IATF:7.2.1項の力量-補足の要求事項では、ISO9001よりもより具体的な取り組み方法が記載され、わかりやすい内容となっているのが特徴です。特に重要なのは、「教育のニーズのとらえ方」となるので、合わせて理解を深めていきましょう!
今回の記事は、IATF:7.2.1項の力量-補足の意味と構築ポイントについて解説いたします。
重要:【規定】No.7201_教育訓練管理規定:IATF版はこちら
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
7.1.1 | 一般(資源計画) | 〇 | 〇 |
7.1.2 | 人々 | 〇 | 〇 |
7.1.3 | インフラストラクチャ | 〇 | 〇 |
7.1.3.1 | 工場、施設及び設備の計画 | 〇 | |
7.1.4 | プロセスの運用に関する環境 | 〇 | 〇注記 |
7.1.4.1 | プロセスの運用に関する環境-補足 | 〇 | |
7.1.5 7.1.5.1 |
一般(監視及び測定のための資源) | 〇 | 〇 |
7.1.5.1.1 | 測定システム解析 | 〇 | |
7.1.5.2 | 測定のトレーサビリティ | 〇 | 〇注記 |
7.1.5.2.1 | 校正/検証の記録 | 〇 | |
7.1.5.3.1 | 内部試験所 | 〇 | |
7.1.5.3.2 | 外部試験所 | 〇 | |
7.1.6 | 組織の知識 | 〇 | 〇 |
7.2 | 力量 | 〇 | 〇 |
7.2.1 | 力量-補足 | 〇 | |
7.2.2 | 力量-業務を通じた教育訓練(OJT) | 〇 | |
7.2.3 | 内部監査員の力量 | 〇 | |
7.2.4 | 第二者監査員の力量 | 〇 | |
7.3 | 認識 | 〇 | 〇 |
7.3.1 | 認識-補足 | 〇 | |
7.3.2 | 従業員の動機付け及びエンパワーメント | 〇 | |
7.4 | コミュニケーション | 〇 | 〇 |
7.5.1 | 一般(文書化した情報) | 〇 | 〇 |
7.5.1.1 | 品質マネジメントシステムの文書類 | 〇 | |
7.5.2 | 作成及び更新 | 〇 | 〇 |
7.5.3 7.5.3.1 7.5.3.2 |
文書化した情報の管理 | 〇 | 〇 |
7.5.3.2.1 | 記録の保管 | 〇 | |
7.5.3.2.2 | 技術仕様書 | 〇 |
目次
IATF:7.2.1項の力量-補足の意図
IATF:7.2.1項の力量-補足の意図は、ISO9001:7.2項の力量がベースとなり、やることは大きく変わりません。
ベースとなるのは、以下の4点となります。
②力量評価表の作成
③教育計画の策定
④教育の記録の保持
この4点セットはISO9001を取得している企業であれば必ずあるはずです。
しかし、IATF:7.2.1項の力量-補足では、さらに深い要求が二つあるので、それらの構築ポイントについて次に解説いたします。
教育のニーズをきちんととらえる
IATF:7.2.1項の力量-補足の要求事項には、以下のようなことが大事です。
文書化されたプロセスの要求事項があるので、教育管理規定の作成が必須です。
もう一つ大事なことは、ISO9001:7.3.1項の認識-補足を考慮していることを求めています。
認識-補足で求めていることは、製品品質・顧客固有要求事項及び不適合製品が流出した場合の顧客への影響についてですので、それらを教育訓練しなくてはなりません。
それらの教育訓練の記録は、プロセス・部門・担当者ごとに維持・保持する必要があるので、必ず教育訓練計画に入れるようにし、きちんと実施してください。
特に、以下の項目は、必要なプロセスに応じて力量評価項目に入れないと不適合になるので要注意!
②コアツール
・APQP
・MSA
・PPAP
・SPC
・FMEA
特殊作業員の資格認定
IATF:7.2.1項の力量-補足の要求事項には、以下のようなことが大事です。特別な工程・作業に従事する従業員については、資格認定制度を設けることが重要です。特殊な技量が必要となる作業とは、以下のような作業者がよい例です。
関連要求事項
IATF:7.2.3項の内部監査員の力量
②第二者監査員の力量
関連要求事項
IATF7.2.4項の第二者監査員の力量
③内部試験所要員
関連要求事項
IATF:7.1.5.3.1項の内部試験所
④各種検査員
関連要求事項
IATF:8.6.3項の外観品目
※特に特殊特性に関連する作業者は要注意!
⑤特殊工程作業員
※例えば手はんだ工程など
組織によって特殊作業となるプロセスはことなるので、自社の特殊作業を上記を基に特定しましょう。
また、資格認定が必要なプロセスはスキルマップを作成することが重要です。
ISO9001:7.2項の力量は、個人の力量と目標管理についての達成度がわかるシートが非常に有効です。目標管理は、教育のニーズを捉えて設定できかつ、従業員のモチベーションアップにも繋がります。力量評価と目標管理が同時に分かる「個人の力量と目標管理シート」を格安でご提供させていただきます!
