【ISO9001攻略】5.1.2:顧客重視の要求事項徹底解説!

ISO9001:5.1.2「顧客重視」は、トップマネジメントが顧客満足に特化したリーダーシップとコミットメントを実証することを求める条項です。a)顧客要求事項及び法令・規制要求事項の明確化、b)顧客満足に影響するリスク及び機会への取組み、c)顧客満足の向上への重点的取組みの3つの要求事項で構成されています。

本記事では、a)〜c)全3要求事項の個別解説に加えて、タートル図のインプットで顧客要求を全プロセスに展開する具体的手法、顧客満足度測定の業種別テンプレート、顧客重視チェックリスト、審査・内部監査での確認ポイントまで実務目線で徹底解説します。


この記事を書いた人

所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
得意:工場品質改善・プロジェクトマネジメント
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第5章:リーダーシップ及びコミットメント「要求事項リスト
ISO・IATF 5章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善
条項 題目 ISO
9001
重要
帳票
IATF
16949
重要
帳票
5.1.1 一般(リーダーシップ)  
5.1.1.1 企業責任  
5.1.1.2 プロセスの有効性及び効率  
5.1.1.3 プロセスオーナー
5.1.2 顧客重視  
5.2.1 品質方針の確立
5.2.2 品質方針の伝達
5.3 組織の役割・責任及び権限
5.3.1 組織の役割・責任及び権限ー補足
5.3.2 製品要求事項及び是正処置に対する責任及び権限

当サイトの情報提供スタンスについて

当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています

規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。

記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。

ISO9001 5.1.2の規格要求の全体像

5.1.2が求めている3つのポイント

5.1.2は、トップマネジメントが顧客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証することを求めています。具体的には以下の3つの要求事項で構成されています。

項番 要求事項 一言でいうと
a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項が明確にされ、理解され、一貫して満たされている 顧客が求めるものと法律を把握し、常に満たす
b) 製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得るリスク及び機会が明確にされ、取り組まれている 顧客満足を脅かすリスクと高める機会を管理する
c) 顧客満足の向上に対する重点的取組みが維持されている 顧客満足の向上を継続的に推進する

5.1.1(一般)との違い

5.1.1が「QMS全般に対するリーダーシップ」を求めるのに対し、5.1.2は「顧客満足に特化したリーダーシップ」を求めます。

5.1.1はa)〜j)まで10個の要求事項でQMS運用全体(説明責任、品質方針・目標、事業プロセスへの統合、資源確保、改善促進等)をカバーしています。一方、5.1.2は顧客満足に焦点を絞り、顧客要求の充足、リスク・機会の管理、顧客満足の向上という3つの領域に絞ったリーダーシップを求めています。

品質マニュアルでは、5.1.1にQMS全般のリーダーシップを記載し、5.1.2に顧客満足に関する具体的な取り組みを記載する形で使い分けてください。

「他項で担保できる」—5.1.2の実務的な位置づけ

5.1.2の要求事項は、この条項自体で何か新しい帳票や記録を作ることを求めているわけではありません。大事なのは、「リーダーシップ」の章に「顧客重視」が明記されていることであり、トップマネジメント自らが顧客重視に取り組んでいる証拠を示すことです。

実務的には、5.1.2のa)〜c)は以下の関連条項で対応が可能です。

5.1.2の要求 担保する関連条項
a)顧客要求・法規制の充足 8.2項(製品及びサービスに関する要求事項)、4.4項(タートル図のインプット)
b)リスク及び機会の管理 6.1項(リスク及び機会への取組み)
c)顧客満足の向上 9.1.2項(顧客満足)、9.3項(マネジメントレビュー)

つまり、他の条項への対応がきちんとできていれば、5.1.2は自然に担保されます。5.1.2専用の帳票や記録は不要です。ただし、これらの取り組みをトップマネジメントが主導していることが重要であり、審査ではトップマネジメントへのインタビューで確認されます。

a)顧客要求事項及び法令・規制要求事項の明確化

a)の意味と実務での対応

a)は、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項が「明確にされ」「理解され」「一貫して満たされている」ことを求めています。この3段階が重要です。

明確にされている

顧客が何を求めているかを正確に把握し、文書化していること。

理解されている

把握した要求事項が組織内の関係者に伝達され、正しく理解されていること。

一貫して満たされている

一度だけでなく、継続的・一貫して要求を満たす製品・サービスを提供していること。

タートル図のインプットで顧客要求を全プロセスに展開する

【ISO9001攻略】5.1.2:顧客重視の要求事項徹底解説!

