
IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項では、外部提供者から得られる納品物の受入検査方式を、外部提供者パフォーマンス評価(リスク評価)を基に決定し、実施することを意図しています。
今回の記事は、IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
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| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.5項~8.7.2項は主に、①製造プロセス②生産管理プロセス③品質管理プロセスが関係します。
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 8.5 8.5.1 |
製造及びサービス提供 | 〇 | ● | 〇注記 | |
| 8.5.1.1 | コントロールプラン | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.2 | 標準作業-作業者指示書及び目視標準 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.3 | 作業の段取り替え検証 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.4 | シャットダウン後の検証 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.5 | TPM | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.6 | 生産治工具並びに製造・試験・検査の治工具及び設備の運用管理 | 〇 | |||
| 8.5.1.7 | 生産計画 | 〇 | ● | ||
| 8.5.2 | 識別及びトレーサビリティ | 〇 | ● | 〇注記 | |
| 8.5.2.1 | 識別及びトレーサビリティ-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.3 | 顧客又は外部提供者の所有物 | 〇 | 〇 | ||
| 8.5.4 | 保存 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.5.4.1 | 保存-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.5 | 引き渡し後の活動 | 〇 | 〇 | ||
| 8.5.5.1 | サービスからの情報のフィードバック | 〇 | |||
| 8.5.5.2 | 顧客とのサービス契約 | 〇 | |||
| 8.5.6 | 変更の管理 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.5.6.1 | 変更の管理-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.6.1.1 | 工程管理の一時的変更 | 〇 | |||
| 8.6 | 製品及びサービスのリリース | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.6.1 | 製品及びサービスのリリース-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.6.2 | レイアウト検査及び機能試験 | 〇 | ● | ||
| 8.6.3 | 外観品目 | 〇 | ● | ||
| 8.6.4 | 外部から提供される製品及びサービスの検証および受入れ | 〇 | ● | ||
| 8.6.5 | 法令・規制への適合 | 〇 | |||
| 8.6.6 | 合否判定基準 | 〇 | |||
| 8.7 8.7.1 |
不適合なアウトプットの管理 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.7.1.1 | 特別採用に対する顧客の正式許可 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.2 | 不適合製品の管理-顧客規定のプロセス | 〇 | |||
| 8.7.1.3 | 疑わしい製品の管理 | 〇 | |||
| 8.7.1.4 | 手直し製品の管理 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.5 | 修理製品の管理 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.6 | 顧客への通知 | 〇 | |||
| 8.7.1.7 | 不適合製品の廃棄 | 〇 | ● | ||
| 8.7.2 | (不適合製品関連の記録保持) | 〇 | 〇 |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
この記事の目次
IATF16949:8.6.4項は購買部品の受入検査のこと
IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項では、購買部品例えば、製品に使用される部品や材料そして工程の一部を外注化した製品の品質を保証するための受入検査を、本要求事項から最低一つを選んで実施することを意図します。
多くのISO9001取得企業であれば、それほど難しくない要求事項ですが、一つずつ解説していきます。
仕入先取得の統計データ(出荷検査成績書)の活用
IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項に対応するために、これからIATFを取得しようと思っている企業様(ISO9001取得企業)では、納入製品の品質保証=受入検査と解釈されてひたすら受入検査を実施していること多いです。
しかし、IATF16949の要求事項にあるように、外部提供者から提供される統計データを監視することも品質判断の一つなんです(闇雲にやることほど無駄!)。
その統計データという観点でいうと、外部提供者(仕入先・サプライヤーのこと)で取得された出荷検査成績書やXbarR管理図のプロットデータなどが多く利用されています。
外部提供者からの納品ロットの工程内記録を全て確認することは不可能なので、出荷検査及び特殊特性工程のXbarR管理図のプロットデータなどを納品と同時に提供することを要求することもよくあります。それらの監視も受入検査の一つの方法ととらえましょう!
仕入先の品質能力によって受入検査及び試験の程度を変更して管理
IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項では、外部提供者の持つ「リスク」により受入検査方法を変更してもOKと解釈できる記述があります。これは、供給者のパフォーマンス評価が重要であり、供給者のパフォーマンスとは、IATF:8.4.2.1:管理の方式及び程度-補足の要求事項と強い関係があります。
供給者のパフォーマンス評価はIATF16949で必須項目となっているため、その結果で受入検査の程度を変更することはOKです。逆にこの要求事項をうまく活用すれば、自社の検査工数を削減することにもつながります。
②受入検査合格率が普通の評価の仕入先は、並みの検査。
③特別悪い場合などは、全数検査。
上記のように、自社の検査基準を定めることも可能です。また、検査でNG品が発見された場合は、全数検査に移行するなどの対処ルールも同時に定めるようにしてください。これらのルールを検査管理規定などに書くことは必須です。
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規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?
ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!