⇒IATF:力量評価6点セットはこちら
教育訓練には「予防」を考慮する
IATF:7.2.1項の力量-補足の要求事項には、以下のようなことが大事です。
教育訓練を行う際に、力量を上げたり、資格を認定したりと様々な要求があるのがIATFですが、さらにその要求には、「予防」の観点での教育が必要です。
事例で述べられているのは、装置の故障の予兆ですが、それらの予兆なんてなかなかわからないですよね?
それらを認識するために必要な知識の一つに、IATFのコアツールである「SPC:統計的工程管理」の理解が必須です。
管理図管理すべき工程の特定を行うことで、管理図の変化から装置故障の予兆もとらえることも可能です。
SPCについては、IATF:9.1.1.1項の製造工程の監視及び測定を参考にしてください。
サイバー攻撃に関しては、IATF:6.1.2.3項の緊急事態対応計画(BCP)の中で教育訓練されているので、そちらで担保することが可能です。
それ以外にも予防の教育は、FMEAの教育(IATF:6.1.2.2項の予防処置)ともリンクするので、合わせて確認しましょう。
IATF:7.2.1項の力量-補足はどこに記載すればいい?
IATF:7.2.1項の力量-補足の要求事項の対応ルールは、ISO9001の力量で作成した教育管理規定にまとめて記載することが重要です。
特に、資格認定制度や予防についての教育、そしてニーズ(顧客固有要求事項や品質目標など)についての教育訓練などの方法や時期などは、規定の中で明確に記載するようにしてください。
これらの内容が不足していると不適合の要因の一つになりえるので、注意して作成することが重要です。
IATF:7.2.1に関するFAQ
IATFのメールコンサルティングでよくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
IATF:7.2.1項では、製品とプロセスの要求事項に適合するための要員の力量を維持することが求められます。特に重要なのは、教育訓練のニーズを正確に把握し、文書化されたプロセスで管理することです。教育管理規定や力量評価表の作成、教育計画の策定、教育記録の保持が必要です。
弊社販売中のサンプル規定「教育訓練管理規定」などが参考になります。
⇒【規定】No.7201_教育訓練管理規定:IATF版
資格認定が必要なプロセスとしては、内部監査員や内部試験所要員、特殊工程作業員などが挙げられます。特に、顧客要求事項を満たすための特殊な作業を行う要員には、適切な資格認定が不可欠です。スキルマップを作成し、必要なプロセスを特定することが重要です。
⇒【帳票】No.72-3_スキルマップ
予防を考慮した教育訓練には、例えば装置故障の予兆やサイバー攻撃の兆候に対する認識が含まれます。IATFでは、「SPC:統計的工程管理」を使用して、装置故障の予兆を管理図から判断するなど、予防的な対応が求められています。また、FMEAの教育やBCP(緊急事態対応計画)とのリンクも重要です。
力量評価の帳票についてはまとめ買いがお得となっておりますので、是非参考にしてみてくださいね!
⇒【まとめ買い】IATF用:力量評価必須帳票6点セット
IATF:7.2.1項の力量-補足:まとめ
IATF:7.2.1項の力量-補足の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?
基本的なフォーマットとなる帳票類は、ISO9001の力量で対応できていると思うので、それらにプラスして以下の要求事項の対応をプロスしましょう。
②特殊作業員の資格認定
③予防を考慮した教育訓練の実施方法
それではまた!
IATF16949&ISO9001の構築ご支援:メールにて承ります!
A:月額20,000円のメールコンサルティングサービスには、IATF・ISO9001における品質マネジメントシステムに関する質問への回答、プロセス構築と改善のアドバイス、規格要求事項に関するご説明などが含まれます。メールでのやり取りを通じて、貴社の状況に応じた具体的なサポートを提供しいたしております。
A:基本的には月に何度でもメールで質問を送っていただいてOKです。ただし、回答には通常1〜3営業日を頂いております(多くはその日の内に回答可能です!)。やり取りの回数に制限はありませんが、1つのメールにつき明確な質問やテーマを設定していただくようお願いしております。
A:現在のサービスはメールのみの対応となっておりますが、追加料金にて電話やビデオ会議での相談も承ります。詳細については別途お問い合わせください。
※2024年現在は、メールコンサルティング以外数カ月先まで予約がいっぱいとなっております。空き次第、弊社HPでアナウンス致します。
A:はい、もちろんです。初心者の方でもわかりやすく丁寧にサポートいたします。初めての導入に必要なステップや、どのように進めていくべきかも具体的にアドバイスいたしますので、安心してご利用ください。
A:サービスの解約は、次回請求日の2週間前までにメールにてご連絡いただければ対応いたします。解約にあたって特別な手続きは必要なく、解約後は翌月から請求されません。また、一度解約しても何度でも契約できますのでご安心ください。ただし、銀行振込の場合、一度でもその月に質問されますと請求が発生しますので、あらかじめご了承ください。
『IATF 16949』はInternational Automotive Task Force(IATF)の登録商標です。当サービスはIATFの認定を受けたものではなく、独自に認証取得を支援するサービスを提供しています。
※当サービスおよび教材は、IATF16949の認証取得を支援するための情報を提供するものであり、認証取得を保証するものではありません。認証の可否は審査機関の判断によります。