IATF:8.3.2.2項の製品設計の技能で大事なことは、製品設計を行う担当者が顧客要求を満たす技能を有している客観的証拠を提示できることです。
今回の記事は、IATF:8.3.2.2項の製品設計の技能の意味と構築ポイントについて解説します。
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解(公式に認められたものではない)となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.1項~8.3.6.1項は主に、①営業プロセス②製品設計プロセス③工程設計プロセスが関係します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
8.1 | 運用の計画及び管理 | 〇 | 〇 |
8.1.1 | 運用の計画及び管理-補足 | 〇 | |
8.1.2 | 機密保持 | 〇 | |
8.2.1 | 顧客とのコミュニケーション | 〇 | 〇 |
8.2.1.1 | 顧客とのコミュニケーション-補足 | 〇 | |
8.2.2 | 製品及びサービスに関する要求事項の明確化 | 〇 | 〇 |
8.2.2.1 | 製品及びサービスに関する要求事項の明確化-補足 | 〇 | |
8.2.3.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー | 〇 | 〇 |
8.2.3.1.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー補足 | 〇 | |
8.2.3.1.2 | 顧客指定の特殊特性 | 〇 | |
8.2.3.1.3 | 組織の製造フィージビリティ | 〇 | |
8.2.3.2 | 題目無(レビュー結果の保持ルール) | 〇 | 〇 |
8.2.4 | 製品及びサービスに関する要求事項の変更 | 〇 | 〇 |
8.3.1 | 製品及びサービスの設計・開発 | 〇 | 〇 |
8.3.1.1 | 製品及びサービスの設計・開発-補足 | 〇 | |
8.3.2 | 設計・開発の計画 | 〇 | 〇 |
8.3.2.1 | 設計・開発の計画-補足 | 〇 | |
8.3.2.2 | 製品設計の技能 | 〇 | |
8.3.2.3 | 組込みソフトウェアを持つ製品の開発 | 〇 | |
8.3.3 | 設計・開発へのインプット | 〇 | 〇 |
8.3.3.1 | 製品設計へのインプット | 〇 | |
8.3.3.2 | 製造工程設計へのインプット | 〇 | |
8.3.3.3 | 特殊特性 | 〇 | |
8.3.4 | 設計・開発の管理 | 〇 | 〇 |
8.3.4.1 | 監視 | 〇 | |
8.3.4.2 | 設計・開発の妥当性確認 | 〇 | |
8.3.4.3 | 試作プログラム | 〇 | |
8.3.4.4. | 製品承認プロセス | 〇 | |
8.3.5 | 設計・開発からのアウトプット | 〇 | 〇 |
8.3.5.1 | 設計・開発からのアウトプット-補足 | 〇 | |
8.3.5.2 | 製造工程設計からのアウトプット | 〇 | |
8.3.6 | 設計・開発の変更 | 〇 | 〇 |
8.3.6.1 | 設計・開発の変更-補足 | 〇 |
目次
IATF:8.3.2.2項の製品設計の技能の意味
自動車産業における製品や部品を設計する際、顧客からの要求は非常に高いベルを要求されることが多いです。
そのため、製品設計を担当する者は、必要なレベル達していないと顧客の期待に沿えないことも考えられるので、製品設計担当者に必要な技能・力量を明確にすることが求められます。
この要求事項は、ISO9001:7.2項の力量とも大きく関係し、IATFを構築する際は、設計者の技能を必ず明確にするようにしてください。
次に、最低限必要な製品設計者の技能について要求事項を見ながら解説いたします。
製品設計の技能で求められること
IATF:8.3.2.2項の製品設計の技能の要求事項では、以下のようなことが大事です。
製品設計といえば大前提がCADの技能ですが、IATFの要求事項によると不十分です。以下の内容が最低限対象となるので、力量評価表への追加及び、必要に応じた教育計画が求められます。
②FMEA:リスク分析
③SPC:統計知識
④MSA:測定システム分析
⑤PPAP:製品承認資料の理解
⑥製品安全における関連知識
⑦関連する法令・規制要求事項
⑧関連する信頼性試験内容など
⑨IATFの関連する要求事項の理解
など
製品設計の技能について審査で見られるポイント
IATF:8.3.2.2項の製品設計の技能は、製品設計のプロジェクト担当者の技能をサンプリングして確認されます。
製品設計の技能がどの程度であれば自動車産業の製品に対する設計が可能なのかなどを、社内的なルールを決めておくとよいでしょう。これらは、教育管理規定の中でもよいですし、プロジェクト管理規定の中でも構いません。
「なぜ従事できるのか」という観点で審査されるので、必ずルール化しましょう。
IATF:8.3.2.2に関するFAQ
IATFのメールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
製品設計担当者の技能は、力量評価表を作成して評価するのが一般的です。IATF:8.3.2.2項に基づいて、APQP、FMEA、SPC、MSAなどの適用されるツールや手法についての知識や経験を評価し、必要に応じて教育計画を実施することが求められます。
具体的には、プロジェクト管理(APQP)、リスク分析(FMEA)、統計的プロセス制御(SPC)、測定システム分析(MSA)、製品承認プロセス(PPAP)などが該当します。また、製品安全や法令・規制に関する知識も重要です。これらを適切に運用できることが要求されています。
製品設計に従事する担当者の技能を証明するために、社内で力量評価の基準や教育管理規定を策定することが重要です。また、プロジェクト管理規定においても、誰がどの役割を果たすかを明確にし、「なぜ従事できるのか」を示すルールを整備することが求められます。
IATF:8.3.2.2項の製品設計の技能:まとめ
IATF:8.3.2.2項の製品設計の技能の規格解釈はいかがでしたでしょうか?
自動車部品は、人の命に係わるため厳しい力量を求められることを忘れてはいけません。
新入社員にいきなり設計できるようなことは非常に稀で、多くは専門スキルを有した方が製品設計を行うと思います。その専門スキルが何かを今回の要求事項を参考に構築していきましょう!
それではまた!
当サイトの記事は、個人的な見解を記載したものであり、各規格の代替を目的としたものでもなく、「確実にこうしてください」というものではありません。そのため、「ここって違う気がする」「こんな解釈もあるんだ!」という気付きの場としてご利用いただければと思います。そのため、一切保証していません。
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掲載:2024年12月1日