
ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースの要求事項は、リリース=検査合格と解釈し、合否判定をする権限者によって許可された証拠の記録の保持を要求しています。
今回の記事は、ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースの要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。

この記事を書いた人
所属:QMS認証パートナー専属コンサルタント
年齢:40代
経験:製造業にて25年従事(内自動車業界15年以上)
得意:工場品質改善・プロジェクトマネジメント
目標:ちょっとの相談でも頼りにされるコンサルタント
※難解な規格を簡単に解説がモットー!
【サイトポリシー】
当サイトは、品質マネジメントシステムの普及を目的に、難解になりがちな規格要求を、できるだけ分かりやすく解説しています。実務の中で「少し確認したい」「判断に迷う」といった場面で、参考にしていただける情報提供を目指しています。※本記事の内容は、実際の現場支援経験をもとに整理しています。
「無料で学ぶ」「有料で実践する」——皆様の目的に合わせて活用可能です!
✅ QMS・品質管理・製造ノウハウを無料で学びたい方へ
👉 本サイト「QMS学習支援サイト」を活用しましょう!「QMSについて知りたい」「品質管理の基礎を学びたい」方に最適!
✔ IATF 16949やISO 9001・VDA6.3の基礎を学ぶ
✔ 品質管理や製造ノウハウを無料で読む
✔ 実務に役立つ情報を定期的にチェック
✅ 実践的なツールやサポートが欲しい方へ
👉 姉妹サイト「QMS認証パートナー」では、実務で使える有料のサポートサービスを提供!「すぐに使える資料が欲しい」「専門家のサポートが必要」な方に最適!
✔ コンサルティングで具体的な課題を解決
✔ すぐに使える帳票や規定のサンプルを購入
✔ より実践的な学習教材でスキルアップ
皆様の目的に合わせて活用可能です!
| ・当サイトの内容は、あくまでもコンサルタントとして経験による見解です。そのため、保証するものではございません。 ・各規格の原文はありません。また、規格番号や題目なども当社の解釈です。 ・各規格については、規格公式サイトを必ず確認してください。 ・メールコンサルティングは空きあります(2025年9月現在)。この機会に「ちょっと相談」してみませんか?1質問の無料サービス期間を是非ご利用ください。 →サービスのお問い合わせはこちら |

| 条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
| 第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
| 第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
| 第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
| 第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
| 第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
| 第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
| 第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.5項~8.7.2項は主に、①製造プロセス②生産管理プロセス③品質管理プロセスが関係します。
| 条項 | 題目 | ISO 9001 |
重要 帳票 |
IATF 16949 |
重要 帳票 |
| 8.5 8.5.1 |
製造及びサービス提供 | 〇 | ● | 〇注記 | |
| 8.5.1.1 | コントロールプラン | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.2 | 標準作業-作業者指示書及び目視標準 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.3 | 作業の段取り替え検証 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.4 | シャットダウン後の検証 | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.5 | TPM | 〇 | ● | ||
| 8.5.1.6 | 生産治工具並びに製造・試験・検査の治工具及び設備の運用管理 | 〇 | |||
| 8.5.1.7 | 生産計画 | 〇 | ● | ||
| 8.5.2 | 識別及びトレーサビリティ | 〇 | ● | 〇注記 | |
| 8.5.2.1 | 識別及びトレーサビリティ-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.3 | 顧客又は外部提供者の所有物 | 〇 | 〇 | ||
| 8.5.4 | 保存 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.5.4.1 | 保存-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.5 | 引き渡し後の活動 | 〇 | 〇 | ||
| 8.5.5.1 | サービスからの情報のフィードバック | 〇 | |||
| 8.5.5.2 | 顧客とのサービス契約 | 〇 | |||
