
ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」では、設計・開発のインプット要求を確実に満たし、後工程(製造・検証・サービス提供など)に正確かつ適切な情報を引き渡すことを求めています。これは、設計段階での不備や伝達ミスによる品質問題を未然に防ぐための重要な要求事項です。
本記事では、ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」の要求事項の意味をわかりやすく整理し、実務でどのように設計アウトプットを管理・構築すべきか、そのポイントについて解説します。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.1項~8.3.6.1項は主に、①営業プロセス②製品設計プロセス③工程設計プロセスが関係します。
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 8.1 | 運用の計画及び管理 | 〇 | 〇 | ||
| 8.1.1 | 運用の計画及び管理-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.1.2 | 機密保持 | 〇 | |||
| 8.2.1 | 顧客とのコミュニケーション | 〇 | 〇 | ||
| 8.2.1.1 | 顧客とのコミュニケーション-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.2.2 | 製品及びサービスに関する要求事項の明確化 | 〇 | 〇 | ||
| 8.2.2.1 | 製品及びサービスに関する要求事項の明確化-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.2.3.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.2.3.1.1 | 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー補足 | 〇 | |||
| 8.2.3.1.2 | 顧客指定の特殊特性 | 〇 | ● | ||
| 8.2.3.1.3 | 組織の製造フィージビリティ | 〇 | ● | ||
| 8.2.3.2 | 題目無(レビュー結果の保持ルール) | 〇 | 〇 | ||
| 8.2.4 | 製品及びサービスに関する要求事項の変更 | 〇 | 〇 | ||
| 8.3.1 | 製品及びサービスの設計・開発 | 〇 | 〇 | ||
| 8.3.1.1 | 製品及びサービスの設計・開発-補足 | 〇 | |||
| 8.3.2 | 設計・開発の計画 | 〇 | 〇 | ||
| 8.3.2.1 | 設計・開発の計画-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.3.2.2 | 製品設計の技能 | 〇 | ● | ||
| 8.3.2.3 | 組込みソフトウェアを持つ製品の開発 | 〇 | |||
| 8.3.3 | 設計・開発へのインプット | 〇 | 〇 | ||
| 8.3.3.1 | 製品設計へのインプット | 〇 | |||
| 8.3.3.2 | 製造工程設計へのインプット | 〇 | |||
| 8.3.3.3 | 特殊特性 | 〇 | ● | ||
| 8.3.4 | 設計・開発の管理 | 〇 | 〇 | ● | |
| 8.3.4.1 | 監視 | 〇 | ● | ||
| 8.3.4.2 | 設計・開発の妥当性確認 | 〇 | |||
| 8.3.4.3 | 試作プログラム | 〇 | |||
| 8.3.4.4. | 製品承認プロセス | 〇 | ● | ||
| 8.3.5 | 設計・開発からのアウトプット | 〇 | 〇 | ||
| 8.3.5.1 | 設計・開発からのアウトプット-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.3.5.2 | 製造工程設計からのアウトプット | 〇 | ● | ||
| 8.3.6 | 設計・開発の変更 | 〇 | 〇 | ||
| 8.3.6.1 | 設計・開発の変更-補足 | 〇 |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
この記事の目次
ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」を理解するにはタートル図が不可欠

ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」を正しく理解するためには、タートル図(タートルチャート)の作成が欠かせません。タートル図における「インプット(③)」に基づいて設計開発の活動(①)を実施し、その結果として得られる成果物が「アウトプット(⑥)」にあたります。
このアウトプットこそが、ISO9001:8.3.5項で求められている要求事項の核心部分です。つまり、設計開発の成果が後工程(製造・検査・サービス提供など)に適切に引き渡され、次のプロセスで有効に活用できる状態にあることが求められています。
次に、ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」で示されている具体的な要求内容をひとつずつ見ていきましょう。
タートル図で整理するプロセス定義の考え方
IATF16949やISO9001では、各プロセスの目的や責任、インプット・アウトプット、指標などを明確に定義することが求められます。その整理方法の一つがタートル図(タートルチャート)です。プロセスを俯瞰して可視化できるため、役割や管理項目の抜け漏れを確認しやすくなります。
一方で、どの項目をどこまで記載すべきかで迷うケースも少なくありません。そのため、プロセス定義の視点を整理したうえでタートル図を活用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、タートル図を用いたプロセス定義の進め方を分かりやすくまとめた資料を参考にする方法もあります。
a)設計・開発へのインプット要求を確実に満たす
ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」では、ISO9001:8.3.3項「設計・開発へのインプット」で定義された要求事項を確実に満たすことが求められています。つまり、設計段階で与えられた条件(法令・機能要求・性能・安全性・適合性など)を、検証および妥当性確認の結果として満たしていることを示す必要があります。
この要求の意図は、設計開発の成果物が「意図した目的を果たすか」「顧客や規格要求を確実に反映しているか」を明確にすることです。したがって、設計アウトプットは必ずインプットとの対応関係が確認できるよう、設計記録やレビュー結果などの文書化された情報として残すことが重要です。
b)後工程に対して適切なアウトプットを提供する

ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」では、設計結果が後工程(購買プロセス・製造工程設計プロセスなど)に適切に引き渡されることが求められています。設計段階で不備や曖昧な情報が残ったまま次の工程へ移行すると、製造現場でのトラブルや品質不良、手戻りといったリスクを引き起こします。
特に、課題や懸念点が残っているにもかかわらず、デザインレビュー(DR)で承認して後工程へ引き渡すような運用は避けなければなりません。これは顧客に影響を与えるだけでなく、後工程に大きな負担をかける結果となります。
後工程との関係を明確にするためには、プロセスマップ(ISO9001:4.4.1項)を参照し、設計プロセスとその後のプロセスのつながりを整理しておくことが効果的です。これにより、情報伝達の抜け漏れを防ぎ、スムーズな工程移行が可能になります。
c)検査に必要な基準を明確にする

ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」では、量産やサービス提供の段階で適切な合否判定が行えるよう、検査に必要な基準や条件を明確にすることが求められています。設計開発の段階で判定基準が曖昧なままでは、後工程で不良や判断ミスが発生しやすくなります。
たとえば、製品寸法の設計において公差が設定されていなければ、量産後に検査担当者がどの値を基準に合否を判断すべきか迷ってしまいます。こうした事態を防ぐために、寸法・性能・外観・機能などの検査基準を明文化し、検査方法や使用する測定器も明確にした状態でアウトプットすることが重要です。
このように、検査に必要な基準を設計段階で整備しておくことで、量産移行後の品質の安定と検査効率の向上していくことに期待できます。
規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?
ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!
※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。
d)製品の「意図した目的」を明確にする
ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」では、設計・開発した製品がどのような目的で使用されるのか、その「意図した目的」を明確にすることが求められています。これは、製品の使用条件を明確にすることで、誤使用や想定外のトラブルを防止し、顧客満足を確実にするための要求です。
具体的には、顧客と取り交わす納入仕様書や取扱説明書などに、「冷却を目的とする」「加熱用」「使用温度範囲」「使用電圧」「湿度条件」などの情報を明記します。これにより、製品の性能が発揮される範囲や、使用上の制約を正確に伝えることができます。
このように、設計段階で製品の「意図した目的」を定義し、後工程(製造・品質保証・顧客対応など)へ確実にアウトプットすることが、品質保証を行う上でとても重要です。
e)設計・開発のアウトプット結果は必ず文書化し、保持する
ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」では、設計結果を文書化し、記録として保持することが求められています。後工程に対して口頭や断片的な説明で情報を伝達すると、誤解や認識のズレが生じ、重大な不具合や品質問題につながるリスクがあります。
そのため、設計・開発のアウトプットは必ず正式な文書として引き渡すことが必要です。代表的な文書としては、設計図面、技術要求書、仕様書、基礎検証記録、設計レビュー記録などが挙げられます。これらは後工程が設計意図を正確に理解し、要求通りに製造・検証を行うための重要な情報源なので、必ず保管してください。
また、これらの文書は変更や改訂が発生した際にも追跡できるよう、版数管理(改訂履歴の保持)を徹底することが望まれます。これにより、設計内容の正確性と一貫性を長期的に保証できることに期待できます。
ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」はどこに記載すればよい?
ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」への対応は、プロジェクト管理規定の中に、製品設計開発における「インプット」と「アウトプット」の関係を明確に定義することで担保できます。設計プロセスのどの段階で、どの情報が次工程へ引き渡されるのかを文書化しておくことが重要です。
また、このインプット・アウトプットの対応関係は、タートル図(タートルチャート)で示すことも有効です。プロジェクト管理規定の中に「製品設計プロセスは、タートル図に基づきインプットおよびアウトプットを管理する」といった一文を記載しておくことで、文書構成を簡潔に保ちながら、プロセスアプローチの要求にも適合できます。
このように、プロジェクト管理規定とタートル図を連携させることで、設計アウトプットの妥当性と引き渡しの確実性を一体的に管理することが可能になります。
ISO9001・ISO14001構築でつまずきやすい点
ISO9001やISO14001は、「何を決めるべきか」「どう見える化するか」といった判断事項が多く、構築の初期段階で迷いやすい規格です。要求事項は理解できても、実際の規定や帳票をどう整えるかで手が止まってしまうケースも少なくありません。
そのため、実務で使われている規定や帳票の考え方を参考にしながら、自社のペースで整理していくことが重要になります。
ISO9001:8.3.5に関するFAQ
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
設計・開発のアウトプットとは、製品やサービスの仕様書、作業指示書、図面、製造手順書など、次のプロセスに必要な情報を指します。具体的には、製品の品質要件を満たし、顧客のニーズに合致することが求められます。
アウトプットは、使用前に検証され、設計目標と整合する必要があります。これには、性能・安全性・法令遵守が含まれ、また顧客の合意を得る場合も重要です。さらに、実行可能で分かりやすい形式で提供されることが求められます。
アウトプットが不十分だと、製品の不良やプロセスのエラー、顧客満足度の低下を招くリスクがあります。また、再設計が必要になる場合、コストや納期の遅延につながります。品質マネジメントでは、リスク軽減のためのアウトプットの十分な評価が不可欠です。
ISO9001:8.3.5項の設計開発からのアウトプット:まとめ

ISO9001:8.3.5項「設計・開発からのアウトプット」の要求事項では、設計・開発プロセスで得られた成果物(アウトプット)を、次の工程に正確かつ適切に引き渡すことが求められています。この要求は、設計段階でのインプット要求を満たすだけでなく、後工程がスムーズに作業を進められるようにするための重要なポイントです。
また、本要求事項はデザインレビュー(DR)と密接に関連しており、プロジェクト全体を俯瞰して管理するためには、製品設計プロセスのタートル図の作成が不可欠です。これにより、設計プロセスの流れと責任を明確にし、変更や問題発生時の対応も容易になります。
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