【IATF16949攻略】8.1.2:機密保持の要求事項徹底解説!

今回はIATF16949:8.1.2の機密保持の規格解釈、構築ポイントについて解説いたします。

皆さんの会社では、会社の中で機密情報漏洩に対する取り組みは行われていますか?特に、自動車産業顧客にとって競合他社について知られてはいけない情報を、組織の中で機密保持として扱われていることがこの要求事項の構築ポイントになっています。


この記事の実務解説
QMS認証パートナー
専属コンサルタント

H.Minamino

製造業25年・自動車業界15年以上の実務経験

IATF16949・ISO9001・VDA6.3を、現場で使える形に落とし込む視点で解説しています。

規格要求事項の解釈だけでなく、審査で説明できる規定づくり、現場で使える帳票、内部監査・顧客監査への対応まで、実務で迷いやすいポイントを中心に整理しています。

専門領域
IATF16949・ISO9001・VDA6.3
得意分野
規定・帳票・監査対応の実務化
支援内容
教材提供・メール相談・個別コンサル

「この解釈でよいのか」「自社の規定や帳票にどう反映すればよいのか」と迷った場合は、QMS認証パートナーの教材・相談メニューもご活用ください。


相談メニューを見る

第8章:運用(8.1~8.3.6.1)についての「要求事項リスト」はこちら
ISO・IATF 8章
※IATF運用には、ISO9001の要求事項の運用が必須です。
条項 題目 ISO9001 IATF
第4章 組織の状況
第5章 リーダーシップ
第6章 計画
第7章 支援
第8章 運用
第9章 パフォーマンス評価
第10章 改善

※8.1項~8.3.6.1項は主に、①営業プロセス②製品設計プロセス③工程設計プロセスが関係します。

条項 題目 ISO
9001
重要
帳票
IATF
16949
重要
帳票
8.1 運用の計画及び管理
8.1.1 運用の計画及び管理-補足
8.1.2 機密保持
8.2.1 顧客とのコミュニケーション
8.2.1.1 顧客とのコミュニケーション-補足
8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
8.2.2.1 製品及びサービスに関する要求事項の明確化-補足
8.2.3.1 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
8.2.3.1.1 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー補足
8.2.3.1.2 顧客指定の特殊特性
8.2.3.1.3 組織の製造フィージビリティ
8.2.3.2 題目無(レビュー結果の保持ルール)
8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
8.3.1 製品及びサービスの設計・開発
8.3.1.1 製品及びサービスの設計・開発-補足
8.3.2 設計・開発の計画
8.3.2.1 設計・開発の計画-補足
8.3.2.2 製品設計の技能
8.3.2.3 組込みソフトウェアを持つ製品の開発
8.3.3 設計・開発へのインプット
8.3.3.1 製品設計へのインプット
8.3.3.2 製造工程設計へのインプット
8.3.3.3 特殊特性
8.3.4 設計・開発の管理
8.3.4.1 監視
8.3.4.2 設計・開発の妥当性確認
8.3.4.3 試作プログラム
8.3.4.4. 製品承認プロセス
8.3.5 設計・開発からのアウトプット
8.3.5.1 設計・開発からのアウトプット-補足
8.3.5.2 製造工程設計からのアウトプット
8.3.6 設計・開発の変更
8.3.6.1 設計・開発の変更-補足

当サイトの情報提供スタンスについて

当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています

規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。

記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。

IATF16949:8.1.2の機密保持の規格解釈

この要求事項の意図は、自動車産業顧客と取引する上で、顧客が自社に対して開示した内容をきちんと機密情報として取扱い、外部へ漏洩しない仕組みを構築することを目的とした要求事項です。

例えばある自動車産業顧客A社の製品開発時期などをA社のライバル企業B社へ情報を漏洩させてしまうと、A社にとって不利益を与えてしまうことは大問題です。

一般的には、顧客との情報漏洩禁止として取引契約書の中で禁止行為として記載されていることがほとんどです。しかし合意したにも関わらず、機密保持の仕組みがなければ情報漏洩をしてしまう可能性がありますよね?