| 8.5.6 | 変更の管理 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.5.6.1 | 変更の管理-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.5.6.1.1 | 工程管理の一時的変更 | 〇 | |||
| 8.6 | 製品及びサービスのリリース | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.6.1 | 製品及びサービスのリリース-補足 | 〇 | ● | ||
| 8.6.2 | レイアウト検査及び機能試験 | 〇 | ● | ||
| 8.6.3 | 外観品目 | 〇 | ● | ||
| 8.6.4 | 外部から提供される製品及びサービスの検証および受入れ | 〇 | ● | ||
| 8.6.5 | 法令・規制への適合 | 〇 | |||
| 8.6.6 | 合否判定基準 | 〇 | |||
| 8.7 8.7.1 |
不適合なアウトプットの管理 | 〇 | ● | 〇 | |
| 8.7.1.1 | 特別採用に対する顧客の正式許可 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.2 | 不適合製品の管理-顧客規定のプロセス | 〇 | |||
| 8.7.1.3 | 疑わしい製品の管理 | 〇 | |||
| 8.7.1.4 | 手直し製品の管理 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.5 | 修理製品の管理 | 〇 | ● | ||
| 8.7.1.6 | 顧客への通知 | 〇 | |||
| 8.7.1.7 | 不適合製品の廃棄 | 〇 | ● | ||
| 8.7.2 | (不適合製品関連の記録保持) | 〇 | 〇 |
当サイトの情報提供スタンスについて
当サイトでは、ISO9001およびIATF16949について、規格要求の解説にとどまらず、実務でどのようにルールや記録へ落とし込むかを重視して情報を整理しています。
規格の理解とあわせて、「現状とのギャップをどう捉えるか」「どこから手を付けるべきか」といった判断に迷いやすい点を、現場目線で分かりやすく解説することを目的としています。
記事内容を自社へ当てはめる際の考え方や、判断に迷うポイントについては、別ページで整理した情報も用意しています。
この記事の目次
ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースの意味
ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースの要求事項は、若干解釈が難しい要求事項となっているのが特徴です。本要求事項の前文でつまずいてしまう企業様も多いのではないでしょうか?
実は本文中にある「計画した取り決めを実施」の要求事項が曲者です。
この意味は、量産段階で適切な監視・管理することを意味します。ちょっと難しいですよね?かみ砕いていうと、要するに必要な段階で検査をし確認する品質活動を行うことを意味しています。
製造業でいう「保証」を工程内検査や出荷検査できちんと実施することを求めています。
検査に合格しない製品・サービスは出荷(リリース)してはならない!
検査に合格しない製品・仕掛品は、出荷及び次工程に流してはいけないことを意味しています。ただし、権限者(例えば品質部長など)や顧客が認めた場合はOK。
この権限者というのは、職務・業務分掌で定められた適切な権限を持つ人物(主に品質部長クラス)です。この方が合格(特別に合格な場合も含む)と判断し、リリースを許可した証拠(押印・サインが必要)を残すことが重要です。
また、不適合品を出荷するような(せざる得ない)こともあるかもしれません。そういった場合は、顧客の承認を得ることが重要です。
それらの特別許可つまり、「特別採用」のプロセスを踏むことが重要なので、リリース前の対応記録をきちんと残すようにしてください。
責任と権限で整理する組織運営の考え方
ISO9001やIATF16949では、各業務に対する責任と権限を明確にし、組織として一貫した運営ができる体制を整えることが求められます。役割分担を整理することで、判断の遅れや責任の所在不明といった問題を防ぎやすくなります。組織図だけでなく、実際の業務との対応関係を明確にすることが重要です。
一方で、形式的な分掌表にとどまり、実務と乖離してしまうケースも少なくありません。そのため、業務内容と責任範囲を具体的に整理したうえで運用することが重要になります。こうした整理を進める方法の一つとして、責任と権限の整理方法をまとめた資料を参考にする方法もあります。
リリースが行われた記録はしっかり保持しよう!
ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースの要求事項のポイントは3つです。この3つを理解することができれば簡単に構築が可能です。
①合否判断基準を明確にする
正しく合否判断をするためには、その検査が正しく行われているかどうかがポイントです。工程チェックリストに合格の数値範囲などを記載したり、検査手順書内に合否判定基準を記載することも求められます。
特に官能検査(目視・聴感・触感など)を行う場合は、マスターサンプルや限度サンプルを準備して対応しないと不適合になる場合があるので注意してください。
②合否判定の記録を保持
検査に合格してリリースした場合は、その記録を保持してください。抜き取り検査でN=5を実施した場合などは、その数値記録を保持しましょう。主に「出荷検査成績書」などで担保可能です。
③合否判定した人を明確にする
いわゆる検査成績書を作成し、正式にリリースを許可した場合、だれが許可したのかを明確にするようにしてください。また、トレーサビリティがとれるように、検査者・確認者・承認者を明確に記載することで本要求事項は担保できます。
規格を理解するうえで、よくある「つまずき」とは?
