
ISO9001:7.1.6項の組織の知識についての要求事項では、各プロセス(部門・担当など)に必要な知識や経験を明確にし、それらを習得させたり、そのことがわかる資料などを取り出せるような仕組みの構築を意図しています。
今回の記事は、ISO9001:7.1.6項の組織の知識についての要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
得意:工場品質改善・プロジェクトマネジメント
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 7.1.1 | 一般(資源計画) | 〇 | ● | 〇 | |
| 7.1.2 | 人々 | 〇 | ● | 〇 | |
| 7.1.3 | インフラストラクチャ | 〇 | ● | 〇 | |
| 7.1.3.1 | 工場、施設及び設備の計画 | 〇 | ● | ||
| 7.1.4 | プロセスの運用に関する環境 | 〇 | ● | 〇注記 | |
| 7.1.4.1 | プロセスの運用に関する環境-補足 | 〇 | ● | ||
| 7.1.5 7.1.5.1 |
一般(監視及び測定のための資源) | 〇 | 〇 | ||
| 7.1.5.1.1 | 測定システム解析 | 〇 | ● | ||
| 7.1.5.2 | 測定のトレーサビリティ | 〇 | 〇注記 | ||
| 7.1.5.2.1 | 校正/検証の記録 | 〇 | ● | ||
| 7.1.5.3.1 | 内部試験所 | 〇 | ● | ||
| 7.1.5.3.2 | 外部試験所 | 〇 | ● | ||
| 7.1.6 | 組織の知識 | 〇 | 〇 | ||
| 7.2 | 力量 | 〇 | 〇 | ● | |
| 7.2.1 | 力量-補足 | 〇 | |||
| 7.2.2 | 力量-業務を通じた教育訓練(OJT) | 〇 | |||
| 7.2.3 | 内部監査員の力量 | 〇 | ● | ||
| 7.2.4 | 第二者監査員の力量 | 〇 | ● | ||
| 7.3 | 認識 | 〇 | 〇 | ||
| 7.3.1 | 認識-補足 | 〇 | |||
| 7.3.2 | 従業員の動機付け及びエンパワーメント | 〇 | |||
| 7.4 | コミュニケーション | 〇 | ● | 〇 | |
| 7.5.1 | 一般(文書化した情報) | 〇 | 〇 | ||
| 7.5.1.1 | 品質マネジメントシステムの文書類 | 〇 | |||
| 7.5.2 | 作成及び更新 | 〇 | 〇 | ||
| 7.5.3 7.5.3.1 7.5.3.2 |
文書化した情報の管理 | 〇 | 〇 | ||
| 7.5.3.2.1 | 記録の保管 | 〇 | |||
| 7.5.3.2.2 | 技術仕様書 | 〇 |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
この記事の目次
ISO9001:7.1.6項の組織の知識の意図

品質マネジメントシステムを運用するにあたり、様々な専門家の方や責任ある役職者、そして直接業務に従事する担当者の方など様々です。また必要に応じて新卒者・中途採用者の方が入社することもあるでしょう。
ベテランの方は、過去の経験や知識で仕事が可能かもしれませんが、新卒の方や中途採用の方は「職人技」で仕事ができない場合のことの方が多いです。また、それらの職人技では仕事のバラつきが発生し、品質を維持できないことも多いかもしれません。
そういったことがないように、品質マネジメントシステムに関連するプロセスに必要な知識や経験を明確にし、できる限りバラつきを抑えて製品及びサービスの適合を達成させていくことを要求していることが本要求事項の意図といえます。
次にISO9001:7.1.6項の組織の知識についての構築ポイントについて解説いたします。
必要な知識と経験を明確にする
ISO9001:7.1.6項の組織の知識についての要求事項でよく出る例えとして、製品設計をする場合、必要な知識や技量・経験なども必要ですよね!製品設計部門には5人の設計者がいて、20代から50代までの方が在籍していた場合、ベテランと新人君では知識も経験も異なるのは当然ですよね?
顧客から注文を受けるにあたっても難しいのはベテラン、簡単なのは新人君など振り分けができたら最高です。そのための仕組みを構築する必要があるのがISO9001なんです。
必要な知識はプロセス内でアップデート
ISO9001:7.1.6項の組織の知識についての要求事項では、知識ベースのアップデートを要求しています。製品レベルやサービスのレベルは、日々要求は厳しくなり、それらに対応する知識は高いレベルが要求されることは、意外と日常茶飯事ではないでしょうか?
それらに対応するためには、プロセスに従事するメンバーに知識や経験を積ませたり、必要な知識の更新が起きた場合、その情報インプットできるようにする必要があります。
それらを効率よく行うことで、組織のレベルアップが自ずと図れるのもISO9001取得の意味を持っていると言えます。
次にそれらの更新情報を入手したり、プロセスに従事する者へのアップデート方法は、どのようにすべきかについて解説します。
内部の知識源を活用しよう!
ISO9001:7.1.6項の組織の知識は結構いいことを言っています。内部の知識源とは、過去の教訓が最も重要であるということ。長年自社で働き続けた30年戦士のような方もいずれ退職してしまいます。そういったときに備え、頭に入っていることを後世に伝えるために「言って聞かせる」といった企業もあるかもしれません。
しかし説明が上手なベテランもいれば説明下手の方もいませんか?
そういったバラつきを抑えるためにも過去の経験(成功・失敗体験)や過去のプロジェクト経験・記録というものを「文書として残す仕組み」を構築できれば、後世へときちんと伝える・継承することができます。
外部の知識源を活用しよう!
また、よく外部セミナーなども開催されていますよね!例えば、〇〇解析セミナーやISO9001規格セミナーなど、外部から得られる知識源もとても大事です。
そして、顧客や仕入先からも得られる情報は豊富です。特に大手のお客様であれば「サプライヤー品質向上への取り組みセミナー」と題した講義なんかも行ってくれるところもあります。
それらの情報をまとめて知識資料として保管し、後日社内教育に使用して組織の知識をアップデートすることを本要求事項では求めています。
規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?
ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!
※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。
知識データベースを作成しよう!
ISO9001:7.1.6項の組織の知識についての要求事項について前述でお分かりいただけたように、本要求事項では重要なことが3つあるのでしっかり理解しておきましょう!
特に知識のデータベース化が求められます。組織の知識をデータベース化するという点で有名なのが「過去トラ集:過去のトラブル事例集」です。例えば過去に起きた顧客からのクレームを収集し、どのように対策を打ったのかといった事例集は、ISO9001運用のみならず、非常に重要なリストになります。
下図に過去トラ集と外部セミナーリストを事例で添付いたしますので、是非構築の活用の際の参考にしてください。

