ○ |
9.1.2.1 | 顧客満足-補足 | ○ | |
9.1.3 | 分析及び評価 | ○ | ○ |
9.1.3.1 | 優先順位付け | ○ | |
9.2.1 9.2.2 |
内部監査 | ○ | ○ |
9.2.2.1 | 内部監査プログラム | ○ | |
9.2.2.2 | 品質マネジメントシステム監査 | ○ | |
9.2.2.3 | 製造工程監査 | ○ | |
9.2.2.4 | 製品監査 | ○ | |
9.3.1 | 一般(マネジメントレビュー) | ○ | ○ |
9.3.1.1 | マネジメントレビュー-補足 | ○ | |
9.3.2 | マネジメントレビューへのインプット | ○ | ○ |
9.3.2.1 | マネジメントレビューへのインプット-補足 | ○ | |
9.3.3 | マネジメントレビューからのアウトプット | ○ | ○ |
9.3.3.1 | マネジメントレビューからのアウトプット-補足 | ○ |
目次
IATF:8.7.1.2_不適合製品の管理ー顧客規定のプロセスの規格解釈
この要求事項の意図は、多くの企業は自社の不適合製品の管理について何らかの管理プロセスをもっていると思いますが、必ずしも顧客が納得いくものではないかもしれません。
その為、自動車産業顧客はSQM(仕入先品質マニュアル)を発行し、各仕入先に配布することで、取引顧客が要求する品質管理体制の構築依頼することが殆どです。
自動車産業顧客からの不適合製品の管理要望を確認し、製造工場全体で顧客の要望を展開できる仕組みを構築することがポイントです。
この顧客からの要望の多くは「不適合製品が誤って混入し、自社へ流出することを防ぐ」ことが第一なので、きちんとSQMの内容を確認することが重要です。
次にIATF:8.7.1.2の不適合製品の管理ー顧客規定のプロセスの構築で重要なことを詳しく解説します。
【重要】仕入先品質マニュアル(SQM)を確認!
みなさんの会社でサプライヤー品質マニュアル(Supplier Quality Manual: SQM)を受け取った場合、中身の内容をきちんと確認する仕組みは既に構築されていますよね?
もしまだ構築がされていないのであれば、下記の過去記事から作成方法確認してください。この要求事項は、めちゃくちゃ重要です。
過去記事
SQMの中には記載方法を多種多様ですが、何らかの形で「不適合品の管理」と記載された内容があるはずです。
その内容を確認し、自社の不適法品管理で対応できない要求に関して必ず抽出してください。例えば以下のような記載がされている場合があります。
②不適合品が使用できないようマーキングを行ってください
③不適合品は手直し・修理を行わないでください
これらはIATFの要求事項以上の内容となりますが、もし不適製品の管理を規定している中で対応できる内容であれば特に問題はありませんが、顧客固有要求事項として認識しておくことが重要です。
顧客規定のプロセスがあれば対応方法を決定する
もし顧客固有要求事項として不適合製品の管理要求があれば、それに従い管理を行う必要があります。
私の仕入先監査の経験上、製造工場に展開されているものの対応方法まで監視されておらず、量産段階で対応できていないという事例を多く見かけています。
SQMを渡されたら顧客固有要求事項と判断したタイミングで対応方法の決定と共に、どのように管理するのかをきちんと顧客別に管理・監視・有効性まで確認するようにしましょう。
例えば、顧客別の対応方法が記載されるパターンとして、以下のような内容に追記されることが多いです。
②QC工程図
など
また、管理方法が決定したら必ず現場確認し、対応の有効性を確認してください。例えば「容易にアクセスできない状態」という要求事項があれば、対応方法を「鍵付きの不良棚で管理」とし、容易に開けられないよう鍵の管理まできちんと行うことが大事です。
鍵が棚の隣に置いてあると容易にアクセスできる状態となるので、鍵の保管・管理もきちんと行うことがポイントです。
IATFにおける特別採用申請は、顧客への通知の必要性と社内申請のみの対応に留めるのかを明確に記載することがポイント。要求事項を踏まえ、審査・監査で指摘されやすい要求事項なので要注意!IATF完全対応の特別採用申請表をわかりやすい事例付きで作成しました。
IATF:8.7.1.2の不適合製品の管理ー顧客規定のプロセスの内容はどこに記載すればいい?
IATF:8.7.1.2の不適合製品の管理ー顧客規定のプロセスの対応について記載する場所は、大きく分けて二つの所に書かれます。
一つは品質マニュアルのIATF:8.7.1.2の不適合製品の管理ー顧客規定のプロセスに対しての自社の取組方針。もう一つは、不適合品処理管理規定などの規定の中に書かれます。
書き方の事例としては、以下のように記載しましょう。
具体的にどのように取り組むかは、顧客によって異なるので自社の概念を記載しておくとよいでしょう。
実際の審査や顧客監査では、SQMの要求事項がどのように対応されているかを現場で確認されるので、きちんと対応するようにしましょう。
IATF:8.7.1.2に関するFAQ
IATFのメールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
顧客からの特別な要求に対応するには、まず「仕入先品質マニュアル(SQM)」などで顧客が指定している不適合製品の管理要件をしっかりと確認しましょう。その後、顧客の要求に基づいて社内でどのようなプロセスを構築するか決定し、工程作業者や現場の全員に適切に伝達します。定期的な監査を行い、要求事項が守られているかを確認することも重要です。
特に製造工程監査で確認することが重要ですが、監査帳票を作成するのは結構難しい!弊社販売中の帳票を是非ご活用いただければ幸いです。
⇒【帳票】No.9223_製造工程監査チェックリスト
SQMを確認する際は、不適合製品に関する管理方法や保管方法など、顧客が具体的に要求している事項を漏れなく把握することが重要です。特に「容易にアクセスできないエリアで保管する」「不適合品の手直しや修理を行わない」といった、IATF以上の顧客固有の要求事項を見逃さないようにしましょう。これらの要求に対応できる管理プロセスを構築し、現場での実行状況を確認することが大切です。
不適合製品管理の顧客規定プロセスは、品質マニュアルのIATF:8.7.1.2に記載することが一般的です。また、不適合品処理管理規定にも追記することで、工程作業者に対しての明確な指示を行います。具体的には、顧客固有の要求事項をもとに、どのように管理を行うかの詳細を作業標準書やQC工程図に反映させ、従業員への周知徹底を図りましょう。
不適合品の管理はIATFの中で強化されています。弊社販売中の管理規定を是非参考に構築いただければ幸いです。
⇒【規定】No.8710_不適合品処理管理規定:IATF版
IATF:8.7.1.2の不適合製品の管理ー顧客規定のプロセス:まとめ
IATF:8.7.1.2_不適合製品の管理ー顧客規定のプロセスの規格解釈および構築ポイントは如何でしたでしょうか?
顧客固有要求事項の抽出の際に、不適合製品の管理要求がある場合、それらが漏れなく製造工場で展開すること。そして、顧客要求に従った管理ができていることを作業現場で確認を行うようにしましょう。
特に、製造工程監査を実施する際は、顧客固有要求事項も監査範囲に含まれるので、もれなく確認することが重要です。
それではまた!
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A:月額20,000円のメールコンサルティングサービスには、IATF・ISO9001における品質マネジメントシステムに関する質問への回答、プロセス構築と改善のアドバイス、規格要求事項に関するご説明などが含まれます。メールでのやり取りを通じて、貴社の状況に応じた具体的なサポートを提供しいたしております。
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