※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。
第二者監査で「仕入れ先の検査の有効性」を検証しよう!
貴社における納品物の多くは、出荷検査成績書(出荷における品質管理の結果の呼称)が同梱されている場合が多いのではないでしょうか?それらが本当に信用できるデータなのかは、第二者監査を実施して確認することが非常に重要です。
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第二者監査(いわゆる仕入先監査、サプライヤー監査ともいう)をすると、IATF16949の要求事項に適合した品質マネジメントシステムが行われていることの確認や、製造工程監査・製品監査を行うため、その検査記録の信ぴょう性を現地で確認することが可能です。
この第二者監査では、監査当日の出荷検査エリアで正しく監査された結果を確認することが重要です。例えば、検査機器の校正記録、検査員の力量評価、MSA結果などが重要です。これらの項目の結果は、審査員の方の気になるポイントの一つです。
仕入先監査で整理しておきたい確認視点
IATF16949では、仕入先の選定だけでなく、定期的な監査を通じて、品質や工程管理の状態を継続的に確認することが求められます。一方で、監査の際に「どの要求事項を」「どこまで」確認すべきかについて判断に迷うケースも少なくありません。
そのため、品質管理や是正対応、工程管理などの視点を整理し、仕入先監査を改善につなげられる形で運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、仕入先監査における確認項目や評価視点を一覧で整理した資料を参考にする方法もあります。
外部試験所による評価
IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項は、ISO9001よりも厳しい要求をしていることはいうまでもありません。
特に貴社における重要部品や顧客との勘合部分に使用される部品(いわゆる特殊特性になり得る部品)つまり要求が厳しい製品などは、外部試験所に送付して評価された結果を用いることもあります。
この場合の注意点は、IATF:7.1.5.3.2項の外部試験所として管理された試験所であることが求められるので、利用する際は十分注意してください。
顧客から渡されるSQM(仕入先品質マニュアル)には、1回/年程度で、仕入先の材料データや外部試験所で測定されたデータの入手を要求している企業もあるのでよく確認しておきましょう!
顧客と合意した評価方法でもOK
IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項では、本要求事項にない方法での検査・検証以外を実施したいときは、顧客と合意を得てから実施するようにしてくださいという意味が記述されています。
特に、特殊な試験(破壊試験)などが必要な場合もあるので、これらの検査は別の費用(管理費)の上乗せが必要なことが多いです。なので、実施の要否を確認したうえで、顧客と合意され試験方法で且つその合意記録と検査記録を残すような仕組みを構築しましょう。
IATF16949:8.6.4項はどこに記載すればいい?
IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項は、受入検査管理規定を作成し対応することがおすすめです。または、購買管理規定などでもOK。
仕入先のパフォーマンス評価と関連性を持たせた規定であれば何でもOKですが、受入検査方式の選定方法を明確に記載すること忘れないようにしましょう!
規格対応で不安・悩むポイント
ISO9001やIATF16949、VDA6.3といった規格対応では、「どこから手を付ければよいか分からない」「社内だけで判断を進めることに不安がある」と感じるケースが少なくありません。
品質マネジメントの構築は、一度に完成させる必要はなく、考え方やサンプルを参考にしながら、少しずつ自社に合った形へ整えていくことも可能です。
IATF16949:8.6.4に関するFAQ
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
受入検査の方式は、供給者のパフォーマンス評価(つまりリスク!)を基に決定することが推奨されます。供給者の品質能力に応じて、抜き取り検査や全数検査の頻度を調整し、受入検査の工数を最適化することが可能です。具体的な検査基準は、受入検査管理規定や購買管理規定に明記することが重要です。
第二者監査は、供給者から提供される製品やサービスの品質を確保するため、そして受入検査記録の信ぴょう性を確認する際にも実施されることがあります。特に出荷検査成績書や統計データの正確性を評価する場合に有効です。また、仕入先の品質マネジメントシステムの適合性を確認するためにも利用されます。仕入先を選定するだけが第二者監査ではないということですね!
特定の部品や製品に対して厳しい品質要求がある場合または、社内の内部試験所などでは評価できない場合は外部試験所での評価が必要になることがあります。この場合、IATF16949:7.1.5.3.2項に準拠した、認定された外部試験所を利用することが求められます。外部試験所による評価結果は、受入検査の補完として活用されます。外部試験所で評価する頻度は、受入検査対象の部品・材料などのリスクにより決定することをルール化しましょう!
IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れ:まとめ

IATF16949:8.6.4項の外部から提供される製品及びサービスの検証及び受入れの要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?
本要求事項のポイントは、外部提供者から得られる納品物の受入検査方式を、パフォーマンス評価を基に決定し、実施することを意図しています。
それらのルールは、受入検査管理規定や購買管理規定などに記載し、どういった受入検査を実施するのかを明確にするようにしましょう!
それではまた!













