IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項は、作業の立ち上げ・機種切り替え・材料/部品/設備・治工具の変更に伴う品質トラブル防止に関する要求事項です。
今回の記事は、IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項の意味と構築ポイントについて解説します。
知識・経験を活かし、品質マネジメントシステムの規格を幅広い方々に理解いただき、各規格の普及のお手伝いができればという思いで立ち上げました!難解な内容も、知識と経験でわかりやすく解説していきますので、これからもよろしくお願いします!あくまでも個人の見解(公式に認められたものではない)となりますので、ご理解いただき是非参考にしていただければ幸いです★
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
第4章 | 組織の状況 | 〇 | 〇 |
第5章 | リーダーシップ | 〇 | 〇 |
第6章 | 計画 | 〇 | 〇 |
第7章 | 支援 | 〇 | 〇 |
第8章 | 運用 | 〇 | 〇 |
第9章 | パフォーマンス評価 | 〇 | 〇 |
第10章 | 改善 | 〇 | 〇 |
※8.5項~8.7.2項は主に、①製造プロセス②生産管理プロセス③品質管理プロセスが関係します。
条項 | 題目 | ISO9001 | IATF |
8.5 8.5.1 |
製造及びサービス提供 | 〇 | 〇注記 |
8.5.1.1 | コントロールプラン | 〇 | |
8.5.1.2 | 標準作業-作業者指示書及び目視標準 | 〇 | |
8.5.1.3 | 作業の段取り替え検証 | 〇 | |
8.5.1.4 | シャットダウン後の検証 | 〇 | |
8.5.1.5 | TPM | 〇 | |
8.5.1.6 | 生産治工具並びに製造・試験・検査の治工具及び設備の運用管理 | 〇 | |
8.5.1.7 | 生産計画 | 〇 | |
8.5.2 | 識別及びトレーサビリティ | 〇 | 〇注記 |
8.5.2.1 | 識別及びトレーサビリティ-補足 | 〇 | |
8.5.3 | 顧客又は外部提供者の所有物 | 〇 | 〇 |
8.5.4 | 保存 | 〇 | 〇 |
8.5.4.1 | 保存-補足 | 〇 | |
8.5.5 | 引き渡し後の活動 | 〇 | 〇 |
8.5.5.1 | サービスからの情報のフィードバック | 〇 | |
8.5.5.2 | 顧客とのサービス契約 | 〇 | |
8.5.6 | 変更の管理 | 〇 | 〇 |
8.5.6.1 | 変更の管理-補足 | 〇 | |
8.5.6.1.1 | 工程管理の一時的変更 | 〇 | |
8.6 | 製品及びサービスのリリース | 〇 | 〇 |
8.6.1 | 製品及びサービスのリリース-補足 | 〇 | |
8.6.2 | レイアウト検査及び機能試験 | 〇 | |
8.6.3 | 外観品目 | 〇 | |
8.6.4 | 外部から提供される製品及びサービスの検証および受入れ | 〇 | |
8.6.5 | 法令・規制への適合 | 〇 | |
8.6.6 | 合否判定基準 | 〇 | |
8.7 8.7.1 |
不適合なアウトプットの管理 | 〇 | 〇 |
8.7.1.1 | 特別採用に対する顧客の正式許可 | 〇 | |
8.7.1.2 | 不適合製品の管理-顧客規定のプロセス | 〇 | |
8.7.1.3 | 疑わしい製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.4 | 手直し製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.5 | 修理製品の管理 | 〇 | |
8.7.1.6 | 顧客への通知 | 〇 | |
8.7.1.7 | 不適合製品の廃棄 | 〇 | |
8.7.2 | (不適合製品関連の記録保持) | 〇 | 〇 |
【教材】 | No.1-001 | QMSノウハウ_学習教材 |
【教材】 | No.2-001 | コアツール_学習教材 |
【教材】 | No.7-001 | 内部監査概説_学習教材 |
目次
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の意味
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項で最も重要なことは、「段取り替え検証」という言葉を正しく理解し、そのルールを構築することです。
段取り替え検証という言葉をまずは理解していきましょう。
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証必須項目
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証は、5つの対応が必要です。それらの対応は、製造工程管理規定などを作成し、対応表を作って確実に対応された記録を残すことが重要です。
次に、作業の段取り替え検証の要求事項を見ていきましょう。
a)段取り替え検証に該当する項目を決める
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項は、以下のようなことが大事です。
この要求に対応するためには、段取り替え検証に該当する項目を決める必要があります。例を下記に示すので、参考にしてみてくださいね。
段取り替え検証該当作業例
段取り替え検証項目 | 内容 |
製品立ち上げ | 新製品の生産開始 |
機種切り替え | 同一生産ライン内での機種切り替え |
材料切り替え | 材料・部品などを変更して生産 |
設備・治工具切り替え | 設備・治工具を変えての生産切り替え |
始業立ち上げ | 朝一・昼休み明けなど |
休み明け | 土日・連休・長期休暇 |
b)段取り替え要員の為の要領書(作業手順)を作成
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項は、以下のようなことが大事です。
これは、段取り替え手順書や段取り替え時の記録などが該当します。段取り替え時の記録を何に記録するのかは、審査で確認されますので明確にルール化しましょう。
c)特殊特性工程はSPC必須!
