IATF:8.3.4.3項の試作プログラムの意図は、顧客から要求された場合、可能な限り試作プログラムを作成し、量産工程と同一条件での検証を行うことを意図しています。
今回の記事は、IATF:8.3.4.3項の試作プログラムの意味と構築ポイントについて解説します。
重要:【規定】No.8111_プロジェクト管理規定:IATF版はこちら
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.1項~8.3.6.1項は主に、①営業プロセス②製品設計プロセス③工程設計プロセスが関係します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
8.1 | 運用の計画及び管理 | 〇 | 〇 |
8.1.1 | 運用の計画及び管理-補足 | 〇 | |
8.1.2 | 機密保持 | 〇 | |
8.2.1 | 顧客とのコミュニケーション | 〇 | 〇 |
8.2.1.1 | 顧客とのコミュニケーション-補足 | 〇 | |
8.2.2 | 製品及びサービスに関する要求事項の明確化 | 〇 | 〇 |
8.2.2.1 | 製品及びサービスに関する要求事項の明確化-補足 | 〇 | |
8.2.3.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー | 〇 | 〇 |
8.2.3.1.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー補足 | 〇 | |
8.2.3.1.2 | 顧客指定の特殊特性 | 〇 | |
8.2.3.1.3 | 組織の製造フィージビリティ | 〇 | |
8.2.3.2 | 題目無(レビュー結果の保持ルール) | 〇 | 〇 |
8.2.4 | 製品及びサービスに関する要求事項の変更 | 〇 | 〇 |
8.3.1 | 製品及びサービスの設計・開発 | 〇 | 〇 |
8.3.1.1 | 製品及びサービスの設計・開発-補足 | 〇 | |
8.3.2 | 設計・開発の計画 | 〇 | 〇 |
8.3.2.1 | 設計・開発の計画-補足 | 〇 | |
8.3.2.2 | 製品設計の技能 | 〇 | |
8.3.2.3 | 組込みソフトウェアを持つ製品の開発 | 〇 | |
8.3.3 | 設計・開発へのインプット | 〇 | 〇 |
8.3.3.1 | 製品設計へのインプット | 〇 | |
8.3.3.2 | 製造工程設計へのインプット | 〇 | |
8.3.3.3 | 特殊特性 | 〇 | |
8.3.4 | 設計・開発の管理 | 〇 | 〇 |
8.3.4.1 | 監視 | 〇 | |
8.3.4.2 | 設計・開発の妥当性確認 | 〇 | |
8.3.4.3 | 試作プログラム | 〇 | |
8.3.4.4. | 製品承認プロセス | 〇 | |
8.3.5 | 設計・開発からのアウトプット | 〇 | 〇 |
8.3.5.1 | 設計・開発からのアウトプット-補足 | 〇 | |
8.3.5.2 | 製造工程設計からのアウトプット | 〇 | |
8.3.6 | 設計・開発の変更 | 〇 | 〇 |
8.3.6.1 | 設計・開発の変更-補足 | 〇 |
目次
IATF:8.3.4.3項の試作プログラムで重要なこと
IATF:8.3.4.3項の試作プログラムの意図は、OEMのスケジュールに合わせて、可能な限り量産に近い状態で立ち上げを行っていくことで、量産後の保証を前段階からきちんと実施することを意図しています。
①試作プログラムとは何か
IATF:8.3.4.3項の試作プログラムを簡単に言うと、設計段階の基礎検証のスケジュールや量産移行のための量産試作に対するスケジュールを指します。
このスケジュールで加味すべきことは、顧客のスケジュールであり、顧客のDRや顧客の量産試作段階を考慮したマスタープランが必要になります。
②試作コントロールプランとは何か
量産移行時には、8.3.4.4項のPPAPに基づくコントロールプランの提出が求められますが、顧客の要求によっては、量産試作段階や試作段階でもコントロールプランが要求される場合があります。
これは付属書Aに示されている通り、試作中・量産試作中の寸法測定や性能試験を記述したQC工程図を指します。
つまり、どの段階のQC工程図かがわかるように作成する必要があります。
③可能な限り量産相当の製造工程
IATF:8.3.4.3項の試作プログラムの要求では、可能な限り量産相当の製造工程を試作プログラムとして導入することを求めています。
量産同等の工程は、可能な限りというあいまいな書き方ですが、最低限以下の内容が求められます。
②量産相当の金型(本金型が望ましい)
③量産時使用する供給者
もし、試作→量産試作→量産とステップを踏む中で、QC工程図に変化がある場合は、その部分を赤字などでわかるようにしておくとよいでしょう。
合わせて文書の変更が行われているので、変更履歴をきちんとつけるようにしてください。
④アウトソース先も適用範囲に含める
IATF:8.3.4.3項の試作プログラムの要求事項には、以下のようなことが大事です。
QC工程図を作成するにあたり、試験や工程の一部を外注する(アウトソースする)場合、コントロールプラン上で分かるようにしなくてはなりません。
その管理方式は、8.4項で定める方法が適用されます。
IATF:8.3.4.3項の試作プログラムはどこに記載すればいい?
