
ISO9001:7.5.1項の一般では、品質マネジメントシステムに該当する文書の維持と保持について記載されています。組織が必要とする文書化した情報についての基本的な考え方をきちんと理解しましょう。
今回の記事は、ISO9001:7.5.1項の一般(文書化した情報)の意味と構築ポイント解説します。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 7.1.1 | 一般(資源計画) | 〇 | ● | 〇 | |
| 7.1.2 | 人々 | 〇 | ● | 〇 | |
| 7.1.3 | インフラストラクチャ | 〇 | ● | 〇 | |
| 7.1.3.1 | 工場、施設及び設備の計画 | 〇 | ● | ||
| 7.1.4 | プロセスの運用に関する環境 | 〇 | ● | 〇注記 | |
| 7.1.4.1 | プロセスの運用に関する環境-補足 | 〇 | ● | ||
| 7.1.5 7.1.5.1 |
一般(監視及び測定のための資源) | 〇 | 〇 | ||
| 7.1.5.1.1 | 測定システム解析 | 〇 | ● | ||
| 7.1.5.2 | 測定のトレーサビリティ | 〇 | 〇注記 | ||
| 7.1.5.2.1 | 校正/検証の記録 | 〇 | ● | ||
| 7.1.5.3.1 | 内部試験所 | 〇 | ● | ||
| 7.1.5.3.2 | 外部試験所 | 〇 | ● | ||
| 7.1.6 | 組織の知識 | 〇 | 〇 | ||
| 7.2 | 力量 | 〇 | 〇 | ● | |
| 7.2.1 | 力量-補足 | 〇 | |||
| 7.2.2 | 力量-業務を通じた教育訓練(OJT) | 〇 | |||
| 7.2.3 | 内部監査員の力量 | 〇 | ● | ||
| 7.2.4 | 第二者監査員の力量 | 〇 | ● | ||
| 7.3 | 認識 | 〇 | 〇 | ||
| 7.3.1 | 認識-補足 | 〇 | |||
| 7.3.2 | 従業員の動機付け及びエンパワーメント | 〇 | |||
| 7.4 | コミュニケーション | 〇 | ● | 〇 | |
| 7.5.1 | 一般(文書化した情報) | 〇 | 〇 | ||
| 7.5.1.1 | 品質マネジメントシステムの文書類 | 〇 | |||
| 7.5.2 | 作成及び更新 | 〇 | 〇 | ||
| 7.5.3 7.5.3.1 7.5.3.2 |
文書化した情報の管理 | 〇 | 〇 | ||
| 7.5.3.2.1 | 記録の保管 | 〇 | |||
| 7.5.3.2.2 | 技術仕様書 | 〇 |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
この記事の目次
ISO9001:7.5.1項の一般の意図

ISO9001:7.5.1項の一般(文書化した情報)の要求事項では、品質マネジメントシステムにおける文書化した情報を組織の中で特定し、維持・保持することを求めています。
文書化した情報(文書化すべき情報)の程度は、組織の規模や複雑さによって決定するので、大事なことは、自分たちでその情報の程度を決定することです。
文書化した情報の大前提は、各条項で文書化した情報についての維持・保持の要求があるものは、それらをきちんと管理していないこと。それができていないと不適合となります。
ISO9001の維持と保持の言葉は超重要!
また、維持と保持については、他項でも説明していますが重要な文言なので、もう一度おさらいしておきましょう。
必要に応じて改訂し、継続的に使用可能な状態にする。
例:規定・帳票(記録用紙のフォーマット)・作業手順書など
②保持
定められた期間、内容を変更せず保管すること。
例:工程チェックリスト
関連要求事項
ISO9001:4.4.2のQMS文書管理
これらのルールに基づき、品質マネジメントシステムに関する文書化した情報をきちんと管理された状態であることが審査・監査で確認されます。
責任と権限で整理する組織運営の考え方
ISO9001やIATF16949では、各業務に対する責任と権限を明確にし、組織として一貫した運営ができる体制を整えることが求められます。役割分担を整理することで、判断の遅れや責任の所在不明といった問題を防ぎやすくなります。組織図だけでなく、実際の業務との対応関係を明確にすることが重要です。
一方で、形式的な分掌表にとどまり、実務と乖離してしまうケースも少なくありません。そのため、業務内容と責任範囲を具体的に整理したうえで運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、責任と権限の整理方法をまとめた資料を参考にする方法もあります。
利用可能な状態=いつでも取り出して使えること
もう一つ重要な用語として、「利用可能な状態」というのがあります。この意味は、いつでも取り出せる状態のことです。例えば、サーバー管理や紙ベースのファイル保管管理などがあげられます。ルールBOOKや帳票を作っても、それが使えない状態(取り出せない状態)だと何も意味がありません。
次に、具体的に文書化した情報の維持・保持の要求がある条項についてみてみましょう。
規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?
ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!
※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。
ISO9001要求:文書化した情報の[維持]
ISO9001で文書化した情報の維持が求められている要求事項をまとめてみました。
| 条項 | 題目 |
| 4.3 | 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 |
| 4.4.2 | (プロセスの実行度の要求) |
| 5.2.2 | 品質方針の伝達 |
| 6.2.1 | 品質目標及びそれを達成するための計画策定 |
| 8.1 | 運用の計画及び管理 |
ISO9001要求:文書化した情報の[保持]
ISO9001で文書化した情報の保持が求められている要求事項をまとめてみました。
| 条項 | 題目 |
| 4.4.2 | (プロセスの実行度の要求) |
| 7.1.5.1 | (校正の記録) |
| 7.1.5.2 | 測定のトレーサビリティ |
| 7.2 | 力量 |
| 8.1 | 運用の計画及び管理 |
| 8.2.3.2 | (レビューの結果) |
| 8.3.3 | 設計・開発へのインプット |
| 8.3.4 | 設計・開発の管理 |
| 8.3.5 | 設計・開発からのアウトプット |
| 8.3.6 | 設計・開発の変更 |
| 8.4.1 | 一般 |
| 8.5.2 | 識別及びトレーサビリティ |
| 8.5.3 | 顧客又は外部提供者の所有物 |
| 8.5.6 | 変更の管理 |
| 8.6 | 製品及びサービスのリリース |
| 8.7.2 | (処置の記録) |
| 9.1.1 | 一般 |
| 9.2.2 | (監査の証拠) |
| 9.3.3 | マネジメントレビューからのアウトプット |
| 10.2.2 | (不適合の是正処置記録) |
文書化した情報を[利用可能な状態]にする要求事項
ISO9001の内容で、文書化した情報を「利用可能な状態」にする要求事項をまとめてみました。
| 条項 | 題目 |
| 4.3 | 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 |
| 5.2.2 | 品質方針の伝達 |
| 8.3.2 | 設計・開発の計画 |
| 8.5.1 | 製造及びサービス提供の管理 |
ISO9001・ISO14001構築でつまずきやすい点
ISO9001やISO14001は、「何を決めるべきか」「どう見える化するか」といった判断事項が多く、構築の初期段階で迷いやすい規格です。要求事項は理解できても、実際の規定や帳票をどう整えるかで手が止まってしまうケースも少なくありません。
そのため、実務で使われている規定や帳票の考え方を参考にしながら、自社のペースで整理していくことが重要になります。
ISO9001:7.5.1に関するFAQ
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
文書化した情報は、組織のプロセスが標準化され、品質管理が一貫して行われるための基盤です。これにより、業務が正確に実行され、ミスの削減や顧客満足の向上につながります。また、証拠として残ることで、内部監査や外部審査に対応する際の根拠にもなります。
いいえ。ISO 9001は、必要な範囲に限った文書化が必要です。プロセスの複雑さや重要度、影響度に応じて、柔軟に文書化の範囲を決定します。目的は、品質の維持・向上に貢献することであり、過度な文書化は推奨されていません。
文書は、作成・更新・配布の管理が適切に行われる必要があります。これには、最新のバージョンを使用することの保証、古い文書の廃棄手順、およびアクセス権の制限が含まれます。これにより、業務の混乱や誤用のリスクを低減することができます。
ISO9001:7.5.1項の一般:まとめ

ISO9001:7.5.1項の一般の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか。ISO9001:7.5.1項の一般の要求事項では、文書化した情報の維持・保持が求められています。
この要求事項に該当する各条項に対して文書化した情報の維持・保持・利用可能な状態が対応できていない場合は不適合とみなされる可能性が非常に高いです。
今回ご紹介している維持・保持に該当する条項をしっかり確認し、対応されているかをしっかりと内部監査で確認するようにしてくださいね!
それではまた!









