【IATF16949攻略】8.4.1.2:供給者選定プロセスの要求事項徹底解説!

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセスの要求事項は、仕入先を選定する際の工程(プロセス)を文書化し、自社(IATF16949の要求を含む)の要求事項を満たした供給者を採用することを意図しています。

今回の記事は、IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセスの意味と構築ポイントを解説します。


この記事を書いた人

所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
得意:工場品質改善・プロジェクトマネジメント
目標:ちょっとの相談でも頼りにされるコンサルタント
※難解な規格を簡単に解説がモットー!

Hiroaki.M

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第8章:運用(8.4から8.4.3.1)についての「要求事項リスト」はこちら
ISO・IATF 8章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善

※8.4項~8.4.3.1項は主に、購買プロセスが関係します。

条項 題目 ISO
9001
重要
帳票
IATF
16949
重要
帳票
8.4
8.4.1
一般(外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理)
8.4.1.1 一般(外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理)-補足
8.4.1.2 供給者選定プロセス
8.4.1.3 顧客指定の供給者
8.4.2 管理の方式及び程度
8.4.2.1 管理の方式及び程度-補足
8.4.2.2 法令・規制要求事項
8.4.2.3 供給者の品質マネジメントシステム開発
8.4.2.3.1 自動車製品に関係するソフトウェア又は組込みソフトウェアをもつ製品
8.4.2.4 供給者の監視
8.4.2.4.1 第二者監査
8.4.2.5 供給者の開発
8.4.3 外部提供者に対する情報
8.4.3.1 外部提供者に対する情報-補足

当サイトの情報提供スタンスについて

当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています

規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。

記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセスは購買管理規定で文書化!

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセスの要求事項の対応としてまずやるべきことは、ズバリ!購買管理規定に供給者選定プロセスを明確に記述し、対応することです。このルールを作らないと不適合になるので必須です。

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセス①

購買プロセスを有料記事で攻略!

初めて取引する場合の供給者選定は「仕入先監査」が有効

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセス③

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセスでは、次に説明する16項目が大事です。

すでに別部品で採用実績がある仕入先でも、新規性の高い製品・部品の採用となるとこの供給者選定プロセスが発動します。また、まったくの新規の取引を行う供給者採用の場合は、新規仕入先第二者監査(ポテンシャル分析ともいう:参考:VDA6.3)を行うことが重要です。その監査は、IATF:7.2.4項の第二者監査員の力量を持った有資格者が実施する必要があります。

本当にこの会社で大丈夫か?」といった不安を無くすためにも、次に紹介する16項目に基づく第二者監査が非常に有効です。不安がある中で量産品に使用したがために、大トラブルなんてことにもありえます。

監査を含めた選定プロセスにおける16項目について次に解説します。

①供給者が持つスキルと与信・ポテンシャルを評価

貴社が供給者に要求する製品・技術仕様であったり図面などに対して、本当に設計・生産できる技術力があるのかまた、安定した経営基盤をもち、物流対応が可能なのかなども評価することが重要です。例えば、類似製品の設計経験や売り上げ推移などから判断することが可能です。

②供給者のパフォーマンスを評価

新規採用する供給者の場合納入実績が無いことから、これらを自社製品で判断することは難しいです。そのため、新規仕入先自身の類似製品のパフォーマンスや供給者で経験のある製品群の品質・納入パフォーマンスを評価することが求められます。例えば、顧客クレーム状況・工程内不良率・納期遵守率などのパフォーマンス実績を見ていきましょう。

供給者パフォーマンス評価で整理しておきたいポイント

IATF16949やISO9001では、供給者を選定するだけでなく、その後のパフォーマンスをどのように評価し、改善につなげているかが重視されます。一方で、評価項目や頻度、結果の活用方法について判断に迷うケースも少なくありません。

そのため、品質・納期・対応状況などの評価視点を整理し、供給者管理の仕組みとして一貫性を持たせて運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、供給者パフォーマンスの評価項目や結果整理の考え方を帳票やルールの形でまとめた資料を参考にする方法もあります。

③品質マネジメントシステムの評価

一つ目は、ISO9001やISO14001、IATF16949などの品質マネジメントシステムの認証取得状況の確認。二つ目は、実際に貴社が仕入先監査:第二者監査を実施して、品質レベルを確認した結果となります。この二つを総合して判断しましょう!