ISO9001やIATF16949、VDA6.3の要求事項は、条文を読むだけでは自社業務への当てはめ方が分かりにくい場面が少なくありません。理解したつもりでも、文書化や運用判断で迷いが生じることは多く、その違和感こそが改善ポイントになる場合もあります!
※ 個別ケースでの考え方整理が必要な場合は、補足的な確認も可能です。
リリースは出荷だけではない!
ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースの要求事項の本質を理解すれば、リリース=検査だけではないことがわかります。例えば、変更からの量産リリースや、初期流動管理解除による本生産へのリリース、品質是正からの再リリースなど様々です。
リリースされるつまり、投入・出荷など様々な場面を想定された要求事項なので、きちんと権限者がリリースを許可したことを証明した記録を保持することが重要です。
ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースはどこに記載すればいい?

ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースの要求事項は、製造管理規定に記載し、権限については、業務・職位分掌を参照させるようすることがポイントです。
検査管理規定や変更管理規定及び不適合品処理規定など様々なプロセス管理規定とリンクするので、全てに記載することは大変です。
想定される場面での権限者を、職位と権限込みで業務・職位分掌でリリース権限を明記するようにしましょう。
ISO9001・ISO14001構築でつまずきやすい点
ISO9001やISO14001は、「何を決めるべきか」「どう見える化するか」といった判断事項が多く、構築の初期段階で迷いやすい規格です。要求事項は理解できても、実際の規定や帳票をどう整えるかで手が止まってしまうケースも少なくありません。
そのため、実務で使われている規定や帳票の考え方を参考にしながら、自社のペースで整理していくことが重要になります。
ISO9001:8.6に関するFAQ
規格対応でよく聞かれる悩み
ISO9001やIATF16949、VDA6.3に取り組む中で、「審査対策として何を優先すべきか分からない」「要求事項に対する構築の考え方が整理できない」といった声は少なくありません。
また、社内にQMSを体系的に理解している担当者がいない場合や、外部コンサルの費用面で継続的な支援が難しいと感じるケースもあります。こうした悩みは、特定の企業に限らず、多くの現場で共通して見られるものとなっています。
ISO 9001:8.6では、製品およびサービスがリリースされる前に「受け入れ基準への適合」が確認され、その証拠が記録されることが求められます。記録には検査報告書、試験データ、顧客承認、社内チェックリストなどが含まれます。これにより、品質不備の防止とトレーサビリティが確保されます。また出荷フェーズでは、出荷検査記録などが該当します。
リリースの最終承認は、組織が指定する責任者または権限のある担当者が行います。通常、品質管理部門やプロジェクト責任者が担当します。ISO 9001は、適切な権限が与えられた人物が確認・承認することを求めています。また、顧客が承認を必要とする場合は、顧客からの正式な確認も必要です。
リリース前に不適合が見つかった場合、その製品やサービスはリリースが保留されます。不適合の原因を調査し、必要に応じて修正措置を講じます。ISO 9001では、リリース条件を満たさない製品が顧客に渡らないよう、管理プロセスを徹底することが求められます。
ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリース:まとめ

ISO9001:8.6項の製品及びサービスのリリースの要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?
本要求事項はわかりずらい部分もあったと思いますが、リリース=検査合格そして権限者によってリリースされると解釈すれば簡単ですよね?
あとはルール化です。
リリースの方法は、製造管理規定にリール化し、権限は業務・職位分掌に記載すればOK。
ルールを徹底するように社内教育も忘れずに!
それではまた!
QMS認証パートナー:https://partner.iatf-iso.net/
弊社はISO9001、IATF16949、VDA6.3に関する教材、規定、帳票、ノウハウ資料の販売/メールコンサルを展開しています。コンサルに全面依存せず、自社で構築や運用を進めたい企業や、必要な資料を整理しながら実務に落とし込みたい場合に活用しやすいサービスです。
ご相談・不明点については、下記ボタンよりお気軽にお問い合わせください。