力量評価で整理する教育訓練管理の考え方
ISO9001やIATF16949では、業務に必要な力量を明確にし、教育訓練を通じて維持・向上させることが求められます。個人ごとのスキルや目標を整理することで、組織として必要な能力とのギャップを把握しやすくなります。力量と業務内容を結び付けて管理することが重要です。
一方で、教育記録だけが残り、力量の評価や育成計画と連動していないケースも少なくありません。そのため、評価基準や育成目標を整理したうえで運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、力量評価と教育訓練管理の進め方をまとめた資料を参考にする方法もあります。
ISO9001:7.1.6項の組織の知識はどこに記載すればいい?
ISO9001:7.1.6項の組織の知識については、品質マニュアルにルールを記載し、知識データベースとなる台帳名とそれを閲覧する部門などを記載したリストを作成しましょう。全てを台帳にリスト化する必要はありませんので、下記のように内容を品質マニュアル内に記載すればOKです。
【重要データベース一覧】
①設計過去トラ集
②工程過去トラ集
③顧客クレーム過去トラ集
④顧客情報リスト
⑤外部セミナー集
⑥作業手順書集
※上記は必要に応じて追加を行う。
ISO9001・ISO14001構築でつまずきやすい点
ISO9001やISO14001は、「何を決めるべきか」「どう見える化するか」といった判断事項が多く、構築の初期段階で迷いやすい規格です。要求事項は理解できても、実際の規定や帳票をどう整えるかで手が止まってしまうケースも少なくありません。
そのため、実務で使われている規定や帳票の考え方を参考にしながら、自社のペースで整理していくことが重要になります。
ISO9001:7.1.6に関するFAQ
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
組織の知識とは、製品・サービスの品質に影響を与える業務遂行に必要な情報やスキルを指します。これは従業員の経験、手順書、データ、業界のベストプラクティスなどを含み、事業の安定性を維持するために必要です。
知識の管理には、明文化(マニュアル化、手順書の整備)や共有システム(研修やデータベースの活用)が有効です。また、定期的に知識を更新・見直しし、退職や異動による知識の喪失を防ぐ仕組みも重要です。
組織の知識が適切に管理されていないと、製品やサービスの品質にばらつきが生じ、ISO 9001の要求事項を満たせないリスクがあります。知識の維持・更新により、安定した品質と顧客満足を確保することが求められます。
ISO9001:7.1.6項の組織の知識:まとめ

ISO9001:7.1.6項の組織の知識についてはいかがでしたでしょうか?
品質マネジメントシステムの根底にあるのは「顧客満足の向上」ですが、その顧客満足を追求するためには仕事の品質を向上させる必要がありますよね!その一つとして仕事のばらつきを抑える、すなわち「職人技」「匠」といわれる方の知識を、組織への伝承していく仕組みが求められてきます。
組織の中で知識を蓄え、一人の職人よりも多くの優秀な社員を育てていくことは、とても重要なことだと思いませんか?それらの方法を教えてくれているのがISO9001:7.16だと私は思っています。
それではまた!









