IATF16949:8.7.1.6項の顧客への通知の要求事項では、不適合品を出荷してしまった可能性込みで、顧客への速やかな通知と品質是正プロセスの発動が本項のポイントです。
今回の記事は、IATF16949:8.7.1.6項の顧客への通知の要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。
重要:【規定】No.8710_不適合品処理管理規定:IATF16949版はこちら
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.5項~8.7.2項は主に、①製造プロセス②生産管理プロセス③品質管理プロセスが関係します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF16949 |
8.5 8.5.1 |
製造及びサービス提供 | 〇 | 〇注記 |
8.5.1.1 | コントロールプラン | 〇 | |
8.5.1.2 | 標準作業-作業者指示書及び目視標準 | 〇 | |
8.5.1.3 | 作業の段取り替え検証 | 〇 | |
8.5.1.4 | シャットダウン後の検証 | 〇 | |
8.5.1.5 | TPM | 〇 | |
8.5.1.6 | 生産治工具並びに製造・試験・検査の治工具及び設備の運用管理 | 〇 | |
8.5.1.7 | 生産計画 | 〇 | |
8.5.2 | 識別及びトレーサビリティ | 〇 | 〇注記 |
8.5.2.1 | 識別及びトレーサビリティ-補足 | 〇 | |
8.5.3 | 顧客又は外部提供者の所有物 | 〇 | 〇 |
8.5.4 | 保存 | 〇 | 〇 |
8.5.4.1 | 保存-補足 | 〇 | |
8.5.5 | 引き渡し後の活動 | 〇 | 〇 |
8.5.5.1 | サービスからの情報のフィードバック | 〇 | |
8.5.5.2 | 顧客とのサービス契約 | 〇 | |
8.5.6 | 変更の管理 | 〇 | 〇 |
8.5.6.1 | 変更の管理-補足 | 〇 | |
8.5.6.1.1 | 工程管理の一時的変更 | 〇 | |
8.6 | 製品及びサービスのリリース | 〇 | 〇 |
8.6.1 | 製品及びサービスのリリース-補足 | 〇 | |
8.6.2 | レイアウト検査及び機能試験 | 〇 | |
8.6.3 | 外観品目 | 〇 | |
8.6.4 | 外部から提供される製品及びサービスの検証および受入れ | 〇 | |
8.6.5 | 法令・規制への適合 | 〇 | |
8.6.6 | 合否判定基準 | 〇 | |
8.7 8.7.1 |
不適合なアウトプットの管理 | 〇 | 〇 |
8.7.1.1 | 特別採用に対する顧客の正式許可 | 〇 | |
8.7.1.2 | 不適合製品の管理-顧客規定のプロセス | 〇 | |
8.7.1.3 | 疑わしい製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.4 | 手直し製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.5 | 修理製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.6 | 顧客への通知 | 〇 | |
8.7.1.7 | 不適合製品の廃棄 | 〇 | |
8.7.2 | (不適合製品関連の記録保持) | 〇 | 〇 |
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目次
IATF16949:8.7.1.6項の顧客への通知の意味
IATF16949:8.7.1.6項の顧客への通知の要求事項では、不適合品やその疑いがあるような製品が出荷された可能性、出荷しまった場合、躊躇なく顧客へ報告すること意図しています。
私自身日本/中国企業の仕入先監査を多く実施してきましたが、顧客へ報告せず且つ「自社内で全数検査して対処したのでOK」と記録しているメーカーが散見されています。
本要求事項に基づき、きちんと対処しないと「顧客への通知を怠った」となり不適合になるケースが多いので、しっかり対応してください。
次に、要求事項について解説します。
不適合品を出荷した「可能性」で顧客への通知を判断するルール化!
IATF16949:8.7.1.6項の顧客への通知の要求事項には、以下のように記載されています。
「不適合品が出荷されたことが確実な場合のみ顧客へ報告」という企業が多いですが、これはだめです。
リコールが起きる多くの場合、「出荷された可能性」がある製品の方が強いため、顧客への通知の判断は強力でなければなりません。
顧客の信頼を失うのは、通知をしていないことであり、通知をしてくれれば顧客側も対処がしやすいので「正直に言う」ことが大事だと肝に銘じてください。
顧客への通知の最短ルートを構築する!
IATF16949:8.7.1.6項の顧客への通知の要求事項には、以下のように記載されています。
初回の伝達を最短時間で通達できる仕組みの構築が必要です。
特に連絡ルート・方法・担当者・責任者は明確に決定し、不適合品処理管理規定に記載してください。
特に、最短目標となる「通知までの日数」を定義しておくと、審査・監査でもわかりやすいので非常におすすめです。
顧客への通知と同時に、きちんと品質是正についてのプロセスを発動することも併せて重要です。
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ISO9001:8.7.1項の不適合なアウトプットの管理の要求事項のポイントは、異常品の処理を完全にクローズするためのプロセス管理された帳票が重要。IATF16949で求められる不適合からの様々な是正(真の原因追求・手直し/修理・変更管理)も完全網羅!審査・監査で必ず見られる帳票なので、抜けがない仕組み構築のノウハウ満載の帳票を格安で販売中!
IATF16949:8.7.1.6に関するFAQ
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IATF16949:8.7.1.6項の要求事項に基づき、不適合品が出荷された「可能性」でも、顧客への速やかな通知が求められます。顧客が早期に対応できることで、さらなる品質問題の拡大や信頼喪失を防ぐことができるためです。適切な通知が行われない場合、リコールやクレームが発生するリスクが高まります。
通知プロセスを構築する際には、迅速な初回通知ができる仕組みが重要です。連絡ルート、担当者、責任者を明確に決定し、不適合品処理管理規定に記載することで、スムーズな通知が可能となります。また、通知までの日数を明確に定義し、監査でも簡単に説明できるようにしておくと効果的です。
顧客への通知後は、品質是正プロセスをすぐに発動することが必要です。具体的には、不適合品の原因を調査し、再発防止策を策定・実施することが求められます。また、顧客には詳細な文書を提供し、進捗状況を報告することで信頼関係を築くことができます。
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⇒【帳票】No.8710_異常品質改善対策書
⇒【帳票】No.8711_特別採用申請表
IATF16949:8.7.1.6項の顧客への通知:まとめ
IATF16949:8.7.1.6項の顧客への通知の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?
「顧客へ通知すべきことをしない」といったことが原因で、リコール問題に発展してしまうことはよくあります。
不適合品を出荷してしまった可能性込みで、顧客への速やかな通知と品質是正プロセスの発動が本項のポイントです。
不適合品処理管理規定にこれらの通達プロセスを定め、顧客への通知を怠らないようにしましょう!
それではまた!
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