④採用の合否は部門横断的アプローチを使用

実際に供給者を評価した後、購買部門だけで採用の決定を行うことができないのが、当該要求事項で明確です。第二者監査員の監査結果などを基に、部門横断的承認が行われていないと不適合です。

仕入先監査で整理しておきたい確認視点

IATF16949では、仕入先の選定だけでなく、定期的な監査を通じて、品質や工程管理の状態を継続的に確認することが求められます。一方で、監査の際に「どの要求事項を」「どこまで」確認すべきかについて判断に迷うケースも少なくありません。

そのため、品質管理や是正対応、工程管理などの視点を整理し、仕入先監査を改善につなげられる形で運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、仕入先監査における確認項目や評価視点を一覧で整理した資料を参考にする方法もあります。

⑤ソフトウェア開発能力を含む

組込みソフトウェアの開発を含む供給者の場合は、ソフトウェア開発も技術スキルの有無や品質マネジメントシステム内で管理されているかも評価する必要があります。

⑥自動車産業顧客との取引実績

自動車事業の規模(取引実績)も評価対象とする必要があります。例えば、自動車関連顧客が80%の供給者であれば、自動車産業の要求・品質レベル・IATF16949の要求について、高いレベルを保有していることが期待できます。一方で、初めての自動車業界となると、製品によっては高いリスクが伴うので、おのずと評価点数は低くなります。

⑦財務的安定性

途切れない供給とも関係しますが、財務的安定性(与信面)も評価すべき重要な内容です。売上が上がっておらず、倒産して生産できない可能性がある中での取引となると、大きなリスクです。そのため、財務的側面からも供給者を評価しなくてはなりません。

規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?

ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!

※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。

⑧供給者の経験値

この意味は、自社が要求する製品がたとえ単純な部品であったとしても、それよりも複雑な部品を設計・製造した経験がある供給者の方がレベルが高いと判断することもできます。そのため、供給者が持つ経験値なども評価の対象とすることが可能です。

⑨供給者の持つ独自性のある技術力

自社が要求した製品・部品を設計・生産できる技術力または生産プロセス・ノウハウを保有していることも評価する必要があります。これはIATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセス全体の最終結論となる場合もあるので、それでも担保可能です。

⑩必要な資源力

実際に設計開発してもらうにしても、CADや試験設備などが無いとなると問題ですよね!また、生産に必要な工場キャパシティーやインフラ設備・計測機器・生産設備(例えば成型機)なども必要な資源です。

特に気を付けていただきたいのは、特殊工程(技能が必要な工程)がある場合に資格認定・資格保持者が在籍しているかなども供給者選定プロセス内で確認することが重要です。

⑪設計開発能力

これは、コアツールであるAPQP(Advanced Product Quality Planning and Control Plan)を基にした設計開発フローが存在し且つ、力量のある設計者が在籍しているかなどが評価項目になります。また、最終的にはPPAPを提出してもらうことになるので、それらを作成する能力があるのかなどが評価項目として挙げられます。

⑫製造能力

仕入先に対して単純に「製造したことがある」という観点での評価ではなく、品質マネジメントシステムに適合した管理状態で製造する能力があるかという意味なので間違えないようにしてください。

例えば、校正された計測機器で生産されているか・特殊特性の管理は適切に行われているか・SPC管理・MSA管理なども含めた製造能力を意図しています。

⑬変更プロセス

変更プロセスは、ISO9001・IATF16949に適合した変更マネジメントが行われているかという観点で評価する必要があります。変更管理規定・変更申請書・顧客への通知・コントロールプラン/FMEAの改定検証などの変更マネジメントの仕組みを評価することが重要です。

設計・製造変更を管理する際に整理しておきたいポイント

設計変更や製造条件の変更は、品質や工程安定性に大きな影響を与える可能性があります。IATF16949やISO9001では、変更内容の妥当性評価や影響範囲の確認、承認プロセスの明確化が求められますが、どこまでを「変更」として管理すべきかで判断に迷うケースも少なくありません。

そのため、変更の種類や管理範囲を整理し、記録と承認を一貫した流れで運用できるようにしておくことが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、設計・製造変更時の判断ポイントや記録内容を管理しやすい形でまとめた資料を参考にする方法もあります。

⑭BCP:事業継続計画

このBCP:事業継続計画の内容は、日本企業が非常に弱い内容です。緊急事態対応計画は、顧客に途切れない供給が可能かをIATF:6.1.2.3項の緊急事態対応計画の要求事項に基づいて評価することになります。

難関要求事項:BCPを有料記事で攻略!