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項は、以下のようなことが大事です。
段取り替え検証にSPCを使用することで段取り替え前後の変化を確認できるとともに、Cpk管理にもつながるので、特殊特性工程の管理は確実にSPCを使用してください。
【帳票:教材】No.8513_段取り替え・シャットダウン検証対応表 |
d)機種切り替えに対応した段取り替え検証
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項は、以下のようなことが大事です。
「望ましい」は、「やる」と解釈してください。
始業はじめ、昼休み休憩明け、終業時の品質検査が必要な工程を特定し、その頻度で確認することが重要です。
その該当工程の検査頻度は必ずコントロールプランに記載してください。そしてその記録は、工程チェックリストなどで確実に記録を残すことが重要です。
またそのデータを基に、段取り替え後(主に機種・部品・材料・設備・治工具切り替え時)のデータと比較し、同様の傾向となっているかを分析してから機種切り替えのリリースを行う必要があります。
e)リリースの承認者を決める
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項は、以下のようなことが大事です。
段取り替え前後のデータを比較し、問題ないと判断したらリリースとなりますが、そのリリースしてOKと判断する人が誰かを決定する必要があります。一般的には現場の班長さん・主任さんとなりますが、その権限が付与されているかを明確にする必要があります。
その権限は、業務・職位分掌表で権限を与えられていることを記載する必要があります。
関連要求事項
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証はどこに記載すればいい?
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項は、製造工程管理規定を作成し対応することが求められます。本要求事項は、IATF:8.5.1.4項のシャットダウン後の検証と強い関係があるので、合わせて記載するようにしてください。
QMSに関する無料相談承ります!お問い合わせはこちら |
IATF:8.5.1.3に関するFAQ
よくある質問をFAQ形式で3つご紹介致します!もっと詳しく質問したい場合は、是非メールコンサルティングサービスをご活用くださいね!
段取り替え検証とは、前回の生産と今回の生産の間に発生する変更(材料・部品・設備・治工具の変更、機種切り替えなど)による品質トラブルを防止するための検証プロセスです。IATFでは、段取り替えのたびに品質を確保するための検証が必須とされています。この検証方法はルール化し、記録を残すことが求められています。
効果的な段取り替え検証のためには、以下の手順が推奨されます。
1.該当する段取り替え作業の特定
2.段取り替え作業者向けの手順書や記録の準備
3.必要に応じた統計的手法(SPC)の活用
4.機種切り替え時の初品/終品の妥当性確認
5.リリースの承認者の決定と記録の保持
段取り替え検証の記録は、製造工程管理規定に基づき、明確なフォーマットで管理することが求められます。検証結果や承認者の記録を含め、工程チェックリストやコントロールプランに基づいて文書化し、適切に保存することが重要です。
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証:まとめ
IATF:8.5.1.3項の作業の段取り替え検証の要求事項の規格解釈はいかがでしたでしょうか?作業の段取り替えは、決められたルールを基に行わないとリスクを伴う行為となる為、IATFで強化されている内容です。
本要求事項5つを基に、そのルールを製造工程管理規定に記載しましょう。
シャットダウン検証と一緒に簡単にまとめられる帳票を販売しておりますので、是非ご利用ください。
それではまた!
メールにて有料サポート、簡易コンサルを行うプランです。現地コンサルタントのような顔を突き合わせてのコンサルティングがなく、Emailで24時間好きな時間に質問できるのが特徴です。また、リアルタイムでの対応が無い分、一般的なコンサルタントへ依頼するより 1/100以下のコストで済むという特徴があります。1週間の無料お試し期間がございますので、十分ご納得いただいてからのご利用が可能です!
【サポート内容】
要求事項規格解釈相談OK/品質マニュアルの作成アドバイス/規定の作成アドバイス/帳票の作成アドバイス/運用/構築アドバイス/審査アドバイス/社内認証プロジェクトの進め方アドバイス/社内教育アドバイス内部監査/第二者監査アドバイス/その他気になることなんでもOKです。
当WEBサイトが次のステージへ!
当サイトは、品質マネジメントシステムの規格に基づいた品質管理の情報と、具体的で実践的な学習支援を提供するために、進化してきました。シンプルかつ直感的に、必要な情報をどこよりも早く確実にお届けし、各規格の発展に貢献することが目的のサイトです。
当WEBサイトのリニューアル後には、こんなことに期待してください!
✅ わかりやすいステップで、品質マネジメントシステムの導入支援
✅ 品質マネジメントの最新トレンドの発見
✅ 独自の課題に寄り添った解決策を提案
企業の皆さまとともに成長し、未来の競争力を形にするための新しい第一歩のために準備しています!
ただいま、WEBサイトをより使いやすく、より価値ある情報をお届けできる場所へと進化させるために準備を進めています。
リニューアルオープンまで、もう少々お待ちください。
新しいサイトで、皆さまとお会いできる日を心待ちにしております!
掲載:2024年12月1日