IATF:8.3.4.3項の試作プログラムの要求事項の内容は、プロジェクト管理規定を作成し社内ルールの統一化が必要になります。
②どのような技術ルールに基づくのか
③設計開発の結果つまり、アウトプットは何か
上記3つは最低限必要になるので、IATFの8.3項全般の構築段階でしっかり作成するようにしてください。
IATF:8.5.1.1項のコントロールプランでは、いわゆるQC工程図の作成方法について要求しています。ISO9001企業では簡易QC工程図が多い中、IATFでは明確な要求事項があるので注意が必要です。そのため、要求事項完全網羅のコントロールプランを作成しましたので、是非ご活用ください!簡単にまとめられるテクニック満載の帳票を格安でご提供いたします!
IATF:8.3.4.3に関するFAQ
IATFのメールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
IATF:8.3.4.3項では、顧客からの要求がある場合に、試作プログラムと試作コントロールプランの作成が義務付けられています。顧客が試作プログラムを要求していない場合でも、プロジェクト進行の透明性やリスク管理の観点から、独自に試作プログラムを設けることを推奨しています。
これらはプロジェクト管理におけるDRの徹底度とリンクするので、弊社販売中のプロジェクト管理規定を参考にしてみてくださいね!
⇒【規定】No.8111_プロジェクト管理規定:IATF版
可能な限り量産と同じ供給者、治工具、設備を使用することが求められています。これにより、量産時の問題を試作段階で発見し、対策を講じることができます。場合によっては、量産移行をスムーズにするため、試作段階での最適化が必要になることもあります。この場合、特殊特性を図る計測機器もMSAの対象にすべき必要性があるので、MSA計画を検討する余地があります。
弊社販売中の自動計算付き:ゲージR&R帳票を是非ご活用ください。
⇒【帳票】No.71511-1_GageR&R解析ツール
IATF:8.3.4.3項では、試作プログラムや工程の一部を外注する場合、その外注先が規格の要求事項に適合していることを確実にするための管理方法を定める必要があります。具体的には、QC工程図やコントロールプランに外注の管理方法を明記し、外注先のプロセスも社内の品質マネジメントシステムに含める必要があります。
ポイントとして、試作だけを依頼する外注先であれば、評価対象としないなどもルール化しておくと便利です。
購買管理は、購買管理規定を作成し対応する必要があるので、弊社販売中の規定を是非参考にしてみてくださいね!
⇒【規定】No.8401_購買管理規定:IATF版
IATF:8.3.4.3項の試作プログラム:まとめ
IATF:8.3.4.3項の試作プログラムの要求事項のにおける規格解釈はいかがでしたでしょうか?
自動車産業顧客によっては、量産のコントロールプラン(QC工程図)だけではなく、試作プログラム(マスタースケジュール)及び、試作コントロールプランを要求する顧客も存在します。
顧客要求が無いかなどは、忘れないようにチェックしてくださいね!
それではまた!
IATF16949&ISO9001の構築ご支援:メールにて承ります!