IATF16949:8.1.2の機密保持の要求事項では、それらを未然に防ぐために機密保持の仕組みを構築することを要求しているので、組織の中できちんと構築する必要があります。

機密保持の内容を明確にする

開発段階から(APQPのスタート段階から)機密保持に該当する情報は、機密情報として取扱い、厳重な管理をすることを徹底させる仕組みが必要です。

まずその第一段階として、社内で機密情報として取り扱う情報を明確に決めることが大事。一般的に、顧客にとっての機密情報等は、以下のような内容があげられます。

機密情報として取り扱う代表例
①顧客のマイルストーン:開発日程
②顧客独自の技術情報:特に新技術としている内容
③デザイン情報:例えば新車の形状など
④マーケット情報:顧客がどの消費者層をターゲットにしているかなど

これらの情報が顧客競合他社に漏れてしまうと、取引顧客に大きな損害を与えます。その為、絶対に外部に漏らしてはいけない情報として機密保持を行う必要がありあります。

自社が開発する上でどのような情報を顧客から入手する必要があり、それらのどの内容が機密情報とするのかを社内で決める必要があります。

ISO9001・IATF16949・VDA6.3は、条文の理解と「自社業務への落とし込み」は別物です。文書化や運用判断で生じる迷いを、内部監査・仕入先監査の抱負な実務経験をもつ立場から個別に整理することが可能です!
〔初回メール相談はこちら〕

内部で開示できる情報を整理する

IATF:8.1.2の機密保持を理解したメンバー

構築ポイント①で決められた機密情報に対して、その情報を内部のどの部門やどの担当者までに開示されるのかをきちんと決める必要があります。

構築する上で、例えば以下のように定義するとよいでしょう。

開示範囲の事例
①顧客の開発日程:プロジェクトメンバー
②顧客技術情報:設計部門
③デザイン情報:営業部門・製造部門・営業部門
④マーケット情報:営業部門

社内で全ての情報をオープンにしてしまうと、機密保持を行う上で支障になります。逆にオープンにしないことも支障になるので、必要となる情報を必要な部門・担当者に開示する仕組みを構築することがポイントです。

情報セキュリティーを頑健にする

開示する内容が明確になった後は、内部や外部に漏れない・漏らさない為に、情報セキュリティーの仕組み構築が必要です。例えば、内部漏洩を防止するために、顧客情報を保管しているサーバーのアクセス権を必要に応じて付与することで、内部からの意図的な情報漏洩を防ぐこともできます。

さらに、機密情報を積極的に取り扱う技術室(設計室など)などには、入場制限を行うなども機密保持には効果的です。また、外部からのサイバー攻撃に対する情報漏洩については、情報セキュリティー強化に努める取組及び構築などが機密保持に対しては必要になります。

特に最近では、顧客との情報のやり取りの中で電子媒体経由(メール・CADなど)で行われることも多いので、パスワードで保護した内容を送付するなどの取組も有効です。

情報を漏洩させた者への罰則

最後に情報漏洩を行った者への罰則を決めるようにしましょう。顧客情報を漏洩させるということは、自社の信頼を失うことに繋がります。一般的には就業規則の中に情報漏洩への罰則について言及されている企業が多いと思いますが、大抵は自社の機密情報漏洩に特化したものになっています。

顧客情報漏洩についても機密保持の観点から何らかの罰則を与える仕組みにすることで、IATF16949:8.1.2の機密保持への要求事項についての対応が可能になります。

IATF16949:8.1.2の機密保持の対応はどこに記載すればいい?