BCPで整理する緊急事態対応計画の考え方

IATF16949では、自然災害や設備停止、供給停止などの緊急事態に備えた対応計画の策定が求められます。BCP(事業継続計画)を通じて、重要工程や在庫、設備、原材料のリスクを事前に整理することで、影響を最小限に抑える体制を構築できます。平時からの備えが安定供給の基盤となります。

一方で、どこまでを想定リスクとするかや、具体的な対応手順の深さで迷うケースも少なくありません。そのため、リスクの洗い出しと優先順位を整理したうえで計画を整備することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、緊急事態対応計画の進め方をまとめた資料を参考にする方法もあります。

⑮物流プロセス

この物流プロセス単純に物の輸送だけではありません。供給者の倉庫管理や梱包作業現場、在庫保管状況なども評価の対象です。QCDの「D」に当てはまる評価として、仕入先のパフォーマンスを評価しましょう。

⑯顧客へのサービス

この顧客サービスとは、顧客へのクレーム対応状況・クレーム解析力など市場に製品が出荷された後の対応を評価する必要があります。特に確認すべきことは、市場クレームの品質クレーム件数や顧客クレーム対応における事例などです。

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセスは客観的評価が重要

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセスで重要なことは、曖昧な「OK」「NG」ではなく、どうなると採用するのかしないのかといった選定プロセスが必要です。

それらすべてを網羅できるのが、第二者監査で使用する「仕入先監査シート」です。

めちゃくちゃ簡単に書くと以下のような内容が、仕入先監査シートとなります。

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセス②

各評価項目に対して点数付けし、総合点から合格・不合格を表すことができる監査シートが必須です。また、その内容は16項目を最低限満たすことが求められます。

規格対応で不安・悩むポイント

ISO9001やIATF16949、VDA6.3といった規格対応では、「どこから手を付ければよいか分からない」「社内だけで判断を進めることに不安がある」と感じるケースが少なくありません。

品質マネジメントの構築は、一度に完成させる必要はなく、考え方やサンプルを参考にしながら、少しずつ自社に合った形へ整えていくことも可能です。

IATF16949:8.4.1.2に関するFAQ

規格対応でよく聞かれる悩み

ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。

また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。

【IATF16949:FAQ】

供給者選定プロセスを文書化するために、どのような手順が必要ですか?

供給者選定プロセスを文書化するためには、まず評価基準を明確に定めることが重要です。具体的には、製品適合性、品質マネジメントシステムの評価、納入パフォーマンスの確認、財務的安定性、リスク管理などの項目を含める必要があります。さらに、第二者監査を実施し、各部門からの承認を得ることも必要です。
この選定プロセスは必ず購買管理規定に明確に記載しましょう!

第二者監査を実施する際、どのような準備が必要ですか?

第二者監査を実施する際には、まず監査項目を事前に整理し、供給者の技術力や品質マネジメントシステム、納入パフォーマンスに焦点を当てたチェックリストを作成することが重要です。また、監査を実施する監査員がIATFの基準に精通しているかを確認し、必要な力量を持った監査員を選定することも準備の一環です。監査の目的を明確にし、供給者に事前通知を行うことも忘れずに行いましょう。

採用した供給者の定期パフォーマンス評価はどのくらいの頻度で行うべきですか?

供給者のパフォーマンス評価は定期的に行うことが必須ですが一般的には、四半期ごとに評価を行い、納入パフォーマンスや品質に問題がないかを確認します。現地の監査は供給者の持つリスクから監査頻度を決定するとよいでしょう。また、製品に変更があった場合や、供給者の経営状況に変化があった場合には、都度再評価を行うことが重要です。

IATF16949:8.4.1.2項の供給者選定プロセス:まとめ

IATF16949の8.4.1.2項では、供給者選定プロセスの文書化が求められており、供給者を選定する際の16項目に基づく評価が必要です。選定プロセスでは、供給者の製品適合性や品質マネジメントシステム、納入パフォーマンスなどを評価し、部門横断的な意思決定を行うことが特に重要です。

また、供給者のソフトウェア開発能力や財務的安定性、自動車産業との取引実績も重要な評価項目となりますので忘れずに確認しましょう!

さらに、緊急事態対応計画や物流プロセス、顧客へのサービス対応能力も確認する必要があります。このような包括的な監査シートを活用し、適切な供給者選定を行うことが、リスクを最小限に抑えるために重要です。

それではまた!

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