A:月額20,000円のメールコンサルティングサービスには、IATF・ISO9001における品質マネジメントシステムに関する質問への回答、プロセス構築と改善のアドバイス、規格要求事項に関するご説明などが含まれます。メールでのやり取りを通じて、貴社の状況に応じた具体的なサポートを提供しいたしております。
A:基本的には月に何度でもメールで質問を送っていただいてOKです。ただし、回答には通常1〜3営業日を頂いております(多くはその日の内に回答可能です!)。やり取りの回数に制限はありませんが、1つのメールにつき明確な質問やテーマを設定していただくようお願いしております。
A:現在のサービスはメールのみの対応となっておりますが、追加料金にて電話やビデオ会議での相談も承ります。詳細については別途お問い合わせください。
※2024年現在は、メールコンサルティング以外数カ月先まで予約がいっぱいとなっております。空き次第、弊社HPでアナウンス致します。
A:はい、もちろんです。初心者の方でもわかりやすく丁寧にサポートいたします。初めての導入に必要なステップや、どのように進めていくべきかも具体的にアドバイスいたしますので、安心してご利用ください。
A:サービスの解約は、次回請求日の2週間前までにメールにてご連絡いただければ対応いたします。解約にあたって特別な手続きは必要なく、解約後は翌月から請求されません。また、一度解約しても何度でも契約できますのでご安心ください。ただし、銀行振込の場合、一度でもその月に質問されますと請求が発生しますので、あらかじめご了承ください。
『IATF 16949』はInternational Automotive Task Force(IATF)の登録商標です。当サービスはIATFの認定を受けたものではなく、独自に認証取得を支援するサービスを提供しています。
※当サービスおよび教材は、IATF16949の認証取得を支援するための情報を提供するものであり、認証取得を保証するものではありません。認証の可否は審査機関の判断によります。
弊社では、ISO9001・IATF・VDA6.3の導入支援、運用改善、QMSの認証取得のサポートを提供しています。さらに、業界特有のニーズに応じたカスタマイズコンサルティングも可能です。コンサルティングのご依頼は、下記のフォームよりご連絡ください。
⇒無料相談ご依頼フォームはこちら
料金はコンサルティングの範囲や企業の規模によって異なります。短期的なアドバイスから長期的なプロジェクト支援まで幅広く対応しており、初回の無料相談で見積もりをご案内いたします。一般的なプランについては、下記のリンクをご確認ください。
⇒現地コンサルティング費用について
⇒メールコンサルティング費用について
弊社では、ISO9001・IATF認証及びVDA6,3構築に向けたギャップ分析、文書化支援、内部監査の実施、マネジメントレビューのサポートと認証機関手続き支援など、全プロセスをサポートします。お客様の状況に応じた個別対応も可能です。
2024年現在では以下のようになっています。
1位:【人気教材】IATF/ISO9001_全章対応_構築ノウハウ解説
2位:【まとめ買い】IATF用:内部監査必須帳票6点セット
3位:【IATF/ISO9001】オンライン簡易コンサル
4位:【人気教材】VDA6.3:第4版_規格徹底解説!全プロセス完全網羅版
5位:【規定】No.7151_計測機器・試験所管理規定:IATF版
弊社でご提供している帳票や規定類は、基本的には汎用性の高いものですので、貴社内のニーズに合わせてカスタマイズしていただくことが前提です。メールコンサルティングを併用していただきながら、弊社サポートのうえでカスタマイズされるお客様も多くなっております。
決済購入後、デジタルコンテンツはダウンロード形式でご提供いたしております。すぐに使用可能な状態で、PDFやExcel、Word形式など、お客様のニーズが最も多いファイル形式となっております。デジタルコンテンツの性質上、事前お振込または、クレジットカード払いが基本となりますが、ご要望に応じて柔軟に対応させていただきます。
⇒お問い合わせページはこちら
はい。ただし、QMS認証後は一度契約は打ち切りとなり、その後はサポート契約となります。QMSの運用を継続的にサポートするための定期的なコンサルティングサービスとなり、直近の事例として、月次または四半期ごとのレビューや改善提案、内部監査の実施など、長期的なサポートプランもご利用いただいております。サポートの場合は、メールコンサルティングがお得です。
⇒メールコンサルティングサービスはこちら
弊社のデジタルコンテンツは、法規制や要求事項の変更に対応するために定期的に更新しています。また、よりお客様のご希望に沿うために不定期で更新しております。既にご購入いただいたお客様には、更新版のコンテンツを割引価格でご提供できる場合もございますので、お気軽にお問い合わせください。
⇒お問い合わせはこちら