前述のように、多くの企業では就業規則の中に機密情報漏洩について記載されていることがあります。就業規則には情報漏洩を禁止すること及び、機密情報には顧客の情報を含むことを明示するとよいでしょう。

また、機密情報の取扱いについては、情報セキュリティー管理規定などを定め、機密保持に努めることが重要です。

8.1.2規定記載ポイント
①機密情報として取り扱う内容
②開示される部門
③機密保持に対するセキュリティーレベル

これらを定義するとより効果的な機密保持が可能となります。

「規定作成をどこから手を付ければいいか分からない」とお悩みの企業様必見!規格対応も、考え方やサンプルを参考に少しずつ整えられます。実務の規定〔IATF16949の規定サンプル〕で確認できます。

IATF16949:8.1.2に関するFAQ

規格対応でよく聞かれる悩み:FAQ

ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といったお客様の声は少なくありません。

また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。

【IATF16949:FAQ】

IATF16949:8.1.2の機密保持の仕組みは、どのように構築すればよいですか?

まず、顧客と契約した機密情報を特定し、その情報が誰に開示されるべきかを明確にすることが重要です。次に、社内での情報管理体制を強化し、アクセス権限やセキュリティ対策を設定します。さらに、顧客情報の管理方法や機密保持に関するルールを明文化し、全従業員に周知徹底させることが求められます。

IATF16949:8.1.2に基づく機密保持対策を実施するために、必要な具体的なセキュリティ対策は何ですか?

セキュリティ対策として、以下のような取り組みが必要です。
・社内の機密情報へのアクセス権限の制限
・顧客情報を管理するサーバーへの厳格なアクセス管理
・機密情報を取り扱う部門での入場制限
・電子メールやファイル送信時にパスワードや暗号化の利用
これらの対策により、内部および外部からの情報漏洩リスクを軽減できます。

機密情報の漏洩が発生した場合、IATFの要求に基づいてどのように対応すべきですか?

機密情報が漏洩した場合、迅速な対応が求められます。まず、漏洩の範囲と原因を特定し、関係者や顧客に報告します。その後、再発防止策を検討し、従業員に対する罰則や教育の強化を実施します。また、情報漏洩が外部からの攻撃による場合は、セキュリティ対策の見直しや強化を検討する必要があります。

IATF16949:8.1.2の機密保持:まとめ

IATF:8.1.2の機密保持②

IATF16949:8.1.2の機密保持の規格解釈および構築ポイントは如何でしたでしょうか?

自動車産業顧客が仕入先に対して機密情報を開示することはリスクであるからこそ、顧客の期待に副える機密保持が重要です。

万が一顧客情報を漏洩させて顧客の信頼を失ってしまっては大変です。その様な事態を未然に防ぐためにも、機密保持について組織的に取り組むようにしましょう!

それではまた!

本記事の内容を、自社の規定・帳票・教育に落とし込む!

IATF16949・ISO9001・VDA6.3は、要求事項を理解するだけでなく、現場で説明できる仕組みにすることが重要です。判断に迷う部分は個別相談で、資料を整えたい場合は教材・サンプルをご活用ください。

まず相談したい方へ
メール相談・個別コンサル監査対応、規格解釈、規定・帳票の考え方を実務目線で確認できます。


サービスを見る

自社で整備したい方はこちら学習教材、社内教育資料、規定サンプル、帳票サンプルを目的別にまとめています。


規格理解
IATF・ISO教材


社内教育
実践教材


規定作成
規定サンプル


記録整備
帳票サンプル


5大ツール
コアツール教材


VDA6.3
VDA6.3教材

品質マネジメントシステム構築・学習支援
QMS認証パートナー
ISO9001・IATF16949・VDA6.3 実務支援
規格理解で終わらせず、監査で説明できる仕組みへ。
記事で規格の考え方を理解しても、自社の規定・帳票・教育・監査対応に落とし込む段階で迷うことは少なくありません。QMS認証パートナーでは、規格解釈から仕組みづくり、社内教育、審査対応までを実務目線で支援しています。
迷ったら、実務者に相談できます
「この解釈でよいのか」「自社の帳票や規定にどう反映すればよいのか」と迷った場合は、目的に合わせて相談方法を選べます。