a)の実証に最も効果的なのが、タートル図のインプットに顧客要求事項を組み込む方法です。

タートル図(4.4項で作成するプロセス定義図)のインプット欄に、以下の2つを全プロセスに入れてください。

①CSR(顧客固有要求事項)/ SQM(サプライヤー品質マニュアル)

顧客から受領する品質要求事項書(CSR、SQMなど)の内容を、該当するプロセスのタートル図にインプットとして記載します。例えば、営業プロセスであれば「顧客仕様書・CSR」、製造プロセスであれば「図面・規格値・顧客特殊要求」、検査プロセスであれば「検査基準・顧客承認限度見本」などです。

②法令・規制要求事項

適用される法令・規制(JIS規格、環境規制、安全基準、RoHS指令等)を、該当するプロセスのタートル図にインプットとして記載します。

全プロセスのタートル図に①②がインプットされていれば、「顧客要求と法規制が全プロセスに一貫して展開されている」ことを審査で証明できます。これが5.1.2 a)を最も効率的に実証する方法です。

法令・規制要求事項の把握方法

法令・規制要求事項を「明確にする」ためには、自社の製品・サービスに適用される法規制を一覧化し、最新版を維持する仕組みが必要です。

適用法規一覧表の作成ポイント:

記載項目 内容例
法令・規格名 JIS B 1051(ねじの機械的性質)、RoHS指令
適用範囲 全製品/特定品番/特定工程
管理部門 品質保証部/設計部/環境管理部
最新版の確認方法 年1回の法規制ウォッチ、業界団体の通知、顧客からの通知
最終確認日 2026年1月15日

自動車業界では特に以下の法規制への対応が重要です。

  • 道路運送車両法・道路運送車両の保安基準
  • UNECE規則(国連欧州経済委員会の車両規則)
  • RoHS指令・REACH規則(化学物質規制)
  • 各国の排ガス規制
  • リコール関連法規
  • 顧客指定の材料規格・試験規格

【おまけ】顧客要求事項の管理—CSR/SQMの一元化

自動車業界では、OEMやTier1ごとに異なるCSR(顧客固有要求事項)やSQM(サプライヤー品質マニュアル)が存在します。複数の顧客を持つ企業は、各顧客のCSR/SQMを一元的に管理する仕組みが必要です。

一元管理ができていないと「顧客Aの要求は把握しているが顧客Bの固有要求が漏れている」「CSRの改訂を反映できていない」といった問題が発生します。

CSR管理の具体的な方法として、顧客固有要求事項マトリクス表(顧客×要求事項の一覧表)を作成し、各顧客のCSRがQMSのどのプロセスに影響するかを可視化することをお勧めします。

顧客固有要求事項の管理は、IATF16949の4.3.2項でより詳細に要求されています。ISO9001のみの企業でも、この考え方を取り入れることでa)の対応が格段に強固になります。

b)リスク及び機会の管理

【ISO9001攻略】5.1.2:顧客重視の要求事項徹底解説!

b)の意味と実務での対応

b)は、製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得るリスク及び機会が明確にされ、取り組まれていることを求めています。

ここで重要なのは「顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る」という限定です。b)が求めているのは、組織の全リスクではなく、顧客満足に影響するリスクと機会です。

b)の実務対応は、6.1項(リスク及び機会への取組み)で作成するリスク管理表の中で対応できます。5.1.2 b)専用のリスク管理は不要ですが、6.1項のリスク管理表の中に「顧客満足に影響するリスク」が含まれていることが重要です。

顧客満足に影響する「能力不足リスク」の具体例

b)で「能力に影響を与え得るリスク」と表現されているのがポイントです。これは、製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させることができなくなる「能力不足」のリスクと捉えてください。

製造業で特に注意すべき能力不足リスクの具体例を紹介します。

①設計・開発人員の力量不足

ベテラン設計者の退職や技術の高度化により、顧客の技術要求に応えられる設計力量が不足するリスク。ADAS(先進運転支援システム)や電動化への対応力量が典型例です。

②製造要員の人員不足

少子高齢化や人材流動化により、製造現場の人員が慢性的に不足するリスク。人員不足は品質低下や納期遅延に直結します。

③製造設備の老朽化

設備の老朽化による工程能力の低下、突発故障による納期遅延、精度劣化による品質不良のリスク。設備更新計画が適切でないと顧客満足に大きな影響を与えます。

④市況変化による顧客ニーズの変化

EV化、カーボンニュートラル、サプライチェーンの再編など、市場環境の変化により顧客ニーズが急変するリスク。従来の技術・製品では顧客の期待に応えられなくなる可能性があります。

⑤高齢化による技術の伝承不足熟練技能者の退職に伴い、暗黙知として蓄積された製造ノウハウが失われるリスク。品質のばらつきや不良率の増加につながります。

これらのリスクが6.1項のリスク管理表に含まれ、対応策が計画・実行されていれば、b)の要求を満たすことができます。

リスクだけでなく「機会」も捉える

b)は「リスク及び機会」の両方を求めています。リスク管理に偏りがちですが、機会(顧客満足を向上させるチャンス)の特定も重要です。

顧客満足を向上させる機会の例:

  • 新技術の導入による品質向上(自動検査、AI活用等)
  • 短納期対応力の強化による顧客満足の差別化
  • 付加価値サービスの提供(技術提案、VA/VE提案等)
  • 顧客との共同開発による関係強化
  • デジタル化による品質データのリアルタイム共有

審査で「リスクは特定していますが、機会は?」と質問されることがあります。リスク管理表の中に「機会」の欄を設け、顧客満足を向上させる機会を具体的に記載しておいてください。

6.1項との連動—リスク管理表での対応方法

b)の実務対応は6.1項のリスク管理表で一元的に管理します。リスク管理表の中で「顧客満足への影響」を評価軸の一つとして組み込むことで、5.1.2 b)と6.1項を同時に満たすことができます。

リスク管理表への記載例:

リスク項目 顧客満足への影響 発生可能性 影響度 対応策 担当 期限
設計者力量不足 顧客の技術要求に対応不可 若手設計者の教育計画策定 設計部長 2026年6月
設備老朽化 工程能力低下による品質不良 設備更新計画の見直し 製造部長 2026年3月
人員不足 納期遅延 多能工化の推進、採用強化 人事部長 通年

リスク及び機会で整理するISO9001の考え方

ISO9001では、組織の目的達成に影響を与えるリスク及び機会を特定し、適切な対応を計画することが求められます。単にリスクを洗い出すだけでなく、機会も含めて整理することで、マネジメントシステムの有効性を高めることができます。日常業務と結び付けて考えることが重要です。

一方で、抽象的な議論にとどまり、具体的な対応策まで落とし込めないケースも少なくありません。そのため、評価基準や対応方法を整理したうえで運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、リスク及び機会の管理方法をまとめた資料を参考にする方法もあります。

c)顧客満足の向上への重点的取組み

【ISO9001攻略】5.1.2:顧客重視の要求事項徹底解説!

c)の意味と実務での対応

c)は、顧客満足の向上に対する重点的取組みが維持されていることを求めています。「維持されている」という表現は、一時的な取り組みではなく継続的に顧客満足の向上に取り組んでいることを意味します。

c)のポイントは「重点的取組み」という表現です。これは、顧客満足の向上が組織の最優先事項の一つとして位置づけられていることを求めています。トップマネジメントが顧客満足を重要なテーマとして認識し、組織全体でその向上に取り組む姿勢を示す必要があります。

c)の実証は、9.1.2項(顧客満足)と9.3項(マネジメントレビュー)で対応できます。顧客満足度を定期的に測定し、その結果をマネジメントレビューにインプットして改善指示を出すサイクルが回っていれば、c)は満たされます。

顧客満足度の測定方法

顧客満足度を「向上させる」ためには、まず現状を把握する必要があります。ISO9001の9.1.2項では顧客満足の監視が要求されていますが、具体的な測定方法は組織に委ねられています。

主な測定手法:

①顧客満足度アンケート調査

定期的(年1回以上)に顧客に対してアンケートを実施し、品質、納期、価格、対応力、技術力等の各項目について評価を収集します。5段階評価や10点満点の数値評価が一般的です。

②クレーム件数・PPM(百万個あたり不良数)

市場クレーム件数やPPM(自動車業界で一般的)を定量的に測定し、推移を管理します。PPMの低減は顧客満足向上の最も直接的な指標です。

③納期遵守率

顧客要求納期に対する遵守率を月次で測定します。自動車業界ではJIT(ジャスト・イン・タイム)納入が一般的であり、納期遵守率は顧客満足に直結する重要指標です。

④顧客スコアカード(自動車業界の場合)

OEMやTier1から定期的に発行される評価表(スコアカード)を活用します。顧客が自社をどのように評価しているかを直接把握できる有力な情報です。

⑤リピート率・受注率

既存顧客からのリピート受注率や、新規案件の受注率を測定します。顧客満足度が高ければリピート率は上昇し、低ければ失注や取引縮小として数値に現れます。

⑥クレーム対応満足度

クレームの処理速度、対応の適切さ、再発防止策の有効性について、クレーム処理後に顧客に評価を求めます。クレーム自体はマイナスですが、対応品質は顧客満足を回復する機会です。

業種別の顧客満足度測定テンプレート

業種によって適切な測定指標は異なります。以下は業種別の推奨指標です。

製造業(自動車部品):

測定指標 測定方法 測定頻度 目標設定例
PPM 顧客返品数÷出荷数×10⁶ 月次 50PPM以下
納期遵守率 期日内納入÷全納入件数×100 月次 99.5%以上
クレーム件数 顧客クレーム件数の集計 月次 前年比30%削減
顧客スコアカード 顧客発行の評価表 四半期 B評価以上維持
顧客満足度アンケート 年次アンケート 年次 総合評価4.0/5.0以上

製造業(一般):

測定指標 測定方法 測定頻度 目標設定例
不良率 不良品数÷出荷数×100 月次 0.5%以下
納期遵守率 期日内納入÷全納入件数×100 月次 98%以上
クレーム件数 顧客クレーム件数の集計 月次 年間10件以下
顧客満足度アンケート 年次アンケート 年次 総合評価4.0/5.0以上
リピート率 リピート顧客÷全顧客×100 年次 85%以上

サービス業:

測定指標 測定方法 測定頻度 目標設定例
NPS(推奨度) NPS調査 四半期 NPS +30以上
リピート率 リピート顧客÷全顧客×100 月次 80%以上
顧客満足度アンケート サービス提供後アンケート 都度 満足率90%以上
解約率 解約数÷全契約数×100 月次 3%以下
対応時間 問合せから初回対応までの時間 月次 24時間以内率95%

建設業:

測定指標 測定方法 測定頻度 目標設定例
竣工検査合格率 一発合格件数÷全竣工件数×100 案件毎 95%以上
手戻り率 手戻り件数÷全工程数×100 案件毎 2%以下
工期遵守率 期日内竣工÷全案件数×100 案件毎 98%以上
顧客満足度アンケート 引渡し後アンケート 案件毎 総合評価4.0/5.0以上
アフターサービス評価 引渡し1年後アンケート 年次 満足率85%以上

測定結果の活用—マネジメントレビューへの接続

顧客満足度の測定結果は、マネジメントレビュー(9.3項)のインプットとして報告し、トップマネジメントが評価・改善指示を出すことで、c)の「重点的取組みが維持されている」ことを実証できます。

マネジメントレビューでの報告に含めるべき内容は、顧客満足度の数値推移(前年比・目標比)、顧客クレームの傾向分析(件数、原因分類、重大度)、納期遵守率の推移、顧客スコアカードの結果と改善対応、改善活動の実施状況と効果確認の5点です。

マネジメントレビューでトップマネジメントが顧客満足に関する改善指示を出し、その指示に基づいて改善活動が実行されていれば、c)の「重点的取組みが維持されている」ことの実証となります。

顧客満足度を把握・活用する際に迷いやすいポイント

ISO9001やIATF16949では、顧客満足度を定期的に把握し、その結果を改善につなげていくことが求められます。一方で、どのような項目で調査を行い、得られた結果をどこまで分析・活用すべきかについて判断に迷うケースも少なくありません。

調査を実施すること自体が目的にならないよう、結果をどのように品質改善へ結び付けるかをあらかじめ整理しておくことが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、顧客満足度の確認項目や結果整理の考え方を帳票やルールの形でまとめた資料を参考にする方法もあります。

品質マニュアルへの記載方法

5.1.1との記載の使い分け

5.1.1と5.1.2を品質マニュアルに記載する際は、以下の考え方で使い分けてください。

  • 5.1.1: QMS全般に対するリーダーシップ(品質方針策定、資源確保、改善促進、管理層支援等)
  • 5.1.2:顧客満足に特化したリーダーシップ(顧客要求の充足、顧客満足関連リスク、顧客満足の測定と改善)

内部監査・審査での確認ポイント

審査員が確認する5つの観点

顧客要求事項の把握と展開

顧客要求事項が正確に把握され、組織内の関連プロセスに展開されているかを確認します。タートル図のインプット、契約書・仕様書の管理状況、顧客固有要求事項の一覧化などが確認対象です。

法令・規制要求事項の管理

適用される法令・規制の一覧化、最新版の維持、社内への展開状況を確認します。法改正への対応プロセスも確認されます。

顧客満足に関するリスク・機会の管理

6.1項のリスク管理表に顧客満足関連のリスク・機会が含まれているか、対応策が計画・実行されているかを確認します。

顧客満足度の測定と分析

顧客満足度をどのような指標で測定しているか、測定結果が分析されているか、分析結果がマネジメントレビューにインプットされているかを確認します。

トップマネジメントの関与

トップマネジメントが顧客満足のデータを把握しているか、改善指示を出しているかをインタビューで確認します。

ISO9001 5.1.2に関するFAQ

規格対応でよく聞かれる悩み

ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。

また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。

5.1.2と5.1.1の違いは何ですか?

5.1.1はQMS全般に対するリーダーシップ(a)〜j)の10要求事項で品質方針、資源、改善等を包括)を求め、5.1.2は顧客満足に特化したリーダーシップ(a)〜c)の3要求事項で顧客要求、リスク、顧客満足に焦点)を求めます。品質マニュアルでは5.1.1にQMS全般を、5.1.2に顧客満足関連を記載する形で使い分けてください。

「顧客重視」を実証するにはどのような記録が必要ですか?

5.1.2専用の記録は不要です。タートル図のインプット(a対応)、リスク管理表(b対応)、顧客満足度調査結果・PPM実績・クレーム記録(c対応)、マネジメントレビュー議事録(c対応)で実証できます。重要なのはトップマネジメントがこれらのデータを把握し、改善指示を出していることです。

顧客満足度はどのように測定すればよいですか?

業種や顧客との関係に応じて適切な指標を選択してください。自動車部品メーカーであれば、PPM、納期遵守率、クレーム件数、顧客スコアカードが一般的です。製造業一般であれば不良率、納期遵守率、アンケート、リピート率。サービス業であればNPS、リピート率、解約率が有効です。複数の指標を組み合わせて総合的に評価することを推奨します。

法令・規制要求事項はどのように把握すればよいですか?

適用法規一覧表を作成し、法令名、適用範囲、管理部門、最終確認日を記載してください。法改正情報は業界団体の通知、官報、規制当局のウェブサイト、顧客からの通知等で収集します。年1回以上の定期見直しに加え、随時更新の仕組みを整備してください。

B2BとB2Cで顧客重視の対応は異なりますか?

規格の要求事項自体は同じですが、顧客満足度の測定方法が異なります。B2B(企業間取引)では顧客スコアカード、PPM、クレーム件数など取引関係の中で定量化しやすい指標が中心です。B2C(消費者向け)ではアンケート調査、NPS、リピート率、口コミ評価など消費者の主観的評価を含む指標が重要になります。

顧客要求事項の変更にはどう対応すべきですか?

顧客要求事項の変更(仕様変更、CSR改訂等)が発生した場合、変更内容を速やかにレビューし、影響を受けるプロセスに展開する仕組みが必要です。文書管理規定の中で変更情報の受領→レビュー→承認→展開→記録のフローを定めてください。IATF16949ではこの対応が7.5.3.2.2項でより詳細に要求されています。

5.1.2で不適合になりやすいポイントは?

最も多いのは「顧客満足度の測定はしているが、分析と改善への展開がない」パターンです。アンケートを実施して集計しただけ、PPMを記録しているだけで傾向分析も改善計画もない状態は指摘対象です。また、トップマネジメントが顧客満足の数値(PPM、クレーム件数等)を把握していないケースも指摘を受けます。

IATF16949では5.1.2に追加の要求はありますか?

IATF16949では、5.1.2に対する直接的な補足条項はありません。ただし、4.3.2項(顧客固有要求事項)でCSR/SQMの管理が詳細に要求され、8.2.3.1項(製品及びサービスに関する要求事項のレビュー-補足)で顧客要求のレビューが強化されています。ISO9001での5.1.2対応がしっかりできていれば、IATF16949の対応も容易です。

ISO9001・ISO14001構築でつまずきやすい点

ISO9001やISO14001は、「何を決めるべきか」「どう見える化するか」といった判断事項が多く、構築の初期段階で迷いやすい規格です。要求事項は理解できても、実際の規定や帳票をどう整えるかで手が止まってしまうケースも少なくありません。

そのため、実務で使われている規定や帳票の考え方を参考にしながら、自社のペースで整理していくことが重要になります。

ISO9001 5.1.2顧客重視:まとめ

ISO9001 5.1.2は、トップマネジメントが顧客満足に特化したリーダーシップを実証することを求める条項です。a)顧客要求事項及び法令・規制要求事項の充足、b)顧客満足に影響するリスク及び機会の管理、c)顧客満足の向上への重点的取組みの3つが求められます。

5.1.2自体で新たな帳票や記録を作る必要はなく、タートル図のインプット(a対応)、6.1項のリスク管理表(b対応)、9.1.2項の顧客満足度測定と9.3項のマネジメントレビュー(c対応)で担保できます。重要なのは、これらの取り組みをトップマネジメントが主導し、顧客満足の数値を把握した上で改善指示を出